反企業を吹き込む教育界
銀行と通信の両寡占体制
労組の既得権益へ斬込む
低い支持率が改革の壁に
韓国社会の「自己評価」は、極めて高いものがある。「漢江の奇跡」によって、朝鮮動乱後の経済が一躍して成長発展したこと。この裏には1965年に、日本からの無償・有償・借款で10億ドル超の経済支援があった。もう一つ、軍事政権を民主化運動によって退陣させたことだ。
この二つを成し遂げたという誇りが、韓国人のメンタルティを支えている。ただ、左派は高度経済成長が軍事政権によって実現したので、「漢江の奇跡」をことさら軽視している。文政権は、社会科教科書での扱いを極端に減らさせるという「経済軽視」姿勢を取った。
韓国左派は、高度経済成長を軽視しているのだ。一方で、韓国GDPは世界10位になったことから、「先進国の仲間入りした」と宣伝した。軍事政権を否定するが、その経済的成果だけを受入れる左派政権は、複雑な対応を見せている。韓国国論の分裂には、こうした歴史に対する左派の「ご都合主義」が深い影を落としているのだ。
反企業を吹き込む教育界
韓国の教育界は、左派によって支配されている。反日教育もその一環として強化されている。同時に、「漢江の奇跡」を軽視することに表われているように、「反経済成長主義」「反企業主義」を生徒に吹き込んでいる。具体的には最近、次のような現象が起こった。
韓国は今年の大学入試で、延世大学、高麗大学、西江大学、漢陽大学が企業と採用契約を結んで運営する「半導体学科」の学生募集を行なった。だが、合格者の過半は入学を辞退し、追加合格者を発表する事態に追込まれた。受験生は、サムスン電子やSKハイニックスのような大企業への就職が保障されているにもかかわらず、半導体学科への入学を辞退した。医学部や薬学部へ入学手続きをしたという。
入学は、個人の選択であるから部外者がとやかく言うべきことではない。ただ、医師や薬剤師を目指すとしても、韓国の人口がこれから急減するということをどこまで知っているだろうか。すでに、小児科医はほとんど要らない時代になっている。こういう韓国の危機を救うには、結婚適齢期の若者が経済的な豊かさを得なければならないだろう。それには、韓国が唯一世界で存在を主張できる半導体に、人生を賭ける若い人たちがぜひとも必要である。
こういう別の視点から自分の人生を考えられなかった裏に、韓国教育界の「反企業主義」が巣食っていると考えられるのだ。多感な10代の若者が、韓国の抱える潜在的危機について考えないのは、これだけでも「コリア・クライシス」が差し迫っていることを示唆しているように思える。
韓国で、若者に危機感の共有を希薄にさせている裏に、ポピュリズム(大衆主義)の存在が指摘できる。具体的に言えば、「政治的部族主義」の登場である。「陣営の論理」で仲間内の政治に終始することだ。典型的には、文政権の5年間がそうであった。「政治の司法化」と「司法の政治化」を行い、中立であるべき司法を政治の「僕」にしたのである。こうした過程をへて、韓国教育界は純粋な若者から冷静に未来を判断する機会を奪っているのであろう。「反企業主義」を吹き込んでいる結果だ。
銀行と通信の両寡占体制
韓国は、前述のように「政治的部族主義」がまかり通っている。縄張りの既得権益を守ることである。この政治的部族主義は、韓国経済を極めて硬直化させている。尹(ユン)政権によって、改革対象に取り上げられることになった。
尹大統領は2月15日、「寡占体制である銀行と通信業界の実質的な競争システムを強化するための特段の措置を作って報告せよ」と、関係省庁に指示した。これは、5大銀行と3大通信社が寡占状態によって高利益を上げ、国民の利益に反するという指摘である。
昨年末以降、大手銀行の早期退職者が1人当たり6億~7億ウォン(約6220~7260万円)の退職金を受け取ったと推定されているという。新韓、KB国民、ハナ、ウリィ、NH農協の5大銀行における早期退職者は、約2200人にも達した。これは、銀行が政策金利の引上げで自動的に拡大した利ざやによる利益を早期退職金として支払った結果だ。
一方で、銀行から融資を受けている者は、高利の支払に窮して食事も満足に取れないと言う「ローン地獄」の人々も出ている。こういう事態を見ると、5大銀行の「高利潤」は寡占によるものという判断が出てくるのであろう。そこで、新しい大銀行を作るように道を開く方向性を模索するとしている。競争原理の導入である。
3大通信社としては、SKテレコム、KT、LGユープラスが事実上の寡占状態である。この寡占状態に競争条件を入れるべく、第4のモバイル通信会社の市場参入を誘導する案も話し合われるという。また、通信料金の区間を細分化し、通信料金の負担を軽減させるとしている。日本では、菅政権時に一律で1割以下の料金引き下げを誘導した経緯がある。韓国も同様な手法を用いるのであろう。
尹政権が、5大銀行や3大通信社の寡占体制をヤリ玉に上げた背景に、韓国財閥という大きな寡占体制が存在する。韓国財閥は、戦前の日本が採用した経済システムを導入したものだ。日本は、戦後改革で財閥制度を放棄した。「経済民主主義」に反するという理由からである。韓国は、この古くさい制度を敢えて導入して現在に至っている。それだけに、反国民的な問題を引き起すのは当然であろう。非競争体質が根を張っているのだ。(つづく)
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