勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年06月

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    中国経済は、内需不振で不毛な値引き合戦が広がっている。EV(電気自動車)から宅配までが値引きする消耗戦を繰り広げているのだ。工業情報化省は5月31日、国内の自動車業界で激化する価格競争に対して「必要な監督措置を講じる」と明らかにした。「値引き合戦には勝者は存在せず、未来もない」と警告し、業界の持続可能な発展を促進する姿勢を強調したほど。

     

    中国では、こうしたドロ沼状態の競争を「内巻」と呼んでいる。内部での過度な競争や努力が続いて、結果的に誰もが消耗していく状態を指すもの。言い得て妙だ。まさに、この状態へ落込んで業者が大損している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月4日付)は、「中国株に『内巻』リスク EVや宅配で値引き、消耗戦警戒」と題する記事を掲載した。

     

    中国本土や香港の株式市場で内需の先行きへの警戒が広がっている。値下げを発表した自動車大手の比亜迪(BYD)株は1割下がり、激しい消耗戦を繰り広げる出前アプリ株なども低空飛行が続く。国内消費は政府の補助金により押し上げられており、今後は反動減に見舞われる可能性がある。

     

    (1)「『価格戦争』に火が付いた――。BYDが先月下旬に電気自動車(EV)など22モデルを値引きすると発表して以降、中国メディアではこのような言葉が飛び交っている。民営大手の浙江吉利控股集団もEVなどで値引きに踏み切り、即座にBYDに追随した。BYDの値下げを号砲に価格を軸にした競争が激しくなる可能性が高まっている」

     

    不況下の値引き合戦は、日本経済も経験済みだ。コストカットだけを先行させる、不毛のビジネスが繰り広げられている。

     

    (2)「価格の引き下げは利幅を圧迫するため、市場では収益悪化への警戒が強まっている。BYD株は値引きを発表して以降、深圳市場で12%、重複上場する香港でも14%下落。浙江吉利控股集団の子会社で、香港に上場する吉利汽車控股株もわずか1週間余りで13%値を下げた。この期間のパフォーマンスは上海総合指数(0.%高)や香港ハンセン指数(0.%安)を大きく下回る」

     

    中国経済の「日本化」が、判で押したように進んでいる。不動産バブル崩壊後遺症が、今始まったのだ。この先20~30年も、ドロ沼に喘ぐ運命だ。

     

    (3)「国は、耐久消費財を買い替える消費者に対して補助金を出し、需要を喚起してきた。例えば自動車では古い内燃機関車をEVなどの新エネルギー車に買い替える場合、消費者は2万元(およそ40万円)の補助を受け取れる。補助金効果も息切れ感がでてきた。249月以降、自動車販売金額は増加に転じていたが、2512月は前年同期比4%減少となった。4月も1%増にとどまった。大和総研の斎藤尚登経済調査部長は「金額の増え方が鈍いのは自動車各社が値引き合戦に陥っている証左」と指摘する」

     

    日本も随分、補助金を出して消費を奨励したが、すべて「線香花火」に終った。中国は、こういう「無駄な政策」に気づかず続けている。かくして、財政赤字が雪だるま式に膨れ上がる構図ができあがるのだ。

     

    (4)「業界団体の中国汽車工業協会は、BYDなどの値引きを受け「無秩序な価格競争は業界を悪循環に陥れる」と警告した。工業情報化省も「『内巻』の価格戦争には勝者もいないし、未来もない」とし、公平で秩序ある市場環境を断固として守ると強調した。内巻は中国語で内向きの過当競争を指すネガティブな言葉だ」

     

    昨年7月、自動車業界は値引きしないとの宣言を発したが、独禁法違反嫌疑で撤回した。それ以降、堰を切ったような値引き合戦を繰り広げている。

     

    (5)「経済統計を見る限り中国の消費は「堅調」だ。4月の小売売上高は前年比5.%増となった。前月に比べてやや減速したものの、引き続きプラスの伸び率を維持している。もっとも市場は額面通り受け取っていない。家電など耐久消費財の買い替え促進策による押し上げ効果が大きいとみているからだ。みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹主任エコノミストは政府の補助金について「需要の先食いに過ぎず、消費低迷を打開するには力不足」と話す。先を読む市場ではむしろ補助金終了後の反動減を警戒する声が多い。自動車市場で勃発した値下げ競争を受けて、投資家は懸念を強めた形だ」

     

    4月の小売売上高は、前年比5.%増と順調にみえるが、補助金が裏で支えている。消費の先食いである。

     

    (6)「内巻がキーワードになっているのは、自動車に限らない。例えば出前アプリの美団とネット通販大手の京東集団(JDドットコム)。美団の株価は24年10月に直近ピークをつけた後、下落基調が続く。25年に入ってからも下げ止まらず、24年末比で1割安。17%高のハンセン指数とは対照的だ」

     

    出前まで値引き合戦だ。これこそ消費不況の象徴的な事例だ。

     

    (7)「消費者の節約志向は強く、中国新興ネット通販で「Temu(テム)」の親会社PDDホールディングスは25年1〜3月期に純利益が5割も減った。政府補助金による消費喚起策があっても京東やアリババ集団との競争が激しく、減益に転じた。5月27日の決算発表前と比べると、株価は2割安と急落している」

     

    安さが売り物のネット通販「Temu」も、この1〜3月期の純利益が5割も減った。輸出低下も響いている。

     

    (8)「内巻をやめよ」。習近平(シー・ジンピン)国家主席は3月、全国人民代表大会(全人代)関連の会議でこう指示した。それでも、内巻が終わりを迎える気配はない。4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.1%下がった。マイナスは3カ月連続だ」

     

    習氏の補助金政策の必然的な結末が、「内巻競争」であろう。補助金が生産増強を煽っているからだ。習氏は、「天に唾する」行為を行った結果が、今現れている。

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    習近平中国国家主席は現在、トランプ政権1期と異なる対応をしている。米国へ妥協しないからだ。習氏は、毛沢東の得意技「持久戦法」を今回の対米交渉に適用している。トランプ政権1期目に、2年におよぶ交渉を経て米中通商交渉は合意に達した。米国に有利なものと広く受け止められたのだ。当時、中国の交渉チームを率いていたのは、ハーバード大学で教育を受けた市場重視の劉鶴前副首相で、米国の懸念を理解する人物だった。今回は、全く異なるタイプの何立峰副首相だ。

     

    今回、習氏は米国の要求に応じないという明確な指令を何立峰副首相に与えているようだ。何氏は、習氏と同様、国家統制を信じて疑わない人物だ。だが、強気を貫く中国はすでに、その代償を払っている。中小企業・零細企業を主たる対象とする製造業PMI(購買担当者指数)が、5月に48.3と大きく落込んだ。4月は50.4であった。景況の分岐点50を大きく下回り、2022年9月以来の低水準を記録した。意地を張っていれば、そのしわ寄せは中小企業・零細企業へ及んでいく。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月3日付)は、「中国の対米通商交渉人、容赦なしの構え」と題する記事を掲載した。

     

    米トランプ政権との対立が深まる中、中国の通商交渉担当者の態度から、習近平国家主席が今回の貿易戦争で掲げる主な目標が垣間見えた。前回とは同じようにはさせないということだ。

     

    (1)「嵐の中心にいるのが習氏の経済の門番である何氏だ。今回の貿易戦争に対する中国の戦略は、第1次トランプ政権時とは全く異なることを同氏は明確にしている。ジュネーブの協議で、何氏は中国のレアアース(希土類)輸出再開という米国の要求をのみ、最後の障害を取り除いた。だが同氏はそれ以降、自動車などの製造に不可欠な同鉱物の輸出許可を遅らせるなどして、一歩も引かない姿勢を見せている」

     

    副首相の何氏は、レアアースの輸出許可を遅らせて米国を揺さぶっている。

     

    (2)「第2次トランプ政権のスタート時、習氏はより融和的な姿勢を取っていた。中国政府は取引を好むトランプ氏の直感に働きかけようと、首都ワシントンに代表団を次々送り込んだが、結局、その戦略ははねつけられた。トランプ政権は対中強硬路線を決意したようだった。中国は強硬姿勢に転じた。対中関税と同程度の報復関税を課し、他の貿易制限も加えた。中でも致命的な影響があったのはレアアース規制だ。戦略的にみて、習氏は第1次トランプ政権時よりも強硬な立場を取る権限を手にしたと感じている。何氏の指揮下で中国が構築した、半導体や自動車、F35戦闘機の製造に使われる重要物質の輸出規制といった貿易手段の武器庫は、米国に実質的な痛みをもたらす能力を与えている」

     

    習氏は、レアアースを対米交渉の武器にしている。だが、米国も最低限のレアアースを保有しているのだ。「ない」振りをして中国を揺さぶるポーズを取っている面もある。

     

    (3)「不動産市場の崩壊、債務の増加、物価下落に苦しむ中国経済は、国内総生産(GDP)の3%を占めると推定される対米輸出の急減を許容できる状況にない。4月のトランプ氏の関税攻勢は、太平洋を越えた受注の急減を引き起こし、中国全土で生産停止を招き、中国人数百万人の雇用の安定を脅かした」

     

    中国は、強気を通していられるほど景気にゆとりがあるわけでない。ギリギリの線で対抗しているのだろう。まさに、「持久戦法」である。

     

    (4)「一部の中国政府顧問は、米国に対して強硬な姿勢を取ることが中国の利益になるのかどうか、水面下で疑問を呈している。中国の経済状況が深刻化する中、習氏は経済が奈落の底に落ちるのを防がなければならない。米国との関係を管理することがその鍵となる。しかし政治的には、習氏は地政学的な宿敵に対して弱腰に見えることはできないと彼らも認めている」

     

    習氏は、自らの力の限界を確かめている感じもある。この間に、中国経済の末端は疲弊の度を深めている。

     

    (5)「報復的な貿易措置は、経済的な観点から「決して良い選択ではない」と、中国人民銀行(中央銀行)の易綱前総裁は昨年12月に東京で行われたフォーラムで述べた。「しかし、政策立案者にできることはあまりない」。中国政府高官と協議する立場にある前出の人物らによると、習氏の見方では、中国は全体として2018年と2019年に両国が戦った貿易戦争時よりも準備が整い、自給自足できている。そして習氏は今回、より強硬な姿勢を取るチームを用意した」

     

    中国は、自給体制が以前よりも整ってきていることに自信を持っているのだろう。だが、対米輸出の低下は、確実に末端景気を悪化させている。

     

    (6)「中国国内では、第1段階の合意は19世紀半ばに中国が締結した不平等条約の現代版とみなされている。不平等条約は外国勢力による「屈辱の世紀」の一部とされている。英語を話し、米国で教育を受けた中国側の首席交渉担当者の劉鶴前副首相が第1段階の合意に署名したが、劉氏は2023年に引退して以来、表舞台から姿を消している。中国は同氏が交渉して購入すると約束した合意を果たすことはなかった」

     

    習氏は、意地を張っている。だが、不動産バブル崩壊後遺症に苦しむ中国経済に、そのようなゆとりはないはずだ。

     

    あじさいのたまご
       

    6月3日に投開票された韓国大統領選で、革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の当選が確実になった。地上波テレビ局3社(KBS、MBC、SBS)が合同で行った出口調査に基づく得票率予測で、李氏が51.7%で、尹政権で与党だった保守系政党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)氏の39.3%を12.4ポイント上回った。

     

    4日に大統領就任式が行われ、李政権が始動する。7ヶ月も政権空白期が続いただけに問題山積である。特に、新政権が中国より姿勢をみせれば、米国との軋轢が一気に高まる危険性を秘めている。

     

    『中央日報』(6月3日付)は、「『安米経中』を容認しないという米国…外交力が試される韓国新政権」と題する社説を掲載した。

     

    第21代大統領が4日、5年の任期を始める。次期政権は大統領職引き継ぎ委員会を設ける時間もなく直ちに実戦に入る。戒厳事態から6カ月間に支障が生じた国政懸案は一つや二つでないが、その中でもトランプ発外交・安保激変への対処が急がれる。


    (1)「特に、中国を牽制するための米国の圧力はさらに強まっている。ヘグセス米国防長官は先週末シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で「多くの国が中国との経済協力と米国との国防協力を同時に模索する誘惑に駆られるのは理解できる」とし、「こうした中国に対する経済的依存は緊張局面で我々の国防決定権をより一層複雑にする」と強調した。韓国が、堅持してきた「安米経中」(安保は米国と協力、経済は中国と協力)戦略に対する一種の警告であり、トランプ政権では二股戦略を認めないという二者択一の圧力だ」

     

    韓国が、「安米経中」路線を取れば、アジアの孤児になろう。左派政権は、伝統的に「親中朝・反日米」路線を取ってきた。それだけに、新政権は難しい舵取りが求められる。「本音」を出せば、経済的にも難しい立場へ追いやられるからだ。

     

    (2)「中谷元防衛相もこの席で、インド太平洋全体を一つと見なし、価値を共有する国々が協力を強化するという構想「OCEAN」を提示した。日本が、韓米日協力を通した北朝鮮抑止という従来の協力構図から一歩踏み込み、米国の中国牽制に足を踏み入れる姿だ。対中関係を無視できない韓国としては、解決すべき課題が増えている。新政権の発足と同時に難しい外交・安保試験に直面するということだ」

     

    中谷防衛相の「OCEAN」構想は、「インド太平洋のためという視点をもって、共通の価値と利益を共有し合う諸国が協力を通じて一つの大きな組織としていく」べきだと強調した。これは、インド太平洋構想の具体化論だ。韓国も、この構想の一員としての行動が求められるようになった。韓国新政権が、これを拒否して「中国接近」姿勢をみせれば、その時点で、韓国の命運は決まるようなものだ。

     

    (3)「韓国の立場では、米国・日本との協力も重要だが、現実上、中国・ロシアとの関係も無視できない。米国は、韓国の新政権発足に合わせて国防費の増額、在韓米軍の移動、防衛費分担金の増額という3つの波を起こす態勢だ。国防政策の基準となる8月発行の「2025国防戦略指針」に具体的な内容が入る可能性が高い。新政権がこの指針書に韓国の立場が反映されるよう総力戦で臨むことを期待する。同時に強固な韓米同盟を土台に危機を機会にできるよう賢明な戦略を立てなければいけない」

     

    米国のヘグセス国防長官が5月31日(現地時間)、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)の演説で、「中国はアジアで支配的国家となって地域を支配しようとしている」とし、「米国は共産中国の侵略を阻止する側に戦略を再設定している」と話した。あわせて韓国などを想定して、安保は米国に頼り、経済は中国に頼るいわゆる「安米経中」外交を警戒した。韓国新政権は、外交的に「脱線」できない厳しい状況へ追い込まれる。

     

     

     

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    日本政府は米国の次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」構想に協力する検討に入った。石破茂首相とトランプ米大統領が5月の電話で構想を推進すると話し合ったもの。迎撃システムに使う先端技術の研究や装備品の開発などで連携する。

     

    全米をミサイル攻撃から防衛するトランプ米大統領の構想が動き出した。与党・共和党は初年度に4兆円規模の予算を計画しており、複数年で数十兆円に膨らむ可能性がある。構想は、「ゴールデン・ドーム」と呼ばれる。敵国のミサイル攻撃から全米を防衛するシステムを構築する。トランプ氏が大統領選で公約し、1月に大統領令に署名した。米国防総省は大統領令を受け、計画をつくった。米連邦議会が策定している2026年会計年度(25年10月〜26年9月)の予算案に、初年度の予算を盛り込む。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月3日付)は、「米ミサイル防衛『ゴールデン・ドーム』に日本協力 両首脳が構想推進」と題する記事を掲載した。

     

    他国からのミサイル攻撃から米本土を守るため、宇宙空間に設置した装置でミサイルの動きを監視・検知して迎撃する。既存のミサイル防衛網を更新し次世代の技術を組み合わせる。

     

    (1)「トランプ氏は大統領任期の2029年1月までの運用開始をめざしている。今年1月に発表したゴールデン・ドームに関する大統領令には同盟国とのミサイル防衛の技術開発などの協力を明記した。日米関税協議で日本側のカードになる可能性がある。防衛装備品に関する協力も交渉材料だからだ。同盟国である日本の安全保障面の貢献をアピールし、トランプ氏から譲歩を引き出す狙いがある」

     

    日米関税交渉は、日本が米国を支援する技術(造船・レアアース精錬)などが取り上げられている。これに、新たに「ゴールデン・ドーム」関連の量子技術が加わる。

     

    (2)「中国、ロシア、北朝鮮に共同で対処する構想になる。中ロは多弾頭の弾道ミサイルや変則軌道の極超音速ミサイルの開発を進めている。北朝鮮は、米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を繰り返す。米国と同様、日本も脅威にさらされており、米国の迎撃網が強化されれば東アジアの安保に資するとみる」

     

    ゴールデン・ドームは、宇宙空間から敵国のミサイルを監視し、検知・迎撃する計画だ。過去に頓挫したレーガン政権の「スター・ウォーズ計画」の再現を目指す。トランプ氏は3月、演説で「レーガン氏の計画は当時の技術では実現不可能だったが、今は技術が存在する」と強調した。「この世界は極めて危険だ。私たちは(ゴールデン・ドームを)手に入れる必要がある」と説いた。

     

    ミサイルを検知し、追跡するために必要な衛星の数は400〜1000期に及ぶとされ、迎撃や反撃のために宇宙空間に配備する攻撃用の衛星は200基ほどに達する。宇宙や防衛、新技術など、計画は幅広く産業に関連する。請け負う企業には、大きなビジネスチャンスとなる。日本企業にも、受注の問合せがくるであろう。以上は、『日本経済新聞 電子版』(5月15日付)が報じた。

     

    (3)「ミサイルの探知や追跡に使うセンサーには人工知能(AI)や量子といった先端技術が組み込まれるもようだ。日本の技術の強みを生かし、次世代の装備品開発で米国に協力できる可能性が高い。日本は22年末に決定した安保関連3文書に基づき、ミサイル防衛の能力を抜本的に拡充している。国家安保戦略にはミサイル対処へ日米が協力していく方針も記した。日米は迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」などを共同開発した実績がある。ゴールデン・ドームで利用する防衛装備品だけではなく、システムの開発協力も視野に入る。米政府はこの構想に3年間で1750億ドル(約25兆円)の予算を投入する予定だ。開発に莫大な経費がかかる。トランプ氏はカナダに費用負担を求めている」

     

    「SM3ブロック2A」は、日米が共同開発した弾道ミサイル防衛(BMD)システムにおいて重要な役割を果たす迎撃ミサイルだ。従来型に比べて迎撃範囲と精度が向上しており、特に大気圏外での目標追尾と迎撃能力が強化されている。日本技術が寄与している。

     

     

     

    テイカカズラ
       

    中国BYDは、格安EV(電気自動車)で世界中へ販路を広げているが、日本へも23年1月に進出した。これまでの累計販売台数は4800台である。日本車の厚い壁に跳ね返されている形だ。そこで軽EVに目をつけて再挑戦の構えである。

     

    『時事通信』(6月2日付)は、「日本での販売『まだ少ない』 軽EVで接点拡大へ中国BYD幹部」と題する記事を掲載した。

     

    中国電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)日本法人の東福寺厚樹社長が1日までに、時事通信のインタビューに応じた。日本市場の累計販売台数を約4800台と明かし、「まだまだ少ないというのが実感だ」との認識を示した。来年には軽自動車のEVを投入する予定で、「多くのお客さまにEV技術に接してもらいたい」と強調した。

     

    (1)「BYDは2023年1月に日本市場に参入し、販売初年度は約1400台を売り上げた。その後も徐々に台数を伸ばし、店舗網も今年末には80店前後に達する見通し。ただ東福寺氏は、日本ではハイブリッド車(HV)の人気が高いほか、政府のEV優遇策も十分でなく、タイや韓国などと比べてEVの普及が進んでいないと指摘、「情報発信や乗る機会を提供する必要がある」と語った」

     

    BYDは、最初から誤算をしていた。中国製が、日本の消費者に割安であれば受入れられるとみていたのだろう。だが、中国EVは「安かろう悪かろう」である。中国では「安物」に慣れており、トヨタが日本式の「高品質」EVを投入しても売れないのだ。トヨタは、完全に中国仕様で品質を下げ、低価格で売出したところ、売上は順調に伸びている。

     

    BYDは、日本向けに「高品質」EVの投入を断念し、新たに軽EVで出直すことになった。軽自動車であれば、普通車のような品質を問われないとみているのであろう。

     

    (2)「来年投入する軽EVの価格は250万円程度となる見込み。基本性能は、日産自動車の「サクラ」やホンダの「NVAN e:(エヌバンイー)」といった「(先行する)全ての軽EVをお客さま目線で比べ、詰めていく」と説明した。軽自動車は排気量660cc以下などと定められた日本独自の規格で、海外メーカーにとっては参入障壁が高い。東福寺氏は「エンジンではなく、モーターで動くEVなら参入もしやすい」と指摘した」

     

    BYDは、来年から軽EVを日本へ投入する。価格は、日本車より若干の割安に設定するという。この軽でも売れなかったらどうするのか。BYDは、日本市場で最後の勝負を賭ける。

     

    『中央日報』(6月3日付)は、「敷居の高い日本軽自動車市場…中国BYDが挑戦状」と題する記事を掲載した。

     

    中国電気自動車(EV)メーカーのBYD(比亜迪)が来年下半期に日本で250万円台の軽EVを発売すると明らかにした。グローバル完成車メーカーの不毛地に挙げられる「日本軽自動車市場」でBYDの挑戦は成功するかどうか注目を集めている。

     

    (3)「日本で軽自動車市場は輸入車にとって進入障壁が高いことで有名だ。長さ3.4メートル、幅1.48メートル、排気量660㏄以下、最大出力64馬力以下など厳格な基準を充足しなければならないためだ。この市場は昨年基準180億ドル(約2兆6000億円)規模で、日本車市場の40%を占めている。軽EVでも日本企業が市場を主導している。日産「サクラ(SAKURA)」は2022年発売7カ月で3万3097台が売れた。昨年日本のEV販売台数は全体の1%台(約6万台)にすぎないが、そのうえ売れたEVの半数は軽自動車だった」

     

    軽自動車は、日本が発祥の「国民車」である。コスパが最高とされているだけに、BYDが、この分野へ「斬り込ん」できて成算があるかどうかだ。農村部の利用が多いだけに、固定ファンがついている。新規のBYDは苦戦するだろう。

     

    (4)「BYDが、日本を「軽EVテストベッド(試験場)」とみなし、その後韓国・インド・欧州などに市場を拡大するとの予想もある。韓国産業研究院のチョ・チョル研究委員は「軽自動車市場が発達した日本の経験を基に今後韓国に発売したり、欧州などで現代(ヒョンデ)自動車「キャスパー(Casper)EV」などと競争しようとするかもしれない」と話した」。

     

    BYDは、日本でテスト販売して韓国やインド、欧州へ市場を拡大させると予想されている。それほど、軽に魅力を感じているのだろう。

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