「貧すれば鈍す」である。ホテルには、国慶節大型連休の旅行客目当てにして、長期にわたる国内不況を一挙に取り戻すべく、宿泊代を数倍も上げる「暴利ホテル」が出現している。しかも、予約済みの宿泊客に対して、こういう仕打ちをするというのだから、中国社会がいかに貧しくなっているかを示している。
『東方新報』(9月29日付)は、「中秋節・国慶節の8連休、旅行客を襲うホテル代の高騰」と題する記事を掲載した。
今年中国では中秋節の祝日が新暦9月29日の金曜日に当たり、10月1日の日曜日から始まる国慶節休暇と合わせ8連休のゴールデンウイークとなる。旅行に出かける人が多い中で、旅行者がまず打撃を受けるのは宿泊先の驚くほどの価格高騰だ。
(1)「大手SNSのプラットフォームを開くと、連休中におけるホテル代の急騰への嘆きであふれている。「連休で洛陽市に行こうと思ったら、ホテル代が5倍に値上がりして、これでは公園のベンチで寝るしかないね」「9月27日分までは200元(約4079円)台だったホテル代が、翌日から1600元(約3万2639円)以上に値上がりした。わずか一晩の宿泊費が毎月の家賃より高いなんて、もう家で寝ている方がましだ」、と不満が渦巻いている」
ホテル側が、「山賊行為」を働いている。モラルの一片もない振舞だ。予約客に対して当日宿泊のキャンセルや値上げを迫るというのは異常だ。習近平氏が、南シナ海は中国領海と一方的に宣言して実力行使する構図と瓜二つだ。中華民族は、こういう身勝手なことを平気でやれる精神構造なのだろう。
(2)「9月11日までの時点で全国の航空券の予約状況の国内トップ3は、上海市、北京市、成都市だった。オンライン予約サイトで検索した連休中における前門地区のホテルの価格は、13日時点で軒並み大幅に値上がりしていた。「ザペニンシュラ北京」の例では、デラックスダブルベッドタイプの部屋が、通常は2630元(約5万3650円)のところ、国慶節期間中は3738元(約7万6253円)まで値上がりしていた。上海ディズニーランドも安定した人気を誇る観光地だが、オンライン予約サイトで「上海ディズニーランドホテル」のデラックスガーデンビューツインの部屋が、17日の宿泊分では2482元(約5万631円)なのに対し、連休期間は5634元(約11万4931円)と2倍以上の値上がりとなっている」
北京の名門ホテルでは、4割増しの料金である。上海ディズニーランドは、通常宿泊代の2倍以上に引き上げている。日本でも「土曜の宿泊」や「大晦日と元日」は特別料金だが、2倍にはなるまい。ともかく、「ぼったくり精神」は旺盛である。
(3)「このような状況下で、宿泊費の数倍の値上がり以外に、かねて問題視されていた「ホテルや民宿側からの一方的な予約取り消し」という現象がまた目立つようになってきた。ネットユーザーの書き込みを見ると、「メンテナンス中」「空室無し」「すでに先約あり」「価格システム未更新」など取り消しの理由説明はマチマチだ」
予約が成立しながら、ホテル側が一方的に予約を取消し、高値の代金を要求する。これは、中国社会の品位を下げるだけだ。
(4)「上海に暮らす吉さん(仮名)は、国慶節連休で山東省沂水県の旅館を7泊予約していたが、「部屋がありません」という理由で取り消しを要求された。ところが、吉さんが予約プラットフォームを見てみると、その旅館にはまだ部屋が残っている上に、宿泊料が大幅に上がっていた。プラットフォーム側の説明では「部屋はまだあるが、国慶節の宿泊費高騰で旅館側が契約を履行したがらない。最初の1泊分の宿泊費を賠償するなどの提案を言ってきている」という。吉さんはプラットフォーム側と何度も交渉を重ね、領収書に基づいて全額400元(約8159元)余りの補償を勝ち取ったが、これでも問題の解決にはならない。付近の宿泊施設の部屋代は、もはや7泊で1500元(約3万599円)以上になっているのだ。結局のところ客が損をすることになる」
日本は、こういう「ノンモラル」の人たちとビジネスをしなければならない。「約束を守る」という社会的な仕来りがないのだ。
(5)「連休中の旅行関連の市場価格の規律保持に関する通達は、安徽省、青島市、福州市でも公布されている。福州市では関連5部門の連名文書を出し、「ホテル・宿泊施設の経営者は、予約プラットフォームなどを通した予約注文の成立後に、勝手な契約破棄や料金値上げを行ってはならない」と警告している」
何か、日本の戦後の混乱した「闇市場」での取引のような感じだ。中国の地方政府は、暴利を貪るホテルに警告を発しているが、恥ずかしい話である。この中国が、これまで世界覇権を狙っていたというのだから、「二度ビックリ」である。