勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2023年08月

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    3カ国の安全保障体制強化

    親中朝左派を正道に戻す道

    中国経済凋落の道づれ回避

    金食い虫で低いR&D能力

     

    8月18日、日米韓3カ国首脳による「キャンプデービッド」会談は、韓国外交にとって大きなマイルストーンになろう。朝鮮李朝以来600年、朝鮮半島のみの利害で決められてきた韓国外交が、ようやく南シナ海や東シナ海へ視野を広げ、その中で自国の安全保障を捉える立場へと成長したからだ。

     

    ただ、韓国には李朝と同様に朝鮮半島のみの利害で物事を考える左派勢力が存在する。政権が左派の手に移ればどうなるか。韓国有権者の選択によって政権交代が起れば、外交政策も変えられるという理屈に基づいて、左派勢力はひっくり返す機会を狙っている。こういう懸念に対しては、「歯止め装置」がついている。経済面で日米韓3カ国が緊密に連携するというもの。このほか、技術面で連携するという「メニュー」が揃えられているのだ。

     

    中でも、韓国の業病であるウォン不安は、日米韓財務相会議が常設されるのでこの場で対応できるメリットがある。世界の基軸通貨国である米国財務相といつでも相談できるメリットはことのほか大きいはずだ。これまでの韓国は、米国の同盟国だが「外様」扱いであった。それが、「譜代」へ格上げされることになろう。

     

    日本は、太平洋戦争敗戦国であるから当然、長いこと「外様」であった。それが、米中対立という地政学的リスクを背景にして、一挙に英国と同様に「親藩」扱いになった。韓国左派からみれば面白いはずがない。敗戦国・日本が、韓国よりも上位の「親藩」とは何事かという反発である。これが、日米韓3カ国合意における強い日本へのこだわりとなっている。

     

    3カ国の安全保障体制強化

    ここで、今回の日米韓3カ国の合意事項について振り返っておきたい。安全保障では、次のような取り決めが行われた。

    1)首脳および外相・国防相などの会合の定例化。

    2) 安保危機時には、互いに協議する。

     

    1)と2)を素直に読めば、日米韓3カ国に関わる安全保障上の緊急事態が起れば、互いに協議することになっている。この制度化によって、合同の「軍事行動」が行われる可能性が出てくる。3カ国は「同盟」を結んでいないから、即時に一致した軍事行動に移らないが、「協議」することになっている。普段の3カ国による軍事演習は、「危機発生」を前提にしているので、米国と共に行動することは明白である。それを、文書化していないだけとみるべきだろう。

     

    韓国左派は、これが危険であると指摘する。韓国が、日米の利害に絡む軍事紛争に巻き込まれるとしている。この議論を敷衍すれば、朝鮮半島の軍事紛争に日本も巻き込まれる危険性があるのだ。日本には、在韓米軍の後方基地が7カ所もある。日本は、在韓米軍に協力することで軍事紛争の早期解決を支援するはずである。つまり、韓国左派は「自国だけ安全であればそれで十分」という、同盟の精神から全く外れた思考の持ち主である。

     

    これは、左派が同盟という本来の意味を理解していない結果だ。同盟は、戦争に巻き込まれるのでなく、戦争を防ぐ役割を果たす。ドイツ哲学者カントは、『永遠平和のために』(1795年)の中で、共和国(民主的国家)の同盟が独裁者から身を守る手段であると強調している。これは現代に通じる名言だ。

     

    韓国左派には、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)へ加盟すべしとの極論がある。韓国の将来市場は、先進国よりも開発途上国にあること。韓国が、彼らに必要な中上級技術と製品を最も多く保有しているなどの理由を挙げている。本音は、中ロと縁を切りたくないのだ。ここまで来ると、世界情勢の急変など意にも介さない幼稚さが全面か化していると言うほかない。

     

    欧州に第二次世界大戦後、戦争が起らなかったのは、NATO(北大西洋条約機構)が存在した功績である。ウクライナは、NATOへ加盟していればロシアの侵略を受けなかったであろう。ロシアも中国も、この同盟を最も忌み嫌っている。それは、同盟がもたらす結束力が侵略の壁になるからだ。独裁者は共通して、「合従連衡」を基本にしている。「合従」(同盟)を嫌い、「連衡」(一対一の関係)にして征服する。始皇帝は、これによって中国を統一した。中国が、台湾侵攻計画でこの戦略を用いることは明白だ。

     

    中国は、台湾侵攻計画で日米韓3カ国が結束することをもっとも忌避している。だから、3カ国の「キャンプデービッド」会談を、絶対に容認できないと批判するのだ。韓国左派は、この中国の詭弁に乗せられているもので、視野が極めて狭いのだ。

     

    親中朝左派を正道に戻す道

    韓国左派が、政権へ就任したときに今回の合意から抜け出さないよう、「人参」(装置)が用意されている。3カ国の関係が、安全保障中心の協力レベルを越えて、サプライチェーン・技術・金融の側面でも共に行動する包括的な協力関係へ格上げされているからだ。(つづく)

     

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    https://www.mag2.com/m/0001684526

     

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    中国が、日本などへの団体旅行を解禁したことから予約が急増している。中国旅行会社は、日本への旅行メニューを978種類も取りそろえているほどだ。韓国向けメニューの10倍という。中国各地から飛行機で12時間以上かかるドイツ、オーストラリア旅行パッケージはそれぞれ643種類、150種類の商品が予約を受け付けている。 

    『中央日報』(8月23日付)は、「韓国103種類だけなのに10倍多い日本 中国団体観光客が集まる」 

    中国政府が訪韓団体観光を許容したが、市中で予約を受付中の韓国行き団体観光商品は日本などの競争国に比べて少ないことが分かった。現地では中国人の韓国旅行に対する関心が過去に比べて落ちたという指摘が出ている。

    (1)「中国最大の観光ポータルサイト「Qunar」で16日現在、年末まで中国一線都市である北京・上海・広州・深圳など4都市から出発する団体旅行を確認した結果、今年下半期韓国行き団体観光商品は合計103種類だった。反面、同じ期間日本行き観光商品は約978種類に達した。韓国行き商品は日本行き商品の10.5%にとどまった。日本の場合、東京・大阪・名古屋など9地域のパッケージがある反面、韓国はソウル・済州(チェジュ)の2地域だけだった」 

    日本列島は、どこにでも観光地があるという立地条件にも恵まれている。韓国は、ソウルと済州の2カ所だけという。 

    (2)「北京の会社員男性チンさん(38)は、「日本アニメが中国で人気があり、日本に対する好感度も高い」とし、「韓流に関心がある女性層もいるが、2つのうちどちらか選べと言われたら日本のほうが人気なのが事実」と話した。韓国の場合、済州に対する旅行の需要が最も高かった。中国人が済州に旅行する場合、ノービザ入国が可能で手続きがスムーズなためだ。中国発クルーズ船の済州寄港申請が急増したのもこのためだ。上海などで夜間時間に航海して済州に到着した後、翌朝から全日旅行を始めるコースだ。帰国日も夜間を利用したいわゆる3泊5日パッケージが大部分だ。また、済州で1日を過ごした後、日本へ行って2日過ごす団体観光クルーズ商品も人気だ 

    上海出航の3泊5日クルーズ船では、済州で1日過ごし日本で2日過ごすプランである。これは、予約が殺到して51便までの入港予約が済州へ出されている。

     

    (3)「中国観光ポータルサイト「Ctrip」(携程)関係者は中央日報紙の取材に電話に対して、韓国観光商品に対する人気が落ちた理由に対して「THAAD(高高度防衛ミサイル)事態以降、6~7年間韓国の有名歌手や芸能人が中国に来ることができず、両国間の交流が激減し、韓国に対する好感度が非常に落ちたことは事実」としながら「また別の理由として、コロナ以前まで化粧品や電子製品など韓国のものに対する中国人の人気は高かったが、自国の競争力が高まって韓国に行くべきメリットが少なくなった面もある」と説明した」

    中国での韓国人気が落ちているという。THAAD問題で、中国が韓国芸能人を締め出していた影響もあるという。中国人の韓国製化粧品や電子製品などに対する人気が、下がっていることも響いている。

    『ブルームバーグ』(8月23日付)は、「海外投資家が日本のホテルに2900億円投資 アジア事業用不動産で最多」と題する記事を掲載した。 

    中国人観光客の回帰に後押しされた日本の観光ブームと、過去およそ40年間で最高水準のインフレが、日本のホテル投資に拍車をかけている。

     

    (4)「調査会社MSCIリアル・アセッツによると、外国人投資家は2023年に日本のホテル案件でこれまで20億ドル(約2900億円)を投じており、アジアの事業用不動産の他のセクターと比べて最も多い。これは昨年の14億ドルをすでに上回った。観光客による旺盛な宿泊需要と価格の上昇が、投資家にとって理想的なシナリオを生み出している。インフレ環境下では、ホテルはリアルタイムで宿泊料金を変更して価格設定を調整できるため、低い賃貸価格が何年も固定される可能性のあるアパートやオフィス、倉庫よりも魅力的だ。その上、円安は観光客や投資家にとって日本をより魅力的な国にしている」 

    ホテル経営は妙味があるという。宿泊料金は、需要に応じて変えられる点で、オフィスやアパートより弾力的な料金設定ができるからだ。 

    (5)「台湾を拠点とするプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンド、エンビジョン・インベストメント・マネジメントのケニー・ホー最高経営責任者(CEO)は「われわれは新たな買収の機会を積極的に探している」と指摘。「日本に海外からの観光客が増加するにつれ、ホテル市場も成長し、多様化してさまざまなタイプの宿泊需要を満たすことができるだろう」と語った」 

    日本への海外旅行客増加とともにホテル不足は明らか。今後の有望マーケットである。 

    (6)「米投資ファンド、ブラックストーン・グループ不動産部門日本代表の橘田大輔氏は今月、ブルームバーグとのインタビューで日本の不動産市場は「引き続き非常に魅力的」とした上で、特に一段のインバウンド需要が見込めるホテルなどに好機を見いだしていると語った 

    インバウンド需要が見込めるホテル投資に好機を見いだしている。全般的に、日本の不動産が海外の関心を集めている。

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    習近平氏は、現象面だけをみて政策を決めている。その背後にある多くの要因を無視するので、とんでもない結果を生んでいる。21年、市民の生活費負担を軽くする名目で学習塾を禁止した。それが、何をもたらしたか。大卒者の有力就職先を奪ったのだ。習氏の政敵打倒で始めたIT関連企業取締りも、大卒者の有力雇用先の発展チャンスにタガをはめてしまった。こうした計算違いが今、ブーメランとなって中国社会へ“逆襲”しようとしている。 

    『フィナンシャル・タイムズ』(8月21日付)は、「中国の高齢化、日韓より深刻」と題する記事を掲載した。 

    中国政府は、自国の成長は独自の「中国モデル」によるものだとよく強調するが、中国経済の軌跡は日本や韓国のそれと極めて似通った道をたどっている。つまり、経済発展の当初は、低コストの労働力を強みに輸出主導で急速な工業化を進めたものの、ここへ来て成長が鈍化しているのは人口の高齢化と減少に密接に結びついている。 

    (1)「欧米では中国経済が現在、デフレや不動産バブル、債務危機に直面するのに伴って、まさに「日本化」しつつあるのではないかというリスクが頻繁に語られている。しかし、中国は経済面だけでなく社会面でも日本や韓国と類似性を抱えている点も懸念すべきだろう。これら3カ国はいずれも極めて低い出生率に悩まされており、これが経済への負担増を招く人口減少や高齢化につながっている」 

    後世の歴史家は、中国衰退は「習近平国家主席の時代に始まった」という烙印を押すことになろう。

     

    (2)「中国当局から見ても、日韓の状況は自国と恐ろしく似ていると感じる部分があるかもしれない。というのも中国では経済成長率が減速し、若年の失業20%を超えるなか、報酬などが魅力的な職は減りつつあり、そうした仕事に就くための熾烈な就職競争を諦めて、代わりに最低限の生活でよしとする「寝そべり族」が増えているからだ」 

    若者に仕事がない以上、「寝そべり族」出現は自然のことだ。 

    (3)「日本では2011年、韓国は20年から人口が減少に転じたのに続き、中国でも22年、約60年ぶりに減少に転じた。中国当局にとって懸念すべきは、中国の人口減少が始まった時の国民の平均資産が日本や韓国が減少に転じた時よりも少ないことだ。中国政府は目下、出生率の引き上げに躍起となっている。だが日本と韓国の取り組みを見れば、これがいかに容易には実現できないかがわかる。それどころか中国の場合、就職先が見つからず、自分が住むアパートも借りられない若者は所帯を持つ見込みも低いため、人口動態はさらに悪化する恐れがある」 

    22年の合計特殊出生率は、1.09という驚くべき低さであった。今年か来年には、韓国と同様に1を割るだろう。もはや、中国の命脈は尽きかけたと言っても良い。

     

    (4)「中国の習近平国家主席は21年、若者が直面する圧力を軽減し、子育てにかかるコストを抑えるため、塾など学校以外において営利目的で教えることを厳しく規制した。ところが、この施策は狙いに反し、大学を卒業した若者にとって最大の就職先のひとつを奪う結果となった」 

    20年の合計特殊出生率が、1.30と急低下した原因を学習塾になすりつけて廃止させた。現実は、「地下」で潜り家庭教師が増えている。むしろ、過程の出費は増えているのだ。 

    (5)「日本と韓国は民主主義国として確立しているのに対し、中国は中国共産党による一党独裁国家の下で経済成長が鈍化することになる。その中国政府には若者が抱く不平や不満について警戒すべき歴史的な理由が十分にある。というのも1919年と1989年に社会を揺るがすような学生運動が起きたからだ。中国政府はこれを弾圧によって押さえ込んだ。監視国家である中国が、学生の不満やデモ活動を鎮圧する術を持っているのはほぼ間違いない。これに対し日本や韓国などの民主主義国の方が、社会的不満のはけ口となる安全弁が多くあり、政治的な試みを進める余地が大きい」 

    1919年は「5・4運動」である。日本が、第一次世界大戦でドイツ敗北による中国権益を譲渡されることへ反対した学生運動だ。1989年は、天安門広場での学生弾圧で3000人とも言われる犠牲者が出た事件である。中国の若者が立ち上がるとこういう大規模な事件へ発展する。

     

    (6)「中国の一党独裁制は常に警戒感が強く、こうした柔軟性は存在しない。習氏が推し進める自身への個人崇拝や「中国国民の大いなる復活」を絶対に実現させるという強気の姿勢によって、中国が直面している複雑な社会的、経済的課題について公に議論する道は閉ざされている」 

    習氏は、「習近平思想」と称するものを国民に強要している。恥ずかしい行為と思わないところが、中国の限界であろう。これしか、国家を統一する術がなくなっている証明だ。 

    (7)「習氏は経済成長よりも国家安全保障と政治統制を重視する考えだ。若年層との対話を試みようにも、実態をあまり理解していない様子がうかがえる。希望を持てない若者に「苦いものを食べろ」と言っても響かないのは当然で、苦境の中にいるからこそ国民の一人ひとりの人格が磨かれるのだという郷愁も、全く異なる時代に生まれた今の若者にはまず共感できないだろう。中国における高齢化社会と低成長経済への移行は、日韓よりもはるかに難しく、一筋縄ではいかない可能性がある」 

    この先、中国共産党がいつまで保つのか。下線部の2大脅威(人口高齢化・低成長経済)を乗切れるのは、権威主義国家か自由主義国家か。世界史のエポックが始まる。

     

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    日米韓3カ国首脳会談は、有事の際は互いにすぐに連絡し合うという控えめの表現をしているが、結束力を前面に打ち出している。現実には、軍事行動で協調する前提ができあがっているのであろう。韓国では、日本防衛へ協力する時代が来たと「高揚」しているのだ。

     

    3カ国は、中国を牽制する目的で合意したものである。具体的には、中国による台湾侵攻を前提にしているが、中国軍は台湾と同時に尖閣諸島を攻撃する一方で、北朝鮮に再度38度線を突破させるという「大作戦」を展開すると見られている。中国軍は、戦線を拡大して米軍の消耗を激しくさせる戦術を取ると想定されているのだ。この場合、韓国軍が尖閣諸島防衛に参加することなど考えにくいのである。韓国は、北朝鮮の侵攻を阻止するのが精一杯であり、日本防衛に協力するなど逆立ちした議論と言うほかない。

     

    『東亜日報』(8月21日付)は、「韓米日会談で『拡大抑止』は議論せず 日本がNCG『参加拒否のため』」と題する記事を掲載した。

     

    「アジア内の武力衝突は(韓米日)公式同盟につながる可能性がある。いかなる潜在的な侵略国も韓米日の強力な対応可能性を考慮しないわけにはいかないだろう」(米ハドソン研究所アジア太平洋安全保障部長のパトリック・クローニン氏)。「韓国が日本の安全保障問題にまで貢献する状況に入った」(魏聖洛元駐ロシア大使)と指摘する。

     

    (1)「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とバイデン米大統領、岸田文雄首相は、米大統領山荘のキャンプデービッドで開かれた3ヵ国首脳会議で、「キャンプデービッド原則」、「キャンプデービッド精神」だけでなく、「3ヵ国協議に対する約束」を採択した。このような成果を導き出した今回の首脳会議について、韓米日の専門家らは、「3ヵ国安全保障協力の制度化」などを核心成果として評価したただし、韓国が日本の敏感な安全保障問題まで関与する可能性が高まったため、これに対する韓国内の世論の収斂と合意が必要だと提言した。一部では、韓国が対中関係の悪化を意識しなければならない「安保ジレンマ」に陥ったという懸念も提起された」

     

    韓国が、日本の安全保障に関わるとはあまりにも飛躍した議論である。これは、北朝鮮が韓国を侵略しないという前提の話である。北朝鮮の最近の動きは、韓国侵略が目的である。こういう現実を察知せず、韓国が日本の安全保障に関わることなどあり得ない。

     

    (2)「米ハドソン研究所アジア太平洋安全保障部長のパトリック・クローニン氏は、今回の首脳会議について、「北朝鮮だけでなく、インド太平洋とそれを越えた安全保障及び経済問題について韓米日が協力することを約束した」と評価した。魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐ロシア大使は、「3国間の安全保障協力メカニズムが初期段階で制度化された」と述べた。国立外交院のミン・ジョンフン教授も、「韓米日首脳会議を1年に1度開催するということは、(3ヵ国協力に)最優先順位を与えるということ」と強調した」

     

    韓国が、安全保障面で朝鮮半島から出てきたことは画期的なことである。「世界の中の韓国」という認識に立ったのだ。この認識が、左派には共有されていない点が欠陥である。

     

    (3)「3ヵ国の安全保障協力が北大西洋条約機構(NATO)のような集団安全保障同盟に進化するという観測も流れている。米戦略国際問題研究所(CSIS)のエレン・キム上級研究員は、「短期的には北東アジアクワッド(Quad)のような役割を果たすが、今後、他の安全保障協議体と連携して米国の同盟ネットワークに進化するだろう」と見通した。ブルックス研究所のアンドリュー・ヨー韓国部長は、「合同演習や情報共有、高官級及び実務級会議の定例化などの協力レベルを考えると、現時点で(韓米日は)すでに準同盟関係にあると見るべきだ」と主張した。国立外交院のキム・ヒョンウク米州研究部長も、「インド太平洋地域でクワッドやオーカス(AUKUS)を越えること以上の合意」とし、「韓米日が米国の対外政策の核心的な多国間協議体になった」と述べた。ただし、神田外国語大学の阪田恭代教授(国際政治学)は、「これまでの歴史、韓日間の戦略環境の違いを考慮すると、3国同盟に発展することは難しい」と見通した」

     

    3カ国が、NATO型の安全保障機構を持つには、韓国の「86世代」(1960年代生まれで80年代に学生生活を送った左派勢力)の影響力が消えるまでは不可能であろう。韓国の経済力がぐっと落ちて、反日が消えなければ無理だ。

     

    (4)「これらは、歴史問題などで敏感な韓日関係が依然として3ヵ国協力に不安な変数だと指摘した。魏氏は、「今や台湾・尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題、日本の自衛隊関連問題など、日本の(安全保障)関連事項が私たちと無関係ではなくなった」とし、「国内的に政界や国民世論はこれを受け入れる準備がまだできていないようだ。世論の収斂を通じて国内的な合意が必要だ」と述べた」

     

    日韓双方が現在、軍事同盟を結ぶことなど想定外である。あれだけ反日をやられた日本としては、大きな溝があるのだ。ただ、中国という相手には協力しなければならぬという潜在的な意識はあるとしても、韓国に反日勢力が消えることが前提である。

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    中国という國は、前へ無秩序に進むだけでリサイクルを忘れている。廃車になったEV(電気自動車)が、野原や川沿いに捨てられている。かつては、自転車が街中に乗り捨てられていたが、今度はEVである。この國の行くつく先を暗示しているようだ。

     

    『ブルームバーグ』(8月22日付)は、「まるでEVの墓場 中国都市部に大量の廃棄車両 急成長の負の遺産」と題する記事を掲載した。

     

    中国浙江省の省都、杭州の郊外にある古びた小さな寺院からは、膨大な数の電気自動車(EV)が雑草やゴミの中に放置されている光景が一面に見渡せる。それはまるでEVの墓場のようだ。中国国内の少なくとも6都市に、不要になったバッテリー駆動車の似たような集積地がある。杭州のそうした場所には、トランクから植物が生えるほど長い間放置された車もあれば、ダッシュボードの上にふわふわのおもちゃが置かれたままになっている車もある。

     

    (1)「こうした車両を主に購入したのは配車サービス会社で、ドライバーにリースしていた。上海とシュツットガルトにオフィスを構えるコンサルタント会社、JSCオートモーティブのシニアアナリスト、ヤン・ホアン氏によれば、「中国EV市場の初期段階では、購入者は配車サービス会社が中心で、個人の顧客はわずかだった」という。今回のEVの大量廃棄は、車両を所有していた配車サービス会社が経営破綻したか、より優れた機能とより長い走行距離を備えた新しいEVが各社から次々と発売され、時代遅れになりかけた車が増えたことが原因とみられる。急成長中の産業に資本が集中した際に起こり得る過剰生産と大量廃棄の顕著な例で、ここ数年の電気輸送の劇的な進歩を表す奇妙な記念碑でもあるかもしれない」。

     

    補助金つきの生産奨励であったから、資源の無駄という考えは最初からなかったのであろう。あったのは、増産計画とGDP押し上げ目標だけだ。

     

    (2)「約10年前、政府の補助金に引き付けられ、中国全土で何百社もの自動車メーカーが、既存企業も新興企業もこぞってEV事業に参入し、初期段階のEVを大量に生産した。比較的シンプルなタイプで、1回の充電で100キロ前後しか走れないバッテリーが搭載された車もあった。上海とシュツットガルトにオフィスを構えるコンサルタント会社、JSCオートモーティブのシニアアナリスト、ヤン・ホアン氏によれば、「中国EV市場の初期段階では、購入者は配車サービス会社が中心で、個人の顧客はわずかだった」という。19年になって、政府はEV購入への補助金を軒並み削減し始めた。多くの配車サービス会社は政策変更への備えができておらず、資金繰りに深刻な打撃を受けた。「そうした企業は生き残れなかった」とフアン氏は述べた」

     

    政府自身が、経済成長率だけを追っているから、「リサイクル」ということに思いも至らないのであろう。

     

    (3)「EVの普及に弾みをつけるため、政府は2000年代後半、1台当たり最大6万元(約120万円)の補助金を支給し、一部の大都市でガソリン車の保有を制限し始めた。自動車メーカー各社は配車サービスを手掛ける新興企業数社を設立・支援し、そうした企業は自社の車両に自動車各社のEVを採用した。ところが19年になって、政府はEV購入への補助金を軒並み削減し始めた。多くの配車サービス会社は政策変更への備えができておらず、資金繰りに深刻な打撃を受けた。「そうした企業は生き残れなかった」とフアン氏は述べた」。

     

    2000年代後半にEV1台当たり最大6万元(約120万円)の補助金制度は、19年になって突然の廃止になった。補助金を当てにしていた配車サービスは生き残れず、EVを捨てて廃業した。その時のEVが放置されたままになった。政府には、こういう事態を予見できなかったのだろう。市場経済であれば、こういう無駄を回避できる。

     

    (4)「深圳市在住の写真家、ウー・グオヨン氏は18年に山積みの放置自転車をドローンで撮影し、開発ブームに起因する大量廃棄の記録を中国でいち早く映像に収めた。19年には杭州のほか、江蘇省の省都である南京周辺の空き地に置かれた何千台ものEVの映像を空撮した。同氏はインタビューで、中国の資本市場は開放された当初は小さかったが、今では無秩序に調達された資金が 「津波」のように押し寄せていると指摘。「シェアサイクルやEVの墓場は、制約のない資本主義の結果だ。資源の浪費や環境へのダメージ、富の消失は当然の帰結だ」と語った」

     

    中国には、不要になったEVを回収して資源化するという発想がない。市場がない結果であろうが、「造りっぱなし」中国の現状がよく表れている。

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