中国共産党大会が終了した。最高指導部を指す政治局常務委員には、習氏を筆頭に7人が選出。習氏側近が大多数を占めた。改革派は姿を消したので、中国経済の先行きはさらに危なくなってきた。統制経済色を強めて、生産性の低下は免れぬ状況になろう。経済は、習氏の管轄下に入るので、厖大な不動産バブルが残した債務の処理をどう行なうのか。気懸りな点が、余りにも多いい布陣である。
『日本経済新聞 電子版』(10月23日付)は、「習近平氏、3期目指導部が発足 首相候補に李強氏」と題する記事を掲載した。
(1)「最高指導部を指す政治局常務委員には習氏を筆頭に7人が選出。習氏側近が大多数を占めた。習氏と距離があるとされる胡春華(フー・チュンホア)氏は常務委員に選ばれなかった。党の上位24人である政治局員にも選出されておらず、降格した形となった。最高指導部に選出されたのは習氏のほか、李強氏、趙楽際(ジャオ・ルォージー)氏、王滬寧(ワン・フーニン)、蔡奇氏、丁薛祥氏、李希氏。習氏は党序列1位で、引き続き国家主席を務める見通し」
習氏は、側近を集めて最高指導部を構成する。改革派は、排除された格好である。習氏は、改革よりも統制を好んでおり、中国経済の失速が目立つようになろう。習氏の目的は、いかに自己の権力を守るかに焦点を合わせている。イエスマンを集めて、台湾侵攻策を練るに違いない。
民族主義者の王滬寧(ワン・フーニン)氏が残留する。習氏に、「米国衰退・中国発展」を吹き込んでいる人物として有名だ。戦時中の日本に喩えれば、「大川周明」といった役どころである。こういう「神がかった人物」を側近に据えるのは危険過ぎる。台湾侵攻を焚きつけるに違いない。
(2)「李強氏は現在、上海市トップを務める。今回、党の序列2位となったことで、李克強(リー・クォーチャン)首相の後任候補に決まった。李強氏は2023年3月に開かれる全国人民代表大会(全人代、中国の国会に相当)の手続きを経て、首相に就任する見通し。李強氏は上海市の都市封鎖(ロックダウン)を巡り中国内で批判を浴びたが、習氏が側近である李強氏の起用に強い意向をもっていたとされる」
李強氏は、習氏の元部下である。「子分」を首相に据えて、習氏はやりたい放題の体制を整えた。「自沈型」内閣になろう。経済政策も習氏好みの統制色を強める前兆である。
(3)「国務委員兼外相を務める王毅(ワン・イー)氏が、序列24位以内の政治局員に選ばれた。王氏は退任が決まった楊潔篪(ヤン・ジエチー)党政治局員の後任として、中国外交を取り仕切る党中央外事工作委員会弁公室の主任に就任する可能性が高い。王氏は今月で69歳になる。党大会時に68歳の党幹部は引退する年齢制限の慣例を破って、党序列200位以内の中央委員から24位以内の政治局員に昇格した」
王毅(ワン・イー)氏は外交トップに座る。「戦狼外交」の旗手であっただけに、今後も摩擦型外交は継続すると見られる。西側諸国との摩擦解消とは反対の方向へ行くであろう。
『日本経済新聞 電子版』(10月23日付)は、「経済も習氏直轄、側近の李氏・何氏が運営へ」と題する記事を掲載した。
経済政策を担う首相に側近の李強氏が就く見通しとなったほか、金融部門の責任者も旧知の部下を登用するとみられる。改革派官僚が軒並み政策運営の第一線から去り、経済の統制色がいっそう強まるとの懸念が高まっている。
(4)「中国は国家主席が政治と外交、首相が経済をそれぞれ担い、役割を分担してきた。李強(リー・チャン)氏は共産党の序列2位となり、現首相の李克強氏の後任になる公算が大きい。李強氏は浙江省トップだった習氏を支えてきた側近だけに、習氏の意向をくみながら経済政策を運営していくと見るのが自然だ。金融行政のトップも、習氏に近い何立峰・国家発展改革委員会主任が就くとの見方が出ている。何氏は今回、序列24位以内の政治局員に選ばれた。2023年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で退任する方向の劉鶴副首相を引き継ぎ、国務院(政府)金融安定発展委員会を取り仕切るとみられる」
何氏は広東省出身で、アモイ大学卒業の経済学博士。習氏が副市長として福建省アモイ市に赴任していた頃、習氏と仕事の合間にバスケットボールを楽しんだと言われる。赴任当初、福建になじめなかった習氏と親しく交流し、習氏の信頼を得たという。党高官の執務室が集まる中南海に長く勤務した関係者は、何氏について「習氏が心を許せる『弟分』のような存在」と評している。『日本経済新聞 電子版』(10月7日付)が報じた。
何氏は、マルクス経済学の博士号であろう。現実の経済政策立案において、役立たずは確実だ。不動産バブル後遺症が、マルクス経済学で解決できるとは思えない。




