勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2024年12月

    あじさいのたまご
       

    韓国民主主義は、最大野党「共に民主党」による弾劾連発で地に墜ちた。共に民主党が韓国法務部(省に相当)の朴性載(パク・ソンジェ)長官の弾劾訴追案を一方的に可決した。その理由の一つに、「野党代表をみつめたこと」という項目があった。卑俗な言葉を使えば、「ガンをつけた」という言いがかりである。共に民主党が尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後に今回のような形で提出した弾劾訴追案は何と29件に達する。世界中にこんな国はないだろう。29件のうち共に民主党が、国会で一方的に成立させた案件は13件もある。「多数の横暴」を地で行っている。

    『朝鮮日報』(12月29日付)は、「『国会で共に民主・李在明代表を見つめたこと』が法相弾劾訴追の事由になるだなんて」と題する社説を掲載した。

    韓国野党・共に民主党が韓国法務部(省に相当)の朴性載(パク・ソンジェ)長官の弾劾訴追案を一方的に可決した。その理由の一つに、「野党代表をみつめたこと」という項目があった。朴性載長官が国会本会議場の自らの席に向かう際、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表を見つめたことが「国会無視」であり、これが弾劾の理由になるというのだ。朴性載長官は「見つめた事実そのものがない」とした上で「事実関係とは関係なく、常識的に考えて人を見つめたことがなぜ弾劾理由になるのか」と反論した。

    (1)「弾劾は、政府高官などによる不法行為が具体的かつ深刻な状況となったときに最後の手段として行使するものだが、国会での国務委員(閣僚に相当)の態度が「重大な憲法・法律違反」に相当するとは考えにくい。共に民主党は朴性載長官が金建希(キム・ゴンヒ)夫人特別検事法の再採決の際に本会議場を後にしたことも違法と主張している。国務委員が国会での採決が終わるまで本会議場に残るよう定めた法律の規定はない。共に民主党内からは「李在明代表は共に民主党の父」などと北朝鮮のような独裁国家でよく見られる忠誠競争が見られ、偶像化の言葉などが堂々と語られている。そう考えれば「李在明代表を見つめた罪」が弾劾訴追の理由として明記されたことは決して偶然ではないだろう」

    李在明氏は、次期大統領へ最も近い人物とみられるが、偶像化され始めているとの批判も出てきた。慎重に行動すべきであろう。

    (2)「共に民主党による荒唐無稽な弾劾訴追はこれだけではない。大手下着メーカーサンバンウルによる北朝鮮への送金事件を捜査した検事を弾劾訴追する際には、検察の会食で飲酒後にだらしない態度を取ったとする「~らしい」疑惑を提起したが、同席者たちは全員が「そんなことはなかった」と証言している。大庄洞事件を捜査した検事に対しては「韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相の収賄事件で服役している受刑者を呼び証言を強要した」と主張したが、これは文在寅(ムン・ジェイン)前政権で嫌疑なしと結論が出た事案だった。李東官(イ・ドングァン)元放送通信委員長の弾劾訴追の際にはあろうことか「検察庁法に基づき弾劾する」と記載した。他人の弾劾訴追案のコピーをそのままペーストしたのだ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の1回目の弾劾訴追案では「北朝鮮、中国、ロシアを敵対視し、日本中心の奇異な政策にこだわった」として外交政策まで弾劾の理由とした」

    共に民主党の「弾劾連発」は、韓国政治の歴史に一大汚点を残しいている。韓国左派の理不尽な行動は、悪例を遺すだけだ。

    (3)「憲法裁判所は、「李廷燮(イ・ジョンソプ)検事弾劾案」は満場一致で棄却したが、その際に訴追理由とされたゴルフ場・リゾート利用の便宜などについては「職務との関連性が特定されなかった」と説明した。違法性はともかく、弾劾訴追の基本的な要件となる「職務との関連性」が最初から認められないという意味だ。共に民主党が乱発している弾劾訴追のほとんどがこの程度のレベルだ。法律に従うように見せかけた暴力だ」

    『日本経済新聞 電子版』(12月29日付)は、「韓国の政争は危うい火遊びだ」と題する社説を掲載した。余りにも醜態を演じている韓国野党への批判である。「共に民主党の李在明代表は、非常戒厳の暴挙に出た尹政権の幕引きのため手段を選ばぬ構えをみせる。革新陣営で次期大統領に最も近いとみなされる指導者だ。大局的な観点から与党と協力し事態の収拾へ指導力を発揮してほしい」と指摘する。冷静になるべきだ。

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    中国人民解放軍の最高幹部が、入れ替わり立ち替わりの「粛清」されている。習氏にとって、台湾侵攻は自己の政治権力維持とも絡む重大案件である。その手足となる軍部トップの人事が、「朝令暮改」のごとき事態に陥っている。幹部が揃いに揃って、贈収賄容疑の嫌疑を受けているとも思えないのだ。何か重大な問題が持ち上げっている、とみるのが普通であろう。

    『時事通信』(12月27日付)は、「陸海軍首脳も失脚かー粛清 全軍に拡大」と題する記事を掲載した。

    厳しい「反腐敗闘争」が続く中国軍で、新たに陸海軍や治安部隊の首脳が失脚した可能性が出てきた。同軍では既に、人事を握る政治工作部主任や国防相、ロケット軍司令官、前空軍司令官が処分されており、粛清が全軍に拡大し、泥沼化しているようだ。

    人民解放軍機関紙『解放軍報』は12月4日から「民主集中制」堅持のキャンペーンを開始し、次々と論文を発表した。社会主義体制の中国では、軍隊も政府機関などと同様、共産党組織によって運営されているので、党組織運営の基本方針は重大事。連載第2回(9日)のテーマは「集団指導」で、その意義を以下のように詳述した。習主席個人への礼賛が多い近年の公式メディアでは珍しい文章だ。

    (1)「1)集団指導は民主集中制の原則の核心・本質であり、党の最高原則の一つであり、科学的方針決定と民主的方針決定の重要な保証である。2)鄧小平同志は第8回党大会(1956年)での報告で「われわれの党内では長年、個人ではなく集団で重大な問題を決定するのが伝統となってきた」と述べた。党の指導は党委員会という集団の指導であり、1人、2人の指導ではない。各レベルの党組織指導部内では、誰であっても集団指導を堅持しなければならず、重大な問題に関する決定は必ず集団の討論によって下して、個人は組織に服従し、少数は多数に服従しなければならず、個人は絶対に指導集団を凌駕することができない」

    鄧小平が主張した「集団指導の重要性」が、人民解放軍内部で主張されている。習氏の唱える「権力集中」を非難しているのだ。これは軍内部で、鄧小平路線か習近平路線かの議論が起こっていることを示唆している。

    (2)「3)毛沢東同志は「(党組織のトップである)書記と委員の関係は、少数が多数に服従するというものだ。これは班長と戦士の関係とは異なる」と言った。つまり、「書記と委員は上下関係ではなく、書記は党委員会の平等な一員である」。ところが、一部の党委内部では、重要な問題の解決が党委会議ではなく、個人によって決定され、党委の委員が形だけの存在になっている。主要指導者が(指導の)集中を口実に「ワンマン」「家父長制」をやり、会議前も討論でも決議の時も個人が主導して、集団指導と称しながら、実際には個人もしくは少数の人が決めているケースがある」

    ここでは、公然と権力集中を批判している。

    (4)「4)習主席も中央軍事委の党建設会議で、党委の統一的な集団指導の下での首長分業責任制を実行し、あらゆる仕事は党委の統一的指導の下で行い、あらゆる重要な問題は党委が検討・決定しなければならないと述べた。「党内民主」をテーマとする連載第3回の論文(11日)も「民主集中制とは、まず民主があり、その後に集中がある」「1人の能力・資質がどんなに高くても、経験がどんなに豊富でも、視線や精力が及ばないところはある」として、個人の独断を戒めた。一連の論文は、習氏が軍を率いることを明確にする「中央軍事委主席責任制」という大原則には触れなかった」

    独断専行型の毛沢東が文化大革命(1966~76年)で政治の混乱と経済の低迷を招いた反省から、鄧小平は集団指導で改革・開放を進める体制を構築した。江沢民、胡錦濤政権は基本的にそれを継承した。しかし、習主席は自分個人への権力集中を強行し、憲法改正で事実上の終身制を導入した。反発が起こって当然であろう。軍部がサボタージュしたら、台湾侵攻など絵空事になろう。

    (5)「同じ解放軍報は12月13日、軍内の政治工作に関する大論文を掲げ、習主席に対する個人崇拝スローガンである「二つの確立」「二つの擁護」や中央軍事委主席責任制の意義を強調。「習近平の新時代における中国の特色ある社会主義思想」「習近平強軍思想」を深く学び、「絶対的忠誠」を堅持するよう呼び掛けた。文中には久しぶりに「習主席の指揮を聞き入れ、習主席に責任を負い、習主席を安心させよう」というフレーズも登場した」

    解放軍報の12月13日付は一転して、習近平氏擁護論を展開している。軍内部で論争が起こっているとみるべきだろう。

    (6)「同紙の最近の論評を総合すると、習主席が軍の絶対的リーダーであることに変わりはないが、その指導下の軍人たちはそれぞれの組織で集団指導を行い、一部の独断を許してはならないということだろうか。実際の矛先は、極端な派閥人事で軍内の和を乱した苗主任に向けられているのかもしれない。そうだとしても、一連の民主集中制論文が「反習近平」という印象を与えたことは否定し難い。習派とみられていた軍高官が次々と失脚する中で、軍機関紙は習主席批判と受け取られかねない宣伝キャンペーンを大々的に展開。政局に大きな影響力を持つ軍の混乱は、習近平ワンマン体制の不安材料になっている」

    一枚岩であるべき軍部の機関紙が、鄧小平vs習近平の路線を巡る論争を行っているのは、軍部で何か異変が起っていることを示唆しているとみるべきだ。深読みすれば、解放軍内部の鄧小平派が、習近平派の軍幹部を追放すべく追放運動を起こしているとも読める。いずれ、真相が明らかになろう。


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    経営統合に向けた協議を始めたホンダと日産自動車は、最終合意を予定している来年6月までに、日産がリストラを完了して業績を改善させる必要がある。自力で、従業員9000人と生産能力20%を削減できるか。日本経済新聞の試算によると、統合比率はホンダ5対日産1としている。ホンダ主導の統合になろう。

    『ロイター』(12月26日付)は、「日産との統合、ホンダから漏れる本音 幾重のハードル」と題する記事を掲載した。

    経営統合に向けた協議を始めたホンダと日産自動車は、統合が実現すれば世界3位となる販売規模を生かして収益向上を目指す考えだ。ただ、前提条件として最終合意を予定している来年6月までに、日産がリストラを完了して業績を改善させる必要がある。

    (1)「ホンダの関係者によれば、来年1月末までに日産のデューデリジェンス(買収前に行う相手企業の財務状況や法的問題、運営、資産などの詳細な調査)終了を目指し、来年6月までに「日産はターンアラウンド(事業構造計画による業績改善)ができると『ホンダが判断』したら最終合意する」としている。同関係者は「以前から統合は検討されていたが、さまざまな点で反対も多かった」としつつも、「現状の販売規模400万台では生産コストが高く、競争に勝ち抜けない」との危機感が後押ししたと話す」

    ホンダは、「止むなく」日産との統合を決断したとしている。自社の400万台では、競争に勝ち残れないという判断からだ。ホンダにも、こうした統合せざるを得ない事情がある。

    (2)「複数のホンダ幹部の間では、執行能力を含めた日産への不信感も強く、「計画通り9000人、生産能力20%を自力で削減できるかを見極めたい」という。日産は半年でリストラ完了を事実上、迫られた形だ。SBI証券の遠藤功治チーフエグゼクティブアナリストは、「日産にとって時間との勝負。これまでをみると、日産の経営はスピードが遅い。ホンダの期待するスピード感でリストラを実行し、利益を出せる体質に戻さないとホンダは見切るだろう。日産にとってクリティカル(極めて重要)な6カ月になる」との見方を示した。ホンダの三部敏宏社長は23日の会見で、「日産のターンアラウンドの実行が絶対的な条件だ」とし、「自立した2社でなければ経営統合の成就はない」と明言した。

    ホンダ側は、日産へ冷たい視線だ。社風の違いもある。現場主義のホンダと「本社主導」の日産では、肌合いが全く異なる。かつての日産は、東京・銀座が本社だった。「遊び」の誘惑も多かった。ホンダは、いつも「工場服」で過ごしていただけに、日産とは企業文化が全く異なる。これを乗り越えるのは、統合会社の出資比率である。『日本経済新聞』(12月28日付)の試算によれば、ホンダ株5に対して日産株1という。この比率通りとすれば、日産は完全にホンダ主導下に入る。

    (3)「統合実現の後、車台共通化などによる規模のメリット、研究開発機能の統合、生産体制・拠点の最適化などを通じて2030年以降に相乗効果1兆円以上を生み出し、営業利益は3兆円超と両社の23年度合計比で54%増を目指す。ただ、この数字の達成は容易ではない。両社にとって当面の最大の課題は電気自動車(EV)の品揃えで、現状は強いモデルがない。日産は「リーフ」でEV市場を開拓したが、その後つまずいた。新型EV「アリア」もEV専業の米テスラの「モデルY」に挑むはずだったが、生産上の問題が阻んだ」

    両社の弱点は、EVですぐに「売れる商品」がないことだ。ただ、日産には開発途中で中断しているモデルがいくつもあるという。これを見直して、製品化するなどの対応が必要になろう。何もかも否定的にみてもどうにもならなのだ。

    (4)「ホンダは本格的なEV商品群の投入がこれから始まり、中国では「烨(イエ)シリーズ」を24年度から、北米を皮切りに26年から「0(ゼロ)シリーズ」を世界展開する。モーニングスターの上級アナリスト、ヴィンセント・サン氏は「両社とも魅力的なEVを欠いており、統合後も新型車のパイプラインや技術研究開発の課題に直面することになるだろう」と述べた。車台共通化はコストシナジーを生むが、開発や事業再建には「予想よりも時間がかかる可能性がある」とみている」

    統合によるコストダウンが見込めることは事実だ。このメリットを出しつつ、統合を軌道に乗せる以外に道はない。ホンダも1社では、世界メーカーとして生き残れない以上、日産再建へ手を差し伸べるべきだろう。


    テイカカズラ
       

    韓国国会は27日、大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対する弾劾訴追案を可決した。最大野党「共に民主党」が、憲法裁判所の裁判官の任命を保留した韓首相の弾劾を推進した。

    崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相は、国会に韓悳洙首相の弾劾訴追案の再考を求める声明を発表した。大統領の権限を代行している韓首相が職務停止になれば、経済や安全保障に「深刻な打撃を与える」と訴えた。崔氏は主要閣僚らと並んで声明を読み上げた。国家の非常事態下で、韓国経済と国民生活が「薄氷の上を歩いている」と話した。対ドルでウォン安が急速に進んだ状況をあげ、混乱が続けば対外信頼度を損なうと主張した。この声は、「共に民主党」へ届かなかった。

    『日本経済新聞 電子版』(12月27日付)は、「韓国国会、韓悳洙首相の弾劾案可決 与野党が激しく対立」と題する記事を掲載した。

    韓国国会は27日、大統領権限を代行する韓悳洙首相に対する弾劾訴追案を可決した。最大野党「共に民主党」が憲法裁判所の裁判官の任命を保留した韓首相の弾劾を推進した。与野党があらゆる場面で対立し、政局の混迷が深まっている。

    (1)「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の職務停止に伴う韓首相の代行体制は2週間あまりで幕切れとなった。韓首相は27日夕、国会から弾劾訴追議決書を受け取り職務停止となった。崔相穆経済副首相兼企画財政相が権限代行に就いた。政情不安の影響は金融市場にも波及した。27日の外国為替市場では韓国の通貨ウォンが売られ、一時1ドル=1480ウォンを下回り2009年3月以来のウォン安・ドル高水準を付けた。3日の非常戒厳以降、ウォンの下落が続いている。韓国株式市場では総合株価指数(KOSPI)の終値が前日比24.90ポイント安の2404.77だった。米シティーグループは27日付けのリポートで「政治的な不確実性がより長期にわたって高まる可能性がある」と指摘した」

    野党「共に民主党」は、国民の批判を恐れず、李在明氏を一刻も早く大統領に選出したい「野望」で冷静さを失っているようだ。深刻な経済危機へ陥ろうという淵に立っているにもかかわらず、暴走を繰返している。

    (2)「韓首相は、弾劾案の可決後に「国会の決定を尊重し、これ以上の混乱と不確実性を加えないため、関連法に基づき職務を停止する」と表明したが、与野党の対立は根深い。憲法で大統領に対する弾劾案の可決ラインは3分の2以上とし、それ以外は過半数と定める。大統領権限を代行する首相の弾劾訴追は前例がなく、明確な規定が存在しない。野党は可決ラインを過半数、与党は3分の2以上と主張した。野党出身の禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は採決前に、過半数の可決基準を採ると表明した。与党議員は投票を拒否し、議長席の周りに集まり抗議した。野党議員らが賛成票を投じ、弾劾案は可決した。与党は国会による弾劾訴追が無効だと訴え、憲法裁に効力停止の仮処分を申請した。大統領の弾劾訴追による職務停止は3例あるが、権限代行者の首相まで弾劾されるという初の事例に行政当局は混乱している」

    大統領権限を代行する首相の弾劾訴追は前例がない。大統領権限を代行していれば、弾劾訴追には国会の3分の2以上の賛成が必要であろう。それを「首相罷免」の過半数で強行した。憲法裁判所が、どのように判断するかだ。

    (3)「崔副首相は採決後、談話を発表した。「国政の混乱を最小限に抑えることが何より重要だ。国政安定に最善を尽くす」と強調した。公務員にそれぞれの責任を果たすよう求め、国民には「成熟した市民意識と政府の責任ある対応が合わされば、危機を乗り越えられると確信する」と訴えた。韓首相と野党の対立のきっかけとなったのが、尹氏の弾劾審判を進める憲法裁判所の人事だ。裁判官9人のうち国会が選出する3人の枠が空席のため、国会で多数を握る共に民主党は26日、野党単独で人事を進めた」

    大統領権限を代行に崔副首相が就任した。崔氏も韓首相と同様に憲法裁判所裁判官の任命を保留すれば、弾劾訴追することになろう。弾劾ドミノである。こうして、韓国民主主義の欠陥が露呈されている。

    (4)「人事は、国会の選出後に大統領が任命する仕組み。韓首相は26日、与党が合意していない人事案を承認できないとして任命を保留した。これに野党が反発し、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は27日、韓首相を「内乱勢力」と位置づけた。野党は憲法裁の裁判官を早期に補充したい考えだ。現在の6人体制は弾劾審判を継続できるギリギリの体制で、1人でも弾劾に反対すると訴追が棄却される可能性があるためだ。権限代行に弾劾をちらつかせ、裁判官を任命するよう引き続き圧力をかけるとみられる。野党が代行の弾劾を繰り返せば、行政機能を停止させているとして世論の批判を浴びるリスクがある。与党は、尹氏の弾劾に反対した立場から、憲法裁の裁判官補充には消極的だ。経済や外交への影響を考えず野党が弾劾を乱発していると主張し、世論の理解を求める考えだ」

    韓首相は26日、与党が合意していない人事案を承認できないとして任命を保留した。これが、弾劾理由になったが、いやしくも憲法裁判所裁判官の任命である。多数決の暴力を使わず、冷静に話し合うことだ。

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    中国の住宅過剰在庫問題は、もはやニュースバリューも消えかかるほど言い古されている。これは、事態が何ら解決していない証拠だ。中国経済に深く食い込んだ「病巣」になっている。習近平国家主席は、この状態でも見て見ぬ振りをし続けている。中国の国力は、これによって確実に低下しているのだ。

    『日本経済新聞 電子版』(12月27日付)は、「中国住宅家賃が下落、4年ぶり低水準 11月 供給過剰で」と題する記事を掲載した。

    中国の住宅家賃が下がっている。11月の主要100都市平均家賃は4年ぶりの低水準だった。供給過剰や就職難を背景に下落に転じており、大都市の上海市や北京市でもピークアウトした。家賃の下落で賃貸に住む人が増えれば、住宅販売の不振が一段と長引きそうだ。

    (1)「経営再建中の中国恒大集団が開発した江蘇省啓東市の住宅家賃相場が急落している。「エアコン、冷蔵庫、家具完備で月600元(約1万2600円)」だ。51平方メートル1DKの住宅家賃は恒大が敷地内に併設したホテルの宿泊料1泊分(868元=約1万8200円)を下回る。不動産仲介会社の営業担当者によると、新築時に40万元(約840万円)だった物件価格は20万元(約440万円)に下がった。それでも月600元の家賃では回収まで30年近くかかる計算だ」

    51平方メートル1DKの住宅家賃は、恒大が敷地内に併設したホテルの宿泊料1泊分(868元=約1万8200円)を下回る。住宅在庫がいかに過剰であるかを示している。

    (2)「中国の調査会社Windの集計によると、11月の主要100都市の平均家賃は2636元(約5万5300円=100平方メートル換算)だった。2020年11月以来の低水準となる。下落の主な原因は大量供給だ。恒大の江蘇省啓東市の住宅プロジェクトは総戸数が4万戸を超えると言われる。しかもその大半が値上がり目的で買われ、居住していない。少しでも経費を賄おうとする家主が低額で貸し出している」

    不動産バブル時は、投機という仮需が住宅価格を押上げた。今度は逆に、仮需が投売りの主力になっている。中国不動産は、こうした投機に揺さぶられている。

    (3)「値上がり目的が、買い手の主体だった同プロジェクトは特殊な事例だ。上海や北京のような大都市でも、家賃は下落傾向になっている。若年層の就職難や成長鈍化による所得の伸び悩みが影響し、上海は6月に付けた最高値から12%下落し1万0299元(約21万6300円)に、北京は22年12月の最高値から14%下落し、1万1444元(約24万0300円)となった」

    上海や北京の家賃は、月間20万円以上になっている。これでは簡単に賃貸人が見つかるまい。半値までの下落は必至であろう。まだまだ、値下がり余地は大きい。

    (4)「家賃の下落は、住宅販売の回復が遅れることにもつながっている。中原地産によると、上海の11月の賃貸利回りは1.77%だった。1.81%だった9月から2カ月連続で低下した。販売価格と並行して家賃も下落しているためだ。市場では、「住宅ローン金利が賃貸利回りを上回っていることが、新築住宅在庫の消化が長引く要因になっている」との見方が多い。中国人民銀行(中央銀行)によると、9月の住宅ローン金利は平均3.31%だった。住宅ローン金利が賃貸利回りを大幅に上回って持ち主が投資を回収しづらい「逆ざや」状態が続く」

    上海の11月の賃貸利回りは1.77%だ。住宅ローン金利は、平均3.31%である。賃貸利回りが、住宅ローン金利を下回っている限り住宅回復はありえない。賃貸の採算が取れないから、住宅を新規購入する動機がないからだ。これが、経済原則である。現在の格差は、1.54%ポイントもある。この差が消える時期は何年、何十年先か。気が遠くなる話だ。中国経済は、不動産バブルに食いつぶされる運命にある。

    (5)「平安証券の試算では、販売中及び開発済みだが未販売の住宅在庫を政府がすべて市場価格で買い入れる場合、必要な資金は14兆9000億元に達するという。23年の中国の名目国内総生産(GDP、126兆0582億元)の約12%に相当する規模となる。政府の住宅買い入れによる市況安定は巨額の財政資金が必要で現実味が乏しい。主な住宅の買い手である若年層の就職、医療、年金、介護などの将来不安を解消すると同時に、家賃の下落を上回るペースで住宅ローン金利を大幅に引き下げ、実需を喚起することが必要となる」

    政府が、販売中及び開発済みだが未販売の住宅在庫をすべて市場価格で買い入れる場合、必要な資金は14兆9000億元(約313兆円)必要という。これは、23年名目GDPの12%に当る。習近平氏は、25年の特別国債(財政赤字に含めない)発行を3兆元で「大勇断」としているほどだから、約15兆元の支出などあり得ないであろう。かくて、中国経済は、この元凶を解決せず時間の経過と共に減衰が明らかになる。


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