米国が、4月3日からすべての輸入車と部品に対して25%関税を追加する。日本車もその対象であるが、この中で唯一「無傷」であるのはトランプ氏側近となったマスク氏率いるテスラである。マスク氏は、かねがねEV(電気自動車)補助金不要論を唱えていた。今回の全輸入車25%関税の勝利者は、テスラになりそうだ。ただ、世論のマスク批判が厳しいので、テスラ販売へどう影響するかは不明である。
『ブルームバーグ』(3月27日付)は、「トランプ自動車関税 数少ない勝者はテスラ 大半はコスト増に直面」と題する記事を掲載した。
トランプ米大統領の関税計画の影響が明らかになるにつれ、自動車業界にとって厳しい現実が浮き彫りになってきた。ほとんどの自動車メーカーが敗者となる中、イーロン・マスク氏率いる米電気自動車(EV)メーカー、テスラは数少ない勝者の一つとして際立っている。
(1)「テスラは、カリフォルニア州とテキサス州に構える大規模な工場で、米国で販売する全てのEVを生産している。そのため、トランプ氏が新たに課す自動車および主要部品への輸入関税の影響をほとんど受けない。一方、韓国の現代自動車やドイツのフォルクスワーゲン(VW)、米国のゼネラル・モーターズ(GM)など主要な競合メーカーは、間もなく大幅なコスト増に直面することになる」
米国を舞台に内外の自動車企業は、トランプ関税で明暗を分けた。マスク氏のテスラは無傷、現代自・VW・GMが大幅なコスト増に見舞われる。
(2)「CFRAリサーチのアナリスト、ギャレット・ネルソン氏は今週の分析リポートで、テスラは国内で製造を手掛けているため、新たな関税の影響を「最も受けにくい」と指摘した。テスラ自体は今週、X(旧ツイッター)への投稿で、自社のモデルは「最も米国製の車両だ」と強調した。それでも同社が完全に影響を受けないわけではない。マスク氏は26日、「重要なのは、テスラが無傷ではないということだ。関税の影響は依然として重大だ」とし、「コストへの影響はささいなものではない」とXに投稿した」
テスラのマスク氏は、バツが悪いのか弁明している。
(3)「テスラの最高経営責任者(CEO)を務めると同時にトランプ政権で「政府効率化省(DOGE)」も率いるマスク氏を巡っては利益相反の可能性が懸念されている。こうした中、トランプ氏は関税についてマスク氏とは協議していないと断言。自動車関税発動に関する布告に署名した大統領執務室で26日、「マスク氏がビジネスに関して私に何かを頼んだことは一度もない。これには実際、少し驚いた」と述べた」
マスク氏を巡っては、利益相反の可能性が懸念される。「痛くもない腹を探られる」立場だ。反マスク派運動をしている人たちに、絶好の批判対象とされる懸念がある。
(4)「この関税は、米国内で部品を大量に調達している自動車メーカーには有利に働くことになる。また、トランプ氏は例外も認めており、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の下で輸入された車両や部品は非米国製部材にのみ新たな関税が適用される。さらに、USMCAに準拠するカナダおよびメキシコからの部品については、米国がこれらの関税を徴収するプロセスを確立するまで、新たな関税の発動はないという。カナダとメキシコは、たとえ見込みが低いとしても、この期間を利用して新たな関税の完全適用を回避しようとする可能性がある」
USMCAに準拠するカナダやメキシコを利用し部品を調達する企業は、関税徴収プロセスが確立するまで、25%関税を徴収しない。これは、一種の「バッファー」にするつもりかも知れない。
(5)「輸入車への依存度が高い海外メーカーは、大きな圧力に直面する見込みだ。特に韓国の現代自は大きな打撃を受ける可能性がある。同社および傘下の起亜自動車はアラバマ州とジョージア州に工場を構えているほか、今週には210億ドル(約3兆1600億円)を投じて米国での事業拡大計画を発表したものの、グローバルデータによると、現代自は昨年、米国での販売台数の半分余りを占める100万台強の自動車を米国に輸入している。SKセキュリティーズのアナリスト、ヒュク・ジン・ユン氏によると、25%の関税が課された場合、現代自と起亜自は毎年10兆ウォン(約1兆200億円)もの関税を米国に支払わなければならない可能性がある。これは2024年に両社が得た営業利益のほぼ40%に相当する」
現代自と起亜自は、毎年10兆ウォン(約1兆200億円)もの関税を米国に支払わなければならないという。両社にとって、24年営業利益の4割にも相当する。痛手だ。
(6)「トヨタ自動車はケンタッキー、インディアナ、ミシシッピ、テキサス各州に四つの組立工場、またウェストバージニア州とアラバマ州にエンジン工場を構えているにもかかわらず、米国での販売台数の約半分を輸入している。トヨタの担当者は、同社のメキシコ事業はUSMCAに完全に準拠していると述べた」
トヨタは、米国販売台数の約半分が輸入車である。トヨタも関税の影響を受ける。




