勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年11月

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    高市首相の台湾問題発言に対して、中国が抗議をエスカレートさせている。中国人の訪日旅行や日本留学にブレーキを掛ける動きに出てきた。これら一連の動きの裏には、習近平国家主席が指示している。中国外務省は14日、孫偉東外務次官が前日夜に金杉憲治駐中国日本大使と「指示に従って会い」と明らかにしたことで習指示を示唆した。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月18日付)は、「中国が日本にけんかを売る理由」と題する記事を掲載した。

     

    中国の「戦狼」は新たな標的を見つけた。ロイター通信の報道によれば、彼らは下品な言葉を使って日本の高市早苗新首相を攻撃している。危機がエスカレートする中で、中国当局は中国人の観光客やビジネス関係者に対し、日本への渡航自粛を呼びかけた。また、日本に留学した場合に直面するとされるリスクについて注意喚起したほか、日本が領有権を主張する海域をパトロールするために沿岸警備艇を立て続けに派遣した。

     

    (1)「高市氏の「罪」は、国会での質問に対して正直かつ率直な答弁をしたことだ。これは重大な質問だ。2015年に成立した安全保障関連法では、「存立危機事態」は日本の集団的自衛権の行使につながり得る。高市氏の答弁は明快だった。その内容は、中国が武力で台湾を支配下に置こうとした場合は、安保関連法が想定する存立危機事態に当たり、そうした状況下では自衛隊が米国などの同盟国を支援することがあり得るというものだ。過去の日本の首相でこれほど明確に発言した者はいないが、日本の基本的な立場に実質的な変化はなかった。中国による台湾への攻撃は日本にとって大きな脅威となり得る」

     

    高市首相は、率直に中国による台湾への攻撃が日本にとって大きな脅威となり得ることを表明した。これは,事実である。

     

    (2)「中国の反応は、ある程度避けられないものだった。領有権を主張している国は、その主張が消えないようにするために、常に強く表明しておかなくてはならない。中国の見解では、台湾は中国の一つの省であり、中国が台湾をどう扱おうと、他国に干渉する権利はない。日本が中国本土と台湾の紛争に介入する可能性を示唆するなら、中国は抗議せざるを得ない。さもなければ自らの主張に関して疑念があると認めることになる。同様に、米国が台湾に武器を売却するたびに、中国は自国の主張が真剣なものであり、いつかはそれを実現させる意向だということを示すために、異議を申し立てざるを得ない」

     

    中国の見解では、台湾が中国の一つの省である。中国が、台湾をどう扱おうと、他国に干渉する権利はないとしている。これは、自国本位であり武力使用は他国へ損害を与えるだけに許されない問題だ。平和裏に行われるならば、他国は介入不可能である。

     

    (3)「そうした反応が避けられなかったとしても、危機が避けられないというわけではなかった。中国は形式的な抗議をして、数週間で平常に戻ることもできただろう。中国政府は小さな騒動を大きな対立に変えることを決めた。それはなぜか。中国政府の動機をアウトサイダーが読み解くのは難しい可能性があるが、二つのことが起きているように思える」

     

    習近平氏は二つの理由から、高市発言をテコにして大騒動に持ち込む決意をしている。

     

    (4)「第一に、中国共産党には威圧という長い伝統がある。相手が国内の敵対勢力であろうと、扱いにくい外国政府であろうと、中国政府はまず直感的に相手を威圧したり、脅したりすることが多く、可能な場合には、相手に何かを強要する。これがうまくいった場合は、それでよい。うまくいかなかった場合は、いつでも、より対立的でないアプローチに変えられる」

     

    中国は、相手構わずに気にくわない国へは、直感的に相手を威圧する行動に出る。現状は、この第一回戦が始まった。

     

    (5)「第二に中国政府は、高市氏が自らの立場を完全に確立する前に同氏の力を損なうことを望んでいる。同氏は、タカ派だった安倍晋三元首相の政治手法の後継者だ。高市氏はまた、ややハト派の公明党から連立維持を拒否された後、タカ派のより小規模な日本維新の会を連立に引き入れることができた。中国は、高市氏に歯止めをかけなければ、日本の防衛力強化に向けたより多くの施策が打ち出されるのではないかと懸念している。共同通信は、高市政権が非核三原則の見直しを検討していると報じた。世界の歴史の中でも最速のペースで核武装強化を進めている中国は、近隣諸国が核兵器を持たない弱い国であってほしいと考えている」

     

    第二回戦は、日本国内に「反高市ムード」の高まることを狙っている。これは、日本国内世論へ手を突っ込む行為である。高市首相を支持する人も、そうでない人も中国の言動に賛成することは危険である。こういう言葉を使いたくないが、「利敵行為」という醜い結果になろう。

     

    (6)「中国は、高市氏の発言への同国の憤りが、日本国内の反高市勢力の活性化につながることを期待している。中国と関係を持つ企業が雇用の中心になっている地域の議員や、観光が主な収入源になっている地域の議員もいる。高市氏は、自らの手本となる人物としてマーガレット・サッチャー氏(元英首相)の名を挙げている。高市氏が元祖「鉄の女」サッチャー氏と同様に、タフで機知に富んだ鉄の女であることを期待したい」

     

    高市首相は、欧米との連携を強めるべきである。台湾の武力侵攻は、自由と民主主義に関わる重大問題である。

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    トランプ米大統領は、高関税措置を自画自賛してきたがここへきて揺れている。米国内で高まる物価上昇への不満に対応するため、14日に多くの農産物・食品の関税を大幅に引き下げる方針転換を余儀なくされているからだ。さらに、「トランプ関税」の収入を原資に、富裕層を除く米国民に1人当たり2000ドル(約30万円)を支給するバラマキ構想までぶち上げている。実現には多くの壁が立ちはだかる。

     

    『毎日新聞』(11月17日付)は、「正反対に振れた『トランプ関税』 バラマキ構想も『実行困難』か」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ氏は14日夜、「一部の食品価格を引き下げたい。我々がやろうとしているのは関税の引き下げだ。場合によっては、店頭価格がかなり下がるだろう」と大統領専用機内で記者団に説明した。

     

    (1)「トランプ氏はこの日、牛肉やバナナ、トマトなど幅広い農産物・食品について、世界各国に対する「相互関税」の対象から外し、関税を大幅に引き下げる大統領令に署名した。米紙『ワシントン・ポスト』とABCニュース、調査会社イプソスが10月24~28日に実施した世論調査によると、トランプ政権の関税政策の支持率は33%にとどまった。不支持率は65%で、主要政策別で最大。トランプ政権は「関税はインフレを招かない」とかねて主張してきたが、11月4日のニューヨーク市長選などでライバルの民主党候補が勝利する中で焦りを深めた模様で、結局、関税引き下げで物価抑制を図る正反対の措置を取ることになった」

     

    トランプ氏は、物価上昇による国民の生活圧迫が顕著になると共に、相互関税の一部撤回を行わざるを得なかった。これは、トランプ氏の支持率低下となって表れている。

     

    (2)「実は、「トランプ関税」を巡って世論の支持を得ようとするトランプ氏の試みは、他にもある。発端は、9日の自身のソーシャルメディアへの投稿だった。「関税に反対する人々は愚か者だ」と記したうえで、巨額の関税収入や大規模な対米投資、史上最高値を更新する株価を経済政策の「成果」として誇った。そして、1人当たり最低2000ドルの「配当金」を支払う構想を打ち出した。支給対象や方法ははっきりしない。ベッセント財務長官は米メディアで「年収10万ドル(約1540万円)未満」の人に支払う可能性に触れたが、子供も対象となるかは示さなかった。「配当金」の規模感は定まっていない」

     

    トランプ氏は、関税を財源に国民一人当たり2000ドルを支給するとぶち上げた。本来は、財政赤字削減目的で相互関税を実施したはずが、バラマキ財源に化けようとしている。

     

    (3)「トランプ氏は14日、支給時期について「今年ではなく、来年のある時期になる」との見通しを記者団に示した。来秋の中間選挙を前に、世論の支持向上につなげる思惑が透ける。だが、実現のハードルは高そうだ。米シンクタンク「タックス・ファンデーション」のエリカ・ヨーク氏はX(ツイッター)で、ベッセント氏が示した「年収10万ドル」で線引きして子供を除外した場合でも、対象は約1億5000万人にも上り、約3000億ドルが必要だと指摘する。米財務省によると、9月末時点の関税関連収入は1950億ドル。必要額と大きな開きがあり、ヨーク氏は「実行困難」とみる」

     

    トランプ氏は、2000ドル支給時期は来年になるとしている。中間選挙目当てである。現実にはこの2000ドル支給は実現困難とみられている。

     

    (4)「さらに、今回の農産物関税の大幅引き下げで、関税収入は当初の設計より減少すると見込まれる。将来の収入を元手に国債発行などで賄う選択肢も考えられるが、財政悪化につながる懸念もある。2000ドルの「配当金」は家計に「恩恵」と思えるが、かえってインフレを助長する恐れもある。セントルイス連銀の推計によると、コロナ禍での米国の景気刺激策はインフレ率を年間2.6ポイント押し上げた。経済の状況は当時と現在で異なるが、英調査会社オックスフォード・エコノミクスのエコノミストは米CNNの取材に、過度の「配当金」によって「景気を過熱させるリスクがある」と警鐘を鳴らした」

     

    2000ドル支給案は、かえってインフレを助長する恐れがあると指摘されている。こうなると、トランプ構想は宙に浮いてしまうだろう。

     

    (5)「トランプ政権が、一方的に推し進めることも難しそうだ。ベッセント氏や国家経済会議(NEC)のハセット委員長は今回の構想を実行に移す場合、立法措置が必要になるとの認識を示している。懸念点が拭えない中、すんなりと議会の承認を得られる見通しは立っていない。トランプ関税の枠組み自体が崩れる懸念も強まっている。連邦最高裁が5日に実施した「相互関税」を巡る訴訟の口頭弁論では、リベラル派だけでなく多数派を占める保守派の判事からも、大統領権限で全世界一律の高関税措置を講じる正当性に懐疑的な見方が示された。早ければ年内に下される判決でトランプ政権側の敗訴となれば、自動車や鉄鋼・アルミニウムなどを対象とした品目別関税は残るが、「数百億ドルの資金源を失うことになる」(米ニュースサイト「アクシオス」)」

     

    2000ドル支給案は、国会承認が必要になる。中間選挙を前に、インフレ気味の案に共和党がすんなり賛成するかも不明である。最高裁の相互関税判決も決め手になる。違憲となれば、トランプ氏の立場は一層追い込められるであろう。

     

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    2025年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、6四半期ぶりにマイナスとなった。年率換算で1.%減だ。高関税による輸出の低迷が響いた。一時的な結果とみられ。10~12月期には、回復予想が一般的である。10月以降は、企業の底堅い設備投資などでプラス成長へ戻ると見込まれるからだ。ただ、日中摩擦の深刻化や円安進行によるインフレ加速などのリスクがある。

     

    『日本経済新聞 電子版』(11月17日付)は、「国内景気、米関税で一時減速 回復見込むも日中摩擦と円安にリスク」と題する記事を掲載した。

     

    79月期は物価変動の影響を除いた実質が前期比で0.%減、年率換算は1.%減だった。

     

    (1)「GDP全体を押し下げた要因の一つが輸出である。前期比で1.%も落ち込んだ。マツダの世界販売の3割を占める米国販売は、日本などからの輸出比率が8割と高い。同社は米国の高関税を回避するため、収益性の低い小型車の輸出を抑える対応をとった。日本から米国・カナダへの輸出台数は、79月で前年同期比10%減った。GDP統計でみた住宅投資も前期比9.%減と落ち込んだ。4月からの省エネルギー基準の厳格化で3月までに駆け込み需要があり、その反動が出た」

     

    ここでは、マツダの対米輸出が取り上げられている。日本などからの輸出比率が8割と高いので、トランプ関税の圧力で米国・カナダへの輸出台数は、79月で前年同期比10%も減った。住宅投資も3月までの駆け込み需要の反動が出ている。

     

    (2)「落ち込みは一時的なものにとどまり、10〜12月期の日本経済はプラス成長に戻るとの見方がエコノミストの間では優勢だ。予測を手掛ける10人に見通しを聞いたところ、10〜12月期の実質GDPは平均で前期比年率0.%増だった。予測平均について項目別にみると、個人消費は前期比0.%増と増加が続く。設備投資も0.%増とプラスの伸びを維持する。輸出については0.%減とマイナスにとどまり景気を下押しする」

     

    10〜12月期は、プラス成長に戻るとの見方が多数である。エコノミスト平均で、前期比年率0.%増成長が予想されている。個人消費や設備投資もプラスの伸びが見込まれる。輸出は、未だ回復しない。

     

    (3)「リスクもある。急浮上するのが今後の日中関係への懸念だ。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受け、中国外務省は自国民に日本への渡航を当面控えるよう注意喚起した。日本に来る外国人観光客の中で中国からは全体の2割を占める。17日の東京株式市場ではインバウンド関連銘柄が急落した。百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスは前日比で一時12%安、高島屋は一時7%安に沈んだ。中国での売上高比率が高い銘柄に売りがかさみ、資生堂は11%安、ファーストリテイリング7%安になる場面があった。この日の日経平均株価が続落する一因にもなった」

     

    にわかに持ち上がった日中関係の悪化が今後、どのように展開するかだ。中国が,さらに対抗色を強めてくれば、日本も本格的に立ち向かわざるを得なくなる。

     

    (4)「UBS証券の風早隆弘氏は、「市場では中国からの訪日客減少と、中国での日本企業に対する不買運動が懸念されている」と指摘する。尖閣諸島の領有権問題で反日デモが激化した2012年9月には、投資マネーが中国に進出する自動車や電機、小売りなどを避ける動きがあった。現時点では高島屋、大丸松坂屋百貨店いずれも「目立った影響は出ていない」といい、今後の動向を注視するとしている」

     

    中国の訪日観光客には、リピーターが増えている。この層は、中国政府の「宣伝」に惑わされることがない。問題は、団体旅行である。

     

    (5)「物価高を加速させる円安リスクも高まっている。足元で円相場は1ドル=150円台半ばで推移する。今夏は140円台だったが、高市政権の発足を契機に円安が進んだ。日銀1月の利上げ以降、政策金利を据え置いている。円安や物価高に一定の歯止めとなりうる日銀の利上げが遅れれば、インフレを加速させ個人消費の回復を遅らせる可能性がある。高市政権は、国内経済の悪化リスクに対応するため、経済対策の規模を17兆円の方向で検討している。大和総研の熊谷亮丸氏は「大規模な経済対策の必要性は小さく、インフレを助長する恐れがある」と指摘する」

     

    ここは、浮き足たたずに冷静な行動が必要だ。最大の「敵」は,円安である。これが輸入物価を押上げる。今回の大規模補正予算が、円安に繋がれば補正の意義が薄れる。

     

     

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    李大統領は、「二枚舌外交」を鮮明にしてきた。これまで、「日米韓三カ国は安全保障の砦」としてきたが、にわかに始まった日中対立激化を背景にして、中国寄り姿勢を明らかにし始めた。尹前大統領は、北東アジア3ヶ国を「韓中日」ではなく「韓日中」と改めていた。理由は、「価値と自由の連帯を礎に米国・日本と一層緊密な協力がされている」(韓国大統領室関係者)と23年9月に説明していたものだ。

     

    李氏は、日米韓が「価値と自由の連帯を基礎にする」という基本を否定するもので、中国側へ身を寄せた方が利益になるという判断であろう。韓国の唱える日韓友好論などは、この程度のものだ。こうした転換の裏には、米国から原潜保有を認められることが韓国を強気にしているのであろう。米国には、次のような思惑がある。

     

    『ブルームバーグ』(11月17日付)は、「米海軍作戦部長、韓国原潜に中国海軍の抑止期待-地球規模の展開望む」と題する記事を掲載した。

     

    コードル米海軍作戦部長(海軍大将)は、米政府の承認を得て、韓国が新たに建造する原子力潜水艦について、主要同盟国の責任として、中国海軍力の急速な増強に対抗する目的で配備されることに期待を表明した。

     

    (1)「コードル海軍作戦部長は14日ソウルで、「潜水艦を中国の抑止に用いることは、その種の能力を巡る自然な期待と考える」と語った。原潜建造への米政府の同意を文書化したファクトシートがその数時間前に公表された。コードル氏は、「韓国にはそれらの潜水艦を世界規模で展開し、地域海軍から地球規模で活動する海軍に脱皮する責任が生じると私は思う」と述べた。原潜導入を長年目指してきた韓国にとって、米国による承認は大きな成果だが、コードル海軍大将の発言は、両国の立場の違いを浮き彫りにした。韓国側は原潜の目的は北朝鮮の抑止としている。事情に詳しい関係者によると、両国の間では潜水艦の建造場所や艦種、取引の一環として米国が無償で艦艇を受け取るかどうかを巡り意見が分かれているもようという」

     

    韓国は、日本海と黄海でのみ原潜を運用するとしているが、米海軍は「地球規模で活動する海軍に脱皮する責任が生じる」とダメ押しをしている。これは、韓国が原潜を持てば米海軍と行動を共にするという意味だ。韓国の思惑は100%崩れる。韓国は、中国へ身を寄せようとしていても、原潜を持つことで結果として、中国へ弓を引く形になろう。大変な思惑違いになってきた。

     

    『朝鮮日報』(11月17日付)は、「尹政権時代が使用した『韓日中』表記、李在明政権は『韓中日』で統一…中国に配慮か」と題する記事を掲載した。

     

    北東アジア3カ国の表記順序を「韓中日(韓国・中国・日本)」に統一することを李在明政権が決めた。尹錫悦前政権では「韓日中」と「韓中日」が混用されていた。

     

    (2)「韓国大統領室関係者は16日、「北東アジア3カ国の表記順序を韓中日に正式に統一する」とした上で「以前から韓中日だったので無用な混乱をなくすためだ」と説明した。尹錫悦前政権は発足直後「韓中日」としていたが、2023年9月のASEAN(東南アジア諸国連合)サミットから「韓日中」に変更した。その背景について尹錫悦前政権の関係者は当時「韓米日協力が進展しているため、自由民主主義の価値を共有する日本を前にする」と説明していた」

     

    韓中日は、明らかに韓国が共産主義国家を民主主義国の日本よりも重視するという意味であろう。あえて、前政権の呼称を変えたのは、中国重視という外交路線を示している。

     

    (3)「李在明政権による「韓中日」への統一は中国に配慮するためとみられる。特に14日に発表された米国との関税・安全保障に関するファクトシートに「台湾海峡の平和と安定の維持」など中国けん制と受け取られかねない文言が記載されたことも影響したようだ。中国は、日本の高市早苗首相によるいわゆる「有事に台湾海峡介入」という趣旨の発言に強く反発している」

     

    韓国が,原潜を持つこと自体が米国の中国包囲網へ加わるという意味である。それを頑ななに否定しているのは、韓国の真意がどこにあるか疑わしい。明らかなことは、最終的に日本へ対抗するという意思表示であろう。韓国が、中国包囲網に参加しないのは、原潜を持って日本へ対抗しようという狙いがあるからだ。

     

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    中国の10月固定資産投資が、前年同月比約11%もの急減になった。過剰生産に根を挙げた企業が、ついに設備投資を諦めたのか。あるいは、地方政府が財源難でインフラ投資を手控えているのか不明である。いずれにしても、GDPの42%(2023年)を占める総資本形成に異変が起こっている。仮に、実勢悪を示すものであれば、今後の中国経済は経済成長率が急低下する公算が強まるであろう。最終的には、今少し様子を見る必要があろう。

     

    『ブルームバーグ』(11月17日付)は、「中国、異例の投資急減-他の指標と整合性欠き実体経済見えず」と題する記事を掲載した。

     

    中国の投資が急激に落ち込んでいる。14日発表の公式統計に基づくと、10月の固定資産投資は前年同月比で11%余り減少したと推計され、新型コロナウイルス流行初期の2020年以来最悪の落ち込みとなった。国家統計局は固定資産投資について、年初来の累計のみを公表しており、月次データは開示していない。

     

    (1)「このまま投資がさらに急減すれば、中国の国内総生産(GDP)のほぼ半分を占める活動が揺らぎ、輸出減速に苦しむ経済全体への下振れリスクを高めかねない。それにもかかわらず、エコノミストらはこの異例の投資急減を他の経済指標と整合的に説明できず、原因を把握しかねている。7月から始まった顕著な固定資産投資減少は、現時点では成長率を大きく押し下げる要因にはなっていない。別の投資指標である総資本形成は、79月(第3四半期)GDP成長率の約2割を押し上げた」

     

    顕著な固定資産投資減少は、この7月から始まっているが、GDP成長率には表れていない。この点が、「なぜか」と疑問を呼んでいる。事実は一つで、固定資産投資が減っている点だ。増えてはいないのだ。

     

    (2)「スタンダードチャータードの丁爽チーフエコノミスト(大中華圏・北アジア担当)は「投資減少には幾つか説明できる理由があるが、ここまで落ち込んだ理由は理解しがたい」と述べ、投資の重石は10~12月(第4四半期)にさらに大きくなり、「GDP成長鈍化の最も際立つ要因になる」と警告した。

     

    固定資産投資の急減が事実であれば、今後のGDP低下要因となるのは確実である。

     

    (3)「興味深いのは、投資の落ち込みが政府による反「内巻」キャンペーンの開始時期とほぼ一致している点だ。内巻とは、過剰な生産能力が激しい競争を引き起こし、企業の利益をむしばんでいく状況だ。反内巻政策は産業全体の過剰生産を抑える狙いがあるが、具体的な投資や生産能力の抑制目標は公表されておらず、その影響度は測りにくい。産業投資の抑制は過剰供給を抑える一方で、景気刺激策がない限り雇用や家計所得を圧迫する恐れもある」

     

    興味深いのは、投資の落ち込みが政府による反「内巻」キャンペーンの開始時期とほぼ一致している点と指摘されている。となれば、固定資産投資の数字を操作し、地方政府が意図的に「減らした」とみられる。

     

    (4)「国家統計局によれば、固定資産投資は物価下落に押し下げられたが、総資本形成は価格調整後の成長を反映している。統計局はブルームバーグ・ニュースに対し書面で、この2つのデータは対象範囲が異なり、固定資産投資には土地購入費や中古設備の取得費など、総資本形成に含まれない項目も入っていると伝えた」

     

    国家統計局は、固定資産投資が企業報告の「生データ」という位置づけだ。GDPの総資本形成と概念が異なるとしている。それ故、固定資産投資の急減をGDP成長率へ直結させることは、「正しくない」という指摘である。これも、一理ある説明だ。日本でもよくある例だ。

     

    (5)「ギャブカル・ドラゴノミクスの中国調査ディレクター、アンドリュー・バトソン氏は、実際の企業投資はすでに鈍化していて、今回の投資急減は実体経済へのショックではなく、報告方法の変更を反映したものかもしれないと分析している。不動産投資の悪化に加え、地方政府が隠れ債務返済や企業への未払い金の清算を優先したことで、インフラ投資も減速。さらに製造業投資の年初来伸び率は、5月時点の9%近くから10月には2.%まで急低下した。  一方、減速の兆しがほとんど見られない反内巻政策の対象となった業種もある。例えば自動車業界では投資が18%近く急増した」

     

    固定資産投資の急減の真相は、今のところ不明である。ただ、減っていることは事実であり、これが、中国経済のGDP減速へ反映されることは疑いない。落勢を強めているのだ。

     

     

     

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