勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2023年01月

    テイカカズラ
       

    中国の習近平国家主席は、22年12月にサウジアラビアを訪問して「習近平外交」を行なったが、肝心の点で大きな見誤りを冒した。中国が、サウジアラビアからの原油決済で人民元建を提案し断られたのである。さらに、サウジアラビアとの共同声明で、イランの核開発に対する反対を具体的に明記するなど、イランを刺激したことだ。「習外交」が、アラブで成果を上げなかったことは確実。中国の国際感覚の鈍さを示したのである。

     

    『朝鮮日報』(12月31日付)は、「空振りに終わった『人民元建て原油決済』と題するコラムを掲載した。筆者は、崔有植(チェ・ユシク)朝鮮日報東北アジア研究所長である。

     

    2022年12月上旬、サウジアラビアで開かれた中国・アラブ諸国首脳会議の基調演説で、中東産原油・天然ガスの輸入を大幅に増やす計画を表明し、「人民元建ての原油決済を推進する」と述べました。米ドル覇権の基盤であるドル建ての石油売買代金に挑戦状を突きつけた格好です。世界中のメディアがこの発言を大きく取り上げました。会議が終わってみると、中国の公式メディアはこの問題への言及をあえて避けるムードです。習主席のサウジアラビア訪問についてまとめた新華社の報道は異例の簡潔さで、人民元決済問題には一切言及しませんでした。

     

    (1)「中国外務省のウェブサイトに掲載された中国・アラブ諸国首脳会議の共同声明からその理由が分かりました。共同声明には18項目の合意事項を盛り込みましたが、人民元建ての原油決済に関する内容はありませんでした。力強く人民元建ての原油決済を提案したものの、見事に断られた格好です。習主席は今回のサウジ訪問にかなり力を入れました。米国とサウジ間の関係がぎくしゃくするすきを狙い、中東地域に影響力を拡大するためでした。中国は今回の訪問中にサウジと総額500億ドル規模に達する投資協定を結びました」

     

    中国は世界第2位の経済大国だが、国際決済通貨として使われる人民元の割合は2.37%で、世界5位(2022年11月現在)に過ぎない。日本は4位だ。サウジアラビアが、世界の基軸通貨の米ドルを捨てて、ローカルカレンシーの人民元に乗り換えるはずがない。ここら当たりに、中国の外交的な錯覚が見られる。

     

    (2)「中国はさらに、伝統的な友好国であるイランまで犠牲にしました。共同声明はイランの核開発に対する反対を具体的に明記し、イランとアラブ首長国連邦による3つの島をめぐる領土紛争の平和的解決も強調しましたが、いずれもイランにとって敏感な内容でした。立腹したイランが中国の駐イラン大使を召喚して抗議する事態に発展しました」

     

    イランは、ロシアへウクライナ侵攻で支援している国だ。イランは、中ロ枢軸に連なる「身内」になる。中国は、サウジに人民元取引で背を向けられ、身内のイランまで怒らせた。習近平外交は、さんざんな結果に終わったのだ。

     

    (3)「中国がここまで人民元建て原油決済にこだわるのは、国際決済通貨として人民元が一段階飛躍するきっかけになるからです。サウジアラビアは中国の最大の原油輸入先です。サウジアラビアの石油輸出の27%、化学製品の輸出の25%を中国が占めています。中国はウクライナ戦争以降、ロシアから輸入する原油は人民元で決済しています。国際社会の対ロシア制裁に乗じて人民元の活用範囲を広げたのです。ロシアは、中国にとってサウジアラビアに次ぐ2位の原油輸入先です。これに1位のサウジアラビアが加われば、人民元の国際化に弾みがつくことになるでしょう」

     

    米中デカップリングが進む中で、世界は中ロ枢軸と一線が引かれ始めている。中立的立場の発展途上国は、米中対立が西側諸国vs中ロ枢軸となって置き換わって来たことに注目している。このように地政学の世界地図は、塗り変わっていることに気づくべきだろう。発展途上国は、本能的に戦争を忌避している。戦争によって、食糧などの基礎物資が不足し高騰するからだ。この痛ましいまでの現実を忘れて、「戦争」に明け暮れていたのでは世界で孤立する運命だろう。

     

    (4)「サウジアラビアが中国の提案を断ったのは、当然に思えます。中東の地政学的状況を見れば、サウジが米国に背を向けることは不可能です。イスラム教スンニ派の王政国家サウジは、シーア派の盟主であるイランとは犬猿の仲です。石油の人民元建て決済が持つ国際政治上の意味をサウジが知らないはずはないでしょう。中国との経済協力も重要ですが、ともすれば中東地域の安保体制を揺るがしかねない冒険をする理由はないでしょう。米国はサウジアラビアをはじめ、今回の首脳会議に出席した湾岸協力会議(GCC)6カ国(サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、オマーン)にとって心強い安全保障の後ろ盾です」

     

    米国は現在、人権問題でサウジとギクシャクしている関係にある。だが、そのサウジに米軍が駐留していることを忘れてはならない。安全保障を米国に依存しながら、米国の対立国と手を結べる筈がないのだ。韓国文政権が、中国へなびいていても最後は米韓同盟の原点へ引き戻されることと事情は同じだ。

     

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    中国国家統計局が、12月31日発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.0。11月の48.0から1ポイントもの低下だ。好不況の節目である50を3カ月連続で下回り、製造業停滞が深刻であることを示した。新型コロナウイルス流行初期の2020年2月以来の低水準を記録したのだ。

     

    12月初めにゼロコロナ政策が大幅に緩和された後、逆に感染が急拡大しており、製造業の停滞を招いている。アナリストは、感染急増による一時的な人手不足やサプライチェーンの混乱が今後数カ月、経済活動の足かせとなる可能性があると指摘する。『ロイター』(12月31日付)が報じた。

     

    『ロイター』(12月31日付)は、「中国製造業PMI 12月は47に悪化 コロナ禍初期以来の低水準」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「金利上昇やインフレ、ウクライナ戦争を受けた世界的な景気後退懸念による外需の減退で中国の輸出がさらに減速し、製造業が打撃を受けて景気回復を妨げる恐れがある。サプライチェーンのコンサルティング会社タイダルウェーブ・ソルーションズのパートナー、キャメロン・ジョンソン氏は、「自分が知る工場の大半は、23年の受注が例年を大きく下回っている。多くは50%程度にとどまり、20%を下回っている工場もある」と述べた。「たとえ中国が経済活動を再開させても、世界経済が減速しているので製造業は低迷が続くとみられる。働き手がいても注文がない状態が予想される」と指摘した」

     

    製造業のPMIには、輸出動向が大きな影響を与える。米国経済が、インフレ抑制で高金利時代に入っているので、23年の世界経済は2%成長割れが危惧されているほどだ。これは当然、中国経済に響いてくる。さらに、一足飛びの「ウイズコロナ」による国内経済の混乱が加わる。明るい話はない。

     

    (2)「国家統計局によると、12月調査は感染拡大で大きな影響を受けたと回答した製造業企業が56.3%となった。11月から15.5%ポイント上昇した。ただ大半が、状況が徐々に改善すると予想したという。国泰君安国際のチーフエコノミストは「(製造業PMIは)予想を下回ったが、ここ1カ月、コロナを巡る状況が不透明だったことを考えると、アナリストが妥当な予測を立てるのは難しい」とした上で、「中国経済は最悪期を過ぎ、力強い回復局面が訪れるというのはわれわれの見方だ」と述べた」

     

    ここでは、楽観的な見通しが紹介されている。冷静に考えれば急回復などあり得るはずがない。いわゆる「リベンジ消費」よりも、ローン返済を優先させる家計が増えている。問題の、コロナ感染のピークは、春節(旧正月)に関わる長期休暇中の帰郷後であろう。2023年の春節は1月22日(日)で、休み期間は1月21日(月)から1月27日(金)まで7連休になる。大都市の感染が、農村部へ持込まれる危険性は極めて高い。

     

    その場合、高齢者でワクチン接種率が低いことも影響し、大きな被害が予想されている。英医療情報会社Airfinityによれば、4月末までの累計死者は170万人に達するという。中国経済の1~3月期は、完全に沈滞の極に沈むであろう。

     

    日本経済新聞社がまとめた中国エコノミスト調査によると、中国の2023年の実質GDP伸び率の予測平均値は4.%。22年の3%から上向く予想だ。23年下期にかけて経済の持ち直しを見込むが、コロナ感染後遺症がどの程度で済むか、見当がつかないのだ。

     

    (3)「中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は27日、新型コロナウイルス流行で大きな打撃を受けた飲食業や観光業の小規模・民営企業への金融支援を強化すると表明した。サービス業の景況感を示す非製造業PMIは46.7から41.6に低下し、20年2月以来の低水準だ。製造業、非製造業を合わせた総合PMIも47.1から42.6へ低下した」

     

    非製造業PMIは、12月は41.6に低下した。11月の46.7から5.1ポイントもの急落で、20年2月以来の低水準となった。「ウイズコロナ」への切り変えに伴う混乱度合いを示している。

     

    (4)「キャピタル・エコノミクスのチーフアジアエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、「春節(旧正月)までの数週間はサービス業にとって厳しい状況が続くだろう。人々は感染を恐れて外出を控え、必要以上の支出をしたがらないとみられるからだ。しかし春節の連休明けあたりには感染が一巡して下火になり、見通しが改善するだろう」と述べた」

     

    下線のように、ここでも楽観的というか、「そうあって欲しい」という希望を述べている。だが、上記の予測では4月末までの累計死者が170万人に達するという混乱状態だ。「台風一過」ということにはなるまい。

     

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    「山高ければ谷深し」の喩え通り、メモリー半導体市況は予想を超えた急落状況を見せている。過去2年間の大好況の後は、過剰生産が祟って一転、22年後半から市況急落に見舞われている。新年上半期は、韓国半導体企業の大半が赤字に転落見通しとなった。

     

    『朝鮮日報』(12月31日付)は、「最大手サムスン電子の動向を見つめる半導体業界『減産しなければ共倒れ』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン、キオクシアなどメモリー業界大手が22年第4四半期(10~12月)にNAND型フラッシュメモリー事業で一斉に赤字を計上するとの見方が示された。世界的な消費低迷でNAND型フラッシュメモリーに続き、DRAMの収益性も悪化すれば、来年上半期にはサムスン電子を含む大半のメモリーメーカーで赤字が拡大しそうだ。メモリーは供給過剰ぎみで、第3四半期に人為的な減産はないと否定したサムスン電子が方針を転換するかどうかに市場の関心が集まっている」

     

    サムスンは、これまで他社の減産時に減産せず、市況回復時に波に乗る強気の経営戦略を取って成功してきた。今回も、過去と同じ戦略を踏襲するのか。この点が、最大注目点になっている。

     

    (2)「半導体業界と海外メディアによると、マイクロンは22年第4四半期の売上高が前年同期比で46.6%減少し、営業利益は赤字転換する見通しだという。問題は赤字幅がどれほど深刻な水準になるか不透明なことだ。一部海外メディアは過去最高の赤字を予想している。SKハイニックスも子会社のソリダイム(旧インテンNAND事業部)の損失を合算すると、赤字幅が1兆ウォンをはるかに超えると予想されている」

     

    米国の大手半導体企業マイクロンが、22年10~12月期に前年比約5割の減収で、営業赤字に転落する見通しである。半導体世界企業が、こういう状態である以上、サムスンも減産して早期の市況回復策に同調するのかどうか、だ。

     

    (3)「サムスン電子も第4四半期の実績が予想を下回る可能性が示されている。FNガイドによると、第4四半期のサムスン電子半導体部門の営業利益は2~3兆ウォン(約2070~3100億円)にとどまると予想される。 前四半期に記録した5兆1200億ウォンに比べると約半分だ。前年同期の8兆8400億ウォンと比べると3分の1にすぎない。一部には主力の半導体事業が低迷し、第4四半期の営業利益が6兆9420億ウォンにとどまるとの見方も出ている。特にNAND型フラッシュメモリー事業は、早ければ第4四半期から赤字に転落する懸念も示されている

     

    サムスン電子部門に、半導体やスマホが含まれていれば、スマホの黒字で半導体赤字を消すことは可能だ。

     

    (4)「半導体業界ではSKハイニックス、マイクロン、キオクシアなど主要メモリー企業の実績を左右する要素として、サムスン電子が第4四半期に「減産」に踏み切るかどうかを挙げている。それはライバル企業だけでなく、サムスン電子自身の業績にも影響を与えると予想される。タオル投資証券は最近のリポートで「サムスン電子の減産決定がなければ、他社だけでなくサムスン電子のメモリー事業部も23年第2四半期に赤字転落が避けられない」と予想した」

     

    サムスンが半導体減産に踏み切らなくとも、23年4~6月期の赤字は必至と見られている。

     

    (5)「証券街にはサムスン電子がライバル企業の減産入りのすきを狙い、供給量を増やしてシェアを拡大するとの見方もあった。サムスンが減産しないまま、23年下半期から需要回復が起これば、シェア拡大効果が狙えるという目的が実現する。しかし、メモリー事業部が赤字転落する事態にまで市況悪化を放置しまいというのが専門家の共通意見だ。サムスンのメモリー事業が赤字転落した場合、サムスン経営陣に対する圧力が強まるからだ

     

    時代は、すでに非メモリー半導体の時代へ移ろうとしている。サムスンは先行き、非メモリー半導体で厖大な設備投資が必要な現在、メモリー半導体で出血を増やすよりも「同調減産」して体力の温存を図る方が有利なことは間違いない。

     

    (6)「市場調査機関ガートナーによると、23年のメモリー半導体(DRAM、NAND型フラッシュメモリー)の市場規模は1336億ドルで、22年(1593億ドル)に比べ16.1%のマイナス成長が見込まれる。また、別の市場調査機関WSTSは、23年のメモリー半導体の成長率をマイナス17.0%と予想し、半導体市場全体(マイナス4.1%)はるかに上回る減速を予想した。台湾の市場調査会社トレンドフォースは「四半期ベースの下落幅は2008年の世界的金融危機当時に次ぐ過去2番目だ」と指摘」

     

    世界的な高金利時代を考えれば、メモリー半導体市況が2008年のリーマンショック時に次ぐ市況急落になっても当然であろう。こうした、客観情勢によってサムスンが「同調減産」しても不思議はない。

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    ロシアと中国の両首脳が、思わせぶりなオンライン会談を行なった。ロシア国営メディアによると、プーチン氏は「ロシアと中国の軍隊の交流強化を目指す」と話し、軍事協力の強化を示唆したのだ。習氏が、今春のモスクワへの公式訪問することになった。

     

    こうした動きに、米国は神経を払っている。米国務省の報道官は12月30日、米国はロシアと中国の連携を懸念していると述べた。「中国政府は中立性を主張しているが、その行動からロシアとの緊密な関係になお投資していることは明らかだ」と指摘。米政府は「中国政府の活動を注意深く監視している」としたのである。『ロイター』(12月30日付)が報じた。

     

    中国は2013年にウクライナと友好協力条約を結んでいる。これによると、ウクライナが核によって脅かされれば、中国が支援する取り決めである。中国が現在、行なっているロシアとの親密化は、この友好協力条約に反するもの。中国・ウクライナの友好条約が、今回のウクライナ侵攻でどのような役割を果たすのか、議論されるべきであろう。

     

    『大紀元』(12月27日付)は、「中国、『友好』に限界があることをまたもや証明」と題する記事を掲載した。

     

    中国はかつて、ウクライナと国際連合に対し、ウクライナに対して核兵器を使用したり、使用する恐れがある国に対して行動を取ることを約束した。 しかし、中国とロシアの協力はその約束に反しており、中国共産党が行った他の国際公約にも疑問を投げかけるものである。

     

    (1)「ウクライナは旧ソ連邦の共和国で、1991年のソ連邦崩壊後の1994年に核兵器をロシアに譲渡することに同意し、核兵器を保有していない。ウクライナの核軍縮の直後、中国は国連総会での声明でウクライナの安全を保障した。その中で、「紛争や相違は対等な立場で協議して平和的に解決されるべきである」と明記し、ウクライナの主権、独立、領土の保全を認め、2001年と2013年にその約束を改めて確認している」

     

    ウクライナは、ロシアへ核兵器を譲渡する際に、中国は国連でウクライナの安全を保障した。これは、中国がウクライナへ経済的権益を確保したいという目的もある。現に、中国企業がウクライナで広大な農地の耕作権を獲得している。

     

    (2)「2022年2月にロシアの無謀な侵攻に端を発したウクライナ戦争は「人類に警鐘を鳴らした」と、中国共産党総書記の習近平は2022年6月に述べている。 中国の王毅外相は2022年11月中旬、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談し、核兵器を使用しないというロシア政府の誓約を支持した。しかし、ロシアは戦争で核兵器を使うという脅迫を繰り返しているにもかかわらず、中国はウクライナに寄り添うという誓いを破り、あらゆるレベルでロシアとの関係を強化してきた」

     

    中国は、ウクライナからスクラップ名義で空母を購入している。こういう浅からぬ縁から言えば、今回のロシアによるウクライナ侵攻では、友好条約の手前から仲裁に立つべき道義的な義務があろう。それにも関わらず、ロシア側へ傾斜しているのだ。

     

    (3)「条約の翻訳は様々だ。『ザ・ディプロマット誌』によると、「中国は、核のないウクライナに対して核兵器を使用しない、または使用すると脅さないことを無条件に誓約し、さらに中国は、ウクライナが核兵器を含む侵略に遭遇した場合、またはウクライナが核侵略の脅威にさらされた場合、ウクライナに核安全保障を提供することを誓約する」と記されているという。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2022年10月初旬を含め、侵攻以来、複数回、核兵器使用の可能性を提起したと、戦略国際問題研究所は報告している」

     

    プーチン氏が、ウクライナへ核投下を臭わす発言をした際に、中国はウクライナとの友好条約の立場から、これを止める義務があるだろう。

     

    (4)「中国とロシアは、正式な軍事同盟を結んでいないにもかかわらず、侵攻以来、軍事的な協力関係を強めている。 両国が行ってきた合同訓練は、西側諸国との緊張関係に直面する中で、協力関係を示そうとするものだ。9月、中国政府はロシアで1週間にわたって行われた「ボストーク2022」演習に2000人以上の要員、300台の車両、21機の戦闘機、3隻の軍艦を派遣したと米国海軍研究所は報告している。2022年11月下旬には、核搭載可能なロシアのTu-95爆撃機と中国のH-6K爆撃機の4機体制で、日本海と東シナ海を8時間かけて飛行したとAP通信は報じている。 長距離戦略爆撃機は、両国の空軍基地に立ち寄った」

     

    中国は、台湾侵攻に向けた準備に余念がない。ロシアからウクライナ侵攻の軍事情報を得たいという思惑からか、ウクライナ友好条約を忘れたような振る舞いをしている。中国はウクライナ侵攻から多くの教訓が得るべきだ。ロシアが経済制裁を受けていることと、ウクライナが西側諸国から軍事支援を受けていることだ。

     

    (5)「米インド太平洋軍によると、中国はウクライナに対して法的義務を負っているにもかかわらず、国連の対応を妨害し、合同軍事訓練に加えてロシアとの経済関係を進展させてきたという。 こうした行動や不作為は、ウクライナや国連に対する中国の法的約束に違反し、国際法を無視し、国連の権威を弱め、国際ルールに基づく秩序を侵し、ロシアのさらなる侵略を助長するものだ」

     

    このパラグラフの指摘は正しい。中国が、真に西側諸国から信頼される国となるには、法的な義務を果たすことだ。これに、尽きるであろう。

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