中国は、かつてAI(人工知能)開発で米国に対抗する勢いであったが、肝心の半導体を米国の禁輸措置で入手できず苦闘している。半導体の国産化に舵を切っているが、性能と量産化で不安を抱えている。
『日本経済新聞』(2月3日付)は、「中国AI半導体を国産に」米輸出規制で切り替え 性能・量産化に懸念残る エヌビディアに逆風」と題する記事を掲載した。
中国の人工知能(AI)関連大手が半導体の中国産への切り替えを急いでいる。従来は米エヌビディア製品の採用が多かったが、米政府の輸出規制で調達が難しくなったためだ。華為技術(ファーウェイ)などが代替先として脚光を浴びるが、性能面などの懸念があり、中国のAI産業の発展に響く可能性がある。
(1)「中国ではエヌビディアに対する逆風が強まっている。同社は中国のAI半導体市場で従来約9割のシェアを獲得していた。ただ、米商務省は軍事転用への懸念を理由に中国へのAI半導体の輸出規制に乗り出し、22年秋にはエヌビディアのAI半導体「H100」などが対象になった。同社は規制をかわすため中国向けに性能を落とした製品などの出荷を始めたが、23年10月の新たな規制ではこれらの半導体の輸出も禁じられた」
AI半導体は、米国エヌビディアの独壇場である。米国政府が対中禁輸措置を禁じたので、中国は大きな痛手である。国産化のほかなくなった。
(2)「一連の禁輸に、アリババ集団や騰訊控股(テンセント)、百度(バイドゥ)などの中国ネット大手は翻弄された。生成AIの開発や提供には、自社のサーバーなどにAI半導体を搭載することが欠かせないため、23年にはエヌビディア製半導体の在庫を確保する動きが広がった。エヌビディアは最新の禁輸にも対応する半導体を中国に出荷する計画だが、足元では中国ネット大手の多くが中国産への切り替えを急ぐ。米商務省は今後も新たな規制をかけ続ける見通しで、エヌビディアの半導体を使うリスクが一段と高まっているからだ」
エヌビディアは、米国政府の規制に合わせて「初歩的」製品を開発したが、それも輸出禁止措置を受けている。こうなると、中国は否応なく国産化に取組まざるを得ない事態となっている。
(3)「テンセントの劉熾平(マーティン・ラウ)総裁は23年11月、アナリストに対し「エヌビディアの半導体は数世代分の在庫があり、短期ではAIの開発に影響しない」としつつ、「今後は中国内の調達先を探す必要がある」と説明した。規制の網をかいくぐって一部の同社製品が国内に流通しているとされるが、大手企業の調達数量を確保するのは難しい」
テンセントは、禁輸措置を見込んで輸入を増やしており当面は問題ない。ただ、先行きを考えれば国内で代替先を探すほかない。
(4)「代替先として注目されるのがファーウェイだ。同社は米国の制裁を受けながらも、中国半導体大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)と組み「7ナノ世代」と呼ばれる高性能な半導体を実用化し、搭載したスマートフォンを昨年8月に発売した。ファーウェイは、AI半導体「アセンド」を活用した機器やサービスを外部へ売り込んでいる。中国ネット大手の幹部はアセンドについて「エヌビディア製より性能は劣るが、問題なく使える」と話す」
ファーウェイが、中国国内のAI半導体製造先として期待が掛っている。性能は劣るとされる。
(5)「AI半導体の国産化に期待が広がる一方で課題は量産化だ。米商務省は海光など中国半導体メーカーの多くを輸出規制の対象に指定している。こうした企業は自前の生産設備を持たず、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)などとの取引が制限されている。量産化の取り組みは、ファーウェイにとっても道半ばとされる。上海を拠点とする調査会社86リサーチのアナリスト、チャーリー・チャイ氏は、ファーウェイのアセンドについて「エヌビディア製と性能は近いが、製造工程などの問題により将来は差が広がる可能性がある」と指摘する。一部報道によると、アセンドの歩留まりは2割強にとどまるとの見方もある」
ファーウェイのアセンドは、歩留まりが2割強とされる。これでは、コストが跳ね上がらざるを得ない。普及の壁になろう。
(6)「中国政府傘下の調査会社は1月、中国のAI産業の世界シェアが35年に3割を超える見通しを示した。ただ半導体の国産化が滞れば、米国などとの技術格差が広がりAIの性能も劣後する。逆風下でファーウェイなどが技術開発をどこまで突き進めるかが、今後の中国のAI産業を左右する」
ファーウェイは、「7ナノ」半導体を製造して自社のスマホ新製品へ搭載して注目された。だが、「マルチパターニング技術」という面倒な過程で製造されたことが判明している。従来1回で済む露光を複数のパターンに分割し、あとでそのパターンを重ね合わせるものだ。手間暇かかる上に、ズレを生じやすい難点がある。「マルチパターニング技術」は、まさに「手作り」同様の製作過程だ。名人芸のようなもので、とても量産化は不可能とされる。AI半導体もこの手法を用いるのであろう。商業ベースには乗らないのだ。





