勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年09月

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    米国で、複数のスタートアップ企業が間もなく、日常走行の相当な部分を、無料で降り注ぐ太陽光のみで賄う技術を売り出す。自動車業界でニューフェース登場だ。晴天時には充電不要で、最大640kmの航続距離も可能とのこと。しかも、冬季の北部気候でも約24kmは走れる設計になっている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月29日付)は、「ソーラーEVは実用間近、太陽光で1日60km走行」と題する記事を掲載した。

     

    複数の米スタートアップ企業が間もなく、ドライバーの日常走行の相当な部分を、無料で降り注ぐ太陽光のみで賄う技術を売り出す。

     

    (1)「アプテラ・モーターズ(本社・カリフォルニア州カールズバッド)は、太陽光のみで1日約15~40マイル(約24~64キロ)の航続距離を得られ、充電なしで最大400マイル(約640キロ)走行できる、価格4万ドル(約590万円)のEVを来年にも発売する構えだ。この技術革新の鍵は、太陽光エネルギーを電気に変換する効率性を高めたパネルではない。既存のパネルはその点ですでに十分優れている。真の突破口となったのは、既存EVの効率性アップを実現した技術と、太陽光から車載電池にエネルギーを送り込む新たなパワーエレクトロニクス技術だ」

     

    「夢のソーラー・カー」を実現させた技術は、既存EVの効率性アップを実現した技術と、太陽光から車載電池にエネルギーを送り込む新たなパワーエレクトロニクス技術という。

     

    (2)「EVに太陽光パネルを取り付ける場合、真っ先に浮かぶ疑問は、高速道路の飛び石や駐車場でのドア接触に耐えられるかということだ。ハイウエーでひょうが降る中を高速走行すると、岩の硬さの物体が時速100マイル(160キロ)超でボディーに衝突するような状況になる、とアプテラのソーラー技術部門トップ、リード・サーバー氏は話す。そこで頑丈なガラス表面を持つ太陽光パネルを開発した。同社のオタマジャクシ型三輪EVには、ボンネットや屋根、後ろが細くなるボディーを覆うように太陽光パネルが設置されており、上からも側面からも衝撃を吸収しなくてはならない。「当社は多くの標準や試験手順で推奨されるよりも、高速でのひょう衝突試験を実施している」とサーバー氏は言う。化学処理されたガラスは強靱(きょうじん)かつ柔軟性があり、スマートフォンの強化ガラス「ゴリラガラス」に似ている。パネルは、たとえ車の外部表面に亀裂が入っても機能するように取り付けられているという」

     

    太陽光パネルを衝撃から守るために、化学処理されたガラスが使われている。スマホの強化ガラスに似ているという。

     

    (3)「アプテラは、この太陽光パネルをテロ・トラックス(本社・カリフォルニア州サンカルロス)にも納入する計画だ。テロは500馬力のミニ電動ピックアップトラックを来年発売する見通しだ。コンパクトカーブランド「ミニ」のミニクーパーよりも全長は短いが、荷台はトヨタ自動車の中型ピックアップトラック「タコマ」と同じくらいある。ポリドロップス(本社・カリフォルニア州グレンデール)は、アプテラの太陽光パネルを採用した全電動キャンピングトレーラーをすでに一部顧客に販売している」

     

    アプテラの太陽光パネルは、500馬力のミニ電動ピックアップトラック(来年発売)に採用される。すでに、全電動キャンピングトレーラーに採用されている。

     

    (4)アプテラの新EVモデルを記念する特別仕様車「ローンチエディション」には、ピーク時に約700ワットの太陽光エネルギーを吸収できるパネルが搭載される。理想的な環境は、ラスベガスの商業地区だ。全てのガラス張りビルが太陽光を反射し、車両のどの面にも光が届くという。夏季であれば、日照たっぷりの環境の住民は、太陽光パネルだけで1日最大40マイルの航続距離が得られる。冬季の北部気候では、この数字が1日約15マイルに低下する。アプテラの三輪EV(ローンチエディション)には700ワットの太陽光エネルギーを吸収できるパネルを搭載。1日最大40マイルの航続距離を達成するのに十分だ」

     

    夏季であれば、太陽光パネルだけで1日最大40マイルの航続距離が得られる。冬季の北部気候では、1日約15マイルに低下する。

     

    (5)「EVをここまで効率的にするには、収容人数などの面で妥協を迫られた。定員は2人で、車内は完全に密閉されているにもかかわらず、厳密にはオートバイに分類される。前輪駆動モデルは6秒でゼロから時速約60マイルまで加速し、最高時速101マイルだ。テロ・トラックスでは、価格4万1000ドル強(約603万円)の小型ピックアップトラックに約1万2000件の予約注文が入っている。テロのジェイソン・マークスCEOによると、注文の約4分の1で顧客は太陽光パネルを選択している。パネルは車両の屋根および荷台カバーに設置可能。それぞれ1500ドルと2700ドルの追加料金がかかる。パネルを使うと、航続距離350マイルの電動ピックアップトラックに1日15~30マイルを追加できるという」

     

    テロ・トラックスでは、価格約603万円の小型ピックアップトラックに約1万2000件の予約注文が入っている。注文の約4分の1で顧客は、太陽光パネルを選択しているという。ソーラー・カーへは根強い支持がある。

     

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    米国防総省は、国内のミサイル関連企業に対し、極めて短期間に生産量を2倍、場合によっては4倍に引き上げるよう求めているという。米国は、ロシアのウクライナ侵攻を止めさせるために、ウクライナ軍へミサイル発射制限を緩和する意向をみせている。こうした「緊急需要」を賄うべく、発注を急いでいるのかもしれない。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月29月付)は、「米国防総省、企業にミサイル生産の倍増要請 中国念頭」と題する記事を掲載した。

     

    事情を知る関係者によると、最も需要の大きな重要兵器の生産を加速しようとする取り組みは、国防総省の幹部と複数の米ミサイルメーカーの幹部との間で行われた一連の会合を通じて進められてきた。スティーブン・ファインバーグ国防副長官は、「軍需品加速評議会」と呼ばれるこの取り組みで主導的な役割を果たしており、一部企業の幹部に毎週電話をかけているという。

     

    (1)「国防総省は、業界を挙げた取り組みを進めるため、6月に省内で主要ミサイル関連企業を集めて会合を開いた。この会合にはピート・ヘグセス国防長官とダン・ケイン統合参謀本部議長が出席し、複数の兵器メーカーや、アンドゥリル・インダストリーズといった新規参入企業、ロケット推進剤や電池など重要部品のサプライヤー数社の幹部らも参加した」

     

    トランプ米大統領は、23日のウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談で、ウクライナ軍が米国製の長距離兵器を使用してロシア国内を攻撃することに対する制限を解除する用意があると伝えた。ただ、制限を解くと確約はしなかった。ゼレンスキー氏は、国連総会に合わせて開いた首脳会談で、トランプ氏に対し、ウクライナ軍にさらに多くの長距離ミサイルを提供し、ロシア領内の標的攻撃に長距離ミサイルを使用することを認めるよう要請した。トランプ氏は反対しないと答えたが、両国当局者によると、そうした攻撃を禁じる米国の方針を撤回すると約束はしなかった。このように、米国は、ミサイルを増産しなければならない「緊急事情」を抱えている。

     

    (2)「国防総省のショーン・パーネル報道官は、こうした取り組みに関する質問に対し、「ドナルド・トランプ大統領とヘグセス長官は、わが国の軍事力を拡大し、軍需品生産を加速するために異例の手段を模索している。今回の取り組みは、防衛産業のリーダーと国防総省上層部の協働によるものだ」と答えた」

     

    トランプ氏は、ミサイル増産に強い関心を持っているという。ノーベル平和賞受賞を本気で期待している表れか。それには、多くのミサイルによって戦争拡大を防ぎ、当事者を停戦のテーブルに着かせなければならないのだ。

     

    (3)「だが、政府内外の関係者の中には、政府が掲げる目標が現実的ではないと懸念する声もある。個々のミサイルの組み立てには完全に仕上げるまでに2年を要する可能性があるほか、新規サプライヤーからの兵器を米軍の使用に十分な安全性・信頼性のある物として試験・認定するには数カ月を要し、数億ドル単位の費用がかかることもある。生産加速に必要な資金についても疑問が残る。7月に署名されたトランプ政権の「大きな美しい法案」では、5年間に追加で250億ドル(約3兆7200億円)の軍需品調達資金の提供が決まった。しかし、アナリストらによれば、国防総省の積極的な目標を達成するにはさらに数百億ドルが必要になるという」

     

    短期間にミサイルの増産は不可能である。中には、完成までに2年を要するものもあるという。

     

    (4)「戦略国際問題研究所(CSIS)のトム・カラコ氏は、「企業は見込みだけでこれらの兵器を作るわけではない」と指摘、「政府が正式な契約として示すまで待つ必要がある。資金による支援の表明がなければならず、言葉だけでは不十分だ」と語る。ロッキード・マーチンやレイセオンなどの防衛関連企業は、潜在的な需要急増に備え、労働力を増やし、工場の床面積を拡張し、予備部品の在庫を増やすなどの対応を取ったとしている。しかし、一部のサプライヤーは新たな目標の達成に苦慮しており、政府から資金が提供されていない注文に多額の投資をすることに慎重だという」

     

    米国政府が、企業へ資金手当を十分に行なわなければ、緊急増産は困難であるという。そういう面倒を十分にみていないところをみると極めて切迫した事情にあると思えないのだ。通常の在庫不足を、早急に正常化させるという意味かも知れない。

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    アップルのスマートフォン「iPhone」を組み立てる中国工場の労働者が不安定な労働環境に直面していると、主要な労働権利団体が明らかにした。長時間の残業や賃金の遅配、さらに少数民族への差別などがまん延しているという。

     

    (1)「中国の労働実態を監視する米国の非営利組織「チャイナ・レーバー・ウオッチ(CLW)」が9月25日に報告書を公表した。中国内陸部の河南省鄭州市にある世界最大規模のiPhone工場で、繁忙期に雇用される推定20万人の総従業員のうち、半数以上が「派遣労働者」と呼ばれる季節労働者だという。中国の労働法で定める1割を大幅に上回る。iPhoneは台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)大手、鴻海(ホンハイ)精密工業が実際の組み立てなどを手掛けている」

     

    中国の労働法では、派遣労働者の比率が1割とされている。鴻海では、半数以上が季節工である。法令違反である。

     

    (2)「CLWは、工場への潜入調査も実施している。派遣労働者は、繁忙期の途中で離職しないよう賃金の一部の支払いを遅らせる「分割支給」の仕組みの下で働いていることも判明した。さらにこうした派遣労働者は、病気休暇や有給休暇のほか、医療保険や年金への拠出を含む社会保険など正規社員と同等の福利厚生は受けられないという。報告書は特定の少数民族や妊婦に対する組織的な採用差別の存在も指摘した」

     

    派遣労働者は、途中で離職しないよう賃金の一部の支払いを遅らせる「分割支給」の仕組みを適用されている。派遣労働者は、病気休暇や有給休暇のほか、医療保険や年金への拠出を含む社会保険など正規社員と同等の福利厚生は受けられない。差別待遇である。

     

    (3)「鴻海傘下の富士康科技集団(フォックスコン)は、アップルにとって最大の生産委託先の一つだ。CLWはこれまでも、フォックスコンが中国で運営するiPhone工場の劣悪な労働実態を繰り返し指摘してきた。フォックスコンは2019年、CLWの調査結果に対し、派遣労働者の比率が社内の規定に違反していたと認めている。CLWの創設者で今回の報告書を作成した李強氏は「アップルは過去10年間、労働環境の改善を繰り返し公言してきたが、根本的な問題は解決されていないことが調査で改めて明らかになった。アップルのサプライチェーンは、いまだに大量の使い捨て労働力に依存している」と批判した」

     

    アップルは過去10年間、労働環境の改善を繰り返し公言してきた。だが、根本的な問題は解決されていない。

     

    (4)「フォックスコンは、「差別を容認しない平等な雇用主」であると主張し、過去2年間、「独立した第三者機関による監査を積極的に受け、企業の社会および環境への責任において厳格なコンプライアンスと運用の透明性が確保されていることを示してきた」と述べた。アップルはCLWの調査結果を受け「現地にチームを派遣し、直ちに調査を開始した」と表明した。「労働、人権、環境、倫理のあらゆる基準で最高水準を堅持する」との姿勢を強調した。CLWは25年、鄭州市の工場で半年間にわたり潜入調査し、100人以上の従業員への聞き取りを行った」

     

    アップルは、CLWの調査結果を受け「現地にチームを派遣し、直ちに調査を開始した」と表明した。重大な企業イメージダウンになる。

     

    (5)「フィナンシャル・タイムズ(FT)も現地を取材し、工場周辺で十数人の労働者に話を聞いたほか、フォックスコンと契約する派遣会社の関係者数人にも聞き取りをした。得られた証言の一部はCLWの報告と一致したが、全てを裏付けるものではなかった。複数の関係者によると、派遣会社が履歴書のアップロードに使用するフォックスコンの採用プラットフォームでは、河南省出身でないウイグル族、チベット族、回族などの少数民族の応募が拒否されるという。一方で、取材に応じた労働者の多くは、地元の他の製造工場と比べれば労働環境は良いと語り、空調設備や給湯、娯楽施設、社員食堂補助などがあると指摘した」

     

    取材に応じた労働者の多くは、地元の他の製造工場と比べれば労働環境は良いと語り、空調設備や給湯、娯楽施設、社員食堂補助などがあると指摘した。中国企業の待遇は、劣悪なのだ。

     

    (6)「今回の調査では、5年前に発覚した未成年労働の証拠は見つからなかった。一方で、平均残業時間に小幅な改善がみられたとしている。9月に発売された新型「iPhone17」のための生産増強に伴って臨時の労働者には4800〜9800元(約10万〜20万5000円)の契約一時金が支払われることになっており、大きな魅力となっている。同工場で働く派遣労働者の基本給は月2100元程度で、河南省の最低賃金と同額だが、一時金の存在によって製造業の中でも競争力のある賃金水準となっている。一時金は定着を狙い、通常34カ月勤務した後に支給される」

     

    臨時の労働者には4800〜9800元(約10万〜20万5000円)の契約一時金が支払われる。派遣労働者の基本給は、月2100元程度であるだけに、大きな魅力になっている。

     

    (8)「労働者の多くは短期雇用契約の柔軟性や時給の高さを好むものの、実際には長時間の残業をしないと生活が成り立たない。時給は経験や採用時期によって異なり、一部では12元程度にとどまるが、大部分の派遣労働者は25〜28元となっている。CLWは、多くの労働者が週60時間勤務し、中には週75時間に及ぶケースもあると指摘した」

     

    大部分の派遣労働者の時給は、25〜28元(500~560円)。多くの労働者が、週60時間勤務し、中には週75時間にもなる。

     

     

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    中国国家発展改革委員会(発改委)は29日、景気支援策の一環として投資プロジェクトを加速させるため、5000億元(約10兆円)規模の「政策金融ツール」を導入すると発表した。政策金融ツールと耳慣れない言葉だが、全額、財政資金でなく金融機関の融資をセットするという意味だ。本来であれば、財政資金ですべてを賄う投資プロジェクトが、財政資金不足で金融機関融資を加えるのだろう。いよいよ、限界を露呈してきた。

     

    『ロイター』(9月30日付)は、「中国、投資加速へ700億ドル規模の資金調達手段を導入」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「発改委は、「新しい政策金融手段からの資金を速やかに特定のプロジェクトに割り当てている」と説明。地方当局に対し、プロジェクトの着工と建設を加速させ、効果的な投資を促進し、安定した経済成長を支援するよう促すとした」

     

    投資プロジェクトで、財政資金がどれだけのシェアを持つのか不明である。だが、投資プロジェクトである以上、返済までが超長期のものとなろう。こういうプロジェクトへ商業金融からの調達資金を調達して大丈夫か。まず、そういう懸念が頭に浮かぶのだ。

     

    具体的な意味と仕組みはどうなるのか。

    規模:5000億元(約10兆5000億円) これは初期投入額であり、これを元手にさらに銀行融資などを呼び込むことで、総投資額は数倍に拡大する可能性がある。

     

    1) 政策金融ツールとは?

    中国の政策銀行(国家開発銀行、中国農業発展銀行など)が債券発行などを通じて資金を調達し、地方政府や企業のプロジェクトに資金を供給する。 これは、財政支出と民間投資の橋渡しをする役割を持つ。

     

    2) 融資対象

    AI、デジタル経済、消費関連インフラなど 成長分野に資金を集中させることで、構造転換と雇用創出を同時に狙う。

     

    3)人民銀行(中央銀行)による流動性支援の可能性も示唆している。金融政策と財政政策の連携強化をはかる。

     

    地方政府は、融資平台が巨額の「隠れ債務」を抱えているためにほとんど機能しなくなっている結果、この政策金融ツールなるものが登場するのだろう。それにしても、提供できる資金源が限られてきたことによる「手詰まり感」が痛々しいほど感じられる。乏しい財源を金融機関融資で膨らませるところは、中国経済の限界をまざまざとみせつけている。この状態でも、なお「弱音」を吐かずに米国へ対抗姿勢と取らざるを得ないのは、傷だらけのボクサーが相手へ立ち向かう姿を想像するのだ。

     

    要約すれば、次のような結論になろう。中国の政策金融ツール導入の狙いは、財政資金の限界を補うために金融の力を組み合わせることにある。

     

    1) 財政資金の限界補完

    中国では地方政府の債務が膨らみ、直接的な財政支出に限界が出ている。そこで、政策銀行などを通じて資金を調達し、民間や地方のプロジェクトに間接的に資金を流す手法が採られる

     

    2) 投資の加速と景気下支え

    発改委は、「新しい政策金融手段からの資金を速やかに特定のプロジェクトに割り当てている」と述べており、着工の加速と経済成長の安定化が目的である。

     

    3)金融サービスとの連携強化

     単なる資金供給ではなく、金融機関のサービスや融資制度と連動させることで、資金の流れを効率化しようとしている。

     

    これまでの低収益性のインフラ事業は、軒並み再検討のテーブルに乗るのでないか。経済政策は、明らかに曲がり角へ来ている。

     

     

    テイカカズラ
       

    韓国は、対米3500億ドル投資をめぐって、米国から全額の前払いを求められ苦悩している。米国へ無制限スワップ協定を求めているが、所管はFRB(連邦準備制度理事会)である。政治的理由での無制限スワップ協定に首を縦に振るまいとみられている。これまで、韓国は日本経済と肩を並べたと吹聴してきたが、日本の外貨準備高や無制限スワップ協定など、韓国の手が及ばないところにあることを再認識させられている。

     

    『朝鮮日報』(9月29日付)は、「対米投資3500億ドル巡り韓国金融業界『無制限通貨スワップ締結で問題が解決されるわけではない』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国が3500億ドル規模の対米投資交渉で米国側に要求した「無制限通貨スワップ」について、韓国金融業界からは「合意に至るのは容易ではない」との指摘が出ている。

     

    (1)「金融業界幹部は26日、「通貨スワップは通過危機に備えた一種の安全装置であり、まるで国家間の大規模投資のための手段のように見なすのは適切ではない。通貨スワップを結べば、問題が相当部分解決されると考えるべきではない」と述べた。通貨スワップとは一国の外貨準備高が底をついた場合に備え、自国通貨を差し入れ、他国から外貨を借り入れる事前の取り決めを指す。現在、韓国銀行が中国、日本、オーストラリアなど8カ国および多国間で締結した通貨スワップの上限は合計1482億ドルで、韓国が米国に約束した対米投資額(3500億ドル)の半分以下だ」

     

    韓国政府は、米国との通貨スワップ協定によって「3500億ドル」問題を解決すべく奔走しているが、不可能であろうとの見方が強い。

     

    (2)「スワップを通じた借入期間は短い場合13カ月、長くても1年以内だ。過去米国が韓国などと結んだ通貨スワップは基本約定期間が6カ月にすぎなかった。危機が迫った際に条件付きで使うことができる短期借入金に近い概念だ。また、スワップで資金を借り入れるにも「当座貸越」のように相手国に手数料を支払わなければならない。現在米国の政策金利は年4.00~4.25%であり、韓国(2.5%)に比べはるかに高く、大規模なスワップに伴う金融コストが雪だるま式に膨らむ恐れがある」

     

    韓国は、米国とスワップ協定を結んだとしても、金利を支払わなければならない。年4.00~4.25%の政策金利だ。韓国にとっては、大きな金融コストである。

     

    (3)「通貨スワップは、政府から独立した中央銀行が締結する点も不確定要素だ。金融業界からは、「トランプ米大統領が普段から強く批判してきた米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に韓米通貨スワップの締結を求める可能性は低い」との見方が出ている。たとえ通貨スワップが成立しても、3500億ドルの資金調達は韓国側の責任として残る」

     

    通貨スワップ協定は、FRBの所管である。トランプ氏が、FRBへ頭を下げる可能性は低い。

     

    (4)「ソウル大経済学部のアン・ドンヒョン教授は「一部は外貨準備高を使い、一部は韓国産業銀行、韓国輸出入銀行などがドル建て債券を発行するとしても、相当額はウォンによって国内調達し、外国為替市場でドルに換金することが必要だ」とし、「巨額の資金調達も難しいが、為替リスクの問題も完全には解消されない」と分析した。韓国と似た対米交渉を行った日本の場合、米国との無制限通貨スワップ以外に対外純資産が3兆6200億ドルあり、韓国(1兆304億ドル)の3倍を超えるなど、経済規模と資金調達能力に関して根本的な相違がある」

     

    韓国は、改めて日本との経済格差を再認識させられている。韓国とは、別格の位置にあるからだ。これまでの「反日発言」が、いかに虚しいものであったかを実感している模様だ。

     

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