勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年10月

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    『ロイター』(10月29日付)によれば、 韓国の李在明大統領は29日、 米韓首脳会談で「原子力潜水艦を建造するつもりはないが、ディーゼル潜水艦は潜航能力が低いため、北朝鮮や中国の潜水艦を追跡することに制限がある」と説明。「燃料を供給することが認められ、通常兵器を搭載した潜水艦を何隻かわれわれが建造すれば米軍の負担は大幅に軽減できるだろう」と述べた。これは、どういう意味か。婉曲に、原潜保有意思を示したものだ。

     

    一般のディーゼル潜水艦に原潜用燃料を積むはずがない。これはズバリ、韓国が将来、原潜を建艦する際に燃料供給を依頼したものである。日本が、原潜保有への動きをみせているので、韓国もその可能性を開いておきたいということに違いない。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月29日付)は、「韓国大統領、原子力潜水艦の自国開発に理解促す トランプ氏に」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は29日、韓国南東部の慶州(キョンジュ)でトランプ米大統領と会談した。会談の冒頭で東アジアの厳しい安全保障環境を踏まえ、韓国が原子力潜水艦を開発することに理解を求めた。

     

    (1)「韓国は現在、原潜を保有していない。李氏はトランプ氏に原潜開発への意欲を伝えたうえで「韓国が(米国から)原潜用の燃料を供給されるよう決断してほしい」と要請した。「燃料供給が認められ、我々が通常兵器を搭載した潜水艦を何隻か建造して黄海や日本海で活動すれば、米軍の負担は大幅に軽減できるだろう」とも主張した」

     

    李氏は、巧妙にトランプ氏へ原潜保有意思を示したといえる。

    「建造しない」と言いつつも、「燃料は欲しい」としている。これは、原潜保有の意図を否定しつつ、技術的選択肢を確保したいという、極めて慎重な発言である。米国の懸念(核拡散)を和らげつつ、中国・北朝鮮への抑止力を強化したいという意図がみえる。「米軍の負担軽減」は、韓国がより多くの戦略的役割を担うことで、米国の負担を軽くするという意思表示である。

     

    (2)「米韓原子力協定は、韓国にウラン濃縮や原子力発電所で出た使用済み核燃料の再処理を禁じる。研究目的での再処理や20%未満の低濃縮ウランの生産は米国との協議を条件に実施を認めている。2015年に改定した同協定は35年まで有効だ。李氏の発言は原子力協定を改定し、米国が韓国の核燃料の再処理を認めるよう促すものだ。李氏は同協定の見直しを念頭に「使用後の核燃料の再処理やウラン濃縮について実質的な協議が進むよう指示していただければ、より早く解決できる」と言及した」

     

    将来の原潜開発のためには、米韓原子力協定の改訂が必要である。韓国は、今からその準備をしておこうというものだ。

     

    (3)「李氏は、「韓国が核兵器を積載した潜水艦をつくるということではない」と強調した。「ディーゼル潜水艦は潜航能力が低いため、北朝鮮や中国の潜水艦の追跡活動に制限がある」と説明した。高濃縮ウランや使用済み核燃料を再処理して得られるプルトニウムは、核兵器の燃料として軍事転用も可能となる。韓国は、過去にも再処理の容認を米国に求めたことがあるが、北朝鮮や中国など周辺国の反発も予想され、議論は進まなかった」

     

    韓国は将来、原潜を持ちたいのであれば、インド太平洋戦略へ復帰すべきである。韓国海軍は、日本海と黄海だけの防衛に原潜は不要である。原潜が必要というには、インド太平洋戦略復帰が前提になる。これを曖昧にして、原潜保有を主張するのは矛盾している。

    あじさいのたまご
       


    なお生産中心主義に拘る

    「長征」経験を現代適用

    経済成長率が唯一の自慢

    今後も続く住宅不況重圧

     

    中国共産党は、今後5年間(2026~30年)の経済・社会の運営方針である15次5カ年計画を発表した。実態は、データのない経済計画である。第15次5カ年計画の基本方針と、第14次5カ年計画(2021年~25年)を比較すると、内容がほとんど変わらないという驚くべきものだった。中国経済の抱える構造問題を、抜本的に「改革」しようとする意気込みがないのだ。中国経済はどこへ向うのか。不安が高まるだけである。

     

    GDPの約20%を占めた不動産市場が、崩壊したのは2021年である。これ以降、中国経済を回してきた輪は、ストップしたままである。不動産バブルが崩壊した今、「4つの過剰」が中国経済を襲っている。過剰投資、過剰設備、過剰競争、過剰債務である。15次5カ年計画に、こうした重圧を解決する基本方針はみられない。ただ、「不動産の高品質な発展を促進する」というだけである。この短い表現の中から、中国共産党の困惑している姿がありありと浮かぶのだ。

     

    中国企業は、軒並み過剰投資、過剰設備、過剰競争(内巻競争)に苦しみ、生産性(全要素生産性)は、度を超した内巻競争で「捨てる」に等しい愚行に嵌まっている。コスト割れ競争だ。この結果、債務返済も叶わぬ状態に陥っている。過剰債務は、地方政府を巻き込んでおり、減少するどころか累増する最悪事態である。それにもかかわらず、次期経済計画は、相変わらずの供給力先行という「戦時型経済」運営だ。為政者として経済を運営する資格は、完全に喪失した状態にある。

     

    なお生産中心主義に拘る

    習近平氏の経済観には、「生産中心主義」が色濃く反映されている。消費浪費という見方が政策の根底にあるからだ。これは、伝統的な計画経済の発想に近く、供給側の強化こそが国家の繁栄につながるという信念に基づいている。習氏は、ことさら「革命精神」を強調する。人民解放軍が、長征(1934~35年)で1万2000キロの行軍によって、江西省瑞金から陝西省呉起鎮(1937年に延安)へ戦いながら移動した苦悩を称え、現在の中国でその精神性を再現しようとしている。実父が、この行軍に加わっていたからだ。

     

    習氏の信念は、苦しくても耐え忍べばやがて勝利に結びつくという単純なものだ。しかし、中国人民解放軍が勝利を得たのは、日本軍が連合軍へ敗北した結果の「棚ぼた」である。毛沢東が、そのように述懐している。となれば、中国に「僥倖」が起こらない限り、米国と対決しても勝利の可能性はない。習氏は、その僥倖に期待して耐乏生活を国民へ説いている。精神論だけで、中国が世界覇権を握れるはずがない。

     

    生産中心主義は、次のような構造的な歪みをもたらす。

     

    1) 消費の軽視 

    個人消費の拡大よりも、製造業やインフラの投資に重点が置かれ、内需の持続的成長が阻害される。中国のGDP(2023年)構成は、民間最終消費支出(個人消費)約39%、総資本形成(固定資産投資)約42%である。消費よりも投資のウエイトが大きいという「頭でっかち」経済である。こういう経済では、持続性を維持できないのだ。

     

    2) 市場の役割縮小 

    価格調整や需要予測といった市場の自律的機能が抑制され、資源配分の効率性が低下した。中国は、補助金という支柱をなくして純粋に価格機能が働く経済であれば、過剰生産→価格下落→企業倒産(生産調整)→価格上昇という自律的な回復過程を辿れる。この市場機能を阻害しているのが補助金である。この認識が、全く欠落している。

     

    3) 社会的不安定化

    若者の失業、住宅価格の高騰、教育・医療の格差などが広がり、消費者心理が冷え込んでいる。GDPの4割が固定資産投資という常軌を逸した経済下では、個人消費が必然的に縮小へ追い込まれる。「経済の吃水線」は、個人消費である。船と同様に、吃水線は高いほど安定している。中国は、低い吃水線で社会不安を煽る形になっている。

     

    習氏の生産重視論を支えているのは、「長征」の苦闘記録であろう。武器弾薬さえ豊富であったならば、毛沢東の赤軍は蒋介石の率いる国民党軍と有利に戦えたはずだ。この思いが転じて、米国への覇権争いを目指し生産重視へ駆り立てているのであろう。国民が、失業しようが生活苦に悩もうが、「大義」実現の前には耐え忍ぶべきという戦略論が支配しているとみるほかない。

     

    「長征」経験を現代適用

    習氏が、大きな歴史の見誤りに陥っているのは、長征の行なわれた1934~35年当時の中国の生活レベルと現在との違いである。満足に食事もできない大衆を率いた当時と、大学進学率が70%を上回っている現在とでは、大衆の知的レベルが天と地もの差があるのだ。現在の大衆は、「自己実現」を目標にして生きている。当時の大衆は、一日三度の食事を与えられれば、それで満足という環境下にあった。現在の中国は、完全に生まれ変わっている。大衆が、人間の尊厳を求めて生きる時代だ。それは、次のように説明できる。

     

    マズローの欲望5段階説が、手がかりになる。

    1)生理的欲求

    2)安全の欲求

    3)社会的欲求 / 所属と愛の欲求

    4)承認(尊重)の欲求

    5)自己実現の欲求

     

    人間の欲望は、1)から順に上昇して5)に至って「人間の生きがい」を達成する。長征時代の中国大衆は、1)と2)の段階にとどまり、生命を維持するための本能的な欲求の食事・睡眠の確保を求めていた。さらに、良い健康状態の維持、良い暮らしの水準、事故の防止、保障の強固さなどへと願望が広がっていく。毛沢東は、こういう大衆の切ないまでの願望を掬い上げて革命を成功させた。(つづく)

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    https://www.mag2.com/m/0001684526



    テイカカズラ
       

    米財務長官ベッセント氏は日本時間29日、SNSに「日本政府が日銀に政策運営の余地を与えることはインフレ期待を安定させ、過度な為替レートの変動を避ける上で極めて重要な鍵になる」と投稿した。日銀に追加利上げを促す発言との受け止めかられている。米連邦準備理事会(FRB)は、29日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決めるとの見方が支配的である。米国は、日米金利差縮小による「ドル安・円高」を求めている。

     

    『ロイター』(10月29日付)は、「米財務長官のけん制、政府内に『利上げ不可避』の声 問われる首相判断」と題する記事を掲載した。

     

    日銀に政策余地を認めるよう日本政府をけん制した29日のベッセント米財務長官の発信は、高市早苗首相が掲げる「責任ある積極財政」の行く末を左右する可能性がある。すでに政府内には財務省を中心に日銀の利上げは不可避との見方が広がる一方、高市氏や片山さつき財務相の強気な姿勢に変化は見えない。日銀の金融政策決定会合に合わせるように、金融政策をめぐる政府内の動きが激しくなっている。

     

    (1)「日米両政府は9月、石破茂前政権下で合意した為替に関する共同声明に、財政・金融政策について「国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられ、競争上の目的のために為替レートを目標とはしない」と明記。為替介入を巡っても「過度の変動や無秩序な動きに対処するためのものに留保されるべき」と盛り込んだ。財務省幹部は「米国には日本が金利操作によって円安誘導を試みているとの懸念がある」とみる」

     

    米国は、日本の円安相場について「疑念」を深めている。日銀が利上げを躊躇しているのは、一種の「金融操作」とみているのだ。日本の消費者物価上昇率が、3%弱で定着しているのは、利上げすべき時期という判断を持っている結果だ。

     

    (2)「トランプ米大統領とともに来日したベッセント氏は27日、財務省で片山氏と会談。事情を知る日本政府関係者によると、ベッセント氏は前政権下の共同声明の合意を守るよう片山氏に念を押したという。会談の翌日、片山氏は記者団に「(日銀による利上げを)促すというようなことではなかったのではないかと思う」と述べたが、同関係者は「ベッセント氏の意図を理解していない」と解説する。

     

    片山財政相は、積極財政論者として知られている。金融緩和派である。円安が、「諸悪の根源」という認識が深まっている現在、いつまでも金融緩和が許されるはずもなかろう。

     

    (3)「こうした状況の下、高市氏は難しい判断を迫られる。政府内の一部には「(首相側が)利上げをしないよう日銀に圧力をかけ続けている」との見方が広がる一方、積極財政の旗を降ろせば総裁選時の主張を後退させることとなり、政治的なダメージが測り知れない。実際、ある経済官庁幹部は「ベッセント氏の発信を過度に気にすることはない」と冷静を装う。ただ、米財務長官が日本の金融政策についてここまで発信を繰り返すのは異例であることは間違いない。前出の関係者は「ベッセント氏はおそらくトランプ氏に報告した日本の金融政策の方向性と現状の食い違いに相当な不満を持っているのだろう」と述べた上で、こう危機感をあらわにした。「高市氏がこのまま日銀に対する姿勢を変えなければ、米国がいつ『共同声明の合意違反だ』と言ってくるかわからない状況だ」

     

    高市首相は積極財政論者であるが、物価動向を無視した財政拡大は危険そのもの。ここは、持論に封印して物価安定が求められる。

     

    (4)「ベッセント氏の発信を専門家はどうみているのか。SMBC日興証券チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は「(ベッセント氏は)日銀の金融政策運営に対する直接の言及を避けつつ、高圧経済を標榜する下でも将来において追加利上げを展望する日銀の意思を認める余地が存在する旨を高市首相や片山財務相に伝えているように思われる」と分析する。さらに「(29日からの)金融政策決定会合を左右する訳ではないものの、遠くない将来、例えば12月の決定会合における追加利上げ決定に向けた日銀と政府のコミュニケーションを支援する効果を有するかも知れない。結果として年内の追加利上げの確率を高める方向に作用するだろう」と話した」

     

    政府は、金融政策の独立性を尊重しなければならない。過去の財政拡大政策の失敗を忘れてはならないのだ。国民は、物価高で苦しんでいる。主として、円安が原因である。

     

     

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    中国は、26年1月からEV(電気自動車)輸出を当局の許可制へ切替える。技術的に低レベルのEVが、輸出されて問題を起こしている結果だ。過度のEV補助金政策が、EV企業を乱立させた。こういう反省から、15次5カ年計画(2026~30年)では、EVを新興産業育成から除外することになった。EV電池は現在、リチウムイオン電池であるが、30年以降に次世代電池として全固体電池へ移る。EVメーカーは、整理淘汰の段階へ進むので、もはや育成する対象でなくなるのであろう。

     

    『ロイター』(10月29日付)は、「中国、新5カ年計画の戦略的新興産業からEVを除外」と題する記事を掲載した。

     

    国営新華社が28日発表した中国の第15次5カ年計画(202630年)では、これまで戦略的新興産業に含まれていた電気自動車(EV)が除外された。中国で供給過剰に直面しているEVや、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を含めた新エネルギー車(NEV)は、過去3回の5カ年計画では産業競争力の強化を目指す戦略的新興産業として位置付けられていた。

     

    (1)「戦略的新興産業に含まれたのは量子技術やバイオ製造、水素エネルギー、核融合。第15次5カ年計画の全文は、来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表される予定だ。中央政府と地方政府はこれまでに数十億ドル規模の補助金を投入し、中国が世界のEV市場と供給網で主導的地位を確立するのを支援してきた。一方、政府は第15次5カ年計画では、自動車と住宅の消費拡大のために購入制限の撤廃を促した」

     

    15次5カ年計画では、量子技術、バイオ製造、水素エネルギー、核融合などが戦略的新興産業に選ばれた。直接的な雇用増加策に結びつかないので、中央政府主導で行なわれよう。補助金も金額的に、小規模で済むであろう。補助金対象数が減るからだ。

     

    (2)「中国は世界最大の自動車市場となっているが、自動車業界は生産能力の過剰や、長引く激しい価格競争、過度な競争に直面している。中国の習近平国家主席は、「関係各方面に対して健全で合理的、かつ現実的なアプローチで業務に臨み、新たな取り組みに突き進むことを控えるように導くことを目指す」とコメントした。人民日報によると、習氏は今年になり、あらゆる省が人工知能(AI)やコンピューティングパワー、EVなどの産業をこぞって開発する必要があるのかと疑問を呈していた」

     

    習氏は今年になり、あらゆる省が人工知能(AI)やコンピューティングパワー、EVなどへ進出することに疑問を投げかけていた。各省の補助金が、過剰投資を招いてきたからだ。補助金政策の弊害を認識したのであろう。

     

    (3)「中国が、2009年にEV産業を推進するようになって以来、合肥市や西安市などの都市が次々とEVの主要拠点に変貌した。こうした進展と、中国がイノベーション(技術革新)の主導権を握ろうとする野心が相まって、ほぼ全地域が競う状況となった。数十のブランドが争うようになった飽和状態のEV市場は根強いデフレ圧力に加え、欧米との貿易摩擦に直面して輸出にも暗雲が垂れ込めている。中国共産党が発表している5カ年計画は第1次が1953年に始まり、国家発展に向けた経済と産業の優先順位を設定している」

     

    補助金政策が、過剰投資→過剰生産を招いてきた。製品価格は、大幅な値下がりとなり採算割れ企業が続出した。こうした反省の上に、EVへの補助金制度を止めるのであろう。補助金政策の弊害が、実際に出なければ分らないとは困った話だ。

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    トランプ米大統領と高市早苗首相は28日午前、東京・迎賓館で初の首脳会談を行い、強固な同盟関係を維持していくことを確認した。冒頭、トランプ氏は「日本のために私ができることがあれば、私たちは必ず応えると伝えたい」と述べた。日米関係について「われわれは最強レベルの同盟国だ」とも発言した。

     

    トランプ氏は、なぜこのような「日本絶賛」発言をしたのか。それは目下、米国が最も頭を悩ませているレアアースの確保について、日本の南鳥島のレアアースで日米が技術的に協力することで合意したからだ。これによって、米国は「レアアース飢餓」から解放される。トランプ氏が、日本絶賛をした理由だ。

     

    『ブルームバーグ』(10月28日付)は、「トランプ大統領『日本にできることあれば必ず応える』-高市首相と会談」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領と高市早苗首相は28日午前、東京・元赤坂の迎賓館で初の首脳会談を行い、強固な同盟関係を維持していくことを確認した。会談では、両者が互いを称賛し合う場面が目立った。高市首相は、トランプ氏の外交努力を評価し、ノーベル平和賞に推薦すると伝えた一方、トランプ氏は「JAPAN IS BACK」と金色の文字で記されたゴルフ帽に署名し、首相に贈った。

     

    (1)「会談終了後、両首脳は日本による5500億ドル(約84兆円)規模の対米投資など日米関税交渉での合意実行を確認する「日米同盟の新たな黄金時代に向けて」とレアアース(希土類)と重要鉱物の供給・確保に関する枠組み文書に署名した。ホワイトハウスの発表によると、関税交渉に関する文書では、日米合意は「経済安全保障を強化し、経済成長を促進し、世界の繁栄に継続的に寄与する」と指摘。両首脳が関係閣僚らに対し、成長を続ける日米同盟の「新たな黄金時代」に向けてさらなる取り組みを進めるよう指示した。

     

    レアアース(希土類)と重要鉱物の供給・確保に関する枠組み文書に署名した。南鳥島の海底レアアースが、ついに脚光を浴びる状況になった。

     

    (2)「その後、日米両政府は28日、関税交渉で合意に至った対米投資について、関心を示している企業の一覧を公表した。記載されているプロジェクトの額を合算すると4000億ドル弱(約60兆円)の規模となる。日本企業ではソフトバンクグループ、東芝日立製作所三菱電機など、米国側は原発メーカーのウェスチングハウスや建設会社ベクテルなどが名を連ねた。対米投資に関し、トランプ氏は横須賀での演説で、トヨタ自動車が米国内に自動車工場を建設する見通しで、その規模は100億ドルを超えると述べた。計画は高市首相から伝えられたという」

     

    日本の対米直接投資5500億ドルに関連する日本企業名は、ソフトバンクグループ、東芝日立製作所三菱電機などだ。これが、「第一陣」であり、これから他の企業も名乗り上げるのであろう。

     

    (3)「レアアースと重要鉱物に関する文書は、供給の確保、採掘・加工への投資などで協力するための政策枠組みを定めた。署名日から180日以内に閣僚級会合で関係者との対話を通じて投資の優先分野と方策を特定することなどを盛り込んだ」

     

    レアアースでは、日本の南鳥島の開発で米国が技術協力することと、レアアース製品の長期購入契約が関わる重要内容だ。ハワイ沖は、日本が資源賦存状態を本格探査することで協力する。米国は、ROV(遠隔操作型無人探査機)やAUV(自律型探査機)の開発・運用において世界的な技術力を持ち、日本と連携して南鳥島で揚泥技術の最適化を支援している。特に、閉鎖系二重管揚泥方式の実証において、米国の深海ポンプ制御技術やセンサー技術が導入される見通しだ。

     

    このほか、米国の数少ないレアアース企業、MP  MATERIALS社などが、レアアースの精製・磁石化技術を保有しており、日本との中間製品・最終製品の分業体制を構築する。米国は、オフテイク契約によって長期的な安定供給確保を目指している。日本は、採掘投資の裏付けと対米外交カードを得られるので「ウイン・ウイン」の関係が成立する。トランプ氏が、「日本のために私ができることがあれば、私たちは必ず応えると伝えたい」と述べたのは、日本の協力で高級レアアース確保が可能になったからだ。

     

    (4)「このほか、両政府は造船業で協力するための覚書を締結した。ラトニック商務長官は、米国の造船業は数十年の間にほぼ失われたとし「日本は本当に優れた造船国であり、ともに米国の造船業を再建していけると信じている」と述べた。金子恭之国土交通相は、「日米の船は日米で作れるよう両国の造船業が発展することが重要」と話し、建造能力の拡大、米国への投資促進、人材育成など、同覚書に基づく日米協力を着実に進める方針を示した。造船は日米関税合意で半導体、医薬品、重要鉱物などと共に経済安全保障上の重要分野の一つに位置付けられており、同合意に基づく対米投資の対象となっている」

     

    造船では、「日米造船作業部会」を設けて具体的な協力を進める。米国の造船業とへの投資促進を盛り込む。覚書には、日米で設計を共通化する取り組みを進めることや、人工知能(AI)などの先進技術で連携することも入れる。日本政府や民間の造船会社は、日米協力の前提となる国内での建造能力を高める方針だ。政府は造船の建造量を2035年に1800万総トンと、24年比で倍増させる目標を定める見通し。 

     

     

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