中国は、「自立自強」経済を強調しているが、ファーウェイに見るごとく、半導体輸入を禁止されると、業績は見る影もないほど落込んでいる。習近平氏は、こういう現実を知らずに「大言壮語」しているに違いない。
『ブルームバーグ』(10月27日付)は、「中国ファーウェイ、1~9月は約40%減益-スマホ事業立て直せず」と題する記事を掲載した。
かつて世界一のスマートフォンメーカーだったこともある中国の華為技術(ファーウェイ)は、1~9月に利益を大きく減らした。米国の制裁措置でスマホ事業を立て直すことができない同社は、研究開発に多額の資金を投じている。
(1)「ブルームバーグの計算によれば、ファーウェイの1~9月純利益は272億元(約5500億円)と、前年同期の465億元から約40%減少。利益率も6.1%と、前年同期の2桁台から急低下した。7~9月の売上高は6%増の1442億元になったと、ブルームバーグは算出している」
ファーウェイは、財務情報の詳細を開示しないが、ブルームバーグが独自計算で大幅な減益を炙り出した。余りの減益に公表を避けたにちがいない。企業責任の回避である。輪番会長を務める徐直軍氏は、「全体的な業績は予想通り」とした上で、デバイス事業の落ち込み鈍化が続いた」と説明した。
米国が、先端半導体輸出を禁止したことやソフト使用を禁じたことから、好採算であったスマホ事業の継続が困難になったもの。IT関連事業での米国の影響力の大きさを改めて見せつけた形だ。
『日本経済新聞 電子版』(10月27日付)は、「ファーウェイ 1~9月2%減収 5G関連堅調で下げ幅縮小」と題する記事を掲載した。
中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が27日発表した1~9月期の売上高は前年同期比2.2%減の4458億元(約9兆円)だった。減収率は1~6月期(6%)から改善した。米政府の制裁を受けてスマートフォン関連は厳しい状況が続く一方、高速通信規格「5G」やクラウドなどの関連サービスが伸びた。
(2)「ファーウェイは四半期別の売上高を自ら開示していない。7~9月期は前年同期比6.5%増となった計算で、2四半期連続で前年実績を上回った。スマホなどの端末事業は、米政府による輸出規制を受け、高性能半導体の調達が厳しく制限された影響で低迷が続く。ただ電気自動車(EV)向け部品などは伸びたもよう。通信会社や法人向けの事業は堅調で、5Gの活用では様々な産業で5000件以上のプロジェクトを進めたほか、クラウドサービスも中国内外で受注を伸ばした」
ファーウェイは、秘密主義を貫いている。弱みを掴まれないように、強気姿勢を見せているが、米国からの制裁によって屋台骨が狂うほどの影響を受けている。中国のIT企業は、根本部分で米国に依存していることを改めて示している。
(3)「徐直軍(エリック・シュー)副会長兼輪番会長は、同日の発表文で「全体的な経営成績は予定通りだ。端末事業は下げ止まりつつあり、ICT(情報通信技術)インフラ事業は安定した成長を保った」と説明した。ファーウェイを巡っては、米政府が安全保障上の懸念を理由に19年から段階的に輸出規制などの制裁を強めてきた。ファーウェイは制裁の影響を大きく受けたスマホ事業の落ち込みを補うため、デジタル化や「脱炭素」関連のサービス、EVの」部品やシステムなどに注力している。米政府は、同社を含む中国のハイテク関連企業に対する厳しい姿勢を変えていない。ファーウェイにとっては、今後も先行きを楽観できない状況が続くとみられる」
ファーウェイは、19年に米国から制裁を受けた当時、必ずはね返すと豪語していた。基礎技術を持たない中国が、基本特許のすべてを握る米国へ太刀打ちできるはずがないのだ。習近平氏にも、こういう基本認識が欠けている。