中国は、笛や太鼓で騒ぎ立てた「日本軍国主義復活論」が、空虚な響きに終った。1945年8月以来、戦争をしていない日本に対して、中国は、朝鮮戦争や中越戦争などを仕掛けている国である。さらに、南シナ海を「無血占拠」という荒々しいことをやっている。どちらが「好戦国か」と言えば、むろん中国である。この中国が、こともあろうに戦争をしていない日本へ「軍国主義復活論」を浴びせかけている。何とも,不条理な話だ。
『時事通信』(12月23日付)は、「習政権、『日本軍国主義復活』断定◇日中関係の修復困難に」と題する記事を掲載した。
中国の習近平政権は「日本軍国主義が復活しつつある」と断定する認識を明確にした。高市早苗首相の台湾有事発言だけではなく、日本が全体として過去の侵略をきちんと反省していないことが問題だとしており、日中関係の修復は長期的に難しいとみられる。
(1)「中国の王毅外相は12月8日、高市首相の台湾有事発言を「中国に対する武力の脅し」だと決め付け、中国人民と世界中の平和を愛する人民には、「軍国主義復活を企てる日本の野心」を阻止する義務があると訴えた。中国側が問題視する高市氏の発言は11月7日の国会答弁だったが、中国外務省はすぐに反応を示さず、同10日にようやく同省報道官が「断固たる反対」を表明。さらに13日、コメントを出し直す形で発言撤回を要求し、「軍国主義の失敗を繰り返そうとしているのか」と問い掛けた」
高市首相の台湾有事発言は、同盟国による自衛権の発動であり、国連憲章でも認められた固有の権利である。中国から批判される筋合いではない。軍国主義とは無縁である。
(2)「共産党機関紙・人民日報の論評(11月28日)は高市氏の発言について、戦後日本の指導者が(1)初めて「台湾有事は日本有事」論を公式の場で鼓吹し、集団的自衛権と関連付けた。(2)初めて台湾問題に武力介入しようという野心をあらわにした。(3)初めて武力で中国を脅した─と解説した。(2)と(3)はかなりの拡大解釈だが、中国側の日本軍国主義復活論はこれらの見方に基づいていると思われる」
台湾有事で日本に「存立危機事態」が生じれば、集団的自衛権を行使する可能性があるとの見解がなぜ、日本軍国主義復活につながるのか。集団自衛権の行使は、軍国主義とは呼ばないのだ。共同での自衛権発動である。中国は、軍民融合を行っているのですでに軍国主義に陥っている。中国人民解放軍こそ、他国侵略を行ってきた点で軍国主義である。言葉は厳密に使うべきである。中国の主張は、すべて「こじつけ」も甚だしいのだ。
仮に、日本が他国による軍事行動の危機に直面するとすれば、同盟国との共同作戦を開始するはずだ。それは、自衛権の発動で固有の権利である。中国軍が、日本領土を略奪行動に出れば、日本政府は、日米安全保障条約に基づいて、粛々と自衛行動に出るだけである。
(3)「中国側の批判対象は以下のように、高市氏だけではない。日本全体を糾弾している。
1)高市早苗の頑固な立場は、日本右翼勢力が引き続き台頭し、軍国主義思想のあしき影響が消えていないことを暴露した。(人民日報=11月22日)
2)日本学術界、文芸界、教育界、報道界などの分野には、大量の歴史修正主義の論調が存在し、侵略と植民の歴史をみだりに歪曲(わいきょく)、否定し、さらには美化する言論がよくあり、珍しくもない。一部の日本国民はその言論(高市首相の台湾有事発言)をよく考えもせずに支持しており、日本軍国主義の復活には相当な土壌があることを示している。これは、歴史修正主義が長年はびこってきたことのあしき結果である。(解放軍報=12月13日)」
中国は、明らかに「上から目線」で日本を見下している。日清戦争前も、こういう調子であったのだろう。それが、開戦したら全く逆の結果に終った。またもや、日本を恫喝しているのだ。
(4)「中国側にとって、日本軍国主義復活は高市氏個人の問題ではないということだ。日本という国の政治的土壌の問題なので、仮に高市氏が台湾有事発言を撤回したり、退陣したりしても、根本的解決にはならない。日中国交正常化は日本の侵略戦争反省を前提としていた。日本軍国主義復活論は、その前提が崩れたと中国側が判断したことを意味する。台湾の民進党や香港民主派を独立派として敵視する宣伝攻勢からも分かるように、中国共産党が対立勢力に一度貼ったレッテルをすぐ剥がすことはない。日中関係は今の険悪な状態が相当長く続き、いずれそれが常態化する可能性もあると考えるべきだろう」
中国が、かつて中越戦争を仕掛けたときの理由が、鄧小平による「ベトナムを罰する」であった。結果は、開戦1週間で大敗した苦い経験を持つ。大言壮語は禁物なのだ。中国は、日本に対して取り返しのつかない「喧嘩」を吹っかけてきた。その代償は大きくなるだろう。日本が、28年以降に資源(レアアース)と技術(AI半導体)でリーダーシップを握るからだ。中国はその時、日本へ「追従」(お世辞)を言ってくるだろう。




