勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年01月

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    テスラCEOのマスク氏は今や、米国トランプ大統領の側近に上り詰めたが、思わぬ事態が起こっている。IRA(インフレ抑制法)が廃止されれば、EV(電気自動車)補助金も打ち切られるに伴い、テスラが5000億円もの減益になると、JPモルガンが警告したからだ。マスク氏は、米財政の赤字削減の最高ポストに就いただけに、一律の補助金廃止を推進しなければならない立場にある。さて、テスラはどうなるか。転んでもただで起きない商法だけに、自動運転の規制緩和を勝ち取る戦略とみる。

    『クロスカーマガジン』(1月26日付)は、「『テスラ危機』JPモルガンが警告、IRA補助金廃止で最大5000億円の損失か マスクは強気姿勢を崩さず」と題する記事を掲載した。

    トランプ政権2期目就任後、電気自動車業界に不安が広がっている。ドナルド・トランプ大統領の環境政策に対する消極的な姿勢が背景にある。すでにトランプ政権2期目の政策方針は環境産業よりも従来型産業を重視する方向性が鮮明となった。

    (1)「皮肉なことに、テスラのイーロン・マスクCEOはトランプ政権2期目の中心的人物で、「トランプの右腕」と呼ばれている。この懸念を裏付ける分析が先月公表された。JPモルガンのアナリストが、トランプ政権2期目の政策方針がテスラの経営を圧迫する可能性があるとの報告書を発表したのだ。一方でマスクは、むしろIRA補助金廃止に賛同する発言を続けている。JPモルガンとマスクの主張、その根拠を詳しく見ていこう」

    JPモルガンは、IRA補助金廃止の場合、EV専業のテスラの経営に大きな打撃があると分析している。

    (2)「トランプの公約通りIRA補助金が廃止された場合、テスラの利益が最大40%減少する恐れがあるとの見方だ。金額にすると32億ドル(約5000億円)という巨額な損失となる。またJPモルガンのアナリストは、テスラの市場シェアが1.8ポイント低下すると予測している。テスラは2024年、10年ぶりに販売台数が1%減を記録した。ここにIRA補助金廃止が重なれば、テスラの販売台数がさらに落ち込む。JPモルガンのアナリストは、テスラにとってIRA補助金廃止の打撃が他のEVメーカーより深刻になると分析している」

    IRA補助金が廃止された場合、テスラが最大40%の減益になるとの見方だ。金額にすると32億ドル(約5000億円)である。テスラは、多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」の改良版の受注を始めた。3月から納車する。最量販車であるモデルYの刷新で需要を喚起する。価格は25%引上げている。

    (3)「市場の不安をよそに、マスクはIRA補助金廃止に前向きな姿勢を示している。テスラのブランド力とEV業界での独自の地位に自信を持っているためだ。テスラは新規参入が相次ぐなか、依然として市場での優位性を保っている。この市場支配力を背景に、IRA補助金の影響はテスラより競合他社の方が致命的になるとの見方だ。しかし、競合各社の認識は大きく異なる。現代自動車グループは、IRA補助金廃止を「懸念材料と考えていない」として、市場の不安を一蹴した。EV事業への投資を決めた時点で、補助金は存在せず、計算にも入れていなかったとの立場を示した」

    テスラは、EV補助金を打ち切らせて他社を淘汰する戦略でもある。自ら損害になっても、他社をふるい落とせば今後の販売で有利になるという見立てである。現代自動車は、補助金なしでも経営できるようにコスト切下げを図っているという。

    (4)「JPモルガンの分析とマスクの自信、どちらが的確か判断する上でもう一つ重要な要素がある。それは、IRA補助金が廃止されない可能性だ。IRA補助金の廃止はEV市場だけでなく、米国の労働界、さらには米国経済全体にも影響を及ぼす。廃止されれば1300億ドル(約20兆円)の損失が米国経済に及び、IRA政策で生まれた30万人の雇用が危機にさらされる。広範な悪影響をもたらすこの政策は、議会の承認はもちろん、共和党内部からの反対にも直面する可能性が高い」

    実際に、IRAが廃止されるかどうかという疑問も出ている。廃止されれば、1300億ドル(約20兆円)の損失が見込まれるという。広範な雇用調整も起こるからだ。

    (5)「それでもなお、トランプという人物の予測不可能性が業界全体に緊張をもたらしている。IRA補助金が廃止されない場合でも、規模縮小の可能性が指摘されるなど、様々なシナリオが浮上している。IRA補助金を巡る議論が与える影響とその帰結に、業界の注目が集まっている。

    トランプ氏の予測不可能性からみれば今後、何が起こるか分らない。マスク氏は、トランプ新政権下でテスラが重視する自動運転分野で規制緩和に期待しているのではないか。EVの売上が落ちても、自動運転で規制緩和させればプラスという思惑があるのだろう。

    テイカカズラ
       

    日本を訪れる外国人観光客が、今年は4000万人(24年は3687万人で過去最高)に達すると言われている。すでに、オーバーツーリズムになっており「観光公害」が指摘されている。静岡県の富士市では、富士山の写真を撮る外国人が殺到して交通渋滞を引き起す騒ぎになっている。

    一方で、外国人観光客が2024年に国内消費した金額は8兆1395億円で過去最高となった。国内アパレル業界の市場規模並みの消費額と言われる。こうなると、観光公害を避けつつ、経済的なメリットを増やす方法を考えた方が「生産的」という指摘もある。つまり、人数が増えなくても消費金額を増やす方法を考えつけば、悩みは消えるというのだ。

    『ブルームバーグ』(1月24日付)は、「観光大国日本、賢い政策で国民に利益還元を」と題する記事を掲載した。

    日本の観光戦略が功を奏していることが、かつてないほど鮮明に示されている。24年の訪日客数は前年比47%増となった。新型コロナウイルス禍前のピークだった19年から16%も増えたのだ。

    (1)「24年のインバウンド消費は、なんと19年比69%増の8兆1000億円に達した。ドル換算では500億ドル超えだ。30年代に入る前に1年で訪日客6000万人に1000億ドル近くを使ってもらうというのが政府の目標だ。その額を考えると、レストランなど混雑などわずかな不便は我慢していいのではと思う。批判的なコメントが増えているのは気になる。そうは言っても、1000億ドルを補うどのような産業を想定しているのだろうか」

    やがて外国人観光客は年間6000万人、消費額1000億ドル時代が来る。観光公害は、今より酷くなる。対策が急務である。

    (2)「同じ規模の外国と比べると、日本にやって来る外国人観光客の数が極端に多いとは言えない。訪日客3400万人が平均7日間滞在すると仮定すると、日本の人口が約65万人多くなる日もあるとの試算すらある。真の問題は3つだ。
    1)訪日客受け入れの恩恵が明確に示されていないこと。
    2)訪日客が特定の地域に集中し過ぎていること。
    3)訪日客の増加ペースが速過ぎること。
    解決策は、観光大国としてあずかる恩恵を経済全体に行き渡らせることだ。訪日客から得る価値をもっと高める余地は十分にあるが、急激な観光客増加に追われる地方行政の対応は遅々として進んでいない」

    外国人観光客の問題点は、前記の3点に絞られる。これに対して、対策を講じればよいのだ。

    (3)「京都市は最近、宿泊税の上限を1泊1000円から1万円に引き上げる方針を示した。1万円が課せられるのは、1泊10万円以上のホテルや旅館を利用した場合だ。観光客が物価高騰を理由に訪日を控えているという証拠は全くない。19年と比較してホテルへの支出は倍増。円安効果よりはるかに大きい。もし、京都や渋谷のホテルが高過ぎると訪日客が感じるのであれば、むしろ好都合だ。別の場所に行ってみようという気になるだろう」

    京都市は最近、宿泊税の上限を1泊1万円へ引き上げる方針だ。1泊10万円以上のホテルや旅館を利用する人は、痛くもかゆくもないという想定だ。

    (4)「京都のような宿泊税の引き上げに及び腰の自治体があるとすれば、日本の居住者に課税しなければ、住民の理解を得られるのではないだろうか。19年に導入された「国際観光旅客税」、つまり日本を出国する際に課される1000円の税金にも同じことが言える。この税は日本国民や居住者を対象にすべきではない。ビザ(査証)なしで入国できるという利便性の対価として、もっと金額を引き上げ、入国時に訪日観光客が支払う明示的な税金とすればいい」

    高い宿泊税を徴収できない自治体には、海外旅行者に「出国税」1000円を課す。これを、地方自治体へ分ければ良い。ビザなし入国への税金と位置づける。

    (5)「今のような免税制度は考え直そう。同一店舗における1日の購入額が5000円以上で、外国のパスポート(旅券)を提示すれば消費税が免除されるというこの仕組みは、免税基準額が低過ぎる上に抜け穴だらけだ。少なくとも、日本がもっと呼び込みたいと考えている富裕層には不要だ。政府は、観光収入が国民に目に見える恩恵をもたらすことを説明する必要がある。そして、賢く課税すべきだ。日本のオーバーツーリズム問題は、その多くが賢明な政策によって緩和もしくは解決できる。例外があるとすれば、巨大なスーツケースだけだろう」

    もはや、免税措置は不要という。日本が目指している富裕層には、免税措置は不要であるからだ。日本は、富裕層へターゲットを絞った戦略に徹すれば、観光公害を減らせるであろう。

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    日本の労使は、今や賃上げ「共闘」でウイン・ウインの関係になっている。賃上げが、コスト・プッシュでなく、ディマンド・プッシュになるという共通認識に達したからだ。企業は、賃上げが新たな需要生み出し、それが回り回って自社にプラスになるという「循環構造」を認識したことだ。近江商法の「三方よし」(「売り手によし、買い手によし、世間によし」)の実践である。

    『ロイター』(1月22日付)は、「春闘スタート、経団連と連合が懇談会 賃上げ『定着』目指す」と題する記事を掲載した。

    経団連と連合が22日、都内で懇談会を開き、2025年春季労使交渉(春闘)が事実上始まった。労使ともに力強い賃上げの流れの「定着」を目指すことで方向性は一致しており、中小・小規模事業者や非正規労働者まで幅広く賃上げが広がるよう機運醸成を目指す。

    (1)「経団連の十倉雅和会長は懇談会後、記者団の取材に応じ、賃上げの「定着」とは持続的な賃金と分配の好循環が始まることだと説明。コスト・プッシュ型の賃上げではなく、ディマンド・プル型の循環としていかなければならないと語った。その上で、連合と経済界は社会保障や政府・民間の役割などで「驚くほど考え方が似ている」と指摘。労使が春に行う共闘という意味で「春闘」としたいと述べた」

    連合と経済界は、社会保障や政府・民間の役割などで「驚くほど考え方が似ている」と意見の一致をみたという。従来とは、全く異なる認識であり日本経済のためには良いことだ。

    (2)「連合の集計によると、24年は基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた平均賃上げ率が5.1%と、33年ぶりの高水準だった。ベア率は3.56%で、集計を開始した15年以降で最も高かった。連合は、25年春闘は要求水準を「5%以上」で据え置き、それを最低ラインとして取り組むことで賃上げの定着を図る。24年に4.4%だった中小組合の賃上げ率の引き上げも目指し、中小組合は企業規模による格差を是正するため「1万8000円以上・6%以上」を目安とした」

    中小企業の賃上げが課題である。それには、賃上げに伴う設備投資に対して、補助金を出すなど生産性向上への支援も必要であろう。

    (3)「経団連は、この中小組合の要求水準について「目安、かつ労働運動であることを考慮しても極めて高い水準といわざるを得ない」との認識を示す。中小企業の賃上げ原資の安定的な確保には、中小企業自身による生産性向上や、サプライチェーン全体を通じた取り組みが必要となる。また、小売業など消費者と接点の多い業種では、価格転嫁に消費者が理解を示し受け入れることも重要となる。日本経済研究センターが15日に公表した「ESPフォーキャスト」1月調査によると、25年春闘の賃上げ率(厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」ベース)の予想値平均値は4.74%と、24年実績(5.33%)から鈍化する見通しとなっている」

    25年春闘の賃上げ率は、24年実績(5.33%)から若干減って、4.74%という見方も出ている。

    (4)「十倉会長は、懇談会の冒頭あいさつで、賃金引き上げのモメンタムを定着させる年にすると強調。ベアを念頭に置いた結果を呼び掛けていくとし、適正な価格転嫁と販売価格アップを受け入れることを社会的規範として浸透させることが重要との認識を示した。連合の芳野友子会長は「昨年は賃金も物価も経済も安定的に上昇する経済社会のステージ転換が図られたが、物価上昇はコスト・プッシュ型の要因が続いており、決して『上げ潮』とは言えない」と指摘。その上で、日本経済を底上げするには「隅々まで」賃上げが波及しなければならないと語った。懇談後、芳野会長は官邸で石破茂首相と面会。政労会見の開催を要請し、首相は前向きに検討すると応じたことを面会後、記者団に明らかにした。政労使会議については、具体的な日程は出なかったという」

    社会が、ルールとして適正な価格転嫁と販売価格アップを受け入れるようになれば、日本経済も様相が変わるであろう。一定の賃上げが実現すれば、年金支給額もアップする。こういう意味で、賃上げは「国民行事」になってきた。

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    ソフトバンクグループ(SBG)と米オープンAIは1月21日、全米で人工知能(AI)開発向けのインフラを構築すると発表した。トランプ米大統領と共同記者会見に臨んだSBGの孫正義会長兼社長はデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想を持つ。

    経済産業省幹部は、政権発足直後にトランプ大統領が発表した、SBGや米オープンAIなどによる米国でのAI投資計画を歓迎した。4年間で5000億ドル(約78兆円)を投じる巨額プロジェクトだ。米新政権は、国内の雇用への貢献や経済安全保障上の中国への対抗の観点からも、AI産業の育成に力を入れるとみられる。これまでも日本は、米国とは半導体やAI分野で連携してきた。米大手の日本拠点の設立を後押ししたほか、官民挙げて最先端半導体の量産に向けて支援するラピダスも、米IBMの技術を基盤としている。

    米国のAIの開発加速は、こうした流れに基本的には追い風だ。従来は、両国の連携が日本にメリットの大きい構図だった。これに対し、SBGなどの計画は「日本による米経済への貢献を示す好機」(経産省幹部)ともいえ、新政権との関係構築の足がかりになるとの見方も強い。以上は、『日本経済新聞 電子版』(1月25日付)が報じた。日本経済が、回復軌道に乗ってきた証拠と言えよう。このことは重要で見落としてはなるまい。日本は、「米国へ恩を売った」形である。日鉄のUSスチロール合併に好影響を及ぼすであろう。

    『日本経済新聞 電子版』(1月23日付)は、「孫氏、全米に『データセンター+発電』構想  オープンAIと新会社」と題する記事を掲載した。

    新会社「スターゲート・プロジェクト」は、SBGが財務管理、オープンAIが運営を担い、孫氏が会長に就く。孫氏は2024年末にひそかに来日したオープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)と会い、構想の大枠を固めたもようだ。

    (1)「トランプ政権は、データセンターについて米国の安全保障に関わるとしており、政権と緊密に連携しながら建設先を確保する方針だ。南部テキサス州のほか、中西部のラストベルト(さびた工業地帯)を抱える州などが建設地の軸になりそうだ。データセンターの運用に必要な膨大な電力を確保するため、SBGは傘下の米発電会社のSBエナジー・グローバルを通じてAIデータセンター向けの発電施設を拡充する。すでに24年10月にテキサス州で太陽光発電の商業運転を始めた。今後も太陽光や蓄電池を手掛ける企業の買収を模索するほか、将来は核融合も視野に入れる」

    DC(データーセンター)と発電施設をセットで建設するというアイデアである。SBGは、傘下の米発電会社のSBエナジー・グローバルを通じて供給する体制だ。

    (2)「トランプ氏に述べた投資額5000億ドルはパートナー分も含めた総投資額だ。株式による資金調達は1割程度とみられる。SBGやオープンAI、米オラクル、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のテクノロジーに特化した投資会社MGXが自己資金を出すほか、データセンターと発電施設を利用する事業者にも出資を求めていく。資金の大半はデータセンターのキャッシュフローなど事業価値を担保に調達する方針だ。プライベートクレジット(ファンドによる融資)の利用も想定する。孫氏はかねてアルトマン氏と頻繁にチャットする間柄で、人類の1万倍の知性を持つ人工超知能(ASI)の実現で共鳴し、今回の構想でも核となるパートナーに選んだ。SBGはオラクルにも接近している」

    SBGの孫氏が、自らの事業の集大成として位置づけて総力を投入する。トランプ大統領の側近になったマスク氏は、オープンAIのアルトマンCEOと不仲なために、5000億ドルの資金手当に問題と批判的。だが、資金の大半はデータセンターのキャッシュフローなど事業価値を担保に調達する方針で、マスク氏批判は当らない。

    (2)「孫氏は、トランプ政権1期目に500億ドルの対米投資、5万人の雇用を約束した。SBGは個別、全体の出資額や雇用数を開示していないが、当時ライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズなどに投資しており、目標は達成済みとする。トランプ氏も24年12月に「(SBGは)我が国に500億ドルを投資した」と語った。今回は投資額に加え、数十万の雇用創出も約束した。1期目より達成は難しいが、成功すれば米国に大きなビジネス基盤をつくることができる」

    孫氏は、トランプ政権1期目に500億ドルの対米投資で5万人の雇用を約束した。5000億ドル投資では、ざっと50万人になる。日本企業の米国投資による雇用は、96万人(2021年)なので大変な増加になる。

    (3)「SBGは、1990年代後半のネット普及期に米ヤフーと共同出資でヤフーの日本法人を設立し、ネットビジネスを展開した。2000年代後半以降、英ボーダフォンの日本法人や米スプリントの巨額買収に踏み切り、モバイル事業に傾斜した。17年のビジョン・ファンドの運用開始以降は投資事業に重心を移した。今回の構想はSBGが近年の投資会社から実業会社に姿を変える一手との見方もある。技術面で傘下のアーム、オープンAIの大株主であるマイクロソフト、米半導体大手エヌビディアの参加も取りつけており、世界の主要プレーヤーの中で主導権を握り続けることも課題になる」

    SBGは、海外で積極的なビジネスを展開してきた。今回は、投資会社から事業会社へ形を変える過程でもあろう。



    あじさいのたまご
       

    尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の内乱罪容疑捜査が行き詰まっている。尹氏は、独立捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の取調べに対して、無言を貫いたので全く捜査が進まなかった。そこで、起訴権を持つ検察が再捜査しようとしたが、地裁が認めなかったもの。弁護団は24日、拘束期間延長を申請した検察に対し、「直ちに大統領の逮捕を取り消し、弾劾審判を見守りながら慎重に判断すべきだ」と求めた。

    現職大統領逮捕という異例の事態に対して、地裁は「拘束延長を認めない」という判断で対応したともみられる。公捜処は、文在寅(ムンジェイン)前大統領が、自身への捜査を防ぐべく設置した捜査機関ともされている。それだけに、捜査と起訴を分離して防御を固めたが、皮肉にも尹氏を起訴できず検察に委ねるほかなかった。こういう盲点が、現在の事態を生んでいる。

    『朝鮮日報』(1月25日付)は、「『捜査・起訴分離原則』、ソウル中央地裁 検察が要請した尹大統領の勾留延長を認めず」と題する記事を掲載した。

    ソウル中央地裁は24日、「尹大統領の勾留期限を来月6日まで延長してほしい」という検察の非常戒厳特別捜査本部の要請を受け入れなかった。捜査と起訴を分離する公捜処法の条項の趣旨に照らしてみると、公捜処が起訴意見を付けて送付した尹大統領の事件を検察が継続捜査することはできない、とみなしたわけだ。

    (1)「今月23日に公捜処から事件送付を受けた検察は、当初、裁判所から勾留期限を延長してもらった後に尹大統領を直接取り調べる方針だった。今週末中にソウル拘置所を訪れて尹大統領を対面で取り調べる案を有力に検討した。しかし勾留期限の延長不許可という裁判所の決定が出たことで、検察の計画は狂うことになった。検察は、ひとまず裁判所に勾留期限延長を再び求める方法を検討している。再申請もやはり不許可となった場合、尹大統領を取り調べることなく今週末にそのまま拘束起訴するか、釈放後に不拘束起訴することもあり得る。または、公捜処に事件を戻し、「勾留期限延長申請をせよ」と要求する方法もあるという」

    尹大統領が、これまでの取調べに応じないために本人捜査は事実上、「白紙」状態である。こうした事情で検察が拘束延長を求めたが、地裁が公捜処で捜査したはずとして、「再捜査」が認めなかった形だ。そこで、検察は再び拘束延長を要請しているが、却下の可能性が高いとみられている。

    (2)「この日、ソウル中央地裁は「捜査・起訴分離原則」を指摘しつつ尹大統領の勾留期限延長を不許可とした。公捜処が起訴を要求した事件を検察がなぜ追加で捜査するのか、というわけだ。先に検察と公捜処は、尹大統領の勾留期限最長20日をそれぞれ10日ずつ分けて使おう、と協議したが、裁判所はこの協議も法的根拠なしと判断したものとみられる。これは、そもそも公捜処法で検察・公捜処間の業務分担が明確に規定されていないからだ。公捜処法は、公捜処が直接起訴できない事件はソウル中央地検に送って起訴を要求せよ、と定めているだけだ。検察が補充捜査できるかどうか等についての具体的な規程はない」

    公捜処法は、文・前政権が大慌てで作った法律である。それだけに、肝心の部分が抜けていたのだ。検察が、補充捜査できるかどうか等についての具体的な規程はない、という。文氏は今頃、歯ぎしりしているだろう。

    (3)「公捜処は、今月15日に尹大統領を拘束し、続いて19日にソウル西部地裁で尹大統領の逮捕状の発付を認められた。1次勾留期限は逮捕期間を含めて計10日だが、そのうち、逮捕適否審と令状実質審査に要した時間は除外される。検察は、これを考慮すると尹大統領の勾留期限は26日頃満了する、と計算している。最終的に、今週末中に尹大統領の身辺処理案を決定しなければならないのだ」

    尹大統領の勾留期限は、26日頃満了になるという。それ以上は、拘束不可能となろう。釈放となれば、世論の「尹大統領支持率」が高まる可能性もある。韓国政治に新たな問題が持ち上がるだろう。

    (4)「法曹界では、検察が公捜処に事件を戻す可能性は低いとみている。尹大統領が公捜処の取調べに応じないので、実益がないのだ。検察は、尹大統領を取り調べることなく直ちに拘束起訴するか、ひとまず釈放して不拘束状態で起訴する案を検討するものと見込まれる。そうした中、尹大統領の捜査を巡る違法性の問題が幾つかあった。内乱罪の捜査権がない公捜処が職権乱用の「関連犯罪」として尹大統領の内乱容疑を捜査したこと、後に裁判を担当することになる中央地裁を差し置いて、西部地裁に尹大統領の逮捕状を請求したこと-などが論争になった。尹大統領側の弁護人団は24日、裁判所の決定が出た後、「尹大統領を即刻釈放せよ」と要求した」

    捜査側は、大きなミスを犯したようだ。内乱罪の捜査権がない公捜処が、尹大統領を捜査したこと。裁判を担当する中央地裁を差し置いて、尹大統領の逮捕状を西部地裁に請求したこと、などだ。功名心を焦って結果ともみられる。公捜処の捜査陣容は、文氏の息のかかった経験の浅い人物を集めていた。そこへ、「敵方」の尹大統領という絶好の対象者が現れて小躍りしたことは想像に難くない。喜んだ余りに手抜かりも多かったのだ。






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