勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年03月

    あじさいのたまご
       

    トランプ米大統領は2月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。ウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だったが、記者団の前でロシアへの対応などを巡り激しい言葉の応酬が相次いだため、ゼレンスキー氏は合意文書に署名せず、トランプ氏の指示でホワイトハウスを後にした。この事態に、ロシアは大喜びという奇妙な構図をみせた。

    『ブルームバーグ』(3月1日付)は、「米ウクライナ首脳会談は決裂、資源取引で署名至らずー激しい口論の末」と題する記事を掲載した。

    ロシアとの合意を目指すトランプ氏の取り組みに、ゼレンスキー氏が疑問を呈したことで、会談は冒頭から激しい応酬となった。今回の会談は両首脳の結束を示す場となるはずだったが、ゼレンスキー氏はテレビカメラの前で米国側と衝突する格好となり、ホワイトハウスを後にした。


    (1)「ロシアのプーチン大統領とのディールを目指すトランプ氏は資源取引について、米国の対ウクライナ支援への見返りとして必要な一歩だと位置づけていた。トランプ氏は、ゼレンスキー氏がホワイトハウスを去る直前、自身のソーシャルメディアプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルに投稿。「彼はこの大切な大統領執務室で米国を侮辱した。平和を受け入れる準備ができたら戻ってくればいい」と突き放した」

    両首脳の会談に、バンス米副大統領までが口を挟む「大混戦」になった。ゼレンスキー氏の本音は、ロシア寄りではなくウクライナの痛みを知ってくれという切なる願いが込められていた。今回の会談決裂について、欧州側はウクライナ支持の声が強い。

    (2)「ゼレンスキー氏は、計画されている取引がロシアのさらなる侵略を抑止するのに十分だとは思わないと発言。「プーチンがやめることは決してなく、さらに先へと進むだろう」とし、「ウクライナ人を憎んでおり」、ウクライナを破壊したいと考えていると述べた。資源合意については「それは可能だが、それだけでは十分ではない」と語った。この発言が、トランプ、バンス正副大統領の怒りを招いた。自らの考えを主張しようとするゼレンスキー氏を両氏は厳しく非難。大統領執務室でのこうした態度は失礼であり、3年にわたる流血の惨事を終結させることを阻んでいると断じた」

    今回の会談決裂は、米国側が資源開発協定についてその意図と、ウクライナの安全保障について説明していないことが理由であろう。米国は、「言わなくても分っているだろう」という暗黙の理解を求めていた。ウクライナは、「暗黙知」でなく「形式知」にしてくれと言うすれ違いだ。強者と弱者の立場の相異でもある。


    (3)「トランプ氏は、「このようにビジネスを行うのは非常に難しいだろう」とゼレンスキー氏に述べ、同氏が取引を実現できるか分からないと発言。「もっと感謝すべきだ。言わせてもらうが、あなたにはカードがないからだ。われわれがいればカードがあるが、われわれがいなければあなたにカードは一切ない」と語った。また「あなたは第3次世界大戦のリスクを冒しているようなもので、あなたがやっていることは、この国に対して非常に失礼なことだ」と指摘。「あなたが取引に応じるか、それともわれわれが取引から抜けるかだ。もしわれわれが取引しなければ、あなたは徹底的に戦うことになる」として、厳しい状況に追い込まれるとの考えを示唆した」

    トランプ氏は、怒り心頭に発する表情をみせた。この怒りが収まるには、フランスか英国が仲介しなければ難しいであろう。

    (4)「トランプ氏は、ゼレンスキー氏がプーチン氏に対して「非常に強い憎悪」を抱いていると述べ、その怒りが合意を妨げているとの考えを示唆。「私は誰よりもタフな人間になることができるが、そのようなやり方では決して物事を成し遂げられないだろう」と述べた。またゼレンスキー氏が、米国は領土を海に囲まれているためロシアからの差し迫った脅威に直面しておらず、トランプ氏は問題を理解していないとの見方を示唆すると、両首脳のやり取りはさらに激しさを増した」

    ゼレンスキー氏が、プーチン氏に対して「非常に強い憎悪」を抱いているとの指摘は事実だ。ゼレンスキー氏が、この感情を抑えてロシアとどこまで冷静に交渉するか。米国のような強者でなければ、和平交渉が困難であることを浮き彫りにした。


    (5)「トランプ氏は、「われわれがどう感じるかをあなたが指図できる立場にはない」と述べ、「あなたは今、良い状況にはない。とても悪い立場に自らを追い込んでいる」と続けた。バンス氏は、「一度でも感謝の気持ちを伝えたことがあるのか」と問いかけ、「米国、そしてあなたの国を救おうとしているトランプ大統領に感謝の気持ちを表すべきだ」とゼレンスキー氏に詰め寄る場面もあった」

    バンス発言が、トランプ氏の怒りに油を注ぐ形になった。おべんちゃらを言ったのだ。

    (6)「公の場でゼレンスキー氏が受けたトランプ氏とバンス氏からの屈辱は、ロシアが予想していた以上のものだった。欧州高官の1人は、ここで笑っているのはロシアのプーチン大統領だけだと述べた。ロシア安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ前大統領は、トランプ氏がゼレンスキー氏に対し「面と向かって真実を語った」とし、「しかし、それだけでは十分ではない。軍事援助は停止されるべきだ」と主張した」

    ロシアの喜びは、自ら戦争終結能力がなく米国へ頼っている実状をさらけ出している。米国の言うままになりそうな雰囲気でもある。本来なら、ロシアは沈黙している立場だ。それを忘れている点に、ロシアの苦境ぶりが浮き上がっている。




    あじさいのたまご
       

    韓国の半導体メーカーSKハイニクスが、工場建設計画を発表してから着工まで、実に6カ年を要したことが分った。日本のラピダスは、北海道千歳市へ工場進出計画を発表後、着工まで7ヶ月という速さで進んでいる。日韓半導体工場建設にみる、これだけのタイムラグの違いは、韓国の反企業ムードが大きく災いしている。日本が先端半導体へ本格進出で、韓国を追い抜く雰囲気を早くも漂わせている感じだ。

    『東亜日報』(2月27日付)は、「計画発表から6年ぶりに着工した龍仁半導体クラスター、『これが私たちの実力だ』」と題する記事を掲載した。

    SKハイニックスが、計120兆ウォン(約12兆円)を投資する予定の京畿道龍仁(キョンギド・ヨンイン)の半導体クラスターが、計画発表から6年が過ぎて鍬入れすることになった。それより遅く始まった日本や米国、台湾などライバル国の半導体工場はすでに完成し、半導体を生産している。


    (1)「一昨日、李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀総裁は、今年と来年の韓国経済成長率をともに1%台と予測し、「それが現在の私たちの実力だ」と言ったが、龍仁クラスターの遅い進行過程は、どうして韓国経済がこのような低成長の泥沼に陥ることになったのかを如実に示している」

    李韓銀総裁は、韓国経済の低成長固定化への懸念に対し、「新産業も構造調整もない韓国経済の実力」だと切り捨てた。李氏は、「我々はこれまでなんら構造調整策を行わず、新しい成長動力になる産業も育てずに、既存の産業だけに依存してきた」と厳しい見方をしている。SKハイニクスの龍仁クラスターの立ち上がりの緩慢さは、まさにこの例であろう。

    (2)「2019年2月に発表された龍仁半導体クラスターの事業推進は、険しい過程の連続だった。発表直後から近隣の地方自治体や地域の市民団体は、廃水排出の懸念を理由にブレーキをかけた。安全性を立証し、地域産業団地の造成などを約束しながら環境アセスメントを終えるのに1年かかった。工業用水を引いてくる途中にある地方自治体の反対で、用水許認可は1年半ぶりに得られた」

    半導体産業が、韓国にとっていかに重要であるかという認識があれば、各分野で協力し合うはずだ。だが、官僚主義の縄張り根性で認可を遅らせてきた。


    (3)「住民の土地補償にも1年5ヵ月かかり、昨年は中央政府省庁である産業通商資源部までもがクラスターの中に建てられる発電所の炭素排出を問題視して事業を遅らせた。グローバル市場で急増する人工知能(AI)チップセット用の高帯域幅メモリ(HBM)需要に対応するため、SKハイニックスは他の半導体を生産していた清州(チョンジュ)工場の用途を変えるなど、全体事業戦略を見直さなければならなかった」

    韓国では、各部署がよってたかって権力を振り回している感じである。ドイツでも官僚主義が、産業の発展を阻害しているとの批判が上がっている。「衰退経済」には、こういう共通した一面がみられる。

    (4)「危機の度に足を引っ張られて遅れた韓国とは違って、ライバル国の半導体計画は一気に進められた。日本の熊本県に台湾TSMCが建設する半導体工場は、2022年の事業計画発表後2年で完成し、最近量産を開始した。台湾TSMCが2021年に米アリゾナに建設し始めた工場も、先月から量産に突入した。各国政府と地方自治体が先頭に立って敷地・電力・用水・道路問題を解決し、膨大な補助金と税金の恩恵を提供したためだ」


    ラピダスは、次のようなスケジュールで進んでいる。
    22年 8月  会社設立
    23年 2月  北海道千歳市へ工場進出計画発表
        9月  起工式
    24年12月 EUV露光装置設置
    25年 4月 パイロットプラント稼働開始
    千歳市への工場進出発表から起工式までが7ヶ月。起工式から工場竣工までが16ヶ月というスピードぶりである。日本の半導体へ取組む熱意が分るのだ。

    (5)「韓国経済が本格的な低成長段階に入ったという診断に対し、李総裁は、「この間、構造調整を行わず、新しい成長エンジンを育てなかったためだ」と話した。龍仁半導体クラスターの中で稼動する初の工場が完成するのは2027年5月だ。計画発表時点から計算すれば、6年以上の格差がある。この程度からすると、グローバル市場の環境がどれほど変わるのか予想すらできない。国の主力産業である半導体分野の企業が、自分の金で工場を建てるのに海外ライバル企業の2、3倍の時間がかかるなら、競争力を維持するのがかえっておかしい」

    SKハイニクスは、計画発表時点から計算すれば6年以上の歳月がかかっている。国を挙げての推進意欲が失われている。韓国経済の未来像を示唆しているのだ。




    テイカカズラ
       

    2024年の人民元建て新規貸し出しは、前年を20%も下回った。13年ぶりの減少である。景気停滞が長引き、民間企業や家計は借り入れを伴う投資に慎重になっている結果である。事実、2024年の固定資産投資のうち民間企業の比率が、3年連続で低下したことが判明。民間企業は、国有企業に比べて資金調達で不利であることも影響している。

    『日本経済新聞 電子版』(2月28日付)は、「中国、24年の民間投資比率3年連続低下 統制強化で」と題する記事を掲載した。

    中国政府は28日、2024年の固定資産投資のうち民間企業の比率は3年連続で低下したと発表した。中国政府の統制強化で民間企業の存在感が低下するなか、米国との対立をにらみ、人工知能(AI)や電気自動車(EV)など対米戦略で重要分野の育成を急ぐ。


    (1)「中国国家統計局が28日公表した24年の国民経済・社会発展統計によると、24年の固定資産投資のうち民間企業の比率は前年から0.3ポイント低下し50.1%だった。3年連続の低下で、50%割れ寸前の水準まで落ち込んだ。民間の収益改善は、不動産不況による内需不足の影響もあり遅れている。24年末時点で21.1%の民間企業が赤字となり、3年連続で過去最高を更新した。国による暗黙の保証がある国有企業への融資を優先する銀行が多く、民間の資金調達は困難な状況だ」

    民間企業は、24年末時点で21.1%が赤字で、3年連続で過去最高を更新した。こうした苦境下で、民間企業の設備投資は全体の50%強にすぎず、投資のシェアが落ちている。

    (2)「習近平指導部は、国内経済のてこ入れを狙って民間企業を重視する姿勢をアピールする。習国家主席は2月17日、北京市内で大手民間企業の経営者との座談会を開いた。習氏が民間企業との座談会を開くのは2018年以来となる。座談会で「公平な競争への参加を妨げる障害を除き、様々な事業体がインフラ事業に参入できるよう開放する」と説いた。民間企業への融資を拡大し、企業の資金繰りも改善する。地方政府による恣意的な罰金の徴収や過度な検査を取り締まると明示し、法に基づき企業や経営者の権利や利益を守ると訴えた」

    中国経済の核は、民間企業である。それが、主導権を失いかねない事態になっている。習国家主席は2月17日、2018年以来の大手民間企業経営者との懇談会を開いた。民間企業をテコ入れする目的だ。


    (3)「(懇談会で明らかにされた習氏の)民間支援策はいずれも目新しさに欠ける。政府が23年7月に公表した民間経済に関する通知で、地方政府などが企業に市場アクセスの障壁を設けるのを禁じ、資金繰り環境を改めると盛り込んでいた。国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会で審議が進む民営経済促進法案でも、民間企業に違法な罰金を科すのを禁じる規定を設けていることの繰返しであった」

    習氏は、民間企業との懇談会を開いて「激励」したが、目新しい対策はなかった。リップサービスに終った。

    (4)「2月の懇談会には生成AIを手掛けるDEEPSEEK(ディープシーク)創業者の梁文鋒氏、中国ネット通販最大手のアリババ集団創業者、馬雲(ジャック・マー)氏、自動車大手の比亜迪(BYD)の王伝福董事長らが参加した。18年の座談会にソフトウエア開発や医薬、自動車部品などの企業が集まったのと比べ、今回はAIやIT(情報技術)、EVなどが並んだ。中国が、トランプ米政権と関税の応酬を繰り広げる光景は18年と共通する。習指導部は、米国による圧力に対抗できる戦略産業を別格扱いし、さらなる開発を促している」

    今回の懇談会では、AIやIT(情報技術)、EVなどの企業経営者が招待された。これら業種を別格扱いする姿勢だ。


    (5)「習指導部は、民間企業への融資拡大や事業参入の緩和を強調するが、国有企業を成長の柱とする方針に変わりはないとの見方が多い。国有企業が幅を利かせて民業を圧迫する「国進民退」を進めてきたためだ。事業効率の低い国有企業を強化し続ければ、経済全体の生産性は伸び悩む恐れがある。国進民退が加速して成長の足かせとなれば、停滞が続く中国経済の回復は見込めない」

    習氏は、事業効率の低い国有企業を強化している。「身内贔屓」である。経営効率の高い民間企業を「添え物」扱いにしていると、これからその反動が大きくなろう。





    a0960_008707_m
       

    米国務省が公開している米台関係の概要文書「ファクトシート」には長年、「米国は台湾の独立を支持しない」と記載された文言があった。それが、2月16日になって削除されていたことが判明した。中国にとっては、米国へ要求している「レッドライン」の一つが、台湾独立不支持であった。それが消えただけに、具体的抗議姿勢を取らざるを得なくなった。

    『ニューズウィーク 日本版』(2月28日付)は、「トランプから中国への挑発 台湾の『独立不支持』文言削除に中国はこう動く」と題する記事を掲載した。

    トランプ政権は、台湾に関して越えてはならないとする中国のレッドラインを意図的に試しているのか。対中交渉で優位に立つための一時的な変更なのか。それとも、台湾の地位をめぐって、より明確なアプローチを打ち出す第一歩なのか。米国務省はバイデン前政権時代の2022年、問題の文言をいったん削除したが、中国の外交的反発を受けて復活させた経緯がある。ドナルド・トランプ米大統領の下での今回の動きは、台湾政策でリスクを取る意欲の表れだ。今や中国と台湾とアメリカはそれぞれ、戦略を再調整しなければならない。


    (1)「アメリカは、(これまで台湾の独立不支持で)中国の攻撃と台湾の一方的な独立の動きの双方を防ぎ、台湾海峡で現状を維持することができた。微妙な軌道修正を示唆する今回の文言削除は、戦略的曖昧性を強化する可能性も、弱体化させる可能性もある。さらに、(今回は)台湾の国際機関加盟をめぐる立場も見直された。米国務省は従来、台湾が加入可能なのは、加盟資格を国家に限らない機関だけだとしていた。最新版のファクトシートでは、「場合によっては加盟国の地位を含め、国際機関への台湾の意義ある参加」を支持すると明記している。アメリカが台湾の国連加盟などを支持する意向を示しているのであれば、中国にとってあからさまな挑戦だ」

    米国は、「台湾の独立不支持」を削除しただけでなく、国連加盟含めて幅広い国際機関への参加を認めるように要請した。べいこくが、これまでない対応をしており、中国への対抗姿勢を明白にしている。

    (2)「中国の対応は早かった。中国外務省の郭嘉昆(クオ・チアクン)報道官は2月17日の記者会見で、アメリカの「台湾関連問題の立場が深刻に後退」し、台湾の独立派に「著しく誤ったシグナル」を発していると米政府を非難。「今すぐ過ちを正すよう求める」と発言した。折しも、中国は「独立勢力」を法的に弾圧する動きを強めている。昨年6月に新たな司法指針を発表し、主権国家に資格が限定される国際機関への台湾加盟の推進は国家分裂行為であり、死刑も含む処罰の対象になると定めた」

    中国は、素早く抗議姿勢を明確にしたが、具体的な対抗手段を明らかにしていない。


    (3)「問題は、中国が米国務省による改訂を、台湾独立への直接的支持と解釈するかだ。
    戦略的曖昧性からの離反と見なした場合、中国はさまざまな反応に出るだろう。大規模軍事演習やグレーゾーン戦略(平時でも戦時でもない状態での作戦)といった台湾周辺での軍事的活動、米企業や台湾企業を標的にした経済的威圧を強化するかもしれない。外交的な報復措置として、米中の協力関係を格下げしたり、国際的な緊張をエスカレートさせることもあり得る。「アメリカの挑発」に対するこれまでの反応を考えれば、最も可能性が高いのは軍事的シグナルだ。中国軍戦闘機による台湾のADIZ(防空識別圏)侵入などが想定できる」

    中国で、最も可能性の高い対抗手段は軍事的シグナルだ。中国軍戦闘機による台湾のADIZ(防空識別圏)侵入などが想定できるという。

    (4)「台湾の与党・民主進歩党(民進党)は、今回の改訂を熱烈に歓迎した。「主権の独立した台湾共和国の建国」を綱領に掲げる同党にとって、アメリカの従来姿勢は長らく政治的障害だった。台湾外交部(外務省)は米政府の「前向きで親台的な表現」に謝意を示し、国家の承認の拡大に向けた一歩と評している」

    台湾与党「民進党」は、今回の米国務省の措置を大歓迎している。台湾が、国家としての承認へ一歩、近づいたという認識である。


    (5)「台湾の最大野党・国民党にとって、事態はより複雑だ。台湾海峡両岸はいずれも中国であり、その正当な政府は台湾政府だとの歴史的立場を、同党は維持している。これまでアメリカの政策を根拠に、台湾の正式な独立は非現実的だとして独立に反対してきた国民党は、アメリカ側が表現を柔軟化した今、ジレンマに直面している。台湾独立を支持するのは、党の立場と矛盾するため不可能だ。だが同時に、台湾の多くの有権者が支持する米台関係の強化に反対している印象を与えることもできない。今後の選挙をにらむなかで、国民党は難しい綱渡りを強いられることになる」

    国民党は、複雑な立場に置かれている。これまで、台湾独立に反対してきただけに、米国務省の措置に困惑している。国民党は極力、米台関係の強化に反対しているイメージを与えることを避けようとしている。







    このページのトップヘ