3カ国の安全保障体制強化
親中朝左派を正道に戻す道
中国経済凋落の道づれ回避
金食い虫で低いR&D能力
8月18日、日米韓3カ国首脳による「キャンプデービッド」会談は、韓国外交にとって大きなマイルストーンになろう。朝鮮李朝以来600年、朝鮮半島のみの利害で決められてきた韓国外交が、ようやく南シナ海や東シナ海へ視野を広げ、その中で自国の安全保障を捉える立場へと成長したからだ。
ただ、韓国には李朝と同様に朝鮮半島のみの利害で物事を考える左派勢力が存在する。政権が左派の手に移ればどうなるか。韓国有権者の選択によって政権交代が起れば、外交政策も変えられるという理屈に基づいて、左派勢力はひっくり返す機会を狙っている。こういう懸念に対しては、「歯止め装置」がついている。経済面で日米韓3カ国が緊密に連携するというもの。このほか、技術面で連携するという「メニュー」が揃えられているのだ。
中でも、韓国の業病であるウォン不安は、日米韓財務相会議が常設されるのでこの場で対応できるメリットがある。世界の基軸通貨国である米国財務相といつでも相談できるメリットはことのほか大きいはずだ。これまでの韓国は、米国の同盟国だが「外様」扱いであった。それが、「譜代」へ格上げされることになろう。
日本は、太平洋戦争敗戦国であるから当然、長いこと「外様」であった。それが、米中対立という地政学的リスクを背景にして、一挙に英国と同様に「親藩」扱いになった。韓国左派からみれば面白いはずがない。敗戦国・日本が、韓国よりも上位の「親藩」とは何事かという反発である。これが、日米韓3カ国合意における強い日本へのこだわりとなっている。
3カ国の安全保障体制強化
ここで、今回の日米韓3カ国の合意事項について振り返っておきたい。安全保障では、次のような取り決めが行われた。
1)首脳および外相・国防相などの会合の定例化。
2) 安保危機時には、互いに協議する。
1)と2)を素直に読めば、日米韓3カ国に関わる安全保障上の緊急事態が起れば、互いに協議することになっている。この制度化によって、合同の「軍事行動」が行われる可能性が出てくる。3カ国は「同盟」を結んでいないから、即時に一致した軍事行動に移らないが、「協議」することになっている。普段の3カ国による軍事演習は、「危機発生」を前提にしているので、米国と共に行動することは明白である。それを、文書化していないだけとみるべきだろう。
韓国左派は、これが危険であると指摘する。韓国が、日米の利害に絡む軍事紛争に巻き込まれるとしている。この議論を敷衍すれば、朝鮮半島の軍事紛争に日本も巻き込まれる危険性があるのだ。日本には、在韓米軍の後方基地が7カ所もある。日本は、在韓米軍に協力することで軍事紛争の早期解決を支援するはずである。つまり、韓国左派は「自国だけ安全であればそれで十分」という、同盟の精神から全く外れた思考の持ち主である。
これは、左派が同盟という本来の意味を理解していない結果だ。同盟は、戦争に巻き込まれるのでなく、戦争を防ぐ役割を果たす。ドイツ哲学者カントは、『永遠平和のために』(1795年)の中で、共和国(民主的国家)の同盟が独裁者から身を守る手段であると強調している。これは現代に通じる名言だ。
韓国左派には、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)へ加盟すべしとの極論がある。韓国の将来市場は、先進国よりも開発途上国にあること。韓国が、彼らに必要な中上級技術と製品を最も多く保有しているなどの理由を挙げている。本音は、中ロと縁を切りたくないのだ。ここまで来ると、世界情勢の急変など意にも介さない幼稚さが全面か化していると言うほかない。
欧州に第二次世界大戦後、戦争が起らなかったのは、NATO(北大西洋条約機構)が存在した功績である。ウクライナは、NATOへ加盟していればロシアの侵略を受けなかったであろう。ロシアも中国も、この同盟を最も忌み嫌っている。それは、同盟がもたらす結束力が侵略の壁になるからだ。独裁者は共通して、「合従連衡」を基本にしている。「合従」(同盟)を嫌い、「連衡」(一対一の関係)にして征服する。始皇帝は、これによって中国を統一した。中国が、台湾侵攻計画でこの戦略を用いることは明白だ。
中国は、台湾侵攻計画で日米韓3カ国が結束することをもっとも忌避している。だから、3カ国の「キャンプデービッド」会談を、絶対に容認できないと批判するのだ。韓国左派は、この中国の詭弁に乗せられているもので、視野が極めて狭いのだ。
親中朝左派を正道に戻す道
韓国左派が、政権へ就任したときに今回の合意から抜け出さないよう、「人参」(装置)が用意されている。3カ国の関係が、安全保障中心の協力レベルを越えて、サプライチェーン・技術・金融の側面でも共に行動する包括的な協力関係へ格上げされているからだ。(つづく)
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