勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2023年01月

    あじさいのたまご
       

    中国文化という土壌は、毛沢東や習近平氏のように度を超した独裁者が出てくる危険性を秘めている。中国4000年の歴史で、独裁体制を維持させている裏には、市民社会という根っ子のないことが悲劇の出発点であろう。だが、今や大学教育を受けた人間が、毎年1000万人以上も卒業する社会になった。「習近平独裁」が、いつまで続けられるか、だ。

     

    『日本経済新聞』(1月26日付)は、「習氏一極、中国にもたらす災禍」と題する寄稿を掲載した。筆者は、米ユーラシア・グループ社長で国際政治学者のイアン・ブレマー氏である。

     

    中国の習近平国家主席は、2022年10月の第20回共産党大会を経て、与党・共産党、ひいては国全体への支配を強め、毛沢東以来で最も強力な指導者となった。習氏が集権化に向けて動き出した10年前に比べ、内部の抵抗はさらに弱まった。その結果、10億人を超える国民の生活を左右することも可能になり、絶大な権限を手中にした」

     

    (1)「世界経済の安定と地政学的な権力均衡への中国の重要性は毛沢東時代より格段に高い。習氏への権力集中は世界共通の問題だ。習氏が最近下した決定をいくつか振り返ってみたい。外国製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの輸入を拒否し、14億人の国民は新型コロナウイルスに著しく感染しやすくなっている。死者数は欧米諸国の数分の1にとどまっているが、経済的にも社会的にも大きな代償の上に成り立っているだけに、この成功が続かないと懸念する根拠は十分にある。中国製ワクチンすら接種が進まず、数百万人が重症化や最悪のケースに至るリスクがある」

     

    習氏が、欧米のmRNAを拒否したのは、中国製ワクチンが欧米製よりも優れていると宣言した手前、自らの権威に傷がつくというメンツ論であった。個人の思惑が先行して、多くの人々を犠牲にした。

     

    (2)「習氏の支配欲は他の面でも大きな痛手をもたらす。国内の情報の流れに民間テック企業が影響力を持ちすぎているという危惧からか、これら企業を取り締まった。その結果、画期的なデジタル技術の構築力が損なわれ、国際的に投資家の信認も揺らいだ。中国の民間部門で最も効率的なセクターの一つで時価総額数兆ドルが消えた」

     

    ITなどテック企業を抑制したのは、政敵である江沢民一派がテック企業の株主に潜り込み莫大な利益を得ることで、反習近平運動を始めないように先手を打ったことだ。「無軌道な資本の膨張抑止」は、後からとってつけた理由である。

     

    (3)「外交面では、ロシアによるウクライナ侵攻開始のわずか3週間前に、習氏は中国とロシアの友好関係には「制限がない」と宣言した。欧米では習氏がプーチン大統領と同じく国際秩序の再構築を狙っているとの懸念が高まった。習氏は国内の官僚から助言を受けただろうが、同氏の強権主義的な性格、政治的、経済的支配の強化への欲求、強硬な外交姿勢が優先された。しかもこれは、習氏が昨年10月に最高指導部の政治局常務委員に側近を引き上げ、毛沢東後に続いていた常務委員会の総意による統治体制を捨てる前のことだ」

     

    習氏は、プーチン氏と手を携えて自らの超長期政権を目指している。個人的にも、プーチン氏という存在が必要である。ただ、プーチン氏に失脚という事態が起こった時、習氏への逆風になることを覚悟する必要があろう。その意味で、プーチン氏との密着は習氏にとってリスクを増すであろう。

     

    (4)「習氏への権力集中に伴う問題は23年に大きくなるはずだ。まず、慎重な準備もなくゼロコロナ政策を全面解除した結果、中国で100万人以上の死者が出る懸念が浮上している。ワクチン接種率が低い高齢者は、特に感染しやすい。混乱が生じても、政府は外国や国民からひた隠しにするだろう。これほどの方針転換は"皇帝"習氏しかできない。致死率の高い変異型に対しても習氏は中国全土、国境をまたぐ感染の急拡大を容認するのではないか。突然、検査の規模が大幅に縮小され、変異型を検出する力は弱まるはずだ。医療機関は重症患者を受け入れ始めているが、準備状況は危うい。19年末にコロナが発生した経緯から見て、中国が必要な情報を共有するのかは怪しい」

     

    習氏の政策は、予見不可能になってきた。物事が、氏の思いつきで変わるリスクが高まっているからだ。これは、国民にとって常にブレーキを踏みながら進むという行動パターンを強いることになる。下線部のコロナ検査の大幅縮小によって、変異株を検出する力が弱まれば、新たな感染拡大につながる。

     

    (5)「現在、文化大革命や大躍進政策の兆しはない。習氏が過激な政策を導入しようとしても、都市部の教育水準の高い中間層が同氏への数少ない抑止力の一つになる。だが、習氏は既に中国と国民に多大な犠牲を強いている。23年はいっそう犠牲が膨らむだろう」

     

    都市部に大学卒業生が増えている。ただ、就職難で中間層を形成できず、一部は「寝そべり族」という無為・無抵抗の層になっている。この層が、社会変革という大きなうねりが起これば、立ち上がる可能性もあろう。

     

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    ドイツは、ようやくウクライナへの主力戦車の供与問題で決着をつけた。ロシアとの全面衝突を避けるために供与に慎重だったが、国内外の批判を受けて外堀が埋まった結果だ。隣国ポーランドのモラウィエツキ首相は、「他国と連携して戦車をウクライナに送る」とドイツに主力戦車「レオパルト2」の供与を認めるよう圧力をかけ続けた。ポーランドは、かつてドイツの侵攻を受けた歴史を持つ。そのポーランドが、ドイツの背中を押してウクライナへの提供を決めさせた。複雑な第二次世界大戦への感情があったのだ。

     

    ウクライナが、ドイツ製戦車「レオパルト2」の提供を求め続けたのは、軽量であることと高い信頼性にあるという。ドイツ機械工業の結晶である。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(1月24日付)は、「ドイツ製戦車が最適、ウクライナが欲する理由」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナ軍は、ロシア軍から領土を奪還しようしており、作戦上、最新鋭戦車は必須とみられている。そのロシアは新たな攻勢に向けて15万人の兵士を動員した。ロシア側は兵員の装備や武器を更新すべく、同国の国防産業は戦時体制を取っている。双方にとって次の6カ月が非常に重要になる。

     

    (1)「米国の「エイブラムス」、英国の「チャレンジャー2」、ドイツの「レオパルト2」といった西側の戦車は、ウクライナ軍がロシア軍の防衛線を突破し、軍事的主導権を握るための火力をもたらす。ロシア軍が今後、再攻勢に出た場合にウクライナの防衛線を守るうえでも必要だ。領土を奪還するための歩兵部隊と火砲による機動作戦において、戦車は決定的な要素だ。加えて、西側の戦車はロシアの戦車に対して優位となる。装甲の防護力、砲撃の精度、夜間作戦などを可能にする操縦・誘導システムなどが優れている」

     

    ウクライナ軍にとって、ドイツの「レオパルト2」を不可欠としている。軽量であることから、ウクライナの橋梁を補強しなくても通過できるというメリットがあるのだ。ドイツが、欧州13ヶ国が保有する「レオパルト2」のウクライナでの使用を認めたので、ウクライナ軍にとっては大きな戦力補強になる。

     

    (2)「専門家によると、ドイツのレオパルト2は性能面で米国のエイブラムス、英国のチャレンジャー2と似通っているが、いくつか利点がある。エイブラムスより軽量で、ガスタービンエンジンの同戦車より燃料補給が簡単だ。信頼性の点でチャレンジャー2に勝るともみられている。だが決定的な利点は、手に入れやすいことだ。英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)によると、レオパルト2は欧州13カ国の軍が合計約2000両を運用している。そのうちどれだけがすぐに実戦投入できるか、改修が必要な車両はどれだけなのかは不明だ。だが、ウクライナにとっては豊富な供給源になりうる。交換部品や整備の要員もそれだけ得られやすい」

     

    レオパルト2は、欧州13カ国の軍が、合計約2000両も運用している。そのうちどれだけがウクライナへ提供されるか不明だが、ウクライナにとっては豊富な供給源になりうる。

     

    (3)「ウクライナ軍は、旧ソ連時代の戦車を持っていた。だが、ウクライナを支援する国々の間では、旧ソ連時代の戦車の砲弾や交換部品がごく限られる。したがって火砲と同様、ウクライナは西側の標準装備の戦車に転換する必要があり、さもないと砲弾や砲身などの交換部品が尽きる恐れがある。これがレオパルト2のもう1つの利点だ。配備数が多い同戦車をウクライナ軍が使えるようになれば、修理や交換部品、砲弾が一本化され、後方支援が簡素化する」

     

    欧州で保有されているレオパルト2が、ウクライナ軍へ提供されれば、砲弾や砲身などの部品交換が簡単に行えるというメリットが出てくる。

     

    (4)「米国は、エイブラムスを供与しないとしている。ウクライナには保守整備が困難であることに加え、欧州内に適切な選択肢、つまりレオパルト2が多数あることが理由だ。ドイツ政府は、北大西洋条約機構(NATO)を引き込むことにつながるような紛争の激化につながるとロシアに認識される恐れがあることから、レオパルト2の提供をためらっている(注:その後に承認)」

     

    ドイツがためらった理由は、第二次世界大戦中にドイツ軍戦車とソ連軍戦車が激突した光景が再現することを恐れているという。ドイツは、当時の最新鋭戦車を相次ぎ投入したものの、物量で勝るソ連軍に圧倒された経緯がある。それだけでなく、戦闘中に多くの住民や捕虜を虐殺し、占領地を経済的に収奪した。こうしたことが、ドイツ史の汚点として刻まれている。ドイツのこうした古傷が、レオパルト2の提供でうずくというのである。同じ敗戦国の日本も、このドイツの気持ちが理解できるであろう。

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    23年の中国経済は、過去3年のゼロコロナで萎縮仕切った消費者心理が、どこまで回復するかに掛かっている。中国人口が昨年、減少過程へ入ったことも圧迫要因だろう。年金財政への懸念も出てきた。不動産バブル時代とは違って、気を引締めているのだ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(1月25日付)は、「中国家計、貯蓄拡大でも『リベンジ消費』に慎重」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の家計の預金残高が、2022年に2兆6000億ドル(約340兆円)増加し、過去最大の伸びとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策によって個人消費が落ち込んだことが影響した。中国政府がゼロコロナ政策を終了したことで消費者が財布のひもを緩め、抑圧されていた需要が急激に高まるとの期待もある。だが、世界は中国の消費意欲を正しく評価できていないとの指摘もある。一部のアナリストは、中国政府が急速な需要回復を図る消費喚起策をとっているにもかかわらず、消費に回る預金は2000億ドル程度だろうと予想する」

     

    中国の家計の預金残高は、2022年に2兆6000億ドルも増加したが、消費に回る預金は2000億ドル程度だろうという。これでは、「リベンジ消費」とはほど遠い話だ。過去3年間、ゼロコロナで痛めつけられてきた。その後遺症を無視できないのだ。

     

    (2)「中国人民銀行(中央銀行)の統計によると、全国の家計における人民元建ての預金残高は22年に17兆8000億元(約340兆円)増加し、21年の9兆9000億元を大きく上回る過去最大の伸び幅となった。国有投資銀行の中国国際金融(CICC)の林英奇氏は、8兆元という名目上の貯蓄「超過」の約半分は、慎重な家計がリスクの高い投資から手を引き、パフォーマンスのさえない投資信託などから現金を引き出して銀行預金に移した結果だと解説する。また、貯蓄「超過」ではなく収入の自然増による分が1兆元、長期預金として固定されている分が1兆5000億元あるという。そのため、需要が抑えられた反動による「リベンジ消費」に使われ得るのは残りの約1兆5000億元しかないことになる」

     

    人民元建ての預金残高は22年に、前年より8兆元増えている。この「超過」分の約半分は、投資信託などから現金を引き出し銀行預金に移し替えた結果と指摘される。純然たる貯蓄増でなく、実態を見間違えてはならない。需要が、抑えられた反動による「リベンジ消費」に使われ得るのは、約1兆5000億元しかないというのだ。

     

    (3)「中国の粤開証券のチーフエコノミスト、羅志恒氏も同様に、貯蓄超過のうち23年に個人消費に回るのは約1兆5000億元だと予測する。これは中国における年間の小売売上高の3%に相当するにすぎない。羅氏は「経済の先行きがまだ不透明であるため、人々は貯蓄意識が高い」との見方を示す。こうした慎重姿勢は、この3年間で家計が受けたマイナスの影響の直接的な結果だ。ゼロコロナ政策で収入の伸びや投資収益が抑えられたうえ、不動産部門のレバレッジや投機に対する引き締めが住宅価格を直撃し、中国の一般家庭では不動産にひも付けられた資産に対する懸念が高まった」

     

    別の予測でも、貯蓄のうち23年に個人消費に回るのは、約1兆5000億元だとする。これは、中国における年間の小売売上高の3%に相当するにすぎない。中国の一般家庭では、不動産が総資産の約7割を占めている。この不動産相場が下落すれば、消費者マインドは萎縮する。

     

    (4)「経済成長を加速路線に急いで戻すために、中国の政策立案者は消費の拡大を優先課題に掲げている。中国人民銀行の党委書記、郭樹清氏は最近、「経済回復の要点は、現在の総所得をできる限り多く消費や投資に振り向けさせることだ」と中国共産党の機関紙、人民日報に語った。また、金融政策を活用してコロナ禍で影響を受けた国民の所得を増やすと宣言した。だがアナリストらは、長引く経済的な先行き不安を目の前にした消費者が、予備的な貯蓄としてバッファー(緩衝材)となる現金を保持し続ければ、コロナ禍の影響は今後何年間も消えないだろうと指摘する」

     

    当局は、消費の拡大を優先課題に掲げている。だが、消費者を取り巻く状況は暗いものばかりだ。今後、中国が台湾侵攻を行なうムードが高まれば、警戒感が一段と高まるであろう。

     

    (5)「消費マインドが回復しない限り、中国の一般家庭の多くは貯蓄に手をつけるのをためらうだろう。深圳で働く30代の出稼ぎ労働者によれば、同僚の出稼ぎ労働者の多くは、通常は1週間のところ1カ月もの春節休暇を与えられた。それも無給だという。「我々の多くは皆、あるのは自由だけでお金がない。消費財に費やす余裕がないのは言わずもがなだ」とこぼす。「1人の人間でさえ、新型コロナから回復するのに何カ月もかかることがある。国全体が回復するのには数年かかるとみるべきだ」と指摘する」

     

    出稼ぎ労働者の多くが、これまでは春節休暇を1週間与えられたところ、1カ月もの長期休暇になっている。しかも、無給である。この状況では、個人消費が盛り上がるはずもない。


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    台湾侵攻で中国海軍壊滅

    米は即時対応で殲滅狙う

    習氏は制裁想定し籠城へ

     

    ロシアのプーチン大統領が、ウクライナへ侵攻した理由は「大ロシア祖国の統一」である。ウクライナは、ロシア帝国発祥の地だ。そのウクライナが、西側諸国と一体化することはロシアの歴史に対する冒涜という認識を示している。

     

    このプーチン氏の歴史認識は、中国の習近平国家主席にも通じる。台湾は、中国と不可分に関係にあり台湾「独立」は絶対に認めないという立場である。だが、ウクライナも台湾もそれぞれ主権を持っており、抽象的な歴史認識でそれを否定することは困難である。西側諸国が、ウクライナを支援していると同様に、台湾もまた西側の支援対象になっているのだ。

     

    習氏は、国家主席3期目就任に当り「台湾統一」を公約に上げた。敢えて異例の国家主席3期に就任する以上、国民に対して公約をしなければならない立場だ。それが、台湾統一であり武力を用いても行なうとしている。

     

       

    この結果、台湾侵攻計画は既定事実化された。ならば、その侵攻時期はいつかだ。米インド太平洋軍のデービッドソン前司令官は1月24日、自民党本部の会合で講演した。中国が、2027年までに台湾へ武力侵攻する。その「可能性は排除できないという認識に変わりない」と話した。27年は習近平氏が3期目の任期満了を迎える年でもある。習氏は、3期目の国家主席就任でも後継者を設けなかった。これは、習氏が4期目を目指す前兆である。

     

    習氏は4期目を目指す以上、台湾統一の実績を上げねばならない。ここから、前記のように「27年までに台湾武力統一」という日程が浮かび上がるのだ。これには、軍事的な裏づけがある。中国は2026年以降になると、本格的な水陸両用作戦を実施できる準備が整うと指摘されている。台湾海峡(最短で130キロ)を渡って、大量の兵員や武器弾薬の輸送体制が出来上がるというのである。

     

    台湾侵攻で中国海軍壊滅

    中国は、台湾侵攻と同時に尖閣諸島へも侵攻して、日米軍の戦力分散を図るであろうと予想されている。中国が、執拗なまでに尖閣諸島周辺へ大砲を積んだ艦船を出没させている狙いは、尖閣奪取が目的と見られている。中国は、尖閣諸島が台湾の一部で、中国領だと主張している。尖閣に加え、台湾からわずか約110キロの与那国島など先島諸島も、中国からの攻撃地域に含まれる恐れが出てきた。こうして、台湾有事が日本有事となる公算が強まっている。日本としては座視できない事態である。

     

    日本政府は、4年前から「台湾有事」を想定した「日米共同作戦計画」の策定に入っていた。陸海空の部隊運用や指揮統制といった作戦任務、輸送や補給など日米の役割分担をすでに詳細に定めている。作業は現在、最終段階に入っているという。『毎日新聞』(1月2日付)が報じた。事実、政府は2022年12月に決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書に自衛隊の組織体制の強化も盛り込んだ。米軍との調整を担う常設の「統合司令部」の創設も決めたのである。

     

    中国は、どのような形で台湾侵攻を始めるのか。中国は昨年8月、米下院議長ペロシ氏の訪台に抗議し4日間にわたり台湾を艦船で取り囲む形の軍事演習を行なった。台湾侵攻でも、この台湾封鎖作戦が行なわれると予想される。こうした前提を折り込みながら、米国の有名なシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が、中国の台湾侵攻に関して24通りの図上演習を行なった。それによると、中国海軍の壊滅的敗北となるが、台湾軍、米軍、自衛隊も相当な打撃を受けるとしている。

     

    CSIS報告書は、中国が台湾問題に戦争という「最も危険な解決策」でケリをつけようとするなら、中台を隔てる幅130〜180キロ程の台湾海峡を血の色に染める激戦が展開されると、警告している。これは、米英豪の軍事同盟「AUKUS」が最新鋭原子力潜水艦を投入して、中国艦船をことごとく撃沈可能という構図に基づくものだ。

     

    中国軍には近代戦を戦った経験がなく、演習と実戦では全く事情が異なるという認識がないのだ。ミサイル攻撃も演習と実戦では、標的への的中率が変わる。つまり、実戦では演習ほどの成果を上げられないのだ。習氏は、こうした実態をどこまで知っているかである。実戦経験のない中国海軍が、演習の成果を実戦成果と誤解したとき、大きな不幸が中国を襲うことになろう。(つづく)

     

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    英国BBC記者が、滞日10年で離任する際に日本の地方における保守ぶりを批判する記事を書いた。朝鮮日報はこれを転載して、「同感」の意を表している。世界で高齢社会の先頭に位置する日本が、保守的に見えるのは確かであろう。特に、地方の農村集落では過去の仕来りの中で生きているからだ。BBC記者は、そういう一面をあたかも「日本の真実」として捉えている。日本全体の動きを捉えて欲しかった。

     

    韓国は、「反日」が国是のような国であるから、「日本批判記事」に飛びついた形だ。しかし、その韓国では、市の広報映像で日本語が入っていたと言って、市が謝罪する騒ぎだ。日本で、戦前の「敵性語」の英語が入っていたことを理由に非難するのと同じ現象であろう。時代が大きく変わっていることに気づかずにいるのだろう。

     

    『朝鮮日報』(1月25日付)は、「『日本は過去にとらわれている』、10年滞在の英BBC東京特派員が冷ややかに評した理由とは」と題する記事を掲載した。

     

    日本で10年間特派員を務めた英BBC放送の記者が日本を離れるにあたり、「日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている」と評するコラムを22日に掲載した。

     

    (1)「ヘイズ記者は、「日本の経済は依然として世界第3位の規模であり、殺人事件の発生率は低く、政治的対立は少ない『平和な国』だ」としながらも、非効率的な官僚主義や深刻な高齢化、そして外国人に閉鎖的な文化などを理由に、「日本は何十年も低迷して成長できず、行き詰まっている」と分析した。

     

    歴史が「25年単位」で動くという見方に立てば、今後の日本が変わらないはずがない。戦時中の狂信的な軍国主義が消えて、「平和な国」になったことで証明される。非効率的な官僚主義であったならば、戦後の荒廃からGDP2位にまで急速な立ち直りは不可能であった。グローバル経済下で、日本企業の海外進出で国内は空洞化した。これからの「脱グローバル経済」で、日本の政・官・民が再び結集する。時代は動いているのだ。

     

    (2)「日本人の3割が60歳を超えていることを指摘し、地方の老年層支配勢力が長期間変わっていないことも停滞の理由として挙げた。同記者は「明治維新や第二次大戦敗戦後も生き残った、圧倒的に男性中心のこの国の支配層は『日本は特別だ』という確信とナショナリズムに彩られている。第二次世界大戦において、『日本は加害者ではなく被害者だった』とこの支配層は信じている」と指摘した。さらに、安倍晋三元首相の祖父・岸信介が戦犯容疑者として逮捕されたのにもかかわらず、自由民主党の結党に参加して首相になったことも指摘した」

     

    人間、誰でも高齢化すれば保守的になる。日本の地方で、日本が戦争被害者という立場を明らかにしたのは、外国人記者への「見栄」であろう。今なお「憲法9条」を守っているのは、開戦反省への証である。岸信介は、戦時中の商工大臣(現在の経済産業大臣)である。開戦に署名した一人だ。戦後は、国民の選挙で選ばれ政治家になった。戦後民主主義体制を認めるならば、岸を政治家として容認するほかない。

     

    朝鮮日報は、日本の開戦責任を追及したいのであろう。ならば韓国は、朝鮮戦争を引き起した北朝鮮の責任を追及し続けているか、だ。文政権時代は、一切を曖昧にして接近していたほど。つまり、歴史は動いているのである。過去に拘っていては、先へ進まない事例であろう。

     

    『中央日報』(1月23日付)は、「韓国地方自治体の旧正月挨拶映像に日本語登場…『萌え萌えきゅん』物議醸し削除」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の忠清南道天安市(チュンチョンナムド・チョナンシ)は、ソル(旧正月)連休期間に公式ソーシャルメディアに掲載した映像が、親日論争に巻き込まれると該当の掲示物を削除して謝罪文を出した。

     

    (3)「天安市は今回の連休が始まった21日午前11時、公式インスタグラムに30秒ほどの映像を投稿した。この映像によると、韓服を着たクルミ饅頭のかぶりものをした人形が「萌え萌えきゅーん」「おいしくなーれ」となどの日本語を連発する」

     

    (4)「これに対して一部の市民は、「日本の文化をソル名節に使うなんて考えがなさすぎる」「(独立運動家の)柳寛順(ユ・グァンスン)の生家と独立記念館がある天安市に日本語とはなんということか」「市民として恥ずかしい」「天安市公務員は日本人を採用するのか」などの反応を示した。問題になったことを受け、市は現在該当の映像をソーシャルメディアから削除した状態だ」

     

    韓国では、「日本文化」排斥が露骨な形で行われている。天安市民の反日意識は、日本統治下と変わっていないことに気づくべきだ。韓国の保守性(民族主義)が、日本のそれよりもはるかに強いことは紛れもない事実である。

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