勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2023年08月

    あじさいのたまご
       

    中国の経済司令塔は瓦解したのか。そう思わざるを得ないほどの混乱に陥っている。上海総合株価は、8月25日終値で3064ポイントと昨年11月以来の安値に落ち込んでいる。当局は対策として、新規上場(IPO)を徐々に抑制することになった。株式の供給を減らして、株価回復を図ろうという原始的な狙いだ。

     

    スタートアップは、これによって資金調達の道を絶たれるので、企業発展の芽が摘まれる危険性が高まる。すでに米国は、中国の半導体やAI(人工知能)などへの投資規制法を成立させたので、中国スタートアップは、内外から資金調達の道を狭められることになった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月27日付)は、「中国当局、新規上場『段階的に抑制』新興企業に打撃」と題する記事を掲載した。

     

    中国証券当局は27日、新規株式公開(IPO)を段階的に抑制すると発表した。株式市場の需給悪化要因になる新規上場の抑制で株式相場の下支えを狙う。一方、スタートアップへの打撃は大きく、中国が目指す産業構造の高度化の障害になりかねない。

     

    (1)「中国証券監督管理委員会が「最近の市場環境に基づき、IPOのペースを段階的に抑制する」と発表した。2022年のIPO調達額で上海証券取引所は世界1位、深圳証券取引所は2位だった。23年も8月27日時点で半導体関連など242社が上場し、将来のイノベーション(技術革新)を生み出すと期待されていた。中国では、大型IPOが株式相場の下押し圧力になるとの考え方が根強い。一部の投資家がIPO資金を捻出するために保有株式を売却するためだ」

     

    外国人投資家は、8月として(24日まで)761億元(1兆5220億円)売り越した。2014年以来、月間最大の売り越し額である。「チャイナ・エクソダス(脱出)」が加速化している状況だ。中国経済の先行き不透明を嫌っての行動である。

     

    中国当局は、こういう外国人投資家の動きを理解できず、IPOの抑制で株価下落を防ごうという「トンチンカン」な対策に出ている。

     

    (2)「このため中国は株式市場が低迷した13年や15年など過去にたびたびIPOを停止してきた。「チャイナ・ショック」があった15年には約5カ月間、IPOを完全停止した。今回の抑制措置は「段階的」としている。完全な停止は避け、市場の状況を見ながらIPOを停止する企業の規模や期間などを判断するとみられる」

     

    このIPOがらみの政策発動は、過去の株式市場混乱期にも行われている。当時は、米中関係は順調であったから、米国のベンチャーキャピタルを介しての資金調達が可能であった。現在は、これが急速に細っている。米国の投資規制法が発効すれば、ほぼゼロになろう。

     

    (3)「中国は、個人の資産形成が住宅に偏っており、住宅価格下落による逆資産効果が個人の消費意欲を急速に減退させるリスクがある。先進国に比べて遅れている株式市場の育成が急務となっており、証券当局は18日にも、取引時間の延長や企業の自社株買いの規制緩和を発表している。一方、相場の下支えを理由にした政府の恣意的な介入は、投資家や上場・候補企業の信認をかえって損ない、健全な市場育成の妨げとなる恐れがある」

     

    不況対策として、「2軒目購入条件緩和」が政策メニューに入っている。政府が、住宅投機を勧めているのも同じことだ。政府は、やるべき対策を怠り国民を食い物にしていると言って過言でない。こういう「恥知らずの政策」が堂々と罷り通る現状は、政策の貧困そのものを表している。本来ならば、財政出動の局面だがそれを回避しているのだ。台湾侵攻による軍事費増大に備えているに違いない。中国は、こういう見え透いたことを平気で行っている國である。株価が下落して当然なのだ。

     

    『ブルームバーグ』(8月10日付)は、「バイデン氏、半導体など中国企業への米投資制限ー大統領令に署名」と題する記事を掲載した。

     

    バイデン米大統領は一部の中国企業に対する米投資を制限する大統領令に署名した。米国の国家安全保障上の脅威となる恐れがある次世代の軍事・監視技術を中国が開発する能力を規制しようとする取り組みの一環。

     

    (4)「9日に発表された大統領令は、半導体や量子コンピューティング、人工知能(AI)分野の一部の中国企業への米国の投資を規制する。大統領令はほぼ2年にわたる議論の末に署名された。対中タカ派がより迅速で厳格な措置を主張する一方、米財務省などは発効までに時間を要するより狭い措置を主張していた。規則の詳細は今後取りまとめが必要だが、大統領令の文言からは、一段と慎重なアプローチを支持していた財務省などの主張が通ったことがうかがわれる。規制対象のセクターから売上高の50%超を得ている規模が大きめの中国企業やスタートアップに限定される見通し

     

    米国の対中投資制限法では、スタートアップが対象になっている。この法律が施行されれば、中国のスタートアップは「日干し」になろう。

     

     

     

     

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    中国経済が、急減速状況に陥っている。韓国の輸出先トップは中国であるだけに、今後の対応に頭を悩ませている。特に問題なのは、中国経済が不動産バブル崩壊によって、日本が陥ったように長期停滞リスクを抱えていることだ。世界では現在、中国経済の「日本化」という言葉が定着している。中国経済が、容易ならざる局面にあることを示しているのだ。 

    『中央日報』(8月25日付)は、「中国に入り込むジャパニフィケーション」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ドンホ経済エディターである。 

    誰もここまで予想できなかった。中国経済のデフレーションの可能性のことだ。中国経済が不安定になるという展望はすでに2008年北京オリンピック以前から出ていた。高度成長の後遺症で発生したバブルのためにオリンピックを開催したら中国経済が後退するかもしれないという観測だった。

    (1)「中国経済はオリンピックを開催して垂直上昇した。2010年には日本を抜いて国内総生産(GDP)が米国に続き世界2位に浮上した。その次は、中国の米国経済追越し論が急浮上した。2030年には中国が世界1位経済大国になるという展望が相次いだ。最近、中国はまた世の中を驚かせている。消費と輸出がどちらも落ち込んでいるためだ。「世界の工場」として世界経済を思うがままに動かす経済大国に浮上した中国の突発状況だ。中国に集まっていた外国人投資家の熱気も急冷している。今年4~6月期外国人直接投資は統計作成以来25年ぶりに最低値に落ちた。中国から手を引いた外国人はインド・ベトナムなどに投資先を変えている」 

    中国が、2030年に世界1位経済大国になるとの予測は完全な間違いである。過去の成長率を単に延長しただけの話だった。本欄は、これを一貫して否定したが、不動産バブルによる一時的な現象で構造要因を無視した「おとぎ話」である。 

    (2)「重要なのは今後、中国経済が韓国に及ぼす影響だ。そのヒントはジャパニフィケーション(日本式長期沈滞)から伺える。日本は1990年をピークに「失われた30年」の罠に陥った。最近なんとか底を打って回復の兆しを見せているが、本格的な回復に向かうものなのかどうかは不確かだ。中国経済がジャパニフィケーションに苦しめられるいくつかの理由うち、最も大きいものは米国の全方向的牽制だ。日本は80年代米国をあともう少しで追い越すというところまで経済が急成長した。『「NO」と言える日本』という本が出版されて日本列島が浮き立っていた。この時、米国はプラザ合意と半導体協定を通じて日本の金融と産業成長を牽制した。その反射利益で韓国は半導体産業を育成することができた」 

    日本の米国経済追い抜き論は、バブル経済のもたらした幻想に過ぎない。日本も浮かれていたのだ。バブルとはこういう幻想が、さも現実化するように人々の感覚を狂わせるものである。中国も同じである。

     

    (3)「2018年以降、米国は与野党が超党派的に中国の追撃を抑制している。共和党陣営のトランプ大統領が火ぶたを切って関税障壁を高くし、民主党陣営のバイデン大統領がバトンを受け継いで半導体科学法・インフレ抑制法で中国の半導体技術確保を遮断するために乗り出した。この隙に日本は千載一遇の漁夫の利を得ている。米国からの支援の下、半導体生産体制を復活させることができるようになったためだ」 

    日本経済が、長期停滞に陥った最大要因はバブル崩壊である。これに追打ちをかけたのは、米国の日本追い落としである。異常円高へ誘導して、日本経済の息の根を止め、「真珠湾攻撃」の仇討ちをしたと思えば間違いない。米国は今、この手法を中国に向けている。中国を叩き日本を支援する。こういう構図に変わったのである。 

    (4)「内部的にはバブル経済が、ジャパニフィケーションを加速させることができる。中国の内需状況を覗いてみると30年前の日本と酷似している。まず不動産から揺れている。恒大をかろうじて救ったと思ったら(注:倒産していないだけ)、今度は碧桂園が迷走している。日本経済は不動産市場の下落と共に深いデフレーションの深淵に引きずり込まれていった。不動産価格が落ちれば企業の資産価値とともに個人の財産も減ることになる。これが消費萎縮につながり、企業が雇用を減らす悪循環のブラックホールに陥る」 

    中国は、内需建直しに全力投球すべきだがそれを怠っている。台湾侵攻計画が控えているので、内需への財政支出を抑えているからだ。これは、中国の将来を台無しにする無謀な政策である。まさに、「一将功成りて万骨枯る」である。

    (5)「輸出において韓国の中国依存度は最近19%台まで低くなった。中国との貿易収支も赤字に転換した。反面、米国に対する輸出依存度は急増している。もうこれ以上中国成長に便乗して韓国経済が成長を享受した時代ではない。それだけ韓国は市場多角化に速度を出さなければならない。その最大の武器は「製品とサービスの超格差」しかない。ちょうど韓日米首脳が次世代技術協力体制を構築することで合意し、中国はジャパニフィケーションに入りつつある。この巨大なサプライチェーン地殻変動の影響に我々がしっかりと備えなければならない時だ」

    韓国経済の危機は、先の日米韓3カ国合意による経済面での取組みにおいて解決するほかない。韓国左派は、日米韓3カ国合意を蛇蝎のように嫌っているが、いずれその有り難みを知る時期がくるはずだ。

     

    次の記事もご参考に。

    2023-08-24

    メルマガ492号 日米韓3カ国合意、最大受益者は「韓国」 左派が妄言「BRICSへ加

     

     

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    怒濤のように押し寄せていたEV(電気自動車)熱が、冷めてきたようである。トータルで計算した二酸化炭素排出削減では、HV(ハイブリッド車)が有利という知識が徐々に広まってきた結果であろう。トヨタ自動車の前社長豊田氏は、HV有利説を唱えていた結果、先の株主総会では環境派から役員追い落としの標的にまでされた。その熱気が、たった2ヶ月で冷めてしまったとは不思議な話だ。 

    『ロイター』(8月26日付)は、「米国でHV車に想定超える人気、分かれる各社の戦略」と題する記事を掲載した。 

    自動車業界は完全な電気自動車(EV)化の動きが急激に進むが、ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車(HV)は思いのほかしぶとく生き残るかもしれない。 

    (1)「フォード・モーターは最近、今後5年間でHVの販売を4倍に増やす計画を公表。同社のほかトヨタ自動車やステランティスなど大手が、向こう5年間に米国で生産・販売するHVは数十万台規模に上ると予想されている。各社は、より持続可能な交通手段を目指しながらも一気に完全EV化する準備が整っていない個人・法人顧客向けに対し、代替手段としてHVを売り込んでいる 

    フォードは今後5年間でHVを4倍に増やす計画を発表した。トヨタはHVの元祖であるから当然だが、ステランティス(仏のプジョーシトロエンと伊のフィアットの対等合弁会社で世界4位)も増産体制を固める。完全EV化が困難な現在、HVが有力な代替手段である。

     

    (2)「ニューヨークを拠点とする投資マネジャー、インガルス&スナイダーのシニア・ポートフォリオ・ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「HVは多くの米国人にとって実に役に立つ」と話した。「HVは完全EVに代わる素晴らしい選択肢であり、多くの顧客向けに売りやすい」という。完全EVに対する消費者の需要は予想ほど加速せず、HVへの関心は持ち直しつつある。調査ではEV需要低迷の理由として、初期コストの高さや航続距離への懸念、充電時間の長さ、充電ステーションの不足などが挙げられている 

    完全EVは、未解決な多くの問題を抱えている。トータルの二炭化炭素排出問題で、HVには敵わない弱みがあるのだ。その点で、HVはEVを超えていることが立証されている。 

    (3)「S&Pグローバル・モビリティの推計によると、HVは今後5年間で3倍以上増え、2028年には米国の新車販売に占める割合が24%に達する見込み。完全EVは37%程度、モーターの出力が控えめな「マイルドハイブリッド」を含む内燃機関車の比率は40%近くと予想されている。S&Pは今年の米国での販売に占める割合は、HVが7%にとどまり、完全EVは9%で、内燃機関車が80%以上を占めると見込んでいる。歴史的に見ると、米国ではHVが全体の販売に占める割合は10%未満で推移、モデル別ではトヨタのプリウスが長年にわたり人気を維持してきた。トヨタは完全EVへの投資をゆっくりと拡大する中で、HVが同社の長期的なEV化計画において重要な役割を担うとの見解を一貫して示してきた 

    米国ではHVの復活が予測されている。S&Pのシェア予測では、28年のHVが24%、EVは37%と見ている。HVは、長く10%未満のシェアであった。それが、24%まで上がれば「大健闘」である。トヨタの戦略通りの動きを見せている。

     

    (4)「直近、HVに積極的な姿勢を示したのがフォードだ。ジム・ファーレイ最高経営責任者(CEO)は7月下旬に行った第2・四半期決算説明会で、今後5年間にHVの販売台数を4倍に増やすと述べ、アナリストを驚かせた。ファーレイ氏はアナリストに「EVへの移行はダイナミックなものになるだろう」と述べながらも「勝ち組と負け組がはっきりするまで、EV市場は不安定な状態が続く」と予想した。フォードの競合メーカーのうち、ゼネラル・モーターズ(GM)は米国でのHV展開にあまり意欲がないようだ」 

    米国では、フォードがHVへ積極的姿勢である。GMは無関心である。 

    (5)「一方、ステランティスは先行するトヨタとフォードに追随し、完全EVの販売が2020年台半ば以降に本格化するまで、HVを含むさまざまな選択肢の駆動方式を米消費者に提供すると、調査会社グローバルデータは予測している。GMは声明で「EVの未来に深く関与し続ける」と表明。「品ぞろえにはHVもあるが、2030年までにポートフォリオをEVに移行することに軸足を置いている」と説明した。ステランティスによると、HVが現在の販売に占める比率は「ジープ・ラングラー」で36%、「クライスラー・パシフィカ」で19%。広報担当者は、近々発売される完全EVの新モデルとともに「HVには今後も非常に強気だ」と述べた」 

    ステランティスは、トヨタやフォードに倣ってHV増産に乗り出すのは、世界の潮流がHVへ向っていることを証明している。トヨタ路線に賛同した形である。

     

    (6)「米国では、多くのディーラーでHVの供給が不足したままだ。フロリダ州ジャクソンビル南方のセントオーガスティンにある現代ディーラーのアンドリュー・ディフェオ氏は、EVの充電ステーションがガソリンスタンド並みに増えるまで、EVの普及がバイデン政権の望むレベルに達することはないと考えている。「未来がどうなろうと、HVは重要な橋渡し役」と強調。「(HVの在庫は)払底しているが、入荷すれば全部売れるほど購入希望の顧客がいる」と語った」 

    米国では、HVの人気が高く入荷すれば全部売れてしまうほど。慢性的な供給不足に陥っている。

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    中国は、景気対策で財政資金を投入することに極めて神経質になっている。財政資金は、台湾侵攻に備えた軍備増強に回す意図と見られる。そこで編み出された手法は、住宅販売を促進するというこれまでに使い古した手段である。1軒目を購入してローン支払中の人でも、2軒目が同じ条件で購入できるというもの。住宅が、もはや有利な投資物件でなくなった現在、誰が喜んで2軒目を購入するだろうか。世論からかけ離れた感覚に驚かされるのだ。

     

    不動産開発大手の碧桂園は今月、ドル建て債2本で期日までに利払いを実行できず、30日間の猶予期間に入っており、デフォルト(債務不履行)の恐れが出ている。リスクは金融セクターにも広がりつつあり、不動産に大きな貸出を持つ信託会社が一部の商品で期日までに支払いを履行できなかった。こういう緊迫した状況下で、「青田買い」の住宅購入は絶望的のはずだ。すでに、竣工済みであれば、確実に入手できるが、これから建設する物件は余りにもリスキーである。

     

    中指控股のチェン・ウェンジン副研究主任は、「不動産市場の低迷は8月に入っても和らいでいない」と指摘している。「地方の政策支援が講じられるまである程度の時間がかかることを踏まえると、短期的にはこうした市場環境が続く恐れもある」と述べている。『ブルームバーグ』(8月16日付)が報じた。

     

    『ブルームバーグ』(8月25日付)は、「中国が住宅購入規制を緩和 一次取得者の対象拡大-景気支援図る」と題する記事を掲載した。

     

    中国当局は景気を下支えするため、居住用不動産市場のてこ入れを目的とした住宅ローン政策の追加緩和を公表した。

     

    (1)「住宅ローンを組んだことがある人に関して、完済していた場合でも主要都市で一次取得者と見なすことを認めていなかったルールを巡り、地方政府がこれを撤廃することを可能とする案を当局は提示している。住宅都市農村建設省や中国人民銀行(中央銀行)、国家金融監督管理総局を引用して国営新華社通信が25日伝えた。通知によると、この政策を採用するかどうかの裁量は市政府に与えられる」

     

    習近平氏は、「住宅は住むためのもので投機対象でない」と言いきってきた。ところが2軒目購入でも、「1件目購入と同じ扱い」と優遇策を発表している。明らかに「投機対象」である。こういう矛盾したことを平気で行っているのだ。背に腹はかえられない、からであろう。

     

    (2)「中国の不動産セクターは低迷しており、リスクは同国金融システムに広がりつつある。当局はこれまでも対策を講じてきたが、不動産市場の回復を維持するには至っていない。国内で価格下落が広がっており、政府が今年の国内総生産(GDP)成長率目標として設定した5%前後の達成も危うくなりつつある。ジョーンズ・ラング・ラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト兼調査責任者、龐溟氏は「今回の政策は住宅需要に確かにプラスで、支援材料にはなる」としながらも、「不動産市場への効果については、住宅価格の下方スパイラルで信頼感や心理の持ち直しにはさらに時間を要するだろう。まだ転換点にはない」と話す」

     

    住宅購入層は、30~40代の人たちだが確実に減少している。潜在的な需要がなくなったところへ、販売促進をかけても無駄である。それも分らずに騒いでいる。気の毒さを超えて哀れに見えるのだ。

     

    (3)「少なくとも10の大都市では、住宅ローン利用歴があるものの、現在は住宅を保有していない購入者でも高めの頭金要件の対象となり、借り入れ制限も厳しい。こうした人々は二次取得者として扱われるため、需要はその分抑えられていた。北京市の場合、二次取得者の頭金比率は最大80%。一次取得者は40%となっている。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、邢兆鵬氏は「一線都市の中心地区がこの政策を採用するかどうかが鍵だ。採用するなら住宅市場の活性化に寄与するだろう」と指摘。「その逆なら効果は小さくなる」とも述べた」

     

    住宅購入は北京市の場合、頭金が一次取得者40%、二次取得者80%である。この80%は極めて高いが、それを40%に引下げるというもの。購入した住宅価格が値下がりリスクを抱えている以上、誰が喜んで購入するだろうか。それならば、国債を購入した方が有利であろう。国民は、もはや住宅に執着していないのだ。 

     

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    韓国最大野党「共に民主党」は相変わらず、福島処理水放出に反対運動を続けている。目標は、来年4月の総選挙対策である。党代表も李在明氏は、在宅起訴で被告の身である。選挙では不利になるこうした汚点を「福島処理水放出」反対で覆い隠そうという狙いであろう。ドイツ・メディアからも「政治目的」に利用と、厳しく指摘されている。

     

    『朝鮮日報』(8月26日付)は、「独メディア、韓国の野党『日本の汚染水を政治利用 我々は仏原発の方が心配』」と題する記事を掲載した。

     

    24日に始まった日本の福島原子力発電所汚染水(日本は「処理水」と表記)放出について、西側各国のメディアは「周辺国の反発は科学的根拠に基づくものではなく、政治的な動機によるもの」との見方を相次いで報じた。この論調はドイツ・メディアで特に際立っている。

     

    (1)「ドイツの経済誌『ハンデルスブラット』は24日(現地時間)「日本の計画が周辺に禍(わざわ)いをもたらす理由」という見出しの記事で、「中国と韓国左派陣営の批判が特に強い。彼らの抗議は何よりも政治的な動機によるものだ」と指摘した。さらに「韓国の保守政権は計画が科学的・技術的に問題がないと表明し、韓国の科学者たちも韓国周辺海域で測定可能なほどの影響はないとの見方を示した」「それにもかかわらず多くの韓国人が恐怖に震えており、左派陣営の野党・共に民主党はこれを利用している」と説明した」

     

    下線部の指摘は、本質を突いている。日本は、こういう「悪意ある」集団に囲まれている。いかにしたら理解させられるか。

     

    (2)「ドイツのフリードリヒ・ナウマン自由財団韓国事務所のフレデリック・シュホア所長は同メディアの取材に「福島問題における一連の事態はまさに反日主義」「共に民主党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対して『日本に屈服した』と非難するだろう」との見方を示した。『ハンデルスブラット』は、「今回の問題は中国指導部にとっても適切なタイミングだった」と分析している。共産党統治の正当性を学校教育などで説明する際には反日宣伝が公然と利用されており、また中国は韓国と日本を仲違いさせるため韓国国内の反発を利用できるというのだ。その一方で同メディアは「事実関係によって批判に対抗することは日本の手にかかっている」「(原発を運営する)東京電力はトリチウム処理において一切のミスも容認してはならない」と指摘した」

     

    改めて、韓国左派が中国と「べったり」な関係にあるかを示している。この両者は、示し合わしたような振舞である。要するに「同じ穴の狢(むじな)という結論になる。文政権が一筋縄で行かなかった背景がよく分る。

     

    (3)「ドイツの有力紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』は、「今回放出される汚染水は徹底してろ過・希釈されており、国際原子力機関(IAEA)も今回の措置は無害と判断している」と報じた。さらに韓国と中国の食品メーカーの株価急騰も伝え「他国の食品メーカーが日本の放出計画の恩恵を受ける可能性もある」と予想した」

     

    韓国左派は、IAEAの存在など眼中にない振舞だ。

     

    (4)「ハノーバー放射線生態学・放射線防護研究所のクレメンス・バルター教授は週刊誌『シュピーゲル』とニュース番組ターゲスシャウとのインタビューで「福島県沖合の魚には問題がない。むしろフランス北部沿岸で水揚げされる魚の方にもっと多くの関心を傾けるべきだ」と述べた。フランス北部のラアーグに建設された核燃料再処理施設からは毎年数百万リットルの汚染水が排出されているが、トリチウムやセシウム137など放射性物質の量は福島に排出される量よりもはるかに多いという。ドイツ国営放送の『ZDF』はフランスのラアーグ再処理工場、英国のセラフィールド原発、中国広東省の陽光原発、韓国の古里原発など海沿いに建設された原発関連施設に言及し「原子力発電所の冷却水を海に放出することは日常的に行われている」と伝えた」

     

    ドイツでは、隣国フランスの汚染水放出のほうが気になるという。中国は、日本以上の放射能を海中に放出している。こういう「輩」をどうやったなら理解させられるか。中国は、収拾に当たって逆に頭を悩ますであろう。その方が見物である。

     

    (5)「英『BBC』は、汚染水放出に関する各国の立場の違いや反発について報じ、これを「政治論争」と指摘した。BBCは「中国の今の反応は健康への懸念だけでなく、政治的な動機によるとの分析もある」「日本が米国とさらに親密になり、台湾を支持することでここ数年中国と日本の関係は悪化していた」と報じた。アジア・ソサエティー政策研究所の中国外交政策専門家、ニール・トーマス氏はBBCの取材に「今回の出来事は、日中関係悪化の原因というよりも、日中関係悪化の『症状』だ」「中国の輸入業者などへの悪影響を抑えるため、日本の水産物禁輸措置は比較的短期間で、対象も限定的となる可能性がある」と予想した」

     

    BBCは、的確な表現を使っている。日中関係が悪化しているので、中国流の「しっぺ返し」としている。そういう面もあろう。

     

     

     

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