韓国は、輸出依存経済である。これが影響して、韓国経済は製造業の雇用まで減少する事態へ追込まれている。製造業雇用は、質の高い安定したものとされているだけに、韓国経済へ大きな影響を与えている。
輸出上位6カ国のうち、韓国、中国、ドイツの輸出が昨年第4四半期から減少傾向に転じている。その中で、韓国の輸出減少幅が最も大きかった。韓国の輸出は、昨年第4四半期に対前年同期比9.9%と減少した。中国(-6.9%)、日本(-4.6%)、ドイツ(-1.9%)は、いずれも韓国より減少が小幅に止まった。一方、米国は8.2%、イタリアは3.3%もの増加になった。このように、韓国の輸出減は他国よりも大きいことから、国内製造業の雇用へ大きな影響を与えている。
『wowkorea』(2月19日付)は、「韓国で製造業の就業者が減少…輸出不振で民間雇用減る」と題する記事を掲載した。
韓国で製造業の就業者数が15か月ぶりに減少した。輸出を中心に製造業景気が悪化し、雇用にも影響を及ぼしている。
(1)「製造業就業者数は雇用指標の核心といわれている。全産業就業者数の16.2%が製造業就業者だ。その上、製造業の就職先はいわゆる「質の良い民間の働き口」とみられている。製造業の雇用が回復しなければ、量・質の雇用がともに好調を示すのは難しい。輸出景気の寒波が本格的に雇用の指標に影響を与えている。成長の核心である輸出が折れ、政府も経済危機に対する警告の水位を公式的に高めた」
韓国では、製造業の雇用が安定しければ、経済が成長できない関係にある。それだけに、製造業雇用の落込みは痛手だ。
(2)「製造業就業者数が減少したのは昨年10月(0.3%減)以降初めて。21年11月(1.2%増)から製造業就業者数は増加傾向を続けてきた。昨年8月には5.6%増加。しかし、その後次第に増加幅が小さくなり、1月に減少へ転換した。減少幅は21年9月の1.7%減以来で、最大になっている。製造業の就業者は働く時間も減っている。主要産業別で週当りの平均就業時間を前年同月対比の増減で調べてみたところ、製造業は1月に41.2時間をで、前年同月比0.9時間(2.1%減)のマイナスになった」
製造業の雇用は、今年1月から減少に転じた。雇用は、景気の遅行指標であるから、韓国経済がいよいよ「暗闇」へ突入したことになる。
(3)「統計庁のソ・ウンジュ社会統計局長は「製造業就業者数が15か月ぶりに減少に転換した。これは、産業活動動向統計内の電子部品生産などが減少した影響だ。今後も産業活動動向統計内に明らかになった部分が持続的に反映される可能性がある」と説明した。企画財政省も2023年1月、雇用動向の分析資料を通じて「生産・輸出減少などが時間を置いて雇用市場に反映され、電子部品などを中心に15か月ぶりに減少に切り替わった」と分析した」
製造業の雇用減に影響を与えた要因は、輸出減である。中国の電子機器産業は、春節後の求人においてかつてない小規模に止まっていることが判明している。これは、韓国の対中輸出が停滞することを予告する。
(4)「製造業就業者数の減少は、青年層の雇用に直接的な悪影響を与える。高齢層の就職先、政策による就職先とは意味が違う。実際、1月の青年層就業者数は前年同月比5万1000人減った。減少幅が昨年12月(2万5000人)の2倍以上だ。景気鈍化による製造業の不況が原因になっている」
製造業の雇用減は、青年層の失業問題へ直結している。韓国の今年の新規雇用増は、約10万人という信じ難い予測が発表されている。
(5)「実際、昨年の製造業在庫率は7か月連続120%を上回った。国家統計ポータルの「鉱業製造業動向調査の製造業在庫率」によると、昨年の製造業在庫率は126%を記録した。製造業の在庫率は、昨年6月の124.2%を皮切りに、7か月連続で120%を上回っている。韓国にこれほど在庫が長期間蓄積されたのは、90年代の通貨危機前後以来初めてだ。新型コロナが流行しはじめた20年でも、製造業の在庫率が120%を超えた月は、たった1か月だけだった」
在庫率は、120%台になっている。月間売上高を上回る在庫を抱えているのだ。1990年代の金融危機以来の高水準の在庫率である。これだけ、金利負担が増えることになる。
(6)「政府の景気判断は、1月まで8か月間続いたものより、さらに否定的になっている。グリーンブック1月号で、「景気鈍化の憂慮が拡大している」と表現してきたのである。昨年6月から似たような水準で評価であった。ところが2月は、「憂慮」という言葉が消えた。景気の減速がすでに始まっているという意味に受け取れるのだ」
政府の景気判断には、警戒感が強まっている。景気減速が、本格的になってきたのだ。