勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2024年08月

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    中国気象局(CMA)は、7月に発表の年次報告書で、30年以内に全国の最高気温が1.7~2.8度上昇する可能性があると警告した。CMAは、中国が地球規模の気候変動に敏感な地域であり、その影響は甚大と指摘したもの。この懸念は、すでに現実のものとなってきた。中国最大の小麦生産地である河南省が、豪雨と洪水に見舞われており食糧生産に大きな障害が予想されている。

     

    『ロイター』(8月2日付)は、「中国副首相、秋期の穀物収穫確保を地方に要求 河南省の豪雨受け」と題する記事を掲載した。

     

    中国の劉国中副首相は、同国最大の小麦生産地である河南省が豪雨と洪水に見舞われたことを受け、地方当局に対し農業の損失を最小限に抑えるとともに、秋期の収穫を確保するための対策を求めた。

     

    (1)「副首相は河南省を訪問中、被害を受けた穀物の生育回復を促進する措置のほか、作付けのやり直しを農家に指導するよう地方当局に要請した。河南省の一部では7月、ほぼ1年分の雨が1日に降る集中豪雨を記録した。副首相は、災害防止の必要性に加え、秋期の収穫を守るための影響緩和措置の必要性を強調。食料安全保障を強化するためにも、穀物と食用油の生産を促進する取り組みを推進すべきだと訴えた」

     

    河南省は、重要な農業生産地域であり、中国の食糧庫とも称される。小麦の生産量が国内最大であり、トウモロコシやピーナツなどの農産品、また酪農や養豚・養鶏といった畜産業でも大きなウェイトを持っている。それだけに、集中豪雨の被害は大きいのであろう。

     

    (2)「河南省は、中国の穀倉地帯として知られ、同国の小麦生産量の約3分の1を占めている。河南省の収穫量が減少すれば、世界最大の小麦消費国である中国は海外からの供給拡大を求めることになる」

     

    河南省の小麦の生産量は、中国の3割強のシェアを占める。豪雨による被害がどの程度か不明だが、他の地域で増産せよと言っても限度がある。海外からの輸入に仰がざるを得ない。

     

    『ロイター』(7月4日付)は、「中国気象当局、今年も猛暑予測 農作物や電力供給に影響」と題する記事を掲載した。

     

    中国の気象当局は7月4日、国内の大半地域で今後数カ月気温が平年を上回るとの予報を示した。昨年に続き厳しい猛暑が予想される。

     

    3)「中国の一部地域では既に異常気象が発生している。南部では豪雨と洪水が発生し、北部と中部では気温が記録的水準に上昇し、農作物や電力供給に影響が出ている。公式データによると、3月から5月の平均気温は1961年の観測開始以来の高水準を記録している。当局は、7月に最大2つの台風が中国本土に上陸する恐れがあるとし、警戒を呼びかけた。

     

    中国は、世界的な異常気象の中でも大きな影響を受ける地域となっている。

     

    4)「中国気象局(CMA)はこの日公表した年次報告書で、30年以内に全国の最高気温が1.7~2.8度上昇する可能性があるとし、中国東部と新疆ウイグル自治区北西部が気温上昇の影響を最も受けるとの見方を示した。CMAは「中国は地球規模の気候変動に敏感な地域であり、その影響は甚大だ」と指摘した

     

    下線部の指摘は重要である。異常気象の影響は世界的に受けるが、特に中国はその度合いが大きいとしている。

     

    2024年は世界で、大雨や洪水、干ばつ、高温など、地球規模で異常気象が発生している。4月から6月にかけて、ブラジル、アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イエメンなどで記録的な大雨が観測され、広範囲にわたる洪水が発生した。4月16日にはアラブ首長国連邦の一部で年間平均降水量の約2倍の大雨を観測し、大規模な洪水が発生した。

     

    中国においても、4月から6月にかけて例年と比べ、大雨、洪水、高温、干ばつが多く発生した。当初は広東省、福建省、江西省で大雨と洪水が発生し、その後、大雨の区域は徐々に南部から北部に移り、6月には湖南省、重慶省、安徽省にも影響を与えた。このように、被害が広範囲に及んでいることは、今後の事態悪化を予想させる。

     

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    日銀と白書が同一認識

    最賃5%UPで底上げ

    円安が日本を骨抜きに

    日銀は傍観から阻止へ

     

    8月に入って、日経平均株価が急落した。7月末の日銀による0.25%利上げと、米国の失業率が7月に4.3%へ4ヶ月連続で急上昇したことが重なった結果であろう。米国経済が、ハードランディングすれば、米国の連続利下げが実現し「円安是正」へ本格的に転換する。こういう連想から、再び「円高不況論」が勢いを得ているとみられる。これは、根も葉もないただの「憶測」である。 

    これまで外資は、安い金利の円を借りて資産運用する「円キャリートレード」で多額の利益を上げてきた。だが、日銀の利上げとこれから予想される米国の利下げで、日米金利差が大幅に圧縮されると、円キャリートレードは成立しなくなる。「日米金利差」を利用してきた海外業者の金融取引が、終焉を迎えるのだ。日本は、「円安被害」から解放される。 

    日本政府は、2040年ごろに名目GDP1000兆円を目標にしている。23年度は596.5兆円だった。この実現には、安定した成長基盤を構築は必要である。「金利のある世界」を再構築して円キャリートレードで、円がオモチャにされる不名誉なことを避けなければならない。

     

    今年から新NISAによって、株式投資へ参加した「ビギナー」には、「円高不況」という刷り込みが行われているかも知れない。これは、一部の大企業の輸出依存度の高い企業に当てはまるが、多くは「円高好況」である。これによって、交易条件の改善(一定の輸出によって多くの輸入が賄える)が実現し、高い賃上げが可能になるのだ。円高には、こういうメリットがある。米国の利上げが、日本経済へマイナス効果をもたらすという「虚論」から目覚めて欲しいものだ。日米金利差の縮小が、円安是正の有力手段になる。 

    日銀と白書が同一認識

    グッドタイミングというべきか、日本の株価暴落の一方で、政府の『経済財政白書』が発表された。昔の懐かしい『経済白書』である。実に的確に現状を分析している。 

    日本経済が、デフレ脱却に向けた動きが着実にみられると明記している。足元の円安を巡っては、輸出押し上げの効果が少なく、逆に物価上昇を通じて消費者の購買力を損ないかねないというリスクを指摘している。詳細は、後で取り上げたい。政府の白書だから、都合の良いことだけを書いているのでないかと疑問を持つ向きには、ハッキリと否定しておきたい。 

    私も現役時代、経済白書の特集号を発行した経験から、その舞台裏を知っている。政府に都合が悪くても担当者は、堂々と問題に斬り込んで分析してきた。高度経済成長時代は、大蔵省(現・財政省)の縄張りが酷くて経済白書へ圧力をかけたものである。その圧力をはねのけて、正論を吐いてきた。こうした歴史は、今も受け継がれているはずだ。財政省の力は、すでに弱くなっている。

     

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(8月1日付社説)は、日銀の利上げが「円防衛」にあったことに注目している。米財務省は、先頃発表した報告書で、為替操作の可能性がある国として日本を「監視リスト」に追加した。これが、いかに間違いであるかを指摘している。WSJは、日本経済がこれまでの長期にわたる超低金利政策で、「ゾンビ企業」(営業利益で金利を支払えない)などの遺産を抱えている。だが、金利の小幅上昇でこういう企業をどうやって順応させていくに注目している。 

    このWSJ社説は、実に厳しい点を衝いている。日本経済が、「金利のない世界」に生きてきたというまことに珍しい存在であるからだ。ゼロ金利ないしマイナス金利の世界は、物価上昇がゼロであるから起こる現象である。企業は、競ってコストの引上げを自粛して、激烈な価格競争を行ってきた。それが、賃上げを抑制させ「国民総貧乏」という事態に陥ってきた理由である。この間違いに気付いて、賃上げなど正常コストの価格転嫁によって、日本経済を好循環過程へ乗せるメリットを確認した。 

    これこそ、天動説を捨てて地動説に立ち返った「コペルニクス的転回」といわれるもので、ものごとの見方が180度変わったのである。これが、「金利のある世界」へ立ち戻らせるテコになった。金利も満足に払えない企業は、「退出」(倒産)止むなしという共通認識が生まれたことだ。WSJ社説は、日本での認識変化を未だ知らないのであろう。

     

    最賃5%UPで底上げ

    韓国左派メディア『ハンギョレ新聞』は、24年の日本の最低賃金(時給)が全国平均で5%(50円)引き上げ、1054円に上げたことに驚いている。昨年も43円(4.5%)上げているので「劇薬」と称しているほどだ。最賃引上げの狙いは、今年の春闘が5%を上回ったことから、この賃上げ率を最賃制に適用しただけである。こうして、全国同率の賃上げを実現し、所得上昇を実現させるねらいだ。 

    過去の最賃引上げ額は、微々たるものであった。2003~04年は、各1円(663~664円)である。日本経済が不況のどん底に沈んでいたので、引上げ幅を極限まで抑えたのだ。これこそ、「ゾンビ企業」を生かす手段であった。この当時と比較して、24年は50円引上げである。ゾンビ企業を「整理」する意味もある。(つづく)

     

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    https://www.mag2.com/m/0001684526

     

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    習近平・中国国家主席は、7月の「3中全会」で外資の呼び込みに懸命な姿を見せた。米中対立の激化で、外資系企業の中国進出は激減している。だが、中国経済にとって外資企業の進出は、貴重な外資の獲得と経営ノウハウを獲得するチャンスである。こういう複雑な思いを反映して、「3中全会」では改革や市場経済の言葉をはめ込む声明書を発表した。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月1日付)は、「グローバル化の『光』にすがる中国―呉軍華氏」を掲載した。日本総合研究所上席理事・呉軍華氏の寄稿である。

     

    米中両国の政治が熱を帯びている。米国では、トランプ前大統領の暗殺未遂事件が起き、バイデン大統領が選挙戦から撤退した。中国では、共産党が前・元2代の国防相の党籍剝奪を公表した。粛清が絶えなかった共産党の歴史でも初めてのことだ。

     

    (1)「その中国で、慣例では昨年秋に開催されるはずだった共産党の第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が、7月中旬に開かれた。中長期の経済政策方針を決定することが多く、各方面から注目される会議だ。同時期には米共和党全国大会も開かれた。2つの政治的イベントを通して浮かび上がるのは、かつての勢いを失った経済のグローバル化が、今なお米中両国を翻弄している姿だ」

     

    グローバル化は、過去の「遺物」になりかけている。地政学リスクによって、グローバル化が脅かされているからだ。安全保障が、前面に出てきた。米国のトランプ氏は、グローバル化の被害を騒ぎ立て、中国は、グローバル化の残照を求めてさまよっている。

     

    (2)「今更説明は必要ないが、トランプ氏と同様に副大統領候補のJD・バンス上院議員も、グローバル化に取り残された人々の声を代弁する形で政治の舞台に登場した。司法の場でトランプ氏の刑事責任追及は進むが、その支持基盤が揺らぐまでには至っていない。グローバル化の負の遺産を清算しない限り、米社会の分断は続くだろう」

     

    米国は、グローバル化による負の遺産である鉄鋼や自動車が復活しない限り、保護貿易主義を唱えて騒ぎ立てるであろう。

     

    (3)「グローバル化は、中国の3中全会とも大きくかかわっていたようだ。ただし、米国がグローバル化の影の部分に苦しむのに対し、中国はなおその光の部分からの恩恵にあずかろうと懸命だ。3中全会の決定文に対しては、期待外れとの声が日本でも聞かれた。中国は深刻な景気減速に直面しており、習近平指導部が経済運営の方針を、政府・国有企業主導から市場原理を重視する方向に調整するのではないか、との期待があったからだ。しかし、決定文では国有企業を柱とする成長方針が再確認され、改革は言葉のレベルにとどまった」

     

    中国は、米国とは反対の極に立つ。グローバル化によって、経済的な恩恵を得たいのだ。本音は保護主義であるが、言葉の上でグローバル化を唱えて、対内直接投資を呼び込みたいというダブルスタンダードである。

     

    (4)「中国の現状をみれば、市場化を目指す改革も、自由民主主義の価値観を持つ西側世界に向けての開放も、過ぎ去った時代のものだということは明らかだ。グローバル化によって、中国経済とかかわることで利益を得るようになった人は多い。そうした人々が、グローバル化が今後も続いてほしいと願い、中国の現実を見誤ったのかもしれない。グローバル化は、3中全会の開催を巡る習指導部の意思決定にも、影響を及ぼしたと思われる」

     

    鄧小平による改革開放は、グローバル化を唱導した。今年の「3中全会」で,グローバル化が登場するのは、その影響のあることを示している。

     

    (5)「自らの任期を延ばすため、あえて憲法を改正したように、習氏は従来の規則やしきたりにこだわるような指導者ではない。3中全会に成果が期待できないと判断すれば、中止も選択肢となったはずだ。それでも開催に踏み切ったのは、3中全会に改革開放のイメージがあるからだろう。かつて鄧小平は、この会議で改革開放への転換を打ち出した。そこで改革開放継続の意思を表明すれば、中国経済に対する内外の信認が回復すると考えた可能性は高い」

     

    習氏が,あえて「3中全会」を開催したのは、グローバル化の「余慶」に与ろうという狙いに違いない。中国経済の台所事情の悪化を示している。

     

    (6)「筆者の見方が正しければ、習指導部は中国経済に対する信認維持に、強い危機感を持っていることになる。中国はグローバル化の恩恵で経済大国となった。今後もその恩恵を受け続けるには、中国経済への信認回復が必要だとの認識を持っているのだろう

     

    このパラグラフは重要である。中国経済は、西側経済との関係を絶っては生き残れないことを告白しているのだ。

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    中国政府は3日、弱い内需が引き続き成長の重石となる中、個人消費を促進するための優先事項を発表した。中央政府のウェブサイトに掲載された声明によると、国務院はケータリング、家事代行サービス、高齢者介護といった分野で基礎的消費を拡大させる可能性を探るなど、20の重要なステップを指定した。いずれも、景気刺激の「パンチ力」は乏しい「小物」ばかりだ。

     

    『ブルームバーグ』(8月4日付)は、「中国政府、国内消費促進に向けた行動計画を発表 内需の弱さに対応」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「当局は新たなタイプの消費を促進することも検討し、無人小売店やセルフピックアップロッカーの育成、eスポーツやライブストリーミングeコマースの発展を支援することを視野に入れる。7月発表の中国の4-6月(第2四半期)経済成長率は市場予想を下回り、5四半期ぶりの低成長となった。5%前後の2024年成長目標の達成を後押しするため、当局に支援策の発表を求める声が強まっている」

     

    無人小売店、セルフピックアップロッカーの育成、eスポーツ、ライブストリーミング、eコマースの発展を支援するという。中国では、政府がこういう業態を支援しなくても、儲かる見通しがつけば、自然発生的に伸びてゆく。中国における消費低迷の最大要因は、雇用不安と所得カットのリスクに怯えていることだ。この問題を解決せずに、無人小売店などを推進しても無意味であろう。政府の手法は、国民に対して「何かやっている」というポーズを見せているだけだ。

     

    (2)「国営新華社通信の報道によると、共産党中央政治局は同日開いた会議で、「経済政策の力点を民生に恩恵をもたらし、消費を促進する方向に転換させる必要がある」との見方で一致。具体策には踏み込まず、景気の下支えに向けた新たな政策措置を適時打ち出す方針も示した。習近平指導部は今月開いた第20期中央委員会第3回総会(3中総会)で、中国経済の推進役として先端製造業の青写真を示していた。今回の政治局会議では、この目標は消費拡大に次ぐ工作優先課題の一つに挙げられただけだった。長引く不動産危機や労働市場の低迷が消費者心理の重石となる中、短期的な政策課題の転換を示唆している」

     

    中国経済不振の最大要因は、消費者心理が萎縮していることだ。不動産不況の長期化によって日々、住宅相場は値下がりが続いている。これに加えて、雇用不安と賃下げが,最大の要因である。要するに、「三重苦」が襲っている状態である。これの解決には、膨大な財政支出を伴うので、枝葉末節なことに力を入れるポーズを取っている。

     

    『ブルームバーグ』(7月30日付)は、「中国共産党、消費底上げに軸足-成長目標未達リスク」と題する記事を掲載した。

     

    中国共産党は7月30日、個人消費の底上げに政策の軸足を置く方針を示した。内需が弱く、今年の成長率目標の達成が脅かされている。

     

    (3)「国営新華社通信の報道によると、共産党中央政治局は同日開いた会議で、「経済政策の力点を民生に恩恵をもたらし、消費を促進する方向に転換させる必要がある」との見方で一致。具体策には踏み込まず、景気の下支えに向けた新たな政策措置を適時打ち出す方針も示した」

     

    この時点では総論だけである。各論は、既述の通り8月4日に発表されている。

     

    (4)「習近平指導部は7月開いた3中全会で、すでに中国経済の推進役として先端製造業の青写真を示していた。今回の政治局会議では、消費拡大を次の優先課題に挙げたもの。ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は二極化する中国経済の弱い方を押し上げるという政治局の今回のコミットメントは、「良い転換」であるものの具体策を欠いていると指摘する」

     

    先端製造業では、手厚い政府補助金がついている。消費拡大は名ばかりである。そもそも、消費を重視していないから、こういう低いレベルの対策になるにちがいない。

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    韓国左派には、日本が行動すれば必ず「反対する」という方程式ができあがっている。先ず、過去の朝鮮統治時代を反省しろという前段がつくのだ。佐渡金山が、世界遺産登録に決まったことでも早速、「日本の過去」を持ち出している。

     

    韓国の市民団体「民族問題研究所」は7月27日、日本の佐渡鉱山(佐渡島の金山)がユネスコ世界遺産に登録されたことについて、「日本が約束した『全体の歴史』から韓国人強制動員が抜け落ちている」とし、「韓日関係の改善という名目で歴史の真実を日本政府に譲歩した韓国外交の失敗」だと批判した。

     

    韓国左派は、このように日本への謝罪を求めている。現在、北朝鮮はロシアと結託して韓国を脅かしているのだ。それを跳ね返すには、日韓の協調が必要である。韓国左派には、こういう時代認識がゼロである。あるいは内心、北朝鮮軍が再び38度戦を超えてくることを期待しているのであろうか。韓国左派の視野の狭さに驚くのだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月30日付)は、「韓国の市民団体『佐渡鉱山の世界遺産登録は尹政権の外交の失敗』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の市民団体「民族問題研究所」は7月27日、日本の佐渡鉱山(佐渡島の金山)がユネスコ世界遺産に登録されたことについて、「日本が約束した『全体の歴史』から韓国人強制動員が抜け落ちている」とし、「韓日関係の改善という名目で歴史の真実を日本政府に譲歩した韓国外交の失敗」だと批判した。

     

    (1)「同研究所はこの日の声明で、「日本政府は、佐渡鉱山の全体の歴史を記録すると言いながら、最初から最後まで『朝鮮半島出身労働者』という用語を使っている」とし、「これは2018年に韓国最高裁で強制動員賠償判決が下された後に、安倍晋三元首相が『強制性』を否定するために作り出した言葉」だと述べた。そして「(今回の佐渡鉱山は)2015年の軍艦島(端島)を含む明治日本の産業革命遺産の登録の際の、朝鮮人が『自身の意思に反して』、『強制労働』させられたという日本政府の発言からも大幅に後退している」とし、「日本政府は歴史否定論を貫徹した」と強調した」

     

    戦時中に日本で徴用工となった人たちは、軍艦島の問題を含めて、「虐待された」と異口同音に日本を告発している。しかし、日本製鉄では朝鮮人労働者に慰労金を持たせて帰国させたほどだ。日鉄で働いた朝鮮人労働者は帰国後、日鉄による待遇について発言を禁じられた経緯がある。日本を悪者にする意図に反するからだ。徴用工問題は、韓国政府が責任をもって保障することになった。これに反対する左派は、佐渡金山の世界遺産登録を絶好の機会として利用している。

     

    (2)「韓日両政府の合意により新潟県佐渡島に設置された「朝鮮人展示」についても問題を提起した。研究所は、「展示に強制動員という言葉は見当たらず、強制性を隠した『朝鮮半島出身者を含む鉱山労働者の生活』というタイトルが用いられている」と指摘した。そして、「これをどのように外交成果として誇るというのか、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の歴史認識を深刻に批判せざるを得ない」と述べた。研究所は、「日本政府がいくら歴史を隠そうとしても、韓国人強制動員の歴史は決して隠すことができない」と強調した」

     

    朝鮮では、日本で働く徴用工志願者が多かったという記録が残っている。当時の朝鮮よりも高い給与が約束されたからだ。「強制」ではなく「志願」であった。慰安婦問題も酷似している。「強制」でなく「志願」であったのだ。日本メディアが誤報したことで、「志願」が「強制」に切り替わってしまった。こうして誤報が、歴史の真実に化けた。歴史の曖昧さである。日韓の感情的対立が、増幅されてきたプロセスである。

     

    最近、北朝鮮とロシアの軍事的接近は、日韓双方にとって不安要素になっている。こういう国際情勢下で、日韓が協力することが最大のロ朝への対抗手段である。韓国左派が、ロ朝の接近を歓迎しているとすれば、朝鮮戦争という歴史の教訓を忘れた振る舞いと言うほかない。過去をいくらほじくり返して謝罪を求めても、日韓双方にプラスにならないのだ。

     

     

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