韓国輸出の2割は、半導体が占めている。世界の半導体市況は今、大きな調整期を迎えており、来年はマイナス4%という予測が出て来た。韓国の半導体輸出には、それだけ衝撃を受けることになる。韓国経済は、急速な金利引上げによる摩擦が増えているだけに、もう一つ厄介な荷物を抱えることになった。
『ハンギョレ新聞』(12月1日付)は、「世界の半導体市場、来年4%マイナス成長の見通し サムスン・SKは困惑」と題する記事を掲載した。
来年、世界の半導体市場がマイナス成長になるとの見方が随所から出ている。特に韓国企業の主力商品であるメモリー半導体が大きな打撃を受けると予想され、サムスン電子やSKハイニックスの実績にも悪影響が避けられないとみられる。
(1)「世界半導体市場統計(WSTS)は11月29日(現地時間)、来年の世界の半導体市場規模が今年より4.1%減少した5565億ドルにとどまると見通した。昨年は26.2%の高成長をみせたが、今年は4.4%に鈍化し、来年は反対に萎縮するだろうという話だ。地域別では、米国、欧州、日本、アジア太平洋地域など世界各地域のうち、依然として新型コロナ大流行の余波で苦しむ中国が含まれたアジア太平洋地域がマイナス成長(7.5%)し、市場の不振を牽引すると予想された」
「山高ければ谷深し」は、経済の常識になっている。好況の後には不況がくるという循環運動である。「景気循環論」という研究分野が成立している背景である。市場経済では不可避であるが、これを繰り返しながら経済は上昇過程を進むもの。こういうことは、頭では理解しているが、現実問題になると大慌てする。現状が、こういう事態である。
(2)「WSTSは今年8月までは、今年13.9%、来年4.6%の成長を予想していたが、3ヶ月で展望を大幅に下方修正した。同機関はこのような結論を下した理由について「インフレと最終市場需要の減少により成長展望値を下げた」と説明した。これに伴い、2018年の半導体好況の翌年だった2019年以来、4年ぶりに半導体市場の規模が縮小する見込みとなった。米国のIT調査会社であるガートナーは28日、半導体市場が今年4.0%成長した後、来年は3.6%のマイナス成長になると予想した。台湾の国策研究機関である工業技術研究院も、来年の半導体市場が3.6%縮小するものとみている」
来年の半導体市場が、マイナス4%で済むかどうかだ。これまでの「大好況」で設備投資が猛烈に行なわれている。新規設備が稼働すれば、市況はさらに下落するはずだ。ただ、急落すればするほど、減産が進むので回復時期を早めるという効果がある。悲観は楽観への近道である。
(3)「ガートナーはまた、「現在、半導体市場はスマートフォン・パソコンなどで構成された消費者主導の市場と、企業主導の市場の間で両極化している」と説明した。消費者主導の市場は40年ぶりの最悪のインフレと金利上昇といった要因により、可処分所得が減り、人々が旅行・レジャーなどをスマートフォンやパソコンのような技術製品より優先視しているため、停滞が予想される。企業主導の市場は、経済鈍化と地政学的緊張にもかかわらず企業のインフラ強化や事業拡張計画、デジタル化戦略などに支えられ相対的には良好だとガートナーは分析した」
企業主導の半導体市場は相対的に良好としているが、IT関連企業は大掛かりな人員整理を進めているほどで楽観できない。非メモリー半導体市況が崩れると、半導体の停滞は長期化することになろう。
(4)「半導体業界の業況不振は、サムスン電子やSKハイニックスといった韓国企業がシェア1・2位を占めるメモリー半導体に集中するとみられる。WSTSとガートナーは、来年のメモリー半導体市場がそれぞれ17.0%、16.2%のマイナス成長を示すとみた。メモリー半導体はすでに価格が下がっている。台湾の市場調査会社トレンドフォースによると、今年第3四半期(7~9月)のDRAMとNAND型フラッシュの平均価格は前期比でそれぞれ15%、28%下落した」
サムスンは、これまで強気経営で乗り切ってきた。今回も簡単に戦線縮小せずに進むと見られる。ただ、台湾のTSMCは抜群の財務内容だけに、この両社の競争が見ものであろう。
(5)「ブルームバーグ通信は先月、「サムスン電子とマイクロンの半導体需要に対する警告が出たことを受け、アナリストらは2008年以降、最も速いスピードで業績展望値を下方修正せざるを得なくなった」とし、「循環的な低迷を超え、(先端技術産業をめぐる)米中間の緊張関係も半導体業界の苦悩を加重している」と伝えた」
米中対立で、米国が中国への半導体輸出を規制している。これまでは、中国市場が輸出先の「逃げ場」であったが、これからはそれが消えかかってきた。世界の半導体市況には、こういった中国要因を計算に入れなければならない。つまり、半導体市況回復には時間がかかるということだ。




