勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年11月

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    中国経済は、「進むも地獄、退くも地獄」という進退に窮した局面へ向っている。過剰投資=過剰生産=価格下落の連鎖を断ち切るには、過剰投資を抑えることがポイント。投資は、GDPを押上げる即効性があるだけに、地方政府がブレーキを踏めずにきた。それが、習氏の発言で投資抑制へ動き始めた。26年以降のGDP成長率は急激な左肩下がり必至となった。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(11月26日付)は、「中国の固定資産投資減、『反内巻』政策影響か 過当競争抑制が響く」と題する記事を掲載した

     

    中国の統計上に表れる投資が急減し、産業の過当競争を抑制しようとする習近平国家主席の政策が、世界2位の中国経済に影響を与えている可能性が出てきた。固定資産投資の落ち込みは予想外で、減少を記録したのは過去数十年間であまり例がない。

     

    (1)「中国共産党の理論誌「求是」は11月、産業発展の優先的取り組みに関する習氏の様々なコメントを掲載したが、その中に習氏の「バブル経済への突入を阻止しなければならない」との発言があった。固定資産投資に関するデータの質にはかねて疑問が呈され、10月の統計は技術的な変更の影響が大きかったかもしれないとのアナリストの見方があるものの、劇的な落ち込みは中国の成長を著しく左右する可能性がある。オランダ金融大手ノING中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「多くの中国企業に話を聞くと、投資面でかなりの慎重さがある」と語り、「中国政府が今年半ばに反内巻政策に言及し始めて以来、公共部門でも慎重姿勢が強まっている可能性がある」と指摘した」

     

    習氏の「バブル経済への突入を阻止しなければならない」との発言で、設備投資へのブレーキがかかってきた。公共部門のインフラ投資でも慎重姿勢が強まっている。

     

    (2)「中国政府が、11月に発表した110月の固定資産投資は前年同期比1.%減少した。19月は0.%減だった。2020年の新型コロナウイルス禍初期を除くと、固定資産投資の落ち込みは過去数十年間でこの2回だけにとどまっている。中国は固定資産投資の変化率を単月で公表していないものの、データの急激な下げ幅から10月は前年同月比11%減だったことが推定される。英調査会社アブソリュート・ストラテジー・リサーチのエコノミスト、アダム・ウルフ氏は「私にとっては本当に謎だ」と話した。これほど「広範な減速」が起きるには、反内巻政策以外の要因があるはずだという」

     

    10月の固定資産投資は、前年同月比11%減と推定される。急激な落ち込みである。ここまで、急落するとは謎とされている。

     

    (3)「米金融大手ゴールドマン・サックスのアナリストらは、固定資産投資の減少幅の約60%が「過去に過剰申告されていたデータの統計的補正」によるものだと推測している。ゴールドマンは11月下旬に発表したリポートで、セメント生産や鉄鋼需要などのコモディティー(商品)指標に基づき、過去の過剰申告が今回の減少の余地を生んだとの見方を示した。「直近の固定資産投資の落ち込みは、投資意欲の減退を実際より誇張して示している可能性がある」という。それでもゴールドマンのアナリストらは、減少幅の約40%が政府の反内巻政策、不動産市場の減速、インフラ関連の財政支出の鈍化で説明できると指摘した」

     

    10月の固定資産投資の急減は、約60%が「過去に過剰申告されていたデータの統計的補正」。つまり、過去のGDPが「水増し」されていたという意味だ。約40%が、政府の反内巻政策、不動産市場の減速、インフラ関連の財政支出の鈍化で説明できるという。これが、正味の減少だ。

     

    (4)「投資の減少により、代わりの成長源を探すよう地方政府に求めるプレッシャーは一段と強まる見通しだ。中国の不動産不況が5年目に入ったにもかかわらず、10月に不動産価格の下落が加速したという状況ではなおさらだ。他の産業分野もつまずいている。中国の対米輸出は何カ月も減少が続いてきたが、10月は全体のドル建て輸出額まで減少に転じた。英調査会社キャピタル・エコノミクスによると「米国以外の市場への出荷の広範な減少」が原因だった。キャピタル・エコノミクスの黄梓純氏は、輸出が「成長の重要なけん引役」にとどまる公算が大きいものの、近年に比べると寄与度は小さくなるだろうと話した」

     

    中国の不動産不況が5年目に入ったにもかかわらず、10月に不動産価格の下落が加速している。住宅過剰在庫の「防波堤」が、持ちこたえられずに決壊したようなものであろう。とすれば、住宅不況はこれからが本番になる。

     

    (5)「こうした中で、習氏の反内巻政策は新規投資に一段と下押し圧力がかかることを暗示する。過当競争の取り締まりが現在行われているのは、世界市場で支配的な中国のバッテリー生産を支えるリン酸鉄リチウムイオン(LFP)業界だ。中国化学物理電源産業協会の湯雁・副秘書長によると設備稼働率がわずか50%で、業界全体での赤字が36カ月続いている。国営メディアによると湯氏は11月、「ようやく獲得した世界のサプライチェーンでの中国の優位性を無秩序な競争で損ない続けている」と述べた」

     

    電池業界の稼働率はわずか50%で、業界全体での赤字が36カ月続いている。「新種の神器」(EV・電池・太陽光パネル)は、すべて赤字か、赤字に近い状況だ。「新質生産力」は、「赤字生産力」と化している。

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    台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁を巡り、中国が日本に圧力を加えようと欧州にも外交戦を展開している。中国の王毅外相は27日、フランスのボンヌ大統領外交補佐官との電話協議で高市政権を批判し、フランス側の同調を呼びかけた。現実には、台湾問題を巡る溝は中国と欧州との間でも深まっている。事態が、習近平指導部の思惑通りに進むとは考えにくい。欧州は、G7で日本の「味方」なのだ。

     

    『毎日新聞 電信版』(11月28日付)は、「台湾有事答弁巡り、中国が欧州にも外交戦 現実はあつれき絶えず」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国外務省によると、王氏はフランスのボンヌ大統領外交補佐官との電話協議で「日本の現職指導者は台湾に関して挑発的発言を行い、中国の主権と領土の一体性を侵害した」と主張。フランス側に「第二次世界大戦勝利の成果を共同で守り、互いの核心的利益に関わる問題で互いに支持すべきだ」と述べた。中国側の発表では、ボンヌ氏は「台湾問題での中国の正当な立場を理解する」と表明したという」

     

    外交用語では、「理解」や「尊重」は、「承認」と違って法的意味のない言葉とみなされている。ボンヌ氏は「台湾問題での中国の正当な立場を理解する」と述べた。外交的には法的意味のない言葉を使っている点に注目すべきだ。「聞き及びました」という意味だ。

     

    (2)「仏ルモンド紙によると、フランスは、マクロン大統領が12月3~5日の日程で訪中すると発表しており、今回の電話協議はそのための事前準備とみられる。これから年明けにかけて中国は欧州主要国の首脳を相次いで迎えようとしている。ロイター通信によると、1月にもドイツのメルツ首相が訪中する予定で、英メディアはイギリスのスターマー首相も1月の訪中を調整中と報じた」

     

    王外相は、習国家主席の手前、日本へ強腰を見せている。日本留学経験のある王氏は辛い立場だ。

     

    (3)「米国に対抗するため、中国は欧州との連携強化を望んでおり、トップ外交を重要な機会と位置づける。さらに、王氏とボンヌ氏の電話協議からは、この機に乗じて台湾問題で日本に圧力をかけようとする思惑も浮き彫りになった。しかし、中国側があえて触れようとしない不都合な現実がある。それは欧州諸国との間でも台湾問題を巡るあつれきが絶えないことだ。11月には、台湾の蕭美琴副総統がベルギー・ブリュッセルの欧州連合(EU)欧州議会で演説した。台湾の高官が欧州議会で演説したのは初めてという。同じ時期に蔡英文前総統もドイツ・ベルリンでのイベントで民主主義や自由の重要性を訴えた。蔡氏は昨年以降、チェコやデンマークを訪問した。度重なる台湾要人の訪欧に、中国側は神経をとがらせている」

     

    台湾首脳や元首脳は、欧州を相次いで訪問している。EUは、台湾の立場に深い同情を寄せているのだ。それを知ってか知らずか、台湾と日本を非難している。

     

    (4)「欧州が、台湾問題への関心を強めるのは、ウクライナに侵攻するロシアを経済面で支える中国に対し、安全保障上の警戒心が高まっていることが大きい。今年5月には、マクロン氏がシンガポールでのアジア安全保障会議で「ロシアがいかなる制約もなくウクライナ領土の一部を奪うことが許されると考えると、台湾では何が起きるだろうか」と問題提起した」

     

    欧州からみる中国は、ウクライナ侵攻を背後から手助けする国と冷笑されている。自らの矛盾した立場を弁えない王氏は、さしずめピエロ役であろう。

     

    (5)「中国が、意に沿わない国々への「威圧」を常とう手段としていることは、欧州が身をもって経験している。近年、習指導部は、台湾と交流を深めたリトアニアに経済的圧力を加えてきた。過去にはノーベル平和賞を中国の民主活動家、劉暁波氏が受賞したことで、ノルウェー産のサーモン輸入を差し止めたこともあった。欧州では、中国との間でレアアース(希土類)問題を含む貿易摩擦への懸念も深まっている。日中関係筋は、「中国の主張が国際社会に浸透しているとは思えない。中国のやり方に、閉口するような空気も感じられる」と明かした」

     

    EUは心底、中国を「厄介者」扱いしている。ダンピング輸出や威圧で、どれだけ迷惑をかけているか、だ。そういう事実を忘れたような顔をしているのは、なんとももの悲しい話である。

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    米中対立に続き日中対立が拡大する中、世界の主要国が韓国の「意見」を聞く機会が増えているという。韓国は、外交的な「ランク」が高まったと喜んでいる。韓国政府が、「キャスティングボートを握る存在」というのだが、いささか「自身過剰」といえそうだ。韓国李大統領に意見を聞くのは、海外首脳が米中・日中の「三角紛争」に興味を持っており、話のつまに聞いてくるだけであろう。韓国に、調整能力があるわけでないからだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(11月28日付)は、「ランク上昇の韓国の立場を尋ねる主要国ドイツ首相『対中国戦略は?』」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は22日、南アフリカ共和国で行われた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を機に実現した韓独首脳会談で、李在明(イ・ジェミョン)大統領に「韓国の中国に対する認識が知りたい。ドイツは現在、対中戦略について悩んでいるからだ」と述べた。

     

    (1)「保守系のキリスト教民主同盟(CDU)に所属するメルツ首相は5月の就任以来、ドイツ企業が過度に中国に依存すると、サプライチェーンと技術のセキュリティーの面でぜい弱になる恐れがあるとして、「脱中国」を試みてきた。李大統領は即答を避け、「ドイツが先に歩んだ道があるため、韓国はドイツの経験から学ぶべきことが多い」と答えた。米中に続き世界第3位の経済大国であるドイツが韓国に対中戦略を尋ねるというのは異例だ」

     

    韓国は、ドイツに中国観を聞かれたと大喜びである。G7のメンバーでない韓国は、米国や日本を除けば、GDP規模の大きい西側諸国との交流が少ないだけに、喜色満面である。

     

    (2)「軍事介入論争で激しく対立している中国と日本は、韓国との安定的な関係の維持に努めている。中国外務省は17日、官営メディアの記者から独島(ドクト)について問われ、「日本の最近の様々な悪質な言動は、周辺諸国の警戒心と不満、そして抗議を呼び起こしている」とし、事実上韓国の側に立つ発言をおこなった。中国はこれまで、日本との領有権紛争地域である尖閣諸島(中国名:釣魚島)を中国固有の領土だと主張しつつも、独島問題については明確な答弁を避けてきたが、それとは対照的な態度だ。中国は、韓国が米国と協力して推進する原子力潜水艦建造計画に対しても、過激な対応を自制する姿勢を示している」

     

    韓国は、日中両国からやさしい接触に喜んでいる。いつもの中国が、韓国へ肩入れ姿勢をみせているからだ。

     

    (3)「先月、就任した高市早苗首相も、韓日協力の強化基調を保っている。先月末に李大統領と首脳会談をおこなった高市首相は今月7日の国会で、李大統領との初会談について「今の戦略環境の中での日韓関係についても問題意識を共有できるリーダーだという印象」を持ったと語った。高市首相は、かつて一議員時代に批判していた村山談話を継承するとの考えを表明するなど、韓日の対立要因を避けている」

     

    タカ派の高市氏が、李大統領に違和感なく接触していることに韓国は上機嫌である。争いごとがなければ、「ニコニコ対応」であろう。

     

    (4)「過去の見方でみれば、主要国が外交懸案について韓国の立場を直接聞くというのは、多少馴染みのない出来事だ。韓国は主に朝鮮半島問題に外交力を集中してきたため、その他の事案では国際政治の変数にはなり得なかった。しかし、世界各地で対立が噴出する中、主要10カ国(G10)水準に位置する韓国の選択は、少しずつ重みが増している。とりわけ李在明政権の発足後、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議や様々な多国間外交、二国間外交の舞台を通じて外交での存在感が増していることも、国際社会の視線が韓国に集まる背景だ」

     

    韓国に視線が集まるのは、原潜保有宣言したことであろう。これで、韓国も、朝鮮半島問題から脱して、世界的視野の外交感覚を持つのでないかという期待だ。

     

    (5)「今後は東北アジアの問題だけでなく、より多様な外交問題で国際社会が韓国の立場を確認する動きが増えるだろうとの見方も示されている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「価値観外交」が特定陣営を選択するというやり方だったとすれば、李在明政権はより中立的な外交を目指しているため、韓国の「支持」を得た国はかなりの政治的、外交的な力を得ることになりうるとの解釈もある。ホン・ヒョニク元国立外交院長は「APECのような国際会議を韓国がリーダーシップを発揮して成功させ、米国が自由貿易に反対する中でも韓国が自律性をもって事案を解決したため、韓国の外交力が強まり、国際的注目も高まった」と評価した」

     

    韓国の「支持」を得た国は、かなりの政治的、外交的な力を得ることになりうるとの自信を見せ始めた。凄い自信過剰である。

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    ウォンは、今四半期で約4%も下落し、アジアで最も弱い通貨の一つになっている。最近のウォン安は、単なる為替の変動でなく、若者による米国株への積極的な投資行動が一因とされる。韓国銀行の李昌鏞総裁は、この新たな動きに驚いている。

     

    若者が、積極的に米国株へ投資するのは、韓国経済の「体力低下」が大きな要因である。米国との金利差、成長率の逆転、若者の将来への不安が複合的に作用している。韓国の個人投資家は今年、米国株を約300億ドルも買い越している。過去最高の水準である。

     

    『ブルームバーグ』(11月28日付)は、「『クールだから』に驚き-韓国中銀総裁、若年層の外国株ブームに警鐘」と題する記事を掲載した。

     

    韓国銀行(中央銀行)の李昌鏞総裁は27日、通貨ウォンが値下がりし続け、1ドル=1500ウォンに近づくことよりも、そこへ向かわせている要因、つまり若年層による積極的な外国株投資の方を懸念していると述べた。

     

    (1)「李総裁は政策金利据え置き発表後の記者会見で、特に投資の動機を危惧していると明らかにし、「若者たちになぜそんなことをするのかと尋ねたところ、かなり驚いた。『クールだから』という答えだったからだ」と語った。 外国株投資が、「流行のように広がっており、そこが本当に気になる」という」

     

    韓国では、若者の間で「国内に希望が持てない」という声が強まっている。特に、年金制度への不安や、雇用の不安定さ、不動産価格の高騰などが「自分の将来は自分で守るしかない」という意識を生んでいる。韓国では、中高生の段階から投資教育が始まり、大学生の多くが株式投資を経験している。スマホアプリで簡単に取引できる環境も整っており、「投資は特別なことではなく、生活の一部」という感覚が根付いている。国会議員が、議場でアプリを使って投資している姿が報じられて、大問題になったほどだ。

     

    (2)「ウォンは、今四半期に入り約4%下落し、アジアで最も弱い通貨の一つとなっている。李総裁は、ウォン安は米国との金利差や海外投資家の動きが要因ではないとし、むしろ韓国人投資家、とりわけ若い個人投資家が外国市場に多額の資金を投じていることが背景にあると指摘した。ウォン安の進行を受け、韓国当局は警戒を強めている。具潤哲企画財政相は26日、ウォンの投機的かつ一方向の動きがないか注視していると述べ、ボラティリティー(変動率)が高まれば対応する用意があると表明した」。

     

    韓国大企業が、トランプ関税で米国へ3500億ドルの直接投資する。これが、韓国の成長機会が米国へ移るという見方を助長しているのであろう。韓国のGDP成長率は、米国を下回っている。これも、米国株投資熱を支えている。

     

    (3)「国内投資家による外国株への資金シフトに警鐘を鳴らしているのは、李総裁だけではない。外国株投資の急増を受け、当局はすでに高リスク商品の購入に関する規制を強化している。韓国証券預託院(KSD)のデータによれば、韓国の個人投資家は今年これまでに米国株を300億ドル(約4兆6900億円)買い越しており、過去最高の買越額となっている。2024年のほぼ3倍で、19年の12倍余りだ」

     

    韓国にとって、ウォン安は物価高に跳ね返るだけに外国株投資熱を抑制しなければならない。日本も円安が国内物価を押上げる事情は同じである。

     

    (4)「李総裁は、若い投資家が外貨へのエクスポージャーについてどこまで理解しているのか、またポジション解消時の為替変動リスクを管理する適切な指針を持っているのか疑問を呈した。「心配している」と述べた上で、「今起きていることは、韓国にとって非常に特異な現象だと思う」との見方を示した」

     

    韓国は、国内経済が財閥を頂点として硬直化している。これに、終身雇用制と年功賃金制がからみ、生産性が下がるという事態へ落込んでいる。左派政権が、労働市場の流動化に反対しているので、若者が絶望するのは当然であろう。韓国は、ウォン安が止まらないリスクを抱えている。

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    習近平国家主席は、高市首相の台湾発言に「まなじりを決する」勢いで立ち向かってきたが、国内企業の業績不調にはお手上げである。打つ手がないのだ。1~9月の企業業績は、4社が1社赤字という悲惨な状態である。高市発言を非難する調子で、経済対策を行ったらどうか。こういう影の声も聞こえるほどのていたらくだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1127日付)は、「中国企業4社に1社が赤字 19月過去最悪、不動産・太陽光が不振」と題する記事を掲載した。

     

    中国企業が業績悪化に苦しんでいる。上場約5300社の2025年1〜9月期決算は、最終赤字となった企業の割合が24%と前年同期から1ポイント上昇し、データがそろう02年以降で最悪だった。不動産と太陽光関連は、およそ半数が赤字だ。赤字の背景にある内需の落ち込みや過剰生産は、世界景気を下押しするリスク要因にもなる。

     

    (1)「上海や深圳など中国本土市場に上場する企業(金融を除く)を集計した。新型コロナウイルス禍から内需回復が遅れたこともあり、赤字企業の割合は17年(7%)を底にほぼ右肩上がりで上昇している。25年1〜9月期は3割超の企業が最終減益で、増益企業は4割にとどまった」

     

    1〜9月期は、3割超の企業が最終減益、増益企業は4割にとどまった。 1~10月の工業利益は、前年同期比1.%増。製造業や公益事業は引き続き高い伸びを示す一方、鉱業は2桁台の減益が続いた。このように、企業収益は苦境が続いている。生産者物価指数(PPI)の落ち込みは、すでに3年を超えている。赤字企業が、1~9月で25%にも達するのは当然だ。

     

    (2)「特に不動産は、20年に習近平指導部が融資規制を打ち出して以降、業績の悪化に歯止めがかからない。25年1〜9月期は、上場100社中48社が最終赤字だった。中国国家統計局によると、新築住宅の販売面積は19月に前年同期と比べ6%減少した。マンション大手の万科企業は、19月期の最終損益が280億元(約6100億円)の赤字と中国上場企業の中で最も赤字額が多かった。経営トップが1年足らずで交代するなど企業統治の面でも混乱が続く。不動産100社合計の最終損益は647億元の赤字だった。建設業の3割超が最終赤字になるなど関連産業への影響も大きい」

     

    不動産の万科は、深セン市が筆頭株主であるが、大手銀行2行から融資を断られるという最悪事態だ。深セン市も、これ以上の資金援助は不可能としており万策尽きた感じである。

     

    (3)「供給が需要を上回る産業では、「内巻」と呼ばれる価格競争が起き、採算の重荷になっている。典型が太陽光関連で、晶科能源(ジンコソーラー)はじめ大手各社が軒並み最終赤字となった。大手は、蓄電事業の強化を打ち出しているが、事態打開のための新規施策でも今後、過当競争が起きる可能性がある」

     

    太陽光は、ダンピング輸出で世界中へ災難を振り撒いているが、赤字へ落込んだ。「身から出たサビ」とか、「自業自得」とか、批判されても当然である。特に、欧州からは深い恨みを買っている。

     

    (4)「自動車は乗用、商用車メーカー21社中6社が最終赤字となり、純利益合計は前年同期を10%下回った。国有の広州汽車集団が43億元の最終赤字になったほか、比亜迪(BYD)は8%の最終減益だった。中国の19月の新車販売は累計2436万台と前年同期を13%上回った。買い替えを支援する補助金もあって市場は拡大基調を保つ半面、電気自動車(EV)など新エネルギー車は価格下落が目立つ。中国当局は需要の下支えを継続すると同時に、ある程度の値下げは国際競争力を高めるとして容認する考えだ」

     

    自動車も赤字だ。EV(電気自動車)は、過剰生産が価格低落を引き起して「自滅」の形だ。地方政府の補助金が招いた事態である。

     

    (5)「業績が好調だったのは、政府が重点産業に位置づける半導体関連など一部業種に限られた。半導体産業を巡っては補助金や税減免に加え、人工知能(AI)向け半導体などで国産品を優先するよう働きかけている。25年1〜9月期は受託生産や設計・開発、製造装置など多くの分野で伸び、最終増益率は50%と前年同期(23%)から大きく上昇した。習指導部はハイテク産業への傾斜を強めているが、不動産市場の低迷が消費意欲の減退を招く「逆資産効果」もあって消費は弱い。商業・小売りは35%減益、食品も5%の減益となった」

     

    半導体は、政府の手厚い支援を受けているが、過剰生産に陥っていない。それだけ、技術的に未熟で乱売戦に入れるほどの生産レベルに達していない証拠だろう。

     

    (6)「約5300社の純利益合計は前年同期比で2%増にとどまった。半導体をはじめ国策の恩恵を受ける一部業種に利益が偏る構図で、純利益合計額はピークの22年1〜9月期より1割ほど低く、企業業績の停滞感は強い。中国は中央、地方政府ともに債務増が続いており、内需テコ入れのための大盤振る舞いは難しくなっている。米国との対立を見据え半導体などの供給網構築を優先しており、消費喚起は後手に回る状況が続きそうだ」

     

    1~9月では、約5300社の純利益合計が、前年同期比で2%増にとどまった。1~10月の工業利益が、1.9%増であることから、中国経済の実態は、2%前後の水準まで落込んでいることを示唆している。

     

     

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