韓国経済が大揺れである。頼みのサムスン半導体は、1~2月の経常損益で3兆ウォン(約3000億円)の営業赤字が出るという。業界関係者によれば、サムスン電子の内部で1~3月期にメモリー半導体事業で最大4兆ウォン(約4000億円)の営業赤字とみられている。「常勝将軍」サムスン半導体が赤字になれば、韓国財政に大きく響く。
今年1月の国税歳入は1年前より7兆ウォン近く減少した。国税歳入が1月基準で史上最大の減少幅を示し、税収進捗率は18年ぶりの低い水準となった。国内景気が減速局面に入っただけに、今年の財政赤字が現実味を帯びってきたと懸念されている。
『東亞日報』(3月1日付)は、「1月に過去最大幅7兆ウォンの税収減財政赤字への懸念高まる」と題する記事を掲載した。
企画財政部(企財部)によると2月28日、今年1月の国税歳入は42兆9000億ウォンだった。1年前より6兆8000億ウォン減ったもので、1月基準で史上最大の減少幅だ。新型コロナウイルス感染拡大で納付を延期した税金が、昨年1月に殺到したベース効果を考慮しても、今年1月の国税収入は1兆5000億ウォン減った。
(1)「今年目標とした歳入総額に対して、実際に徴収された歳入割合を示す税収進捗率は10.7%だった。2005年1月(10.5%)以来の低水準だ。最近5年間の平均進捗率と比べても1.8ポイント低い。酒税と総合不動産税を除いたすべての税目の進度率がこの5年間の平均値を下回った。企財部のチョン・ジョンフン租税総括政策官は「今年は昨年や一昨年と違って税収条件が非常に厳しい状況にある」とし、「第1四半期(1~3月)には税収の流れが引き続き良くないだろう」と話した」
1月の歳入進捗率は、最近5年間の平均進捗率と比べても1.8ポイント低い結果になった。この遅れは今後、回復できるだろうか。肝心要の企業業績は不振である。
『中央日報』(3月1日付)は、「『サムスンのメモリー事業』2月だけで2兆ウォンの赤字、『最悪の半導体寒波』」と題する記事を掲載した。
サムスン電子がメモリー事業で2月に2兆ウォン(約2000億円)台の営業赤字を出したことが分かった。昨年下半期からの「半導体寒波」で20年ぶりの最悪の赤字が懸念されている。
(2)「中央日報の取材を総合すると、サムスン電子メモリー事業部は今年1、2月に3兆ウォンほどの営業赤字が出ていると推定される。匿名を求めた複数の業界関係者は「サムスン電子の内部で1-3月期にメモリー事業で最大4兆ウォンの損失が出るという報告があったと聞いている」と話した。関係者らは「ファウンドリー(半導体委託生産)で収益が出ているが、まだ規模は小さく、メモリー事業の大規模な赤字をカバーするレベルでない。半導体(DS)部門で1-3月期に2兆ウォン以上の営業損失が避けられないという声が出ている」と伝えた」
下線部のように、サムスンの半導体事業部のメモリーは、1~3月期に最大4兆ウォン(約4000億円)の赤字になる見込みという。営業損失としては、2兆ウォン(約2000億円)以上は不可避だ。
(3)「DRAMとNAND型フラッシュメモリーの価格は今年に入って下落が続いている。代表的なDRAM相場のパソコン用DRAM汎用製品(DDR4 8Gb)の平均固定取引価格は今月1.81ドルと、4年前(6.74ドル)に比べて4分の1水準に落ちている。目の前には暗雲が垂れ込めている。市場調査会社トレンドフォースによると、DRAMの価格はさらに今年1-3月期に20%、4-6月期に11%下落すると予想される。NAND型フラッシュメモリーも同じ期間にそれぞれ10%、3%落ちる見込みだ。DRAM価格は昨年下半期に34%急落した」
DRAM価格は、昨年下半期に34%急落したが、さらに今年1~3月期に20%、4~6月期に11%もの下落予想である。下半期に底入れするとしても急反発とはなるまい。本格回復は、24年に入ってからと予測されている。
(4)「サムスン電子では今年1-3月期は、20年来の最悪「アーニングショック(業績衝撃)」が現実化しそうである。サムスン電子が、メモリー事業で年間赤字となったのは1990年代を除いて2001年と2008年だけだ。2001年10-12月期には情報技術(IT)バブル崩壊後に半導体で2120億ウォンの赤字を出した。グローバル金融危機当時の2008年10-12月期には6900億ウォンの営業赤字となった」
メモリー事業が年間赤字となったのは、1990年代を除いて2001年と2008年だけ。これに2023年が加わるであろう。2009年以降、実に15年ぶりの赤字になる。
先行きの韓国経済はどうなるか。OECD(経済協力開発機構)が発表している、韓国の先行指標によれば、2021年5月以降20カ月連続で下落、今年1月は98.36まで低下した。100以下は不況局面である。この先行指標から言えば今後、少なくも数ヶ月は不況局面にあることを示唆する。前記の98.36は、世界金融危機直後、深刻な景気低迷を見せた2009年1月(97.75)以来14年ぶりの最低値である。事態の深刻さを示唆しているのだ。