勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2024年08月

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    米国市場は、8月1日を境に悲観論へと急転換した。労働関連統計が、予想以上に悪化したからだ。家計調査に基づく7月失業率は4.3%(5月は4.1%)へ上昇し、4カ月連続の悪化である。市場予想は4.1%の横ばい予想であった。

     

    完全失業率は、景気関連統計では「遅行指標」と位置づけられている。「先行指標」、「一致指標」の後に「遅行指標」が来る。この遅行指標である完全失業率が、4.3%まで上昇したことは、米国経済が下降に向っていることを意味している。実は、完全失業率が1年前に比べて「0.5%ポイント」以上の悪化になると、失業率は急激に悪化するというパターンが知られている。6月の失業率が、この危険パターンに入っていた。論より証拠で、7月失業率は4.3%へ跳ね上がったのだ。市場が、ハードランディングだと危機感を強める理由である。

     

    『ロイター』(8月3日付)は、「米9月の50bp利下げ観測高まる、雇用統計受け『FRB後手に回った』」と題する記事を掲載した。

     

    米労働省が発表した7月の雇用統計を受け、米連邦準備理事会(FRB)が9月の次回会合で0.50%ポイントの利下げを決定するとの観測が短期金融市場で高まった。FRBはその後も利下げを継続し、年末時点の政策金利は現行水準より1%ポイント以上低くなるとの予想も出ている。

     

    (1)「7月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比11万4000人増となり、予想を下回った。失業率が約3年ぶりの高水準となる4.3%に上昇したほか、平均賃金の前年比での伸びが約3ぶりの低水準となった。FRBはこれに先立つ7月3031日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、早ければ9月1718日の次回会合で利下げを議論する可能性があると述べていた」

     

    FRBは、7月末のFOMCで9月の利下げの可能性を示唆している。

     

    (2)「アネックス・ウェルス・マネジメントの主任エコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は、「パウエル議長が今朝分かったことを当時知っていれば、おそらく利下げを決定していただろう」とし、「インフレ鈍化を受けても金利を据え置いたことで、FRBはブレーキを踏み込みすぎた。FRBは状況がいかに急速に変化しているか、認識するのに後手に回っている」と語った」

     

    FRBは、7月の完全失業率の急上昇を確実の予測できなかったという批判を浴びている。後手に回ったというのだ。

     

    (3)「パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は「7月のFOMCでFRBが金利を据え置いたのは誤りだった」とし、「9月に0.50%ポイントの利下げが決定される根拠は強い」と述べた。雇用統計発表前は、FRBは9月に利下げに着手し、利下げ幅は0.25%ポイントになるとの見方が織り込まれていた」

     

    FRBは判断を見誤った以上、9月のFOMCでは「0.5%」の利下げをすべしとしている。

     

    『ブルームバーグ』(8月3日付)は、「FRB、0.5ポイント利下げには消極的か 市場で織り込み強まるも」と題する記事を掲載した。

     

    7月の米雇用統計が弱い内容となったことから、米連邦公開市場委員会(FOMC)は既に利下げを待ち過ぎているとの懸念が強まっているが、警戒シグナルを発しかねない大幅利下げが9月に実施される可能性は低そうだ。

     

    (4)「FRBの動きを注視しているエコノミストの多くからは、即座に異なる見解が発せられた。アーンスト・アンド・ヤング(EY)のチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「FRB当局者のタカ派的なバイアスを踏まえれば9月の利下げは確定したと予想されるが、50bpの引き下げには抵抗があるだろう」と述べた。SMBC日興セキュリティーズのチーフエコノミスト、ジョゼフ・ラボーニャ氏は、「もし50bp引き下げれば、パニックのように見えるだろう」とし、市場は大幅利下げの織り込みで「先走り」していると付け加えた」

     

    FRBは、0.5%(50bp)の引下げには抵抗感があろうという指摘もある。米国経済が、パニック状態になっているというに等しいからだとしている。

     

    (5)「パウエルFRB議長の下、FOMCは緊急時のみ大幅な金利調整を行ってきた。2020年3月の最初の2週間では、新型コロナウイルス感染が米経済に打撃を与え始める中で1.5ポイント利下げし、政策金利をゼロ近辺とした。22年には、インフレ高進に直面する中で0.5ポイントと0.75ポイントの利上げを実施した」

     

    パウエル議長は、現状を「緊急時」と判断するかどうかだ。いずれにしても、9月になれば、0.25~0.50%の金利引下げが起こる、これによって、日米金利差は圧縮される。円安相場の是正は、1ドル=140円を目指して進む環境が形成されたのだ。

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    韓国ほど政争の激しい国はない。与野党の争いのほかに、与党・野党を問わず党内の争いは感情論を超えて憎悪を漲らせるというすさまじい「闘争」を繰返している。経済の貧しい時代は、この争いにブレーキがかかっていた。だが、世界のGDPで10位内外になってきた現在、「政界ポピュリズム」を自制させるものはなくなった。派手に争いを繰り広げているのだ。その結果が、国家債務の膨脹に繋がっている。

     

    『朝鮮日報』(8月3日付)は、「『成長のスーパースター』は過去の話、『先進国病』にかかった韓国経済」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「世界銀行は、高所得国に飛躍できず停滞する「中所得国の罠」を克服した成功事例として、韓国に注目し「成長のスーパースター」と称賛した。世界銀行は中所得国の罠(わな)に関する報告書の中で、韓国について「投資、技術の導入、革新などの戦略を効果的に実行に移し、めざましい経済成長を遂げた」と評した。世界銀行はこの報告書を「全ての中進国の政策立案者にとって必ず熟知すべき必読書」とした」

     

    韓国は、日本統治下で教育・司法・行政・インフラの全てにおいて、近代化への準備期にあったことを無視して、独立後に自力で成長したように振る舞っている。日本の資本と技術が支援されたことを忘れ、植民地支配下の不平不満だけを唱えている。

     

    (2)「世界銀行のこの評価はすでに「過去形」になりつつあり、韓国経済が今直面している状況は「成長のスーパースター」とはかけ離れている。成功の秘訣とされた開放・革新・投資は韓国ではもはや見られず、それどころか成長がストップした「先進国病」の患者のようだ。1990年代まで2桁の成長率を記録し続けた韓国経済は、2000年代に入ると5%台、2010年代には3%台、2020年以降は2%台と成長率が低下している。物価上昇なしに達成可能な潜在成長率は2030年代以降1%台に低下するとも予想されている」

     

    日韓対立が激しくなると共に、日本企業は韓国を敬遠している。これが、日韓企業の協力を妨げている理由だ。韓国の合計特殊出生率が,世界一低いことで韓国の潜在成長率を引下げている。その反省が、全くないところに韓国の限界が現れている。

     

    (3)「韓国は、世界で少子高齢化が最も深刻で慢性化した状況にありながら、成長の活力回復に必要な労働、教育、年金などの構造改革は一向に進まない。高速成長を引っ張ってきた国の競争力が崩壊し、突破口を切り開く役割を担うべき政治は極端な陣営論理に捕らわれ政争に明け暮れている。財政の健全性はこれまで韓国経済の最大の強みの一つだったが、政界のポピュリズム競争はこれをも崩壊させ、「国の負債100兆ウォン(約107兆円)時代」をすでに迎えてしまった」

     

    韓国は、儒教社会である。旧弊を抱えながらも、それを改革できない「既得権益社会」に陥っている。こういう文化ゆえに、どうにもならないもどかしさを抱えている。中国と極めて似た社会構造である。改革できないのだ。

     

    (4)「韓国経済は27年前に1人当たり国民所得1万ドルを突破し、「先進国クラブ」と称される経済協力開発機構(OECD)に加盟したが、その直後にアジア通貨危機で国が不渡りとなり経済が崩壊した。国民全体が金を集める運動に参加するなど、骨を削るような構造改革によって危機を脱出し、今や所得3万ドルを達成して先進国の一員となったが、再び構造的な低成長の兆しが見え始めている。世界銀行の報告書は「古い制度や慣習の創造的破壊が経済成長を引っ張る」と指摘しているが、今のように「先進国病」に陥り、しかも構造改革のゴールデンタイムまで逃してしまえば、韓国経済の成功神話はいつしか完全に過去の話になってしまうだろう」

     

    世界銀行の報告書は、「古い制度や慣習の創造的破壊が経済成長を引っ張る」と韓国を褒め称えている。だが、儒教文化の韓国の自力で可能になったものではない、20世紀に入ってから日本が、あらゆる面(教育・司法・行政・インフラ)でサポートした結果である。韓国は、この現実を見据えない以上、制度改革は不可能であろう。日韓対立は、韓国の将来性に大きな影を落としている。

     

    韓国の政府債務の対GDP比は昨年、55.2%であった。2013年の37.7%に比べ17.5ポイントmp上昇した。IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)通貨でない非基軸通貨国11カ国のうちシンガポール(63.9%)に次ぐ増加幅である。政界ポピュリズムで人気を得ようとして財政支出の大盤振る舞いをしている結果だ。

     

    世界的な信用格付け会社フィッチは、これまで韓国の財政健全性を肯定的に評価してきた。しかし今年4月末に、韓国の国家債務が短期間に急増し、対GDP比が50%を超えたと言及。韓国の財政が、国家信用格付けでこれ以上プラス要因にはならないと明らかにしている。フィッチからの警告である。政界ポピュリズムへの警鐘である。

     

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    中国経済は、不動産バブル崩壊で地方財政が大きく傾いている。住宅不況の煽りで、土地売却収入が激減している結果だ。中国の社会福祉制度は、地方政府の管轄である。地方財政の逼迫が、社会福祉へも大きく影響しているのだ。

     

    8月1日、北京中心部の繁華街、王府井で退役軍人の待遇への不満を訴える垂れ幕が掲げられ、警察が出動する騒ぎがあった。動画や画像が、X(旧ツイッター)に投稿されたので、広く社会の知るところになった。数年前にも、退役軍人が集団で北京をデモ行進する騒ぎがあった。その後、この種の動きは沈静化していたが、根本解決には至らなかったのであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月3日付)は、「北京で『退役軍人の不満』訴える垂れ幕  警察出動 繁華街が騒然」と題する記事を掲載した。

     

    中国人民解放軍が創設97年を迎えた8月1日、北京中心部の繁華街、王府井で退役軍人の待遇への不満を訴える垂れ幕が掲げられた。

     

    (1)「中国は、経済停滞を背景に退役軍人の就職難が社会問題化している。共産党が7月に開いた第20期中央委員会大3回全体会議(3中全会)が採択した決定は、学生と併せて退役軍人を重点グループとして就業支援すると表明した。8月1日に待遇改善を図る条例が公布された。王府井では1日夜、軍服姿の人物がビルの屋上に座り、警察車両や救急車が急行。周辺は立ち入りが規制され、通行人らが不安そうに見守った。

     

    退役軍人は、有事の際は召集がかかる人たちであろう。そういう重要なポジションの人たちが、軍を辞めて再就職の当てがないとは「反軍」になりかねない危険性を持っている。現役時代は、たっぷりと「政治教育」を受けさせられたにも関わらず、退役すれば全く異なる現実が待っている。これでは、台湾有事の際に兵士として役立たないことになる。

     

    中国軍は、理系の応募者が少なく頭を痛めている。軍備の高度化で理系の知識がないと近代兵器をスムーズに運用できないという。いくら、就職難時代といえ退役後の生活が困難では、最初から理系の人間も応募を止めるであろう。中国の政策で一貫性がないのは、バラバラに運用されているからだ。

     

    (2)「投稿された画像によると軍服姿の人物は、「雲南省昆明市官渡区政府が12年兵役に就いた退役軍人をつぶした」とする内容の垂れ幕を掲示した。Xには7月30日に湖南省新化県にある歩道橋に「ストライキと授業ボイコットで独裁、国賊の習近平を罷免する」と記した横断幕が掲げられたとする動画も投稿された。北京では2022年の第20回党大会開幕直前に習氏を批判する横断幕が高架橋に掲げられた」

     

    垂れ幕には、「雲南省昆明市官渡区政府が、12年兵役に就いた退役軍人をつぶした」と書かれているという。ここで注目すべきは、「雲南省と12年兵役」である。雲南省と言えば、中国でも指折りの「貧乏省」である。貧しいゆえに再開発を目指したが、いずれも資金難で工事を中断したままになっている。貧乏な省が、さらに貧しくなっているのだ。こういうところでは、退役軍人の待遇が悪くなるのは想像できる。

     

    もう一つ、12年兵役で退役していることだ。従来は、退役で再就職する場合に公務員へ優先採用という触れ込みであった。中国軍入隊は、退役後の公務員を夢見ていたことも動機になっているであろう。それが、反故にされたのだ。12年兵役とは、未だ30代であろう。今や軍隊には「老兵」は不要で、若い人が求められている。それだけに、30代で仕事がなくなるとは悲劇である。この退役軍人が、北京中心部の繁華街、王府井で行動に出た心情は痛いほど分るのだ。

     

     

     

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    習近平国家主席は、政治や外交の方針を決めるだけでなく、「チーフエコノミスト」でもある。いかなる経済政策も習氏の承認なしには進まないのだ。習氏が、14億人の経済生活も左右する絶対的権力を握っている。大変な自信なのだ。 

    『ロイター』(8月3日付)は、「『漸進的な』消費刺激策では足りない中国」と題する記事を掲載した。 

    中国政府が家計消費支出を刺激する政策は、政府の通年目標「5・0%前後」の経済成長達成に寄与すると期待される。中国は世界第2位の経済大国だが、来年以降、政府は消費刺激策を強化するか、成長鈍化を受け入れる必要があるかもしれない。 

    (1)「中国を取り巻く環境は、貿易摩擦が厳しく、地方政府は債務リスクを抱える。消費てこ入れ策を巡っては、中央政府には今後数年間、ほとんど選択肢が残っていない。しかしアナリストらの間では「漸進的な措置」という曖昧な約束では不十分だとの指摘が出ている。中国政府は7月、超長期特別国債の発行で調達した資金のうち1500億元(200億ドル)を家電など消費財の買い替え補助に充当すると発表した。さらに中国共産党は同30日に開いた中央政治局会議で、財政支出は年末まで「消費に焦点を当てる」と表明し、所得と社会福祉の向上を目指す方針を発表。輸出やインフラ投資に依存していた過去数十年の政策を見直し、慢性的に弱い内需を底上げへと政策の舵を切ったことが浮き彫りになった」 

    中国は、渋々と経済政策で「消費に焦点を当てる」気持ちになってきた。だが、その規模は不十分である。

     

    (2)「消費財買い替え補助策は、国債による調達資金で家計消費を全国で直接支援する政策としては最初の一歩だが、国内総生産(GDP)比でわずか0.12%規模にとどまる。米シティのアナリストチームは「来年は外的からの逆風が強まる可能性があり、これに備えて追加的な消費刺激策が導入されることはあり得る」と予想した。中央政府がインフラ整備よりも消費重視へと政策シフトを進める背景には、米国や欧州のほか、トルコやインドネシアなど新興国の間で中国の貿易優位性に対する不安が強まり、対中関税を引き上げたり、その他貿易障壁を設けたりしたことがある」 

    今回の家電など消費財の買い替え補助金1500億元(200億ドル)は、GDPの1.2%にすぎない。「雀の涙」である。 

    (3)「中央政府はまた、巨額債務を抱える地方政府を監視し、債務で資金調達したプロジェクトに対する警戒を強めている。中国の財政刺激策の大部分は依然としてインフラなどの投資に振り向けられるが、投資リターンは低下し、地方政府の債務残高は13兆ドルに膨らんでいる。地方政府は今年上半期に特別債を1兆4900億元(2000億ドル)相当発行したが、これは年間割り当ての38%に過ぎず、中国の財政運営姿勢は予想外に緊縮的だ。ある政府経済顧問は匿名を条件に「安定した収入を生む本当に良いプロジェクトの数はますます少なくなっている」と打ち明けた」 

    中国の景気刺激策は、相変わらずのインフラ投資である。リターンを生むプロジェクトが少なくなっているという。

     

    (4)「中国の輸出の見通しはさらに悪化する可能性があり、米大統領選の共和党候補トランプ前大統領が返り咲けばなおさらだ。トランプ氏は全ての中国製品に最大60%の関税を課すと息巻いている。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの中国主任エコノミスト、ユエ・スー氏の推計によると、米国の輸入関税が10%引き上げられると2025年と26年の中国の実質経済成長率を0.30.4ポイント押し下げる可能性がある。同氏は「トランプ氏の大統領復帰の可能性など外部からの圧力が高まる中で国内経済刺激の緊急性が浮き彫りになっている。従来よりも断固とした国内重視策と財政拡大によってこうした悪影響が部分的に緩和されるのではないか」と言う」 

    「もしトラ」でトランプ氏の復権になれば、米国の輸入関税が10%引上げられる。中国GDPは、0.3~0.4%も押下げされるという。SOSである。 

    (5)「家計消費はGDPの40%未満で、世界平均よりも20ポイント程度低い。ガベカル・ドラゴノミクスの中国調査部門副責任者のクリストファー・ベドール氏は中国が国内消費を新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準に戻すには3兆8兆元(4000億1兆ドル)の財政出動が必要だと推定しているが、同時にこれほどの規模の刺激策が実施されることはあり得ないとも考えている。「政府の消費者刺激策の実績は、正直なところ非常におそまつだ」と話す」 

    中国の個人消費をパンデミック前へ回復させるには、3兆~8兆元(4000億~1兆ドル)の財政出動が必要という。習氏が頭を縦に振るわけがない。これだけの予算があれば、国防費へ回して「台湾威嚇」に使いたいであろう。

     

    (6)「中国政策科学協会の経済政策委員会副委員長であるXu Hongcai氏は、需要を十分に押し上げるには投資プロジェクトから国内消費に5兆元の資金を再配分する必要があるかもしれないと述べた。「短期的には5兆元は強力な刺激策だと言える。しかし長期的には国民所得(NI)に占める都市部と農村部の住民の収入の割合を20ポイント引き上げる必要がある」と語る」 

    現行予算の投資プロジェクトから、5兆元を国内消費に配分すべきという。習氏が認めるだろうか。国内消費の増加に頭が向かないからだ。それよりも,インフラや国防費の重視であろう。

    あじさいのたまご
       

    バンス米上院議員(オハイオ州)ほど、副大統領候補として全米の舞台で大失敗した例はほとんど見当たらない。子供のいない人への増税など過去の発言は嘲笑の的となり、トランプ陣営にとって大きな問題となっている。辞退もあり得るという「緊急事態」である。 

    『ブルームバーグ』(8月2日付)は、「バンス氏は共和党の『お荷物』、候補辞退あり得ると題する記事を掲載した。 

    バンス氏は共和党全国大会で、スローガン「米国を再び偉大に(Make America Great Again=MAGA)」に共鳴する運動の後継者として歓迎された。自身の回顧録を原作とした映画「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」で描かれたように、どん底から這い上がってイェール大学出身の洗練された優秀な弁護士となった経歴は幅広い層にアピールするはずだった。

     

    (1)「実際には、バンス氏は大会後初の選挙集会で堅苦しくておもしろくなく、出だしからつまずいた。守りに入り、頼りがいのない印象を与えることも少なくない。好ましくない会話やビデオ、ソーシャルメディアへの投稿などが次々とリークされ、バンス氏とその陣営は対応に追われている。29日には、バンス氏の法科大学院時代の同級生が2人の間で交わされていたやり取りを暴露。バンス氏が権力を求めて以前の理想を捨てたことで、トランスジェンダーである自分との長い友情がどのように終わったかを公にした」 

    バンス氏は、過去の発言で四面楚歌である。「機を見るに敏なる」人物であることは間違いないとしても、擁護者が現れないのも不思議である。 

    (2)「共和党の一部では、かつては新星と見られたバンス氏が副大統領候補に選ばれたことを批判する声があるとの報道も流れた。トランプ前大統領自身、自分の決断について考え直したに違いない。そうでなければ、そうすべきだ。問題はトランプ氏が自分の過ちを決して認めないことだ。弱みをさらけ出すと考えているためだ。しかし、トランプ氏の陣営は、いわばバイデン氏のように、党と国のために自発的に身を引くようバンス氏を説得することは可能だ。トランプ氏は、政治的才能を持った人物を失うことを悲しみ、バンス氏の決断を渋々受け入れるふりをして、次に進むことができる」 

    トランプ氏は、苦しい立場である。自らが選んだ人物であるからだ。

     

    (3)「トランプ氏を翻意させ得る見通しはいくつかある。バンス氏を切り捨てれば、トランプ氏は選挙戦をリセットすることができる。共和党のストラテジストを長く務めたカール・ローブ氏は7月29日にFOXニュースに出演し、トランプ氏がハリス副大統領の「脇役に追いやられているのは明らかだ」と厳しく評価。トランプ氏は「選挙戦の主導権を握るのが好きな人物だが、そうはなっていない」と話した」 

    選挙戦の「主役」が、トランプ氏でなくバンス氏となっている。これは、トランプ氏にとって愉快なことではない。いずれ、トランプ氏本人が「主役」であることを示す時期が来ると言うのだが。 

    (4)「新しい副大統領候補を指名することで、ハリス氏が自身の副大統領候補を決めるのと同時に民主党を混乱に陥れるという、いわばトランプ流の手法も可能になる。残された時間は少なく、これはチキンゲームになりかねない。このドラマのような手法によって、トランプ氏は再びスポットライトを独占し、ハリス旋風の一部をかすめ取ることができるだろう」 

    大統領選の風は、民主党ハリス氏へ吹いている。トランプ氏は、必ず一計を考えだすであろう。

     

    (5)「バンス氏は、自分が作り出したダメージを修復するのがあまり得意ではないようだ。「子どものいない猫好きの女性」と侮辱した2021年の発言が各方面から非難を浴びても、皮肉を言ったに過ぎないとして受け流そうとした。しかし、そのような発言は他にもあり、2020年のポッドキャストではさらに踏み込み、子どものいない指導者は「より反社会的」で「精神的に安定していない」と発言。子どものいない評論家たちを「最も錯乱している」と批判した。その後、バンス氏はメギン・ケリー氏が司会を務めるラジオ番組に出演し、猫好き女性発言について謝罪。しかし、「われわれが反家族主義になったのは事実だ」と述べ、子どものいない女性に関する発言の内容をむしろ一段と強めた」 

    バンス氏に機知があれば、危機を乗り越えられるであろうが、それもなさそうだ。 

    (6)「トランプ氏が、後始末に踏み込まざるを得ないと感じるほどのダメージであり、決して良い兆候ではない。同氏はバンス氏を擁護したものの、家族は良いものだが、適切なパートナーに出会えない人もいるとし、「子どもがいないのも良いことだ」と厳しく指摘した。さらに、バンス氏が支持を固めるはずだった中西部では、むしろ「お荷物」になっている可能性を世論調査は示している。今月実施されたCNNとSSRSの世論調査によると、オハイオ、イリノイ、インディアナ、ミシガン、ウィスコンシンの諸州で、バンス氏を好意的に見ている人は28%に過ぎず、好意的に見ていない人は44%に上った。現時点では、バンス氏が副大統領候補として長くはとどまれないように見える」 

    激戦7州は、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンである。下線部では、ミシガン・ウィスコンシンが該当する。バンス氏の人気が芳しくない。これは、トランプ氏にとって重荷となろう。

     

     

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