勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2023年03月

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    北京の日本人ビジネスコミュニティで、重要なポジションにあるとされる50代の男性が、国内法(反スパイ法)違反容疑で拘束された。中国当局は、拘束理由を説明していない。かつて同様の容疑で拘束・逮捕され収監された人物によると、容疑内容は食事の際に北朝鮮の話を質問しただけという。その時の食事相手が、密告したと言うから、中国社会には至るところに「罠」が仕掛けられている。危険ゾーンになった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月25日付)は、「北京で50代邦人男性拘束 日系企業幹部、国内法違反で」と題する記事を掲載した。

     

    日系企業幹部の50代の日本人男性が3月、北京市で当局に拘束されたことが25日わかった。中国当局は国内法に違反したと主張している。日本政府は早期の解放を中国政府に求めている。日中関係筋が明らかにした。

     

    (1)「日本政府は、在中国日本大使館を通じて領事面会や関係者との連絡などの支援を試みている。現時点で面会はできていない。中国側は男性の拘束に至る経緯について日本側に十分に説明していないとみられる。中国は2014年以降、反スパイ法や国家安全法の制定を通じ国内の統制を強め、外国人を厳しく監視するようになった。その後、今回を除き少なくとも16人の邦人がスパイ行為に関わったとして拘束されたことが判明している」

     

    中国は2014年以降、反スパイ法や国家安全法の制定を通じ国内の統制を強めている。だが、それ以前から外国人への警戒感は極めて強かった。電話盗聴は当たり前であったのだ。日本の有力都市の上海駐在員は1990年代、盗聴前提で日本へ中国の不便な部分を伝え、現地での業務が遂行できないので引揚げると連絡した。そうしたら、上海市担当者が飛んできて直ぐに改善したという。盗聴の結果だ。

     

    日本メディアの中国特派員の苦労話も読んだことがある。中国当局から濡れ衣を着せられないように、公共交通機関では鞄を常に手に抱えて移動したという。これは、車中でうっかり居眠りでもしていると、その隙に鞄へ機密資料を忍び込ませておき、逮捕するという「汚い手」を使うからだ。驚くべき手を使って、スパイ容疑者に仕立てる凄腕なのだ。陰謀渦巻く中国で、外国人が安全に生き延びるのは極めて難しい。

     

    中国は、スパイ行為を摘発するための「反スパイ法」を改正する。現行法よりスパイ行為の定義を広げ、国家の安全や利益に関わる情報を取ったり漏らしたりする行為に幅広く網をかけるのが特徴とされる。あいまいな規定も多く、当局による恣意的な運用が懸念されるのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月13日付)は、「中国、スパイ行為の対象拡大 資料やデータに幅広く網」と題する記事を掲載した。

     

    2022年12月までに2回の審議を終え、可決する段階にある。反スパイ法は14年の施行以来、初めての改正。これまで同法関連で少なくとも16人の日本人が拘束され、改正案が施行すれば取り締まりがさらに強化されそうだ。中国の公務員や国有企業職員がさらに萎縮し、外国人との交流に影響が出る事態も懸念される。

     

    (2)「改正案は、「国家安全や利益にかかわる文書、データ、資料、物品」をこっそり探ったり、提供したりする行動を「スパイ行為」と定めた。現行法は「国家機密」の提供に絞っていた。どこまでが国家の安全や利益にかかわる内容なのか定めはなく、不明確さはぬぐえない。中国で事業展開する外資系企業が競合相手となる中国国有企業の情報収集をする場合も、スパイ行為に認定されるリスクがある」

     

    問題は、「こっそり」と重要な国家の安全に関わる文書、データ、資料、物品を探り出す行為がスパイ行為とされる。こういう規定だと、メディア取材は極めて危険になる。個別取材は、スパイ行為と紙一重になるからだ。

     

    日本には中国人スパイが、1000人単位で潜伏していると言われる。だが、肝心の強力な取締法が存在しない。日本では中国にスパイを自由にやられているのだ。日本人は、中国でちょっとした言動でも収監される。余りにも不公平な扱いである。日本では、戦前の苦い経験で「スパイ取締」が、日本人の言論弾圧に利用されることを警戒している。

     

    (3)「摘発機関である国家安全当局の権限も大幅に強めた。スパイ行為の疑いがある人物の手荷物検査をできるようにした。国家の安全に危害を加える可能性がある者の出国を禁じる権限も与えた。スパイ行為の疑いがある個人や組織が利用する「電子機器や設備、プログラムやツール」も調査できるとした。会社や個人が所有するパソコンやスマホ、インストールしたアプリなどにも捜査の手が及ぶ可能性がある

    下線部は、中国によって日本企業のビジネス情報を抜き取ることに悪用される危険性が高い。これでは、もはや安心して公正なビジネスは不可能になってくる。現地駐在員の安全を考えれば、「利益より人命優先」という時代になってきた。

     

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    韓国左派は、旧徴用工賠償問題で反発し、ソウル都心で反対集会を繰り広げている。日本の謝罪がないことで、韓国の自尊心が傷つけられたという理屈である。日本は、過去40回も謝罪してきたが、それでも満足できないというのだ。

     

    経済面から見た韓国は、日本へ度重なる謝罪を要求するほど余裕ある状況にない。主力産業の半導体が、米中対立で厳しい局面に立たされているのだ。韓国は、中国で数兆円を投資してきた半導体が、今後の満足ゆく操業が不可能になったことだ。先端半導体は、10年間で5%の増産枠を認められただけだ。当然、採算悪化は間違いない。

     

    米中関係は、10年後に改善する見通しがある訳でなく、逆になる可能性の方が大きいであろう。となると、半導体は最終的に中国撤退すら起こり得る。韓国は今、それに備えた動きを始めた。日韓融和への動きである。

     

    『韓国経済新聞』(3月25日付)は、「韓日輸出規制解除の意味『ビジネス同盟復元』半導体サプライチェーン構築に役立つ」と題する日本大経済学部教授の権赫旭(クォン・ヒョクウク)氏へのインタビュー記事を掲載した。

     

    韓国は、日本から多くの素材、部品を輸入している。2019年以降の輸入規模は、再び増加に点じている。韓国は現在、米国の主導で再編されるサプライチェーンに注目しなければならない。日本による輸出手続き規制の解除は、韓国が主要プレーヤーとして参加できることを意味する、と強調する。

     

    (1)「韓国は包括的および先進的なTPP協定(CPTPP)に事実上、日本の反対で加入できなかった。今回の措置の効果が国際協定でも有効に作用して、近くCPTPPや米国主導のクアッド(日米豪印)にも参加することになるはずで、発言権を持って主要プレーヤーとして活躍することができる」

     

    韓国が、TPP参加をためらった理由は二つある。一つは、中国への遠慮である。もう一つは、日本製造業との競争に敗れることを懸念したものだ。農水産物の競争力も日本より劣っている。福島産などの海産物を未だに輸入禁止している理由だ。TPPに参加するとなれば、韓国産業は「丸裸」になる。対日貿易に限れば、韓国の輸入赤字はさらに膨らむであろう。

     

    クアッドへ参加する前に、先ず韓国海軍艦艇が行なった海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射に対して謝罪することだ。旭日旗を蛇蝎のごとく嫌う韓国が、クアッドへ参加できるだろうか。クアッドの問題は、韓国がひっくり返るほどの反対論が出るだろう。

     

    (2)「韓国は、米国と中国の間のあいまいな戦略的位置でなく、米国側でオーストラリアや日本と共に重要な軸になることを意味する。これを確実にするのが、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の回復だ。中国と対立するのではなく、中国が圧力を加えてきた場合の交渉カード、バーゲニングパワー(交渉力)が生じる。韓国が今回、日本へ先に握手の手を出したのは、米国側に立ったものと解釈できる」

     

    韓国は、長年にわたり「二股外交」を行なってきた。韓国は、ここから「足を洗い」米国の陣営に馳せ参じるというのである。これは、左派が猛烈な抵抗するだろう。左派は、親中朝ロ路線である。先ずこれを国内で解決することだ。

     

    (3)「韓国が、日本とビジネスパートナーになる場合の利益について、半導体産業を例に挙げてみよう。中国は原油の輸入よりも半導体の輸入による赤字がはるかに大きい。中国が半導体産業育成に注力する理由だ。半導体産業で頭角を現した韓国も悩みは同じだ。韓国は他国に比べて今でも製造業の比率が高いが、中国のおかげで維持されてきた側面がある。それだけ中国への依存度が高く、中国の立場に従うしかない状況もあった。これが韓国のジレンマだった」

     

    韓国の輸出トップは、中国である。対中輸出は、昨年後半からマイナスが続いている。これは、一時的な減少でなく、中国の素材生産が増えてきた結果、輸入代替が進んでいると見るべきだ。韓国は、対日貿易で赤字を出し、対中貿易で黒字を出すという構造が変わってきたのだ。

     

    (4)「米国が、中国排除政策を進めるこの時期、韓日ビジネス同盟に向かっていけば、半導体産業のサプライチェーン、次世代技術の側面で優位の競争力を確保できるとみる。世界最大半導体ファウンドリー企業TSMCと深い関係を結ぶ日本とのシナジー効果を期待できる」

     

    韓国は、日本が台湾のTSMCと密接な関係を構築していることに危機感を見せている。そこで、韓国にも「利益を分けて欲しい」というのが率直なところだ。韓国を巡る国際情勢は急変している。左派は、それを全く理解しようとしないのだ。 

     

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    EU(欧州連合)の主要機関は昨年10月、2035年にガソリン車など内燃機関車の販売を事実上禁止することで合意した。二酸化炭素(CO2)を排出する乗用車と小型商用車の新車はEU内で売れなくなることが確定したのだ。しかし、大逆転が起こった。温暖化ガスを排出しない合成燃料の利用に限り、内燃機関車の販売が認められることになった

     

    EUは、EV(電気自動車)を普及させるべく、内燃機関車の販売中止を模索したが、EV推進に伴う雇用問題発生と電池へ使用する稀少鉱物資源開発による自然前破壊などの関係が浮上したと指摘されている。こうした副作用問題にからみ、温暖化ガスを排出しない合成燃料の利用が現実解決策として登場したのであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月25日付)は、「EU、35年以降もエンジン車販売容認 合成燃料利用で」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「欧州連合(EU)の欧州委員会とドイツ政府は25日、2035年以降も条件付きでガソリン車など内燃機関車の新車販売を認めることで合意した。「e-Fuel(イーフューエル)」と呼ばれる温暖化ガスを排出しない合成燃料の利用に限り販売が認められる。欧州委員会上級副委員長らが同日、ツイッターで表明した。電気自動車(EV)化で先陣を切ったEUの政策方針が大きく転換する」

     

    今回の決定は、事前に報道されていたこともあり、衝撃波は小さくなっている。英国『フィナンシャル・タイムズ』(3月9日付社説)は、辛辣な批評を下した。「これがまさに自動車関連法案で起きた「衝突事故」というものだろう。2035年までに内燃エンジンを搭載した新車の販売を禁止するという欧州連合(EU)の野心的な計画は、EUの自動車産業をけん引するドイツの反対で土壇場で頓挫した」としている。

     

    確かに、ドイツの反対によって路線を修正した。ただ、合成燃料で新たな二炭化炭素を排出しないことは確かだ。ただ、EV1本に絞って自然環境を守る「パンチ力」に水を差した形だ。

     

    (2)「EUは22年10月、35年に内燃機関車の新車販売を事実上禁止することで合意。その後はEVや水素を使う燃料電池車といったゼロエミッション車のみの販売を認めることにしていたが、フォルクスワーゲン(VW)やメルセデス・ベンツグループなど自動車大手を抱えるドイツ政府が合成燃料の利用を認めるように求めていた。イタリアや東欧などでもドイツの意見に賛同する動きがあったが、フランスは合成燃料の利用に反対していた。イーフューエルは二酸化炭素と水素でつくる合成燃料。燃料として利用する際に温暖化ガスを排出するが、生成過程で二酸化炭素を利用するため温暖化ガスの実質的排出はゼロとみなされている」

     

    内燃機関車の使用承認によって、これまでの自動車産業の雇用が維持できるメリットは大きい。失業者を抱えてのEV化促進では、EVユーザーも目覚めが悪いであろう。環境面で、実質的にマイナスにならないとすれば、ドイツの主張にも一理はあるのだ。

     

    (3)「欧州委員会のティメルマンス上級副委員長は、同日「自動車における合成燃料の将来的な使用について、ドイツとの合意を見いだした」とツイッターに投稿した。ドイツのウィッシング運輸・デジタル相も同日、「手ごろな価格の車の選択肢を持ち続けることで、気候変動対策への欧州の立場は守られる」と発信した」

     

    ドイツは、EUの盟主である。EU経済を引っ張るドイツで、EV化に伴い失業者が増えたのでは、EU経済全体にも大きく影響する。ここは、現実的な解決策が求められたのであろう。環境保護派にとっては、良いニュースでない。

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    韓国では、国会会期中の国会議員に対する不逮捕特権が憲法で認められている。これは、軍事政権当時に行なわれた国会議員逮捕が議会会期中はできないようにする自衛策であった。先に最大野党「共に民主党」代表の李在明氏が、刑事事件での逮捕を免れるべく、不逮捕特権を利用する例が出て問題になった。李氏は、その後に在宅起訴されて、被告の身分である。

     

    与党「国民の力」議員の51人は、このほど不逮捕特権放棄を宣言した。「国民の力」所属議員が最近、選挙違反容疑で検察から逮捕請求が出されたことへの回答でもある。前記の議員らは、不逮捕特権の濫用が国民の信頼を失うという危機感から出たものである。

     

    『東亞日報』(3月24日付)は、「与党51議員が国会議員の不逮捕特権放棄を誓約」と題する記事を掲載した。

     

    与党「国民の力」所属の国会議員51人が23日、憲法44条に保障された国会議員の不逮捕特権を放棄すると誓約した。同日、国会本会議に同党の河栄帝(ハ・ヨンジェ)議員に対する逮捕同意案が報告された中、同党議員らが「防弾放棄」を宣言して、最大野党「共に民主党」と李在明(イ・ジェミョン)代表をけん制した。

     

    (1)「51人の議員らは国会で記者会見を開き、「会期中に逮捕同意案が提出された場合、不逮捕特権を放棄し、逮捕同意案の通過を国会議員らに要請することを国民に約束する」と明らかにした。また、「政治の既得権益を断ち切る最初の改革課題は、大韓民国の政治の辞書から『防弾国会』という用語を削除することだ」とし、「不逮捕特権は憲法条項なので憲法改正でなければ取り除くことができないため、不逮捕特権の死文化に向けて不逮捕特権放棄の対国民誓約をする」と強調した」

     

    李在明氏は、先の大統領候補者である。選挙運動中、「落選すれば逮捕されて刑務所入り」と発言するなど、これまで逮捕の可能性がつきまとっていた。これを避けるために、国会議員に立候補し当選したとさえ言われている。メディアでは、「防弾用」に国会議員になったと酷評されているのだ。こうなると、不逮捕特権が不純な動機に利用されていることは間違いない。国民の政治家不信に繋がる大きな要因だ。


    (2)「誓約書には、朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表や李喆圭(イ・チョルギュ)事務総長、親尹(親尹錫悦)の中核である権性東(クォン・ソンドン)、尹漢洪(ユン・ハンホン)議員をはじめ、安哲秀(アン・チョルス)議員などが名を連ねた。同党は、30日の本会議での逮捕同意案の採決も、党論を事実上の「可決」とする方針だ」

     

    与党「国民の力」は、同党所属議員の逮捕に同意する意向を見せている。これは、李在明氏が不逮捕特権を利用した一件と比べて際立っている。最大野党「共に民主党」の李在明代表の逮捕同意案の採決の時、「否決を総意で決めた」同党が、与党「国民の力」の議員の逮捕同意案の採決を前に、全く別の基準を持出しているのだ。党として、可決か否決かいずれの立場も示さず、自主投票の方針にするというのである。ダブルスタンダードである。こういう政党が現在、反日の先頭に立って煽っている

    (3)「これをめぐって民主党では、非明(非李在明)系を中心に「ジレンマに陥った」という懸念が出ている。李代表と盧雄来(ノ・ウンレ)議員の逮捕同意案を否決させた同党としては、河氏の逮捕同意案に賛成することは重荷となる状況だ。だからといって否決票を投じることは、「国民の力議員も賛成するのに民主党は汚職を擁護するのか」という批判を免れないためだ。非明系の趙応天(チョ・ウンチョン)議員はMBCラジオ番組で、「今回賛成して、今後あるかもしれない李代表に対する逮捕同意案の時にまた反対する場合、その基準をどう説明するのか」と述べた」

     

    「共に民主党」は、党利党略を臆面もなく前面に出している。支持者も、これをとがめ立てする訳でもなく、同じ穴の狢(むじな)でつるみあっているのだ。韓国政治の前近代性を余すところなく見せつけている。

     

     

     

    ムシトリナデシコ
       

    中国の習近平国家主席は3月20、21日の両日、ロシアを公式訪問。プーチン大統領と会談し、ウクライナ危機について「中国は平和と対話を求めていく」と発言した。これを額面通りに受け取れば、中国が殺傷性にある武器をロシアへ供与しないことになる。だが20日、中ロ首脳は二人きりで4時間もウクライナ問題について討議したと見られている。何らかの「密約」が交わされたのでないかという憶測は消えないのだ。

     

    中ロの首脳会談前、米国は活発な両国へのけん制を行なった。中国が武器供与に踏み切れば、戦線が拡大するという懸念を表明していた。中国は、ここで武器供与へ踏み切れば、経済制裁を受けて、「ゼロコロナ」による病み上がり経済が徹底的なダメージを受けることは明らか。こうした状況から、「中国は平和と対話を求めていく」という和平路線を守らざるを得ないであろうという見方も強い。西側は今後も、中国の豹変を封じなければならないことに変わりない。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月25日付)は、「仏EU首脳、一緒に訪中へ『結束した欧州の声』伝える」と題する記事を掲載した。

     

    欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、4月上旬にフランスのマクロン大統領とともに中国を訪問する。マクロン氏が3月24日、フォンデアライエン氏に一部日程の同行を提案したと明らかにした。「結束した欧州の声」を中国に伝えるのが目的としている。

     

    (1)「24日のEU首脳会議後の記者会見では、ロシアのウクライナ侵攻に関して中国に協調を求めると述べた。「ロシアに対して化学兵器や核兵器の使用を控え、紛争をやめるよう」中国が圧力をかけることを要望する。フォンデアライエン氏の同行は、フランス単独ではなくEUとしての要請である点を強調する狙いがあるとみられる。マクロン氏はかねて4月上旬に中国を訪問する予定を明らかにしていた。ロイター通信によると、EUの報道官はフォンデアライエン氏が4月の第1週にマクロン氏とともに中国を訪れると認めた」

     

    中国にとって、EUは貴重な「外交窓口」である。米国との対立が激化している中で、EUとの関係が希薄になると、文字通り「世界の孤児」になりかねないのだ。EUは、この中国の苦しい立場を見抜いており、EUのフォンデアライエン欧州委員長とフランスのマクロン大統領が、ともに中国を訪問して欧州の厳しい声を伝える。

     

    これとは別に、スペインのサンチェス首相は3月30日から中国を訪問する。ロシアとウクライナの仲裁役に意欲を示す中国に対し、ウクライナの意向尊重を求める欧州の立場を説明する目的だ。スペインは7月からEU議長国を務める予定で、欧州の代表としての意見交換を意識しているとみられる。

     

    今回の訪問はスペインと中国の国交50周年を記念し、習近平国家主席がサンチェス氏を招待したもの。サンチェス氏は、「ウクライナの和平に関する習氏の立場を理解したうえで、和平の条件を決めるのはウクライナであることを伝えるのは重要だ」と語っている。

     

    このように3~4月にかけてEU欧州委員長(EU首相に当る)やフランス、スペインの首脳による相次ぐ訪中は、中国にとって正念場になろう。適当にあしらうような返事をしておきながら、後でロシアへの武器供与が発覚した場合、中国はEUからも「破門」されるリスクを背負う。外交に「二枚舌」は禁物なのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月24日付)は、「NATO事務総長『中国信用されていない』 仲裁案巡り」と題する記事を掲載した。

     

    北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は2月24日、中国が公表したロシアのウクライナ侵攻に関する文書に関し「中国は信用されていない」と述べ、ロシア寄りとされる中国は仲介役として信用できないとの見方を示した。

     

    (2)「ストルテンベルグ氏は、「中国は違法なウクライナ侵攻を非難できないのであまり信用されていない」と指摘。「中国がロシアに軍事支援を供与しようとしている兆候が見られるが、すべきではない」と警告した」

     

    NATO事務総長は、これまでも一貫して中国への信頼欠如を表明してきた。これは、NATO内での中国スパイの露骨な動きから起こっている。ファーウェイを使った組織的スパイ活動は、大きな非難を浴びたのだ。こういう伏線があるので、中国の武器供与が明らかになれば、EUは一挙に「反中国」へ動き出すであろう。

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