勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2025年12月

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    中国国家統計局は,11月の工業利益が前年比で13.%のマイナスと発表した。10月も同5.%減だった。マイナス幅が拡大しているのは、中国企業が深刻な事態に置かれている証拠である。工業利益とは、 年間営業収入が2000万元(約4億円)以上の工業企業が対象だ。国有企業、集団企業、外資系企業、民間企業など、所有形態を問わずすべてが含まれる。「オール中国企業」が、沈没状態に陥っている。

     

    こういう切羽詰まった中で、日本への威圧を続けている。当局は、訪日観光旅行者を6割まで減らせと旅行者業者へ通達したが、個人消費の「漏出」を減らす目的も含まれている。中国の寒々とした経済状況を映す話だ。

     

    『ブルームバーグ』(12月27日付)は、「中国の工業利益が2カ月連続減少、内需減退と根強いデフレ圧力を反映」と題する記事を掲載した。

     

    中国の工業利益は11月に2カ月連続で減少し、内需の減退と根強いデフレ圧力が企業業績の重石となっていることをあらためて示した。

     

    (1)「国家統計局が27日に発表した統計によると、11月の工業利益は前年同月比13.1%減少した。10月は5.%減だった。今年1~11月の工業利益は0.%増となり、1~10月の1.%増から伸びが鈍化した。低調な数字は、内需低迷と工業分野のデフレ進行が企業に与えている圧力を浮き彫りにしている。投資の落ち込みが続き、消費の伸びも冷え込みを見せている。米国との間では関税を巡る休戦が成立しているものの、他の貿易相手国との緊張は高まっており、今後さらなる逆風にさらされる可能性がある」


    国家統計局が15日発表した11月の小売売上高は、前年同月比1.%増加。新型コロナウイルス禍を除けば、最も小さな伸びとなった。かつては8%台の伸び率が普通であった。それが今や、1.3%増である。当局が、日本旅行を妨害して国内消費へ向けさせたい「意図」も分らないではない状況だ。ただ、こんな小細工で国際関係を悪化させるとは、理解を超える。

     

    米国が締め出した中国製品は、価格破壊を伴って欧州や東南アジア市場へ流入して摩擦を引き起している。中国の貿易黒字は25年、1兆ドル(約155兆円)を突破し、世界に対抗関税の波を広げている。中国は、26年1月からEV(電気自動車)と鉄鋼を輸出許可制にする事態へ追い込まれた。唯我独尊の振舞に対して「自動シャッター」が下ろされる。中国は、経済面で孤立状態に陥ってきた。これでは、日本への威圧にも迫力を欠く「口先」に止まるほかあるまい。

     

    (2)「製造業の利益は1~11月に5%増加した。航空宇宙や電子機器製造といった先端産業の好調に支えられた。公益事業も引き続きプラス圏内を維持したが、鉱業は二桁台の減少が続いている。11月に工業利益の減少幅が拡大したことは、投資や雇用にさらなる重石となる可能性がある。それでも、政府が掲げる5%前後の経済成長目標が達成可能と見られるため、政策当局者はこれまでのところ追加刺激策の導入を控えている。翌年の経済政策方針を決定する今月の中央経済工作会議で、トップ幹部が刺激策に慎重な姿勢を示したこともあり、エコノミストらは来年の金融緩和は緩やかなものにとどまり、財政支援の拡大も限定的になると予測している」

     

    中国経済は、「未曾有」の事態にありながら財政赤字に慎重なのは、しだいにその限界にぶつかってきたからだ。中国政府系のシンクタンクである国家金融発展実験室によると、債務残高は経済規模を示す名目GDPの3倍を超えた。地方債の発行増に加え、不動産不況に伴う名目成長率の鈍化が背景にある。 

    景気の回復がもたつき、企業収益や家計の所得が伸び悩んでいるので、借金返済の負担感が増しているのだ。企業や家計が消費や投資を控えており、景気がさらに冷え込む「債務デフレ」のリスクを高めている。中国の「台所事情」は窮迫している。こんな状況で、日本と摩擦を引き起しているのだ。

     

     

     

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    中国は、労使が談合して年金保険料支払を忌避するという、信じられない事態を引き起している。地域で異なるが、雇用主側は原則賃金の25~30%程度、従業員側は同10%あまりを納付する必要がある。この負担を忌避して、年金保険料を払わないというものだが、老後生活をどう考えているのか。中国社会の暗部が浮き上がっている。内部崩壊の兆しと読むべきであろう。

     

    『日本経済新聞』(12月26日付)は、「中国年金、強まる徴収圧力 労使合意の保険料未納、最高裁『無効』 景気下押し懸念」と題する記事を掲載した。

     

    フォームの終わり

    中国政府が社会保険料の徴収強化に動き出した。雇用主と従業員が結託して加入義務のある保険に入らないという根深い慣行を、最高人民法院(最高裁)が禁じたためだ。年金財政の悪化に歯止めをかける狙いだが、企業や家計の負担がかさみ景気を下押しするおそれがある。

     

    フォームの始まり

    「フォームの終わり

    中国の社会保険は年金、医療、失業、労災、出産の5種類ある。都市部では加入が義務となっている。地域で異なるが、雇用主側は原則賃金の25~30%程度、従業員側は同10%あまりを納付する必要がある。中国は不動産バブルが崩壊し景気の停滞が長引く。コスト圧縮へ保険料負担を削ろうとする企業は少なくない。正社員を短時間勤務の非正規雇用とみなして保険料を納めなかったり、賃金を当局に報告する際に過少申告して納付額を減らしたりする動きがある。

     

    (1)「未納を望む従業員にもメリットがある。本来納めるべき額の一部を給与に上乗せして受け取れるなど、雇用主と「裏取引」すれば目先の手取りを増やせる。人事管理システムを提供する衆合雲科が中国全土の6689社を調べたところ、社会保険料の納付額が法律に照らして適正な企業は3割超にとどまった。ニッセイ基礎研究所の片山ゆき主任研究員の試算によると、都市部で働く労働者の社会保険加入率は2024年時点で5~8割だった。片山氏は「中国は制度への理解度や信頼度が欧州や日本に比べ低い」と分析する」

     

    中国全土では、社会保険料の納付額が法律に照らして適正な企業は3割超に過ぎない。残り7割は、未納という事態である。企業は、賃金の25~30%程度の社会保険料負担を逃れるために労使談合で、このような事態を引き起している。不況の結果だ。

     

    (2)「中国東北部の遼寧省大連市にある民間企業で働く于さんは、「支払った保険料が将来戻ってくるか不安」と話す。「きちんと納めているのは国有企業や銀行くらいでは」と冷ややかに語る。保険料未納の裏取引は地方政府も黙認してきたとされるが、中国の司法が待ったをかけた。最高人民法院は8月、労使合意による納付の忌避は法律上有効でないとの判断を下し、9月1日付で適用した」

     

    保険料未納の裏取引は、最高裁の判断を待つ間でもなく「常識論」でも違法である。この問題を最高裁まで争った人間がいるとは、中国社会における年金無理解の存在を示している。

     

    (3)「年金財政の悪化に対する危機感が背景にある。都市部の会社員らが入る「都市従業員基本年金」の持続可能性を示す支払い余力は低下している。積立残高を月平均の支出額で割った月数をみると、24年は12.5ヶ月分だった。10年前と比べ5カ月分少なくなった。政府系シンクタンクの中国社会科学院などはこの月数について9カ月を「基準ライン」、3カ月を「警戒ライン」と位置づける。全国ベースでは基準を上回るが、中国本土に31ある省・直轄市・自治区ごとに調べると、半数近くの15地域で基準ラインを割り込んだ。14年時点では高齢化が著しい黒竜江省など3地域のみだった。直近では上海市や浙江省、山東省など経済が発展している地域も基準を下回った」

     

    年金積立残高を月平均の支出額で割った月数が、24年は12.5ヶ月分であった。この月数が、9カ月を「基準ライン」、3カ月を「警戒ライン」と位置づけている。中国本土31ある省・直轄市・自治区のうち、半数近くの15地域で基準ラインを割り込んでいる。2035年の「年金破綻説」は、現実味をもって迫ってくる感じだ。

     

    (4)「中国社会科学院は19年、都市従業員基本年金の積立金が35年に枯渇すると試算した。急速な少子高齢化が年金財政をむしばむとの懸念は根強い。社会保険料の徴収強化は、デフレ圧力が強まる中国経済の新たな重荷になるおそれがある。大手企業の地方支社で総経理を務める男性は、「未納だった保険料を支払うようになった結果、会社としての利益が出なくなった」と嘆く。仏ソシエテジェネラルは、地方政府などが最高人民法院の判断に基づいて厳格に徴収を強化すれば、労使の負担増は国内総生産(GDP)の1%に相当すると試算する。「特に中小企業では雇用を減らしたり賃金カットに動いたりする可能性がある」と指摘する」

     

    社会保険料の徴収強化が、デフレ圧力の強まる中国経済にとって、新たな重荷になるとは、もはや語るに落ちた状況だ。社会保険料も満足に払えない中国が、世界覇権を狙うとは「噴飯もの」であろう。

     

    (5)「中国メディアによると、一部の飲食業やサービス業ではすでに定年退職した世代を積極的に採用する動きが広がっている。高齢者を採用すれば、年金保険料の支払い義務が生じないためだ。しわ寄せは若年雇用に及ぶ。中国国家統計局によると、16~24歳の都市部失業率は11月時点で16.%を記録した。前年同月から0.8ポイント高まった。16~59歳を対象にした全体の失業率と比べると3倍以上の高さだ。若者の就職難が一段と深刻になれば、将来不安から結婚や出産を控える人が増えかねない。少子化が加速し、年金財政はさらに苦しくなる」

     

    一部の飲食業やサービス業では、社会保険料負担がない高齢者を採用している。これが、若者の失業率を高めている。

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    自民党が、これまでの「3大選挙」(衆院選・都議会議員選・参院選)で敗北を喫した大きな要因は、「政治とカネ」のほかに物価高が影響した。このうち、物価高は今ようやく低下傾向が明らかになってきた。総務省が、26日発表した12月の東京都区部の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合(コア)が前年同月比2.%の上昇で、3月以来の2.%割れとなったことだ

     

    東京都区部のCPIは、全国CPIよりも1ヶ月先行する。この結果、26年1月の全国CPIコアの低下は確実である。さらに、政府が26年1〜3月に復活する電気・ガス代補助を踏まえると、26年前半の全国CPIコアは2%を下回るとの民間予測が出るほどの「改善」が期待できそうだ。4月以降には、高校授業料の無償化も始まる。消費者物価は一息入れられそうだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月26日付)は、「物価、26年前半に2%割れの民間予測 電気・ガス補助など押し下げ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「総務省が26日発表した12月の東京都区部の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は生鮮食品を除く総合が前年同月比2.%の上昇で、3月以来の2.%割れとなった。12月の都区部の消費者物価は電気代や都市ガス代の下げが目立った。前年12月に補助金が終了して料金が伸びた反動が出た。ガソリン税の旧暫定税率廃止に向けた補助金を背景にガソリンの物価も下がった」

     

    12月の東京都区部コアCPI上昇率が、2.3%に止まったことで、26年1月の全国コアCPIも低下することが確実になった。昨年12月は、電気代や都市ガス代の補助金が終って上昇したので、今年はその反動で上昇率が鈍化した面もある。ガソリン価格も下落した。

     

    (2)「第一生命経済研究所の新家義貴氏は、電気・ガス補助と旧暫定税率の廃止によって23月の全国の消費者物価(生鮮食品を除く総合)を0.8〜0.9ポイント押し下げる効果があると分析する。食料品の値上げも一服する見通しだ。帝国データバンクによると26年14月に値上げが決まっている飲食料品は前年同期より4割少ない。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「食料の上昇率は鈍化傾向が続く可能性が高い」とみる。生鮮食品を除く総合の物価上昇率は全国で「26年2月に2%を割り込む可能性が高い」と予測する」

     

    26年23月の全国CPIコア部分は、0.8〜0.9ポイントも押し下げる公算があるという。また、26年14月に値上げが決まっている飲食料品は前年同期より4割少ないという。こういう基調改善によって、次のようなコアCPI値下がりが期待できそうだ。

     

    時 期  全国コアCPI  備     考

    26年1月 2.0~2.2%  東京都区部の先行指標と整合的

       3月 1.8~2.0%  エネルギー・食品の反動減が本格化

       6月 1.5~1.8%  賃上げ幅が前年並みなら一段の鈍化も  

    こういう線でコアCPIが低下すれば、経済の先行き観も一段と明るくなろう。

     

    (3)「2%を割れば22年3月以来、およそ4年ぶりになる。懸念材料は為替相場だ。日銀による利上げ決定後も円安が進み、足元は1ドル=155〜157円ほどで推移する。輸入物価の上昇が顕著になれば食料品などの値上げにつながる可能性はある。一般的な賃貸住宅の家賃を示す民営家賃も上昇傾向が続く。変動が少ない岩盤品目の代表格だったが、じわじわと上がり都区部では12月に2.%上昇と1994年2月以来の2%台となった。

     

    植田日銀総裁は、学者出身であるだけに「ハッタリ」を効かせた発言が苦手である。教壇と同じで論理的な発言になるから、市場は甘くみるという悩みを抱えている。これが、かつての日銀生え抜きの三重野総裁であったら、市場の思惑を一掃する「威厳」ある発言をしたであろう。植田総裁の緻密な論理は良いのだが、「発信力」で日本経済は大きな損害を被っている。何とかならないのだろうか。性格は持って生まれたものであるから変らないのだ。今後の日銀総裁の資格には、発信力を加えるべきだろう。

         

     

     

     

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    韓国知識社会では、根強い日本批判論が存在する。身近な例では、「旭日旗」への嫌悪感だ。旧日本軍が軍旗に使っていたという理由である。ならば、国旗の「日の丸」を忌避すべきだが、これは不問に付している。もう一つは、福沢諭吉の「脱亜入欧論」である。日本が,アジアを軽蔑して西欧へなびき植民地政策に走ったとして、今なお怒りを隠さないのである。

     

    この裏には、儒教精神が存在する。500年にわたる朝鮮李朝は、儒教を「国教」にした。儒教は、地理的に中国から遠ざかるほど「化外(けがい=野蛮)」と位置づけていた。朝鮮からみる日本は、野蛮国である。その日本が、こともあろうに朝鮮半島を植民地にした、という怒りだ。この抜きがたい儒教精神が、韓国知識人のプライドを汚しているのだろう。

     

    『中央日報』(12月26日付)は、「アジアであることを拒んできた日本のジレンマ」と題するコラムを掲載した。筆者は、ユン・サンイン前ソウル大学アジア言語文明学部教授である。

     

    もし誰かから「日本はアジアか否か」という質問を受けたとしよう。あまりにも基礎的な常識レベルの問いなので、答えるまでもないと感じる人が大半だろう。ところが、この問いを当事者である日本人に投げかけた場合、事情はそれほど単純ではない。今日でもこの質問に即答することをためらう日本人が少なからず存在するからだ。

     

    (1)「その最初のボタンが「脱亜入欧」という理念だった。私たちが知る「近代日本」という社会は、この言葉が標榜している後進的なアジアからの差別化、そして先進的な西洋との同一化という方向性の中で形成された。脱亜論の底に流れていたのは、西欧帝国主義が広めた「文明/野蛮」という二分法の世界観だった。古い慣習に縛られ改革に消極的なアジアを遠ざけようという脱亜論の主な論旨は、文明化に積極的だった日本でさえアジアの一部とみなそうとする西洋の視線を否定することだった。西洋勢力の目に日本がアジアの一員として映る限り、いつでも侵略の対象になり得たからである」

     

    19世紀の世界は、欧州を中心に回っていた。アジアは停滞地域であり、欧州列強の植民地にされていた。日本が、こういう状況下で開国した以上、停滞のアジアから先進国欧州を模範にするのは自然の選択である。何より、自然科学の発展が欧州の強みである。日本が、教育制度の確立に力を入れた理由である。

     

    (2)「非西洋国家の中で唯一日本だけが近代化に成功したという日本人自身の自己認識は、アジアから自分たちを切り離し、第3の独自のアイデンティティを獲得しようとする動機を与えた。日本人にとってもアジアは、自らの近代性を確認させてくれる後進的で停滞した空間として存在した。「私たちは彼らとは違う。だから私たちは彼らではない」という否定の方式で自己のアイデンティティを築いてきたのは、人類社会が始まって以来定着した慣行である。相手との文化的差異が際立つほど、私たちと彼らの境界がより明確になる効果が期待できるため、その差異はより否定的な方向に誇張されたり、ときにはねつ造されたりした。

     

    日本が、なぜ植民地にされなかったか。それは、アジア諸国と異なる「精神性=武士道」を持っていたことが大きな要因とされている。日本人が、異文化の統御を受けないと見抜かれていたのだ。この精神性が、最終的に太平洋戦争開戦へと暴発した。敗戦で、戦争という武器は捨てたが、新たに科学技術という「武器」を身につけた。第二次世界大戦後のノーベル科学賞授賞者数で、日本は世界で米国に次ぐ2位である。

     

    (3)「日本の近代史が、常に脱亜の方向だけで進んだわけではない。興亜を掲げたアジア主義が頭角を現した時期もあった。とくに満州事変をきっかけに日本が国際連盟を脱退した1930年代がそうだ。アジア諸国と連帯し、欧米帝国主義の侵略に対抗すべきだという大義名分ではあったが、その本質においては、日本を中心とした“日本版”華夷秩序構築という構想が骨格を成していた。しかし、脱亜論であれ興亜論であれ、いずれも膨張主義と結びついていたという点で、アジアは依然として対外拡張欲望の対象だった。結局、ユーラシア大陸の両端に位置し、アジアを再構成して政治的・文化的に威圧してきた二つの膨張勢力が、太平洋戦争を通じて東南アジア各地を戦場としたのは、必然の成り行きだったのではないか」

     

    日本は、朝鮮半島や台湾を植民地にしたが、収奪対象ではなかった。欧州植民地政策と異なり、近代化への道を開いた。具体的には、教育制度の確立である。朝鮮には京城帝国大学、台湾には台湾帝国大学を開学したのだ。これが、後の韓国経済と台湾経済の発展の礎になった。韓国知識人は、こういう経緯を一切無視する。台湾政界は、この事実を高く評価する。この違いは何か。台湾には儒教が存在しなかった結果だ。


    (4)「日本はいまや、中国だけでなくかつての植民地だった韓国・台湾との間でも、厳しい先頭争いに追い込まれている。模範生として、盟主としての優越的な自己像を映し出してくれた「アジア」という名の鏡は、もはや存在しない。アジアの再定義が必要であり、それは究極的には自己の再定義でもある。日本は自らの姿を、アジアと西洋という二枚の鏡に交互に映しながら、自分の位置を確立してきた。どちらの鏡であれ、中心志向という角度から最も肯定的に映る自己像を追い求めてきたのだ。中心志向の心理は人間すべてに普遍的なものだが、それがもたらす弊害は大きく、そして持続的だ」

     

    日本は、バブル崩壊の後遺症を引きずったが、それも今は癒えた。技術(次世代半導体・次世代通信網6G)と、資源(レアアース)をひっさげて、再び西側諸国の先頭に立つ準備が整った。その効果が、あと数年で韓国でも認識できるはずだ。日本は健在である。

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    中国は、高市首相の「台湾発言」をめぐって対日威圧を強めている。日本人絡みのイベント中止と対日旅行の抑制である。新たに、来年3月までの日本旅行客を「6割まで減らせ」という通達が主要旅行業者へ伝えられた。困るのは、在日中国人業者である。日本の関連業界へも影響はあるが、中国は在日同胞を苦しめるだけである。それだけではない。日本社会が中国共産党の本質を見抜くまたとない機会を得たことだ。「信頼できない中国」という思いが強まることで、中国は大きな損失を招くのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月25日付)は、「中国当局『訪日客6割に減らせ』指示 旅行社に26年3月まで」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国当局が国内の大手旅行各社に、日本行きのビザ申請数を減らして訪日旅行客を従来の6割まで減少させるよう指示していたことが25日、業界関係者らへの取材で分かった。中国政府は国民に日本への渡航自粛を呼びかけており、日本の観光業に打撃を与える狙いとみられる」

     

    中国の思惑は、日本の観光業界へ打撃を与えれば、高市首相への支持率が低下するという読みであろう。だが、日本のインバウンドは4000万人と限界を超えている。観光公害が指摘されている現状では、いろいろと面倒なことを引き起す中国からの団体客減少は「歓迎」という人々も多いのだ。さらに、中国の団体客は在日中国人業者がすべて取り仕切っている。日本へはゴミと騒音という「観光公害」が残されるだけである。

     

    (2)「中国の旅行業界関係者らによると、指示があったのは台湾有事が存立危機事態になり得るとした高市早苗首相の国会答弁後の11月後半。日本の治安悪化を理由に挙げ、12月までの措置とされたが、12月になると、同様の対応を来年3月まで取るよう指示されたという。ビザ申請を絞ることで、団体旅行客だけでなく、全体の8〜9割を占める個人旅行客の減少も狙ったとみられる。旅行業界関係者は11月以降、団体旅行はすべて見合わせていると話した。中国人の日本渡航にはビザが必要で、旅行会社などを通じて日本の大使館や領事館にビザを申請する」

     

    中国当局は、日本旅行抑制の期限を小出しにしている。当初は12月までであったが、今度は来年3月までと「小刻み」である。中国の対抗策の「種切れ」を示しているようなものだ。これ以上の強硬策を取れば、日本も本格的に対抗策を取らざるをえない。そうなれば、中国経済に火の粉が降りかかる。ドロ沼の経済へさらなる重圧が掛るはずだ。こういう弱みを抱える中国だけに、日本旅行客を「6割まで減らせ」と、みみっちいことを言っているのだ。自ら自信のなさを示している。

     

    日本は,中国のように大騒ぎせずに冷静に対応しているが、中国の本質を見抜く良い機会である。中国は、自国に不都合な発言をする国には「一刀両断」の構えをみせる。豪州に対しても同じ振舞をして、中国は大損害を被った。それまで親中的な豪州が、一転して反中へ回ったのだ。さらに、「AUKUS」(米英豪)という軍事条約を結んで、中国包囲網を立上げた。中国の「俺様」意識が招いた最大の外交的・軍事的な失点である。

     

    日本は、静かに対中包囲網の強化に動いている。NATO(北大西洋条約機構)と連携を密にするなど手を打っているのだ。中国が騒ぎを起こせば起こすほど、対中包囲網は強まる。中国は、こういう包囲網が静かに動いていることを自覚することだ。

     

    (3)「中国では近年、日本はトップクラスの人気観光地だったが、大手旅行サイトで来年12月の人気海外旅行先トップ10から日本が外れたと中国メディアが報じていた。中国外務省の林剣副報道局長は25日の記者会見で旅行会社への指示について「状況を把握していない」と述べた」

     

    私の複数回にわたる中国旅行の経験から言えば、本当に喧噪社会というイメージを強めた。中国人団体旅行は、この喧噪が集団で日本へ移動することだ。日本人は,嫌な顔を見せずに対応しているであろうが、心の中では別の印象を持っているはずだ。中国政府の「俺様意識」は、笑いものになるだけであろう。

     

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