中国国家統計局は,11月の工業利益が前年比で13.1%のマイナスと発表した。10月も同5.5%減だった。マイナス幅が拡大しているのは、中国企業が深刻な事態に置かれている証拠である。工業利益とは、
年間営業収入が2000万元(約4億円)以上の工業企業が対象だ。国有企業、集団企業、外資系企業、民間企業など、所有形態を問わずすべてが含まれる。「オール中国企業」が、沈没状態に陥っている。
こういう切羽詰まった中で、日本への威圧を続けている。当局は、訪日観光旅行者を6割まで減らせと旅行者業者へ通達したが、個人消費の「漏出」を減らす目的も含まれている。中国の寒々とした経済状況を映す話だ。
『ブルームバーグ』(12月27日付)は、「中国の工業利益が2カ月連続減少、内需減退と根強いデフレ圧力を反映」と題する記事を掲載した。
中国の工業利益は11月に2カ月連続で減少し、内需の減退と根強いデフレ圧力が企業業績の重石となっていることをあらためて示した。
(1)「国家統計局が27日に発表した統計によると、11月の工業利益は前年同月比13.1%減少した。10月は5.5%減だった。今年1~11月の工業利益は0.1%増となり、1~10月の1.9%増から伸びが鈍化した。低調な数字は、内需低迷と工業分野のデフレ進行が企業に与えている圧力を浮き彫りにしている。投資の落ち込みが続き、消費の伸びも冷え込みを見せている。米国との間では関税を巡る休戦が成立しているものの、他の貿易相手国との緊張は高まっており、今後さらなる逆風にさらされる可能性がある」
国家統計局が15日発表した11月の小売売上高は、前年同月比1.3%増加。新型コロナウイルス禍を除けば、最も小さな伸びとなった。かつては8%台の伸び率が普通であった。それが今や、1.3%増である。当局が、日本旅行を妨害して国内消費へ向けさせたい「意図」も分らないではない状況だ。ただ、こんな小細工で国際関係を悪化させるとは、理解を超える。
米国が締め出した中国製品は、価格破壊を伴って欧州や東南アジア市場へ流入して摩擦を引き起している。中国の貿易黒字は25年、1兆ドル(約155兆円)を突破し、世界に対抗関税の波を広げている。中国は、26年1月からEV(電気自動車)と鉄鋼を輸出許可制にする事態へ追い込まれた。唯我独尊の振舞に対して「自動シャッター」が下ろされる。中国は、経済面で孤立状態に陥ってきた。これでは、日本への威圧にも迫力を欠く「口先」に止まるほかあるまい。
(2)「製造業の利益は1~11月に5%増加した。航空宇宙や電子機器製造といった先端産業の好調に支えられた。公益事業も引き続きプラス圏内を維持したが、鉱業は二桁台の減少が続いている。11月に工業利益の減少幅が拡大したことは、投資や雇用にさらなる重石となる可能性がある。それでも、政府が掲げる5%前後の経済成長目標が達成可能と見られるため、政策当局者はこれまでのところ追加刺激策の導入を控えている。翌年の経済政策方針を決定する今月の中央経済工作会議で、トップ幹部が刺激策に慎重な姿勢を示したこともあり、エコノミストらは来年の金融緩和は緩やかなものにとどまり、財政支援の拡大も限定的になると予測している」
中国経済は、「未曾有」の事態にありながら財政赤字に慎重なのは、しだいにその限界にぶつかってきたからだ。中国政府系のシンクタンクである国家金融発展実験室によると、債務残高は経済規模を示す名目GDPの3倍を超えた。地方債の発行増に加え、不動産不況に伴う名目成長率の鈍化が背景にある。
景気の回復がもたつき、企業収益や家計の所得が伸び悩んでいるので、借金返済の負担感が増しているのだ。企業や家計が消費や投資を控えており、景気がさらに冷え込む「債務デフレ」のリスクを高めている。中国の「台所事情」は窮迫している。こんな状況で、日本と摩擦を引き起しているのだ。





