韓国の中央銀行である韓国銀行は、1年ぶりに利上げを一時停止した。引締め政策の効果が出ているのではなく、連続利上げによって景気減速を加速させる懸念によるものだ。さらなる「スタグフレーション」を回避するという一時的な措置である。ただ、韓国のインフレ鈍化ペースは他国・地域と比較して遅いので、政策金利が長期的に比較的高い水準で維持される公算が強まっている。
『ブルームバーグ』(2月23日付)は、「韓国中銀、1年ぶりに利上げ一時停止ー引き締めスタンスは当面継続」と題する記事を掲載した。
(1)「韓国銀行は、2月23日の金融通貨委員会で、政策金利である7日物レポ金利を3.5%で維持することを決めた。同行は「国内経済成長率は鈍化したものの、インフレ率は目標を上回って高止まりすると予想される」との声明を出し、「物価安定の確保に重きを置き、かなりの期間にわたって引き締め気味の政策スタンス」を維持すると説明した」
韓国銀行が、政策金利を据え置くのは国民の負債負担と景気低迷などを懸念したためとみられる。一般的に金利を上げれば、物価は安定する。だが、韓国では利上げに伴い家計・企業の利子負担が大きく、消費を圧迫するという副作用が出ている。さらに、利上げで不動産価格も下落しており、韓国経済全体への萎縮効果が激しくなる恐れも出てきた。
今回の据え置きで、韓国と米国の金利差はさらに広がる可能性が大きい。米連邦準備制度理事会(FRB)が2月1日、政策金利を0.25%引き上げ年4.50~4.75%に決めた。これによって、米韓の金利差は最大1.25%にも広がることになった。これが、対ドルのウォン相場安を招く恐れが強い。この点については、後で取り上げたい。
(2)「韓国銀行は、2021年8月から利上げ局面に入った。この日の金利維持の決定からは、これまでの政策金利引き上げが韓国経済にもたらす影響への懸念がうかがえる。韓国は昨年10~12月期にマイナス成長に陥り、住宅価格も下がっている。韓国はこの日発表した最新見通しで、今年の経済成長率を1.6%、インフレ率を3.5%と予想。それぞれ昨年11月時点に予想した1.7%、3.6%から引き下げた」
韓国は、昨年10~12月期にマイナス成長に陥っている。それだけに、利上げによってさらなる負担を加えれば、経済の減速は不可避となろう。それだけに、一時的に利上げを中断して経済に配慮したものだ。ただ、現在の消費者物価は、前年同月比で5%水準の上昇を続けている。韓国銀行は、今年の平均消費者物価上昇率を3.5%としている。5%を3.5%まで引下げるには、さらなる利上げは不可避であろう。
『中央日報』(2月23日付)は、「米国の緊縮長期化懸念、ウォン相場 2カ月ぶり1300ウォン台に」と題する記事を掲載した
よみがえった米国発の「緊縮の恐怖」に韓国証券市場が青ざめ、ウォン相場が年初来安値を記録した。ウォン相場は前日より9.0ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1304.9ウォンで取引を終えた。終値基準で1300ウォン台になったのは昨年12月19日の1302.90ウォンから2カ月ぶりだ。
(3)「この日為替相場が1300ウォン水準に達すると、企画財政部と韓国銀行など外為当局は緊急市場点検会議を招集した。緊縮が続けばFRBとの金利格差がさらに広がり、強いドルにまた戻りかねないという懸念からだ。ただ昨年10月のようにウォン相場が1400ウォン台まで下落することはないだろうとの見通しが多い。ハナ銀行のソ・ジョンフン研究委員は、「米国の雇用指標を見れば雇用者数は急増したが時間当たり賃金上昇率は減少している。雇用指標が鈍化すればドル安の流れを示す可能性がある」と予想した」
2月23日のドル=ウォン相場は、1296ウォンと22日の相場展開から見ると少し落ち着きを見せている。だが、米韓の金利差が1%ポイント以上も開いていることから言えば、ウォン安へ動く可能性は大きい。これが、韓国の消費者物価へ悪影響を与えないはずがない。
(4)「現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は、「最近、ウォンが下がり物価が依然として高いことを考慮すれば、基準金利を上げるべき」と話した」
今回の利上げは見送られたが、いずれ必ず引上げられる。これは、韓国経済に大きな重圧になることは確実だ。消費者物価引き下げ目標の達成には、避けて通れない道である。





