中国気象局(CMA)は、7月に発表の年次報告書で、30年以内に全国の最高気温が1.7~2.8度上昇する可能性があると警告した。CMAは、中国が地球規模の気候変動に敏感な地域であり、その影響は甚大と指摘したもの。この懸念は、すでに現実のものとなってきた。中国最大の小麦生産地である河南省が、豪雨と洪水に見舞われており食糧生産に大きな障害が予想されている。
『ロイター』(8月2日付)は、「中国副首相、秋期の穀物収穫確保を地方に要求 河南省の豪雨受け」と題する記事を掲載した。
中国の劉国中副首相は、同国最大の小麦生産地である河南省が豪雨と洪水に見舞われたことを受け、地方当局に対し農業の損失を最小限に抑えるとともに、秋期の収穫を確保するための対策を求めた。
(1)「副首相は河南省を訪問中、被害を受けた穀物の生育回復を促進する措置のほか、作付けのやり直しを農家に指導するよう地方当局に要請した。河南省の一部では7月、ほぼ1年分の雨が1日に降る集中豪雨を記録した。副首相は、災害防止の必要性に加え、秋期の収穫を守るための影響緩和措置の必要性を強調。食料安全保障を強化するためにも、穀物と食用油の生産を促進する取り組みを推進すべきだと訴えた」
河南省は、重要な農業生産地域であり、中国の食糧庫とも称される。小麦の生産量が国内最大であり、トウモロコシやピーナツなどの農産品、また酪農や養豚・養鶏といった畜産業でも大きなウェイトを持っている。それだけに、集中豪雨の被害は大きいのであろう。
(2)「河南省は、中国の穀倉地帯として知られ、同国の小麦生産量の約3分の1を占めている。河南省の収穫量が減少すれば、世界最大の小麦消費国である中国は海外からの供給拡大を求めることになる」
河南省の小麦の生産量は、中国の3割強のシェアを占める。豪雨による被害がどの程度か不明だが、他の地域で増産せよと言っても限度がある。海外からの輸入に仰がざるを得ない。
『ロイター』(7月4日付)は、「中国気象当局、今年も猛暑予測 農作物や電力供給に影響」と題する記事を掲載した。
中国の気象当局は7月4日、国内の大半地域で今後数カ月気温が平年を上回るとの予報を示した。昨年に続き厳しい猛暑が予想される。
(3)「中国の一部地域では既に異常気象が発生している。南部では豪雨と洪水が発生し、北部と中部では気温が記録的水準に上昇し、農作物や電力供給に影響が出ている。公式データによると、3月から5月の平均気温は1961年の観測開始以来の高水準を記録している。当局は、7月に最大2つの台風が中国本土に上陸する恐れがあるとし、警戒を呼びかけた。
中国は、世界的な異常気象の中でも大きな影響を受ける地域となっている。
(4)「中国気象局(CMA)はこの日公表した年次報告書で、30年以内に全国の最高気温が1.7~2.8度上昇する可能性があるとし、中国東部と新疆ウイグル自治区北西部が気温上昇の影響を最も受けるとの見方を示した。CMAは「中国は地球規模の気候変動に敏感な地域であり、その影響は甚大だ」と指摘した。
下線部の指摘は重要である。異常気象の影響は世界的に受けるが、特に中国はその度合いが大きいとしている。
2024年は世界で、大雨や洪水、干ばつ、高温など、地球規模で異常気象が発生している。4月から6月にかけて、ブラジル、アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イエメンなどで記録的な大雨が観測され、広範囲にわたる洪水が発生した。4月16日にはアラブ首長国連邦の一部で年間平均降水量の約2倍の大雨を観測し、大規模な洪水が発生した。
中国においても、4月から6月にかけて例年と比べ、大雨、洪水、高温、干ばつが多く発生した。当初は広東省、福建省、江西省で大雨と洪水が発生し、その後、大雨の区域は徐々に南部から北部に移り、6月には湖南省、重慶省、安徽省にも影響を与えた。このように、被害が広範囲に及んでいることは、今後の事態悪化を予想させる。





