韓国政府は2月17日、公式見解としてコロナ感染症の拡大後初めて、国内景気の減速を表明した。輸出の減少傾向が深刻化しているうえ、消費の冷え込みが顕著化しているためだ。一方で、物価高が続く見込みで経済はスタグフレーション入りが確実な情勢である。
『東亞日報』(2月18日付)は、「物価高続くのに『景気減速の始まり』、目前に迫ったスタグフレーション」と題する社説を掲載した。
(1)「政府は昨日、韓国が置かれている経済状況を「景気減速」と公式診断した。企画財政部は、「2月の経済動向」で、「物価が高い水準を継続する中で、内需回復の速度が緩やかになり、輸出の低迷や企業心理の冷え込みが続くなど、景気の流れが減速した」との見解を示した。昨年6月から使ってきた「景気減速への懸念」という表現から「懸念」を削除した。物価高と景気低迷が重なった「スタグフレーション」の入り口に韓国経済がぐっと近づいたことを意味する」
韓国の今年の経済成長率が、IMF(国際通貨基金)予測では日本を下回るという結果が出て、韓国は「日韓逆転」として話題になっていた。現在、韓国経済の置かれている状況は、さらに悪化していることだ。「スタグフレーション入り」が、現実問題になってきたのである。
(2)「すべての指標は、すでに景気低迷を示している。半導体と対中輸出が激減し、1月の輸出額は1年前より16.6%減少した。一方、輸入は増え、今年に入って今月10日までの約40日間、貿易赤字は昨年の年間赤字の37%である176億ドルに達した。物価高による実質所得の減少や過度な家計負債、金利引き上げによる仮処分所得の縮小で消費まで冷え込んでいる。膨大な在庫が積もった大企業の稼働率は、80%を下回った。企業の景況感は、2年4ヵ月ぶりに最悪となっている」
韓国の輸出では、半導体が主力である。この半導体は目下、世界的な在庫調整期に入り、市況回復は今秋以降とみられる。だが、最大の輸出先の中国は、メモリー半導体の自給率向上に力を入れているので、対中輸出は先細り傾向にある。主要半導体輸出市場の中国のウエイトが下がれば、韓国は最大のピンチになろう。
(3)「対外環境も尋常ではない。米国は予想外の雇用・消費好調で物価高が持続する可能性が高くなり、連邦準備制度理事会(FRB)が基準金利の引き上げを近いうちに止めるという期待が折れている。ドルは再びドル高に転じ、対ドルウォン相場は取引中に1ドル=1300ウォンを突破した。ウォン安ドル高は原油や液化天然ガス(LNG)などのエネルギー輸入価格を引き上げ、公共料金をはじめとする国内物価を刺激するだけでなく、貿易収支までさらに悪化させる。韓国政府と企業は、中国のリオープニング(経済活動の再開)で輸出に息抜きができることを期待しているが、中国経済も不動産景気の低迷や米中対立などで、早い回復は容易ではない状況だ」
ウォン相場を左右するのは、米国の金融政策である。米国経済は、予想を上回る堅調ぶりで、消費者物価が高位に張り付いたままである。最近では、米国経済は「ノン・ランディング」でないかという予測も出ている。つまり、金融引締め状態のまま景気の中折れがないという強気の見方だ。韓国は、ドル相場が下がらなければウォン安が続いて輸入物価が高止まりだ。インフレは沈静化しない。
(4)「さらに大きな問題は、差し迫ったスタグフレーションに構造的要因が大きいという点だ。1月の全体輸出で対中輸出が占める割合は19.8%で、20%台を割り込んでいる。内需を強化している中国に対する輸出の割合は、2018年以降減少し続けている。半導体など主力輸出品目のグローバル市場構造も、急速に変わっている。物価上昇を牽引した原油高と大国の衝突もやはり定数になっている」
1月の対中輸出比率は、20%を割込んでいる。一昨年までは、25%を維持していた。これは、韓国にとって大きな節目になることを示唆する。「ドル箱」市場の中国に、異変が起こっているという認識である。これは、重大な変化である。
(5)「今こそ、政府主導の国家産業戦略に一大変化が必要な時だ。目の前の景気減速や貿易赤字だけにこだわるのではない。10~20年後、韓国を食べさせる産業構造の青写真を描き直さなければならない」
韓国は、半導体以外に目立つ産業がない。下線のような悩みは当然である。韓国の左派陣営が、この現実をどれだけ理解しているか不明だ。従来通りの「反企業主義」では、行き詰まることになろう。





