勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2024年12月

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    韓国社会は、政治不安で消費を切り詰めるパターンがある。過去2回の大統領弾劾訴追では、個人消費が落込んでいる。これは、国民が無意識に政治不安におののき、消費切り詰めへ走らせているものとみられる。「街頭デモ」によって大統領追放運動に参加していても、心の底で「韓国政治はどうなるのだろう」と不安を抱えているに違いない。

    『東亜日報』(12月20日付)は、「国民の53%『来年の消費支出を今年より減らす』」と題する記事を掲載した。

    物価上昇と景気低迷により、国民の過半数以上が来年の消費を減らす計画だという調査結果が出た。19日、韓国経済人協会が世論調査専門機関「モノリサーチ」に依頼し、全国の18歳以上の国民1000人を対象に消費支出計画を調査した結果、回答者の53%は来年の消費支出を今年より減らす計画だと明らかにした。これにより、来年の家計消費支出は今年に比べて平均1.6%減少するものと予想される。

    (1)「所得別消費の二極化も目立っている。所得1~3分位(下位60%)は、来年の消費は今年より減少すると予想した一方、4~5分位(上位40%)は増加すると見込んだ。国民は、来年の消費支出を縮小する理由として、「物価高の持続」(44%)を最も多く挙げた。所得減少・失職懸念(15.5%)、税金および公課金の負担増加(8.5%)等の順だった。消費減少を予想した品目としては、旅行・外食・宿泊(17.6%)、レジャー・文化生活(15.2%)など屋外・レジャー活動が多かった。一方、飲食料品や住居費、生活必需品など景気状況と関係のない必須消費財については、消費支出の増加が予想された」

    大統領弾劾訴追ということは、異常事態である。一国元首を追放するというのだから国民が不安に思って当然であろう。一部の「確信的」な人を除けば、「この国はどうなるだろう」と不安感が増幅するのは自然の話だろう。

    消費者の不安感が、個人消費へ与える影響をデータで見ておきたい。名目GDPに占める個人消費比率の推移の低下に現れているのだ。

    名目民間最終消費支出対名目GDP比
      03年 54.07%
      04年 51.59%(盧武鉉大統領弾劾)

      15年 48.54%
      16年 47.96%(朴槿恵大統領弾劾)
      17年 47.55%

    (2)「消費支出の減少は、家計事情の悪化によるものと分析される。来年の家計事情が悪化するという回答は42.2%に達した一方、今年より良くなるという回答は12.2%に止まった」

    韓国の人々は、政治不安が個人消費を減らすという明確な認識がないようだ。だが、データをみれば、名目民間最終消費支出対名目GDP比率は、明確に前年よりも低下している。

    『東亜日報』(12月23日付)は、「『3日以降は注文がほとんど途絶えた』、戒厳の嵐まで襲った中小企業」と題する記事を掲載した。

    すでに景気低迷の長期化と中国の低価格攻勢に苦しんでいた中小企業が、非常戒厳事態の衝撃まで襲い、枯死危機状態に追い込まれている。東亜(トンア)日報の取材に応じた中小企業の代表らは「通貨危機よりもっと大変だ」、「パンデミックの時がむしろ良かった」と悲鳴を上げている。大邱市(テグシ)の城西(ソンソ)工業団地にある繊維加工会社は3日、戒厳事態以後、海外取引先からの注文が途絶え、京畿道華城(キョンギド・ファソン)の玩具会社は18億ウォン分の金型だけを積み上げたまま開店休業状態に入ったという。

    (3)「最近、中小企業中央会が輸出をする中小企業513社を対象に実施した実態調査でも26%が内政混乱で直接、間接的に被害を受けたと答えた。特に海外取引先が韓国の不安定な政局を理由に契約を遅延したり、取り消したり減少させたという被害が半分に迫った。この余波で、工場の稼動を中断したり、協力業者に支払わなければならない違約金が発生して流動性危機を心配する企業が次第に増えている。その上、為替レートへの対応能力が弱い中小企業は金融危機以後、15年ぶりに1ドル=1450ウォンを突破したウォン安ドル高にお手上げ状態だ」

    海外取引先が、韓国の不安定な政局を理由に契約を遅延したり、取り消したり減少させたという被害が出ている。これは、政局不安を口実に使われている感じだ。

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    バイデン米政権は23日、中国製の「レガシー半導体」に関する調査を開始すると発表した。トランプ次期大統領が計画する対中関税の導入に迅速な道を開く可能性がある。政府当局者によると、通商法「301条」に基づく調査で、来年1月に発足するトランプ政権が完了までのプロセスを引き継ぐという。

    半導体は、膨大なデータを処理し理解するために必要不可欠であり、経済活動の生命線として石油に匹敵するようになったからだ。シリコンディスク上に堆積した材料から作られる半導体は、チップ、集積回路とも呼ばれ、さまざまな機能を発揮する。データを保存するメモリーチップは比較的単純で、一次産品のように取引されている。レガシー半導体は、中国がサプライチェーンを形成すると、世界経済に大きな影響力を持つだけに、米国はこれを阻止する姿勢を強めている。

    バイデン政権はすでに中国製半導体に50%の関税を課すことを決め、来年1月1日に発効する。

    『ブルームバーグ』(12月23日付)は、「バイデン政権、中国製半導体を調査へートランプ関税のお膳立て整え」と題する記事を掲載した。

    バイデン米政権は中国製半導体に関する調査を開始し、トランプ次期政権に新たな関税措置を導入する選択肢を与える。

    (1)「ホワイトハウスは23日、非先端プロセスを用いて中国で製造されるいわゆるレガシー半導体について、調査を開始すると発表。これらの半導体は人工知能(AI)半導体の先進性はないものの、自動車や航空機、医療機器、通信機器の業界など幅広く応用されている。米当局は半導体セクターに対する中国支配が過度に集中すれば、国家安全保障にリスクを及ぼしかねないとしている。調査開始は関税賦課の可能性につながるプロセスである」

    米通商代表部(USTR)は、国家主導による中国製半導体の大規模な供給拡大から、米国などの市場主導型半導体メーカーを保護することが調査の目的だと説明した。USTRのタイ代表は、中国が鉄鋼やアルミニウム、太陽光パネル、電気自動車(EV)、重要鉱物の分野で影響力を拡大したように、半導体産業でも世界的な独占を狙っている証拠があると指摘した。「これにより、中国企業は生産能力を急速に拡大し、人為的に価格を低く抑えた半導体を提供することが可能になり、市場主導の競争を大きく損なったり、排除したりする恐れがある」と述べた。『ロイター』(12月23日付)が報じた。

    官報によると、来年1月6日から調査に関する一般の意見を受け付け、3月11~12日に公聴会が予定されている。このように、トランプ政権がすぐに対応できるように「準備万端」整えている。

    (2)「レモンド米商務長官は22日、「これら半導体の強じんなサプライチェーンが必要だ。新型コロナ禍当時、これらの半導体を手に入れられなかった経緯があるからだ」と記者団に述べた。国外サプライヤーへの依存が生産ラインを停滞させ、家庭用品の価格を押し上げたと説明した。米当局者は記者説明で、中国が世界の半導体市場を支配したい意向を示しており、不当な補助金で業界を支援しているが、法的措置を取るには調査が必要だと述べた」

    中国が、世界の半導体市場を支配したい意向を示しており、不当な補助金で業界を支援していることから、米国は法的措置を取るとしている。

    (3)「関税措置の発動を定める米通商法301条に基づき、米通商代表部(USTR)はまず、中国の行動が「不当」もしくは「差別的」であるかどうかを判断。そのような判断が下れば、次期政権は報復関税の賦課や、輸入制限、あるいは大統領と議会に追加措置を勧告することが可能になる。調査には数カ月を要し、最終的な決定は次期政権に委ねられる。トランプ次期米大統領は次期USTR代表にジェイミーソン・グリア氏を指名する意向を明らかにしている」

    バイデン政権は下準備をしておき、トランプ政権がすぐに対応できるようにしている。米国は、与野党問わず外交政策で一致している証明である。


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    ホンダと日産自動車は23日、完全経営統合へ向けた協議入りを正式に発表する。読売新聞オンライン報道による両社の合意内容によれば、持ち株会社を設立し、傘下に両社が入る方向で調整する。26年8月に両社は上場を廃止する。注目すべきは、役員の過半をホンダが指名する点である。

    ホンダ主導であることが、明白になった。実質的にホンダの日産救済統合だ。日産が、筆頭株主の三菱自動車の合流も視野に入れる。統合が実現すれば、世界販売台数が800万台超となる世界3位の自動車グループが誕生する。

    『読売新聞オンライン』(12月23日付)は、「ホンダ・日産、再来年の経営統合を目指す方針 取締役の過半数はホンダ側が指名で検討」と題する記事を掲載した。

    経営統合に向けて協議しているホンダと日産自動車が2026年の統合を目指していることが23日、わかった。両社は26年8月に上場を廃止し、新たに上場する持ち株会社の傘下に入る方向で検討している。両社は23日、統合に向けた検討の基本合意契約を正式に結び、午後にも記者会見を開いて詳細を説明する。

    (1)「新設する持ち株会社は、ホンダ側が取締役の過半数を指名する予定で検討している。新会社は実質的にホンダが主導する方向だ。また、日産が筆頭株主となっている三菱自動車の合流も視野に入れている。25年6月の最終契約を目指す」

    持ち株会社は、ホンダ側が取締役の過半数を指名することになった。これにより、日産社内の「ゴタゴタ人事」を持ち込ませず、スッキリした役員構成を目指す。日産OBは、「ホンダに救済して貰うことはありがたい」と完全に従う雰囲気を伝えている。

    (2)「両社は、経営統合によって車両を共通化し、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの相互補完を進める。北米でHVを投入できていないことが経営不振の一因となっている日産にとっては、メリットが大きい。研究開発機能の統合や生産拠点の合理化も行い、開発や生産コストの効率化も加速させる考えだ」

    完全統合することで、統合効果は100%発揮される見通しだ。両社のブランドは維持し、車台の共通化を進める。工場の相互利用を図って、操業度向上を目指す。共通部品の共同調達を進め、サプライチェーンを最適化する。こうした統合効果が上がれば、営業利益率は7%台へ上昇して、新車開発余力も生まれ、「世界3位」の自動車メーカーとして地歩を固められるはずだ。

    (3)「ホンダと日産の統合が実現すれば、2023年の世界販売が1123万台のトヨタ自動車グループ、923万台の独フォルクスワーゲングループ(VW)に次ぐ世界3位の自動車グループが誕生する。売上高は、ホンダと日産の合計で約30兆円に上る。ホンダと日産は今年3月、EV開発などで協業検討に入ると公表した。8月には、車両に搭載するコンピューターを制御する基本ソフト(OS)の共通化といった具体的な協業内容を示し、三菱自が枠組みに加わることも発表した」

    ホンダ・日産の統合は、日本政府の長年の夢であった。政治が、民間企業の合併に介入できないだけに、ハラハラした思いで眺めてきたのが真相だ。23日午前中、ホンダ・日産両社の社長が、経産省と国交省を訪ねで幹部と面談したことが、この間の事情を物語っている。


    テイカカズラ
       

    習近平中国国家主席は、中国軍の規律弛緩に頭を悩ませている。いくら取り締まっても汚職を根絶できないからだ。なぜ、こういう事態が起こっているのか。権力が習氏に集中している結果であろう。人民解放軍内部では、習近平氏の権力独占にあやかって、習氏の権力「代行」を装って利権漁りをしているに違いない。習氏の「手形」を利用しているのだ。これでは、偉大な「中華民族再興」が危ぶまれる。

    米国防総省は、12月18日に発表した中国の軍事動向に関する年次報告書で、人民解放軍内部の大規模な汚職問題が、2027年までに軍の近代化を実現するという目標の妨げになる可能性があるとの見解を示した。こうなると、習氏にとっては「一大事」である。

    台湾侵攻には、台湾海峡という地理的・気象的に大きな障壁がある。上陸作戦の時期は、年間で4月と10月しかなく、この限られた期間の作戦行動は困難を極めるのだ。中国軍上層部は、この事実を知っているので、習氏に命令に「気乗りしない」のであろう。

    『ロイター』(12月19日付)は、「中国軍、大規模汚職が27年までの近代化目標妨げもー米国防総省報告」と題する記事を掲載した。

    米国防総省は18日に発表した中国の軍事動向に関する年次報告書で、人民解放軍内部の大規模な汚職問題が、2027年までに軍の近代化を実現するという目標の妨げになる可能性があるとの見解を示した。

    (1)「人民解放軍は昨年以降、大規模な汚職摘発を進めている。今年11月には同軍最高指導機関の中国軍事委員会の苗華委員が「重大な規律違反」の疑いで調査を受けていることが分かった。年次報告書は、昨年7~12月に中国で軍の最高幹部クラスや防衛産業の重役の少なくとも15人程度が職務を解任されたと説明。「人民解放軍は昨年、新たな汚職関連捜査と高官解任の波にさらされており、これは27年の近代化達成目標に向けた道のりに混乱をもたらすかもしれない」と指摘した」

    軍内部では、習近平氏との「懇意さ」を強調すれば、百万力の影響力を持つであろう。「習氏に話を付けてやる」と言ったニセ情報が充満し、汚職の引き金になっているとみるほかない。多くの人は、習氏との関係に繋がれば「金儲け」できると夢を膨らませているであろう。権力の集中が、こういう「悲喜劇」を生んでいるのだ。

    (2)「米政府は、習近平国家主席が軍に対して27年までに台湾に侵攻できる態勢を整えるように命じたとの見方を示している。ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は報告書発表後にシンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で、これら15人の解任は「氷山の一角」であった公算が大きいと言及。人民解放軍内部で汚職が広がっている状況を示唆するとともに、一連の取り締まりによって軍組織の下部に至るまでリスク回避や機能まひの現象が起きる期間が生まれそうだと語った」

    習氏が、27年までに台湾侵攻態勢を整えるように命令しているが、現場は不可能と判断しているのであろう。軍部は、自軍の戦力を冷静にみているはずだ。台湾海峡を越えて台湾本島へ攻込むことが、地理的・気象的にいかに困難であるかを熟知しているのであろう。兵員と物資の輸送艦が、台湾海峡の「藻屑」になるリスクを高めるからだ。

    (3)「米国防総省高官の1人は、汚職の取り締まりは中国の防衛産業を含めた軍事プロジェクトの進行を遅らせてもおかしくないと指摘した。中国外務省の報道官は会見で、この報告書について、「無責任」であり、米国が軍事的覇権を維持するための口実だと主張。「米国の報告書は、これまでの同様の報告書と同じく、事実を無視しており、偏見に満ちている」とし、米国に対し、こうした報告書の作成をやめ、中米軍事関係の安定維持に向けた実際的な行動を取るよう求めた」

    米国CIAの情報網は、ロシアのウクライナ侵攻直前の情報開示によって、その正確さが証明されている。中国外務省の報道官が、米国に対しこうした報告書の作成をやめ、中米軍事関係の安定維持に向けた実際的な行動を取るよう求めたのは、米国の報告書が「事実」であるからだろう。急所を突かれているのだ。

    台湾海峡は、次のような気象条件に置かれている。
    1)11月~3月は、北東季節風が吹く。
    2)5月~9月は、台風シーズンにあたる。

    上記の期間は、中国軍の台湾本島への上陸作戦が困難であることを示している。特に、最近の異常気象の襲来を考えれば、いつ気象条件が急変するか分らないのだ。上記の期間を除くと、1年で4月と10月が「平穏季節」になるが、このわずか1ヶ月で上陸作戦という危険極まりない戦闘行為が終る保証はどこにもない。となると、中国軍は仮に上陸できても援軍がないので、「自然消滅」の危険性が強くなる。中国軍幹部は、こういう事態の到来を読み込んでいるであろう。こうなると、大真面目に「作戦遂行」とは言えなくなろう。

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    トランプ次期米大統領就任で、米中関係は一段の厳しい対立が予想される中、中国の日本接近姿勢が明確になっている。こうした中で、理不尽な中国による日本海産物の輸入禁止は、来年半ばに解禁へ踏み切る情勢になった。来年5~6月には、日本で日中韓三カ国首脳会談が開催される。李中国首相はこれに参加すべく訪日するので、これに合せた解禁が見込まれるもの。

    『日本経済新聞 電子版』(12月22日付)は、「中国、25年前半にも日本産水産物の輸入再開」と題する記事を掲載した。

    中国政府は2025年前半にも日本産水産物の輸入を再開する検討に入った。東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海水サンプルを検査し、安全性を確保しうると判断したもようだ。対中追加関税の強化を掲げるトランプ次期米政権の1月の発足をにらみ、日本との関係改善を急ぐ。

    (1)「複数の中国政府関係者が、明らかにした。李強首相は日本政府が5〜6月ごろの開催を探る日中韓首脳会談に合わせた訪日を視野に入れる。輸入解禁の方針を伝える有力な機会と位置づける。中国は23年8月、日本による原発処理水の海洋放出を受けて日本産水産物の輸入を全面的に禁止した。日本がかねて求めていた水産物の輸入再開が実現すれば日中関係に追い風となる」

    中国は、これまで福島原発処理水放出で日本海産物の輸入停止措置を講じてきたが、この「一人芝居」も幕を迎える。勝手に拳を上げて、勝手に下ろす時期を探っているのだ。

    (2)「中国は、かねて処理水を「核汚染水」と呼び「国際的な安全基準に合致する」と説明する国際原子力機関(IAEA)に反発してきた。安全性を確かめられない限り水産物の禁輸を続けると訴えた。日本政府とIAEAは24年9月、処理水のモニタリング(監視)体制を広げて中国にも検査を認めると合意した。これを受けて日中両政府は同月、中国による安全検査などを条件に水産物の輸入の段階的な再開を申し合わせた」

    中国は、IAEAの判定すら認めないという異常な騒ぎ方であった。韓国左派を巻き込んで、「共闘」してきた。だがついに、情勢不利と悟ったのであろう。この教訓は、今後の中国の対日外交に生かされるであろうか。安易な期待は、持たぬ方が良さそうだ。また、何か種を探して、日本を揺さぶってくるであろう。

    (3)「中国政府は、10月中旬に海水サンプルを採取し、国内で専門機関が分析を始めた。11月には石破茂首相と中国の習近平国家主席がペルー・リマで会談し、9月の合意を「着実に履行する」と確認した。日中両政府は12月18日、北京で処理水放出を巡る3回目の専門家対話を開いた。日中関係筋は「中国側が言い出して開催した。輸入再開に向けた出口を見つけようとしている」と指摘する。日本政府関係者によると、日本政府は25年5月か6月ごろの李氏の招請を検討している。これに先立ち中国の王毅共産党政治局員兼外相を日本へ招く方向だ。中国側は、こうしたハイレベル往来を活用し、輸入解禁を伝えるタイミングを探る」

    中国は、10月中旬に福島沖で海水サンプルを採取し、専門機関が分析を始めていた。国際機関IAEAの分析を信用しないで、独自で分析する。奢った姿勢だ。IAEAには、中国の委員も出ているのだ。

    (4)「中国が、これまで渋ってきた輸入再開を検討するのは、対日関係の重みが増しているからだ。保護主義的なトランプ次期大統領への発言力や交渉力を高めるには、同じ輸出国家である日本などとの関係改善が有効とみる。トランプ氏が「米国第一」を掲げ、同盟国への負担増を求めていることも対日接近を促す。日米や日米韓の結束を乱し、米主導の対中抑止の効力を弱める思惑だ」

    中国の手口は分りきっている。日本外交は、中国の「ニーハオ」微笑外交に乗せられるほど「ウブ」ではない。日本は、中国へ言うべきことをしっかり伝えて意思疎通をはかることだ。

    (5)「日中関係は、25年後半に冷え込む恐れがある。中国は、25年9月3日に抗日戦争の勝利から80年を迎える。記念式典が反日色の強い内容になれば、日本の対中感情が悪化しかねない。中国政府の関係者は、「日中間で歴史問題に焦点があたり、ギクシャクする前に李氏の訪日や水産物の輸入再開を実現したい」と話す。日本の非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播集団が、24年10〜11月に日中両国で実施した共同世論調査で、日本への印象を「良くない」と答えた中国人は合計で87.7%だった。23年調査から24.8ポイント上昇した」

    中国の、対日印象が悪化している。中国政府の反日姿勢をストレートに反映しただけだ。中国政府が軟化すれば、自動的に改善することは間違いない。懸念することはない。いつものことである。


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