文政権とは真逆の発言が飛び出した。韓国野党「国民の党」大統領選候補、安哲秀(アン・チョルス)氏が1月28日、ソウルでの記者会見で、中国の軍事的挑発に対して断固として対応すること。日本との関係について「内政を外交に利用しない」と述べ、日韓共同宣言をもとに未来志向的な協力関係を築く考えを示した。文政権5年間で、「反日発言」に慣されてきた日本としては、「本当か」と問い返したい感じである。
『大紀元』(1月31日付)は、「韓国大統領選野党候補、対中強硬姿勢示す 日本とは関係改善の意向」と題する記事を掲載した。
安氏は、韓国プレスセンターで開かれたソウル外信記者クラブ懇談会で、対中外交に対する「レッドライン」を制度化し、中国の軍事的な挑発行為に「迅速かつ原則をもって対応」すると話した。
(1)「2017年、文在寅政権が国内に米軍の「サード(高高度防衛ミサイルシステム、THAAD)」を設置したことで中国が強く反発。報復的に訪韓旅行停止や韓国製品のボイコット運動が起こり、韓国は経済的な損失を被った。この後、慎重姿勢を取る文政権は対中路線三原則(1.韓国にTHAADを追加配備しない、2.米国のミサイル防衛網に入らない、3.日米と軍事同盟を構築しない)を定めた。安氏はこれを「非合理的であるだけでなく、韓国の尊厳と自主性を害する非常に誤った政策」だと批判した。また、中国が強硬措置に出た場合に「経済的な損失が出ても甘んじなければならない」と身構える必要があることを強調した」
ようやく、気骨ある発言を聞くことができた。私が、「韓国かくあるべし」と主張してきた線と同じである。文政権は、自衛権という国家固有の権利を中国に差し出す屈辱的な行動をしてきた。つまり、次のような「三不政策」である。
1)韓国にTHAADを追加配備しない
2)米国のミサイル防衛網に入らない
3)日米と軍事同盟を構築しない
文政権は、こうした国家固有の権利を中国に委ねるという、あってはならない行動をとった。これが、どれだけ韓国の「国格」を下げたか。以後、中国は韓国へ二股外交を迫り「脅迫」し続けている。
(2)「安氏は同日、韓国国内の反日感情を外交的に利用してきた既存の政治勢力を批判した。歴史問題と日韓共同宣言に触れ、関係改善を図る考えを示した。安氏は、現政権で日韓関係が悪化したことについて「韓国外交の最大の問題点は国内政治で利益を得るために、外交を活用した点」と指摘。今までの政権について「執権勢力が政治的に小さな利益を得る代わりに、国際的な信頼を失い、国益を損なわせた」と述べた。加えて「絶対に国内政治のために(外交を)利用しない」と強調した」
反日外交も酷かった。文氏は反日を煽って、国内保守派に「親日派」のレッテルを貼り排除しようとしたのである。これにより、進歩派政権を継続させようという狙いを込めていた。まさしく、外交を内政に利用しようとした。
(3)「日本との関係改善について安氏は、「ツートラックアプローチ」により未来志向的な協力関係と歴史問題を分離することを述べた。1998年に日韓首脳によって採択された「21世紀の新しい日韓パートナーシップ共同宣言(小渕ー金大中宣言)」に基づき、歴史認識と経済協力を重視するとした。元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟について安氏は、日本企業の資産を現金化する手続きを「執行保留すべき」だと主張。一連の課題については日本との対話を重視する姿勢を示した」
日本との融和策をここまで発言することは、勇気が要ることであろう。大統領候補として、一票でも支持を得たい候補者心理からすれば、目先の利益を離れ「反日風土」の韓国に一石を投じたい思いであろう。有権者に、このような主張を聞き入れられる見通しがあったのだろうか。