7月29日深夜、地下駐車場の屋根層のスラブ(床板)が崩壊する事故が起きた。幸い人命被害はなかった。事故が起きたマンションは、韓国土地住宅公社(LH)が発注した工事である。今年10月に完工する予定だったという。
事故直後、施工業者は「設計構造上の問題である可能性もあり、精密調査結果を見守らなければならない」という立場だった。これに対して発注元のLHは、「この事業場は責任施工型CM(建設事業管理)方式で設計段階から施工業者の独自技術などが反映されている構造」として対抗した。この段階で、早くも発注元と施工業者の間で責任のなすり合いが始まった。韓国社会特有の責任回避の動きである。
施工業者の独自調査の結果、鉄筋(せん断補強筋)30本余りが施工過程から抜けていたことが確認された。スラブは上部鉄筋と下部鉄筋など二層で構成されているが、上部と下部の鉄筋を連結するせん断補強筋が一部入っていなかった。業界では、施工業者が故意に少なくした可能性があるという話もあるほど。施工業者は、単なる過失だと主張している。いずれにしても公共マンション工事で起った問題だ。利権が絡んでいる指摘されている。
『中央日報』(8月1日付)は、「鉄筋不足の韓国土地住宅公社のマンション、国民の安全壊す利権カルテル」と題する記事を掲載した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が7月31日の首席秘書官会議で「マンション地下駐車場の欠陥工事と関連し全数調査せよ」と国土交通部に指示した。
(1)「前日、国土交通部は4月に地下駐車場崩落事故が起きた仁川黔丹(インチョン・コムダン)のマンションと同じフラットスラブ構造の韓国土地住宅公社(LH)発注マンション91カ所に対する調査結果を発表した。ところが実に15団地でせん断補強筋が不足するいわゆる「骨なしマンション」であることが確認された。このうち10団地は設計図面上から抜け落ちており、調査中2カ所を含む5団地では設計図面にはあるが施工過程で必要な鉄筋が不足していた。このうち、南楊州別内(ナムヤンジュ・ピョルネ)と坡州雲井(パジュ・ウンジョン)など5団地はすでに入居まで終えた状態だ。LHは「3カ所は補完工事を進行中で、残り2カ所は精密安全診断を推進中」と説明したが、黔丹地下駐車場崩落を目撃した住民らは不安に震えるほかない」
韓国では、土地住宅公社(LH)発注マンションでの事故が多発している。偶然の事故でなく、その背後に、構造的は癒着が発生していると見るほかあるまい。今回の地下駐車場の屋根層のスラブ崩壊事故だけでなく、91カ所で問題が起っているのだ。
(2)「せん断補強筋とは、天井の重さを支えるために設置する部品で、不足すると大きな人命被害を誘発する大型崩壊事故につながる懸念が大きい。やはりLHが発注した黔丹マンションは設計と施工過程でいずれも鉄筋不足が確認された。世間の非難は、7月29日発生事故の施工業者にだけ集まっていたが、設計図面を承認する過程で何の問題も発見できなかったLHの監督不良も責任を問わなければならない。特に、黔丹マンションの設計と監理いずれもLHから天下りを受け入れていた業者が受注したという疑惑は必ず確認しなくてはならない」
事故は、設計と管理がLHからの天下りを受け入れていた業者で発生していることだ。これは、両者のなれ合いを許す土壌になっている。
(3)「経実連(経済正義実践市民連合)は、監査院(日本の会計検査院)に対して「黔丹崩落事故の原因はLHの天下り特恵のせい」としてLHに対する監査請求をした。LHから天下りを受け入れた企業が、受注過程で特恵を受けただけでなく、LHがこれら天下り先企業の不良設計と不良監理を見逃して崩落事故につながったという主張だ。国土交通部が公開した15団地関連業者リストを見ると、天下り先企業だけでなくLHが直接監理を担当したところも5カ所に上る。これに先立ち国土交通部の元喜竜(ウォン・ヒリョン)長官は、「設計と監理責任者に対する最も重い懲戒措置とともにすぐに捜査依頼、告発措置をするだろう。建設分野の利権カルテルに対する全般的な革新措置を取るだろう」と警告した」
設計と管理は、別々の無関係な独立した業者によって行われるのが普通だ。それが、LHからの天下りという「共通項」で繋がっている。事故は、起るべくして起っている。問題の根源は、政府の公営企業であるLHが、未だに存在していることだ。日本では、とっくの昔に整理されている。
(4)「施工業者の欠陥工事により32人の命を奪った1994年の聖水(ソンス)大橋崩壊事故が起きてから30年という時間が流れた。それでも、買い叩きと下請けへの再下請けを乱発して安全を害する、誤った構造が韓国の建設現場には相変わらずだ。その上、今回の鉄筋不足事例は国民の安全は考えず自分たちの貪欲だけ満たす建設業界の利権カルテルが官民にわたり蔓延してきたという事実を赤裸々に見せた。最小限の国民住居安全に向けてもこうした非正常な慣行は正さなければならない」
韓国は、過去の教訓が生かされない國である。改革しようとすれば、それを阻止する既得権益派が団結する結果である。
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2023-07-31 |




