勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2026年01月

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    衆院が解散され選挙戦に事実上突入した。高い内閣支持率を保つ高市早苗首相の人気に頼る自民党も、合流効果に期待する中道改革連合も、それぞれ課題を抱える。首相は政策転換を問うとしており、経済財政や外交・安全保障のあり方も問われる。

     

    立憲民主党と公明党が中道改革連合を結党し、野党間の関係性に影響が生じている。中道は、右派でもなく左派でもない幅広い勢力に結集を呼びかけるが、立憲とともに連合の支援を受ける国民民主党は独自路線を強調する。「野党共闘」を掲げてきた共産党とは溝が広がる。中道が野党勢力の中心になりつつあるが、立憲、公明以外には広がりを欠き、野党の乱立状態は続く。国民は、どのような判断を下すのか。

     

    『毎日新聞 電子版』(1月23日付)は、「『高市頼み』の自民 抜き打ち解散で公約生煮え、首相発言に懸念も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「高市政権は高い内閣支持率を維持し、自民党内の求心力を保ってきた。毎日新聞の世論調査による内閣支持率は、直近の2025年12月で67%にのぼり、過去に衆院解散・総選挙に挑んだ歴代の自民党政権と比べても異例の高さだ。自民は「高市人気」を前面に出し選挙戦に臨みたい考えだが、台湾有事を巡る答弁など、首相の発言には危うさも垣間見える。28日の投開票日まで、勢いが持続するかは不透明だ」

     

    自民党は、支持率67%と抜群に高い「高市人気」に依存している。

     

    (2)「首相は解散する意向を表明した19日の記者会見で、「高市早苗が総理大臣でよいのかどうか。今、主権者たる国民の皆様に決めていただく」と述べ、自身への信任を問う考えを前面に出した。 毎日新聞の世論調査を見ると、2000年以降で解散前後の内閣支持率は、「郵政解散」を断行した05年の小泉純一郎政権が46%、憲政史上最長の連続在任期間となった第2次安倍晋三政権でも14年が46%、17年は36%にとどまっていた。調査手法が異なるため単純比較はできないが、自民が大勝した小泉、安倍両政権を今回は大きく上回る」

     

    「高市早苗が総理大臣でよいのかどうか。今、主権者たる国民の皆様に決めていただく」。この決め台詞が、国民の心をわしづかみにするか、だ。

     

    (3)「石破茂前政権は、「リベラル」色が強いとの見方が一般的に広がったのに対し、高市首相はその揺り戻しとして保守層に強く訴える姿勢が支持率全体を押し上げていると党内では見られている。当初、解散には慎重な姿勢だったとされる麻生太郎副総裁も「支持率が高い時に解散するのは当然の常識だ」と理解を示す。ただ、政権発足から3カ月余りしかたっていない。本格的な実績を示していくのはこれからで、有権者に問うのは高市氏個人の人気や政権への今後の期待にならざるを得ない。首相の盟友である古屋圭司選対委員長は「高市首相選択選挙だ」と述べた。自民の政党支持率が伸び悩む中、「高市頼み」で自民への支持につなげたい考えだ」

     

    高市人気が、自民党支持へつながるかだ。高市氏は、「選挙の顔」になっただけに、自民党が掛ける期待は大きい。

     

    『毎日新聞 電子版』(1月23日付)は、「国民は独自路線、共産は反発 『中道』結集も広がり欠き野党乱立」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「立憲民主党と公明党が中道改革連合を結党し、野党間の関係性に影響が生じている。中道は、右派でもなく左派でもない幅広い勢力に結集を呼びかけるが、立憲とともに連合の支援を受ける国民民主党は独自路線を強調する。「野党共闘」を掲げてきた共産党とは溝が広がる。中道が野党勢力の中心になりつつあるが、立憲、公明以外には広がりを欠き、野党の乱立状態は続く」

     

    日本世論の政策選択基準は、長いこと「中道路線」である。立憲民主党と公明党が結成し中道改革連合は、まさにこの「ツボ」へズバリ嵌まるが、選挙の結果はどうなるか。

     

    (5)「中道の野田佳彦共同代表は22日、「中道のうねりを作っていけるチャンスと思っている。存在感が大きくなったときには、穏健な保守にも、リベラルな層からも支持され、大きな結集体になっていく可能性は十分ある」と記者団に衆院選への意気込みを語った。立憲と公明の衆院議員が合流して結党した中道には、両党から引退議員など一部を除く現職165人が参加した。衆院解散の間際には、国民民主、れいわ新選組、社民党から現職3人が衆院の中道会派に加わった。中道幹部によると、自民の元職なども、中道からの立候補に関心を示しているという。選挙戦では公明出身議員は比例代表に回り、各小選挙区で1万~2万票あるとされる公明票を立憲出身の候補者に上積みすることで、中道の議席を増やす戦略を描く。ただ、野田氏らが目指す政党同士の結集は見通せない」

     

    中道は、右路線も左路線も包含する。自民党路線よりも、少しばかり左へ位置している。その意味では「近似路線」である。国民は、この「曲球」をどう読むか。野球に喩えれば、バットを出すか見送りかである。

     

    (6)「国民民主は、中道からの結集呼びかけには否定的だ。現時点で立憲と公明の参院議員は合流しておらず、国民民主の榛葉賀津也幹事長は「自分たちも結集してないのに、他党に呼びかけるのはナンセンスだ。独自でやっていきたい」と強調する」

    中道では、立憲と公明の参院議員が合流を見送っている。国民は、これを理由に中道へ合流しない。総選挙後に自民党との交渉余地を残しているのかも知れない。

     

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    中国では、儲かるとみるとそれまで無縁の業者が新規分野へ殺到する。補助金目当てである。人型ロボットが次世代技術とみて、25年で140社が名乗り出た。かつて、半導体では、補助金欲しさに理髪業者まで申込んだ、笑うに笑えない実話が残っている国である。

     

    中国勢が開発する人型ロボットは、腕の力が弱いために、人間との協働作業には向かない根本的欠陥を持っている。そこで、「踊ったり、お盆を運ぶなどの軽作業」を前面に出してPRしている。人型ロボットが、人間のマラソン大会に登場して、世界の話題をさらった。PR効果は満点だが、実用化には大きな壁が立ちはだかる。

     

    人型ロボットの決め球は、フィジカルAIが登場することだ。それは、日本のラピダスが取組んでいるもので、フィジカルAIが登場しない限り困難とされている。最先端半導体2ナノを製造できない中国では、実用化する人型ロボットを生産不可能である。

     

    『人民網』(1月23日付)は、「中国人型ロボット産業、2025年は完成品メーカーが140社超に」と題する記事を掲載した。

     

    中国人型ロボット完成品メーカーが、140社超に達した。中国工業・情報化部の張雲明(ジャン・ユンミン)副部長は21日、国務院新聞弁公室が北京市で開催した記者会見で、「2025年に中国の人型ロボット産業では完成品メーカーが140社を超え、人型ロボット製品が330種類以上発表された」と述べた。

     

    1)「人型ロボットは25年の春晩(春節<旧正月>を祝う中国の国民的年越し番組)のステージに登場したり、スポーツ大会で競技に参加したりするなどして、さまざまな動作が可能となった。張副部長は、「業界では、2025年は人型ロボット大量生産元年であり、ロボット産業は満を持して発展のタイミングを待っており、今後の見通しは非常に明るいとの見方で一致している」と述べた」

     

    こうした急拡大の裏には、次のような構造的な問題も潜んでいる。

    1)同質的な企業の乱立:技術的差別化が乏しいまま、似たような製品を作る企業が林立し、過当競争に陥る。

    2)補助金依存体質:市場原理よりも政策誘導が強いため、持続可能性に乏しく、補助金が切れると淘汰が進む。

    3)「数字作り」の圧力:地方政府が中央への成果報告のために、実態以上の企業数や投資額を報告する傾向。

     

    このパターンは、かつての太陽光発電や電気自動車(EV)、半導体などでも見られたパターンだ。おそらく2026年には、これら人型ロボット140社超の多くが淘汰され、実質的に生き残るのはごく一部になるであろう。余りにも、資源の無駄遣いをしていることになろう。

     

    2)「中国の人型ロボットは現在、「しっかり立てる、安定して歩ける、速く走れる」段階をすでにクリアし、さらに「ステージでパフォーマンスできる」「競技場を駆けることができる」段階から、「家庭で役に立つ」「工場で作業を担える」段階へと加速度的な転換を遂げつつある」

     

    中国の人型ロボットが実用化されるには、2ナノ半導体を作れる能力を持つことが前提である。2ナノ半導体によってフィジカルAIが実現できるからだ。日本のラピダスが、2027年以降に実用化させる見通しである。日本で、フィジカルAIが登場すれば、人型ロボットは当然、日本企業が世界一の座に就く可能性が大きくろう。

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    高市政権は、かねてから積極的財政政策が財政悪化をもたらすと懸念されてきた。それが、総選挙の公約で「食品関連消費税引下げ」を掲げたことで、一挙に40年物国債相場の下落(利回り上昇)として跳ね返った。果たして、市場が売り材料とするような悪い事態が日本経済に起るのか。海外メディアは、違った視点で眺めている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月23日付)は、「日本経済、悲観的状況ばかりではないが」と題する記事を掲載した。

     

    日本国債は20日、「節目」と呼べるかもしれない局面を迎えた。利回りが急上昇し、40年債では4%を上回り(ほぼ30年ぶりの高水準)、10年債では2.3%を大きく上回った(27年ぶりの高水準)。これに伴って、円相場は過去36年間で1回(2024年)しか越えたことがない1ドル=160円の水準に向けて下落した。こうした動きの組み合わせは通常、投資家が経済に対する信頼を失っていることを示す。

     

    (1)「市場が、心配するのは無理もない。高市早苗首相は衆院を解散して来月上旬に総選挙を行うと表明しており、誰もが選挙戦で掲げようとしている経済政策は日本政府にはない資金の支出を伴うものばかりだ。高市氏が(一時的措置と主張する)一部品目の消費税引き下げという公約はメディアの注目を最も集めているが、それは問題の最も小さな部分にすぎない。その費用は数百億ドルで、高市氏がそれと共に求めている大規模な財政「刺激」策に比べれば小さい。いずれも経済成長を促進することはない」

     

    高市首相は、財政大盤振る舞いというイメージがつきすぎている。債券投資家は、この「刷り込み現象」で動いている。IMF(国際通貨基金)のほうが、はるかに冷静だ。

     

    (2)「日本政府は既に債務問題を抱えており、債務残高は国内総生産(GDP)比で約250%となっている。新たな支出はどんなものであれ、増え続ける政府の債務返済を巡る問題を悪化させるだろう。インフレ抑制のため日銀が進める段階的な金利正常化によって政府予算はますます圧迫されており、国債の利払い費は今や防衛費を上回っている。投資家がこれら全てを見て、日本国債と円を売ることに決めたとしても不思議ではない」

     

    債券市場を安心させるには、緊縮財政が最も効果的である。高市首相は、怯えきっている市場動向に今少し関心を持った方がベターだが、そういう配慮はなさそう。市場との対話が必要だ。

     

    (3)「他の面から見れば、日本経済に今週注目が集まったことは良くも悪くも、これまでのパターンとは異なるものだった。悲観的な説明は、日本に関する最近の一連の明るいニュースに合わない。アニマルスピリット(企業などの野心的な意欲)は数十年の休眠状態を経て動き出している。企業の倒産は近年、金利上昇に伴って急増しているが、これは差し引きでプラスの出来事だと考えられる。多数のゾンビ企業(売り上げが債務を返済するのに不十分で、債権者が猶予を与えなければ存続できない企業)は長年、日本経済停滞の原因となってきた。これらの半分死んだ企業を間引くことで資金や労働力は解放され、起業家精神のある生産性の高い企業に向かうようになる。同時に、こうしたより健全な企業の収益性改善が可能になる」

     

    日本企業の行動は、野心に満ちた動きを強めている。金利上昇と共に倒産企業が増えているのは、企業の新陳代謝が活発化している証拠である。労働力の流動化が促進されて、より生産性の高い分野へ労働力が移動するからだ。

     

    (4)「これとは別だが関連する動きとして、企業のM&A(合併・買収)が急速に拡大している。昨年のM&A件数は過去最多となり、取引総額は約3500億ドル(約55兆5000億円)に上る。合併や敵対的買収、上場企業の非公開化(経営陣らによる自社買収を含む)がいずれも動き出している。さまざまな形で物言う株主の活動も増加している。企業は株主への現金還元に関して新たな圧力に直面しており、迅速な増配や自社株買いを迫られている」

     

    昨年のM&A件数は過去最多となった。これは、日本企業の再編成が本格化している結果である。

     

    (5)「こうした状況に加え、日本の金融政策が段階的に正常化されつつあるため、経済がいずれ正常に機能するようになることが過去数十年よりも想像しやすくなっている。しかし今週の出来事は、経済正常化の過程がいかに危険に満ちたものになり得るのかを思い起こさせた。20日に国債市場で起きた動きの直接的原因は、選挙戦略とまずい財政政策の組み合わせかもしれないが、背景には、金融システムがニューノーマルへと転換していることがある。経済成長の持続的回復には通常、全般的な金利上昇が伴う。こうした転換の具体的影響の一つは、生命保険各社がここ12年の間に超長期国債の保有を減らし、10年債などの保有を増やすといったリバランスを進めてきたことが、40年債の利回り急上昇を悪化させたことだ」

     

    今後の金利引き上げに合わせて、日本企業の再編は促進するだろう。「失われた30年」で惰眠を貪っていた日本企業が、内外で本格的に陣取り合戦を始めることは間違いない。その先兵として、技術革新が始まっている。僭越ながら、私が命名した「次世代技術3冠王」(フィジカルAI・IWON・化学的精錬法)は、世界の「OS」として君臨するはずだ。

     

    (6)「こうした転換が、特定の債券利回りや円相場、日本と諸外国との間の資金の流れにどのような影響を及ぼすのかは、誰も予想できないだろう。それを考えると、解散総選挙は今の日本が直面する困難の中で、最も取るに足らないもののように思えてくる」

     

    日本経済が、再び羽ばたくには、従来と異なる事態が生まれる。技術力を備えた日本企業が目覚めた以上、いたずらに悲観論にとりつかれるのはいかがなものか。

    テイカカズラ
       

    中国から海外に出ていった人々が今、「出戻りラッシュ」が起きているという。一度は国籍を捨てた人たちも、国籍を復活させているほどだ。中国経済は、長引く不動産不況によって、就職は困難を極めている。そういう母国へ「Uターン」するとはどういう意味なのか。中国メディアは、「中国の自由と活発な経済に引き戻された」と自画自賛である。これには、額面通りには受け取れない事情が潜んでいる。海外での「中国排除」というムードの強まりだ。中国人というだけで、警戒され始めている事態が想像される。

     

    『レコードチャイナ』(1月22日付)は、「中国から出て行った人たちの出戻りラッシュ、背景にあるのは―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア・北京青年報の時事評論「団結湖参考」は、中国から海外に出ていった人々の「出戻りラッシュ」が起きているとの論評記事を掲載した。『北京青年報』とは、中国共産主義青年団(共青団)北京市委員会が主管している「党営」メディアである。宣伝を任務とする。

     

    (1)「記事は、「近ごろ、ネット上では『潤人(中国から海外に出て行った人)』の帰国をめぐる話題が熱く議論されている」と指摘。「かつて盲目的に中国を罵倒し、西洋に媚びてきた『潤人』たちが、今では次々と西側社会を批判し、中国の成果を肯定するようになった。中には一度捨てた国籍を戻して、中国に帰国する者もいる」とし、「当初は多くの人が意外に感じたが、よく考えてみれば、これは時代の大きな流れの中では必然的に起きる出来事だ」と述べた」

     

    「潤人」が最近、増えているという。中国の就職状況が大きく好転しているという理由はないのだ。それにもかかわらず、中国から海外に出て行った人の帰国が増えているのは、西側諸国での中国人を見る目が厳しくなったことが主因だろう。中国は、ダンピング輸出しているので、その影響で職を失った人たちは、つい中国人へ風当たりを強くするという側面もあろう。スパイを疑われるということも考えられる。

     

    (2)「その上で、「まず概念をはっきり区別する必要がある。中国は開放的な国家であり、中国人が海外に観光に出たり、留学したり、起業したり、さらには定住したりすることは、いずれも個人の選択であり、何ら非難されるものではない。一時期は、海外在住の華僑・華人が祖国を思い、さまざまな形で国家の発展を支援してきた。われわれが言う『潤人』とは、西側の宣伝に洗脳され、中国の欠点ばかりが目に入り、西側を精神的な祖国とみなすような人々のことだ」と説明した」

     

    中国は、開放的な国家と言っている。西側からみれば真逆である。政府批判すれば、たちどころに拘束される。こういう国家は本来、開放的とは言わないのだ。

     

    (3)「記事は、そうした人々もここ数年で「ついに視界が開けた」とし、「中国は科学技術、経済、文化など多くの分野で力を発揮し始め、数十年にわたる苦心と努力の成果が、人々の目に見える形で一気に噴出した」と強調。一方で、西側については「制度的な衰退が広くまん延し、『潤人』が西側に対して抱いていたフィルターは崩れ去り、何よりも彼ら自身の生活が立ち行かなくなった。中には、米国の街なかで生死の境をさまよったり、日本で餓死するに至った者もいる(※当時、中国のSNS上で本人のものとされる投稿が大きな話題になった)」と指摘した」

     

    米国や日本の例を誇大宣伝している。ならば、中国はどうなのか。社会保障も未成熟である。他国を批判できる立場にないのだ。

     

    (4)「記事は、「近年、中国のイメージと吸引力は大きく改善・向上してきたが、その一因は西側が引き立て役になったことにある。彼らの失敗した社会統治が、中国が自らの道を堅持してきた先見性を浮き彫りにした」としつつ、「より根本的な理由は中国人の生活が日増しに幸福で豊かになっていることにある。結局のところ、圧倒的な実績の前では、いかなる中傷も最終的には破綻せざるを得ない」と主張した。そして、「『潤人』が中国に戻るかどうかによって影響を受けるのは、結局のところ彼ら自身にすぎない。しかしこれは、眠ったふりをしていた人々でさえ目を覚まさざるを得なくなるほどに中国の求心力が高まっているという一つのシグナルなのだ」と結んだ」

     

    世界における、「中国のイメージと吸引力は大きく改善・向上してきた」としている。それは、経済政策で内需を拡大させ、国民が安心して暮らせる状態になったとき、初めて言うベき言葉であろう。いつ、これが実現すだろうか。


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    中国の住宅不況は深刻である。不動産上位100社合計の2025年の販売額は1兆6189億元(約36兆7000億円)と、前年比2割減だった。ピークの21年に比べて6割も減っており、市況の低迷が鮮明になっている。こうした中で、地方政府は新築と売れ残りで在庫の中古住宅に補助金を出して住宅需要を支える苦肉の策にでている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月22日付)は、「中国、マンション購入に補助金 地方政府が不動産不況対策」と題する記事を掲載した。

     

    中国の不動産不況が長期化し、地方政府が独自のてこ入れ策を打ち出している。マンション購入に補助金を出したり、住宅ローンの利子補給をしたりする。不動産の販売は地方政府の重要な財源だ。2026年以降も市況低迷は続く見通しで、住宅需要の下支えを狙う。

     

    (1)「江蘇省常州市はマンション購入の補助制度を拡充する。25年4月から売れ残りの在庫物件を対象に補助金の支給を始めており、26年からは新築と中古も対象に加える。補助金は新築が購入額の15%で20万元(約4400万円)、中古は15%で18万元を上限とする。市政府によると25年11月末までに約4800世帯が補助金を使って在庫物件を買った」

     

    ビジネスの常道から言えば、先ず住宅在庫の一掃である。価格を下げて売り切ることが先決である補助金を出す目的は、さらなる地価下落を恐れている結果だ。地価下落が進めば地方政府に土地売却益が減って地方政府の歳入減が起ることを恐れているのであろう。こうした微温的政策が、在庫整理の進まない理由である。土地国有制がもたらした、大きな矛盾だ。

     

    (2)「地元の官製メディアは、「斬新な方法で69億元の経済効果をもたらした」と成果を報じている。補助金は需要の刺激に一定の効果があると見て補助金の対象を拡大する。湖北省武漢市は同年10月から12月まで、一部地区で住宅ローンの利子補給の申し込みを受け付けた。ローンを組んだ元本の1%2万元を上限に今後2年補助する。利子補給は、江蘇省南京市や浙江省杭州市なども実施したことがある」

     

    湖北省武漢市は、ローン元本の1%2万元を上限に今後2年補助するという。こういう「雀の涙」のような補助金では意味はない。

     

    (3)「優秀な人材を呼び込むため、学歴に応じて支援策に差を付けるケースもある。山西省運城市は博士後期課程の学位を持つ人は、15年間にわたり30万元を低利で融資し利息の50%を市が補助する。博士だと11年間、20万元を融資し利息の40%を補助する。こうした対策をするのは財政に余裕がある地方政府が多い。常州市は25年の歳入に占める税収が86%と省内で最も高く、財政の健全度が高い。自動車大手の比亜迪(BYD)などの工場があり、製造業を中心に安定した法人税がある。武漢も車や電子製品の有力企業が拠点を構える」

     

    地方政府は、人材確保目的で低利融資を行っている。先行投資ができる地方政府は限られている。日本では、地方自治体は政府の「交付金」で最低限の行政費が保証されているのそれほど凸凹はないが、中国では、その差が大きい。

     

    (3)「財政の厳しい地方政府はじり貧だ。中国国家統計局の調査によると河北省唐山市は1〜11月の平均住宅価格が新築は前年同期比7%、中古は10%それぞれ下落した。過剰供給による消耗戦にさらされている鉄鋼産業が集積し、税収が減っている。不動産対策に回す財源がなく、販売も減り財源が細る負のスパイラルに陥っている。中国は土地の私有が認められておらず、かつて地方政府は使用権を不動産会社に販売して巨額の収入を得てきた。しかし現在は状況が一変。販売に四苦八苦している。24年から地方政府が在庫住宅を購入し、「保障性住宅」として中低所得者向けに安く貸し出す制度が始まった。しかし財政難の地方政府が多く対応は遅れている。

     

    地方政府によっては、財政状態が厳しく住宅購入補助金を出す余裕がない。そういう地域の住宅値下がりは、他地域よりも大幅だ。

     

    (4)「ニッセイ基礎研究所の三浦祐介主任研究員は、「不動産政策は26年以降も在庫住宅の買い取りや購入支援などの微調整型が中心になる」とみる。ただ、市況低迷の長期化を受けて「国が本格介入する可能性も高まってきた」(三浦氏)。不動産会社の経営環境は厳しさが増す。調査会社の中国指数研究院によると26年に始まる中国政府の第15次5カ年計画の期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込む」。

     

    第15次5カ年計画(2026~30年)期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込という。これから5年間も住宅不況が続くという想定だ。不動産上位100社合計の2025年の販売額は、21年に比べて6割も減っている。これから5年間にさらに半分も減れば、21年比で8割減となる。このような長期低迷を前提にするなら、補助金政策も業者「延命型」ではなく、企業「転換型」にシフトすべき時期に来ている。つまり、多くは廃業すべきである。

     

     

     

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