勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2026年01月

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    現代自動車は、人型の産業用ロボットの大量導入を計画している、労組は、労使の合意がなければ反対と表明して「導入反対」を表明した。韓国労使は、ドイツの労使「共同決定法」に似た「労使協議制が存在する。企業の経営に関わる重要事項――たとえば設備投資、人員配置、労働条件の変更など――について、使用者と労働者代表が協議する建前だ。現代自動車は、この労使協議制に基づき産業用ロボット導入について、どういう結論になるのか。産業用ロボット導入は、世界の趨勢になっている。

     

    『レコードチャイナ』(1月26日付)は、「現代自の労組が宣言『人型ロボットの導入は認められない』=韓国ネット『クビを切ってしまえ』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国メディア『毎日経済』(1月22日付)は、「現代自動車の労働組合が次世代ロボット『アトラス』の導入を阻止するため、全面戦争を宣言した」と伝えた。

     

    全国金属労組現代自動車支部は22日、「海外への生産移管、新技術導入(ロボットによる自動化)、労使による合意のない一方通行は絶対に容認できない」とする声明を発表した。その中で、「大量生産や現場投入による雇用への影響が予想される」として、人型ロボット「アトラス」は「労使の合意なくして1台も導入させない」と宣言した」

     

    (1)「アトラスは、現代自動車グループ傘下の「ボストン・ダイナミクス(BD)」が開発。先ごろ米ラスベガスで行われた世界最大級の家電・IT見本市「CES2026」で初公開した。現代自グループは2028年までにアトラス3万台を量産し生産現場に投入する計画を明らかにしている。1台当たりの価格は約2億ウォン(約2000万円)と予想されるが、毎日16時間、2人分の作業を行えば、初期投資は1年で十分に回収できるという」

     

    アトラスは、身長約189cm、体重約91kgで、360度回転する関節を持ち、自然な歩行や精密作業が可能な設計である。人型であるから「人型ロボット」呼ばれるが、フィジカルAIがまだ実用化されていない段階だけに、正直正銘の人型ロボットではない。定型型業務を行う段階だ。それでも、大きな省力化効果があるので、労組としては労働者が現場から排除される危惧の念を持っているのであろう。

     

    (2)「この記事に、韓国のネットユーザーからは「設備の導入も労組の許可を取らなきゃダメなのか?まるで逆パワハラだな」「本当につらい思いをしている労働者も多いだろうけど、ほとんどの国民が『労組』と聞いて悪いイメージを持つのは、こちらの皆さんのおかげ」「スパッと(組合員の)クビを切っちゃえばいいんじゃない?」「労使関係が決裂したら、組合員は全員、立ち入り禁止にして、アトラスを稼働すればいい」「ロボットが作業すれば原価が下がって車の値段も下がる。あんたたちの人件費のせいで現代自の車は値段がつり上がったんだよ」などのコメントが寄せられている」

     

    労組が懸念しているのは、こうしたロボットが「人間の代替」として大量導入されることで、雇用の質や量が根本的に変わることだ。韓国ネットは、こういうロボットの持つ意味を十分に理解せず、「無責任」な発言をしている。韓国労使には、「労使協議制」があることを知らない結果であろう。



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    韓国は、朝鮮戦争時には国連軍の名の下に多くの国々が参戦して、北朝鮮・中国の侵略軍と対抗した。こういう経緯から言えば、韓国はインド太平洋戦略に参加して当然だが、中国への遠慮から米国へ「不義理」を果す構えだ。侵略した中国側へ気配りし、防衛した米国の熱望には冷たい返事をしている。何とも不思議な国際感覚である。侵略されても、儒教倫理に一体感を感じているのであろう。

     

    『中央日報』(1月25日付)は、「李大統領『自主国防は基本中の基本』戦時作戦統制権転換議論に速度出るか」と題する記事を掲載した。

     

    李在明(イ・ジェミョン)大統領は24日、米トランプ政権が新たな国防戦略(NDS)を発表したのと関連し、「不安定な国際情勢の中で自主国防は基本中の基本。確固とした自主国防と韓半島(朝鮮半島)平和が持続的な経済成長を可能にする」と明らかにした。

     

    (1)「李大統領はこの日、自身のXに米国防総省のNDS関連報道をシェアしながら「北朝鮮のGDP(国内総生産)の1.4倍にもなる国防費を支出し世界5位の軍事力を持っている大韓民国が自ら防衛できないということはあり得ないこと」と強調した。韓国政府が推進中の戦時作戦統制権転換を念頭に置いた発言と解釈される。米国防総省は23日に公開した「2026国防戦略(NDS)」で韓国に対し「高い国防費支出と堅固な防衛産業、徴兵制に裏付けられ強力な軍事力を保有している。米国の重要だがより限定的な支援を受ける条件でも北朝鮮抑止に対する主要責任を負うことができる能力を備えている」と評価した」

     

    韓国は、今回の米国防総省のNDSを軽くみているようだ。むしろ、李大統領の発言から判断すると喜んでいる節がある。これは、米国の大本命であるインド太平洋戦略から韓国が外れていることを意味している。米国は、韓国をおだてながらインド太平洋戦略のパートナーと位置づけていないのだ。それだけ、米国における韓国の役割が低くなっていることに気付くべきであろう。

     

    (2)「今回のNDSは、」米軍戦力運用の最優先課題として米国本土防衛と西半球の利益守護を提示する一方、インド太平洋地域では中国抑止を核心目標とした。同時に韓国と北大西洋条約機構(NATO)同盟国が、地域安全保障でもっと大きな役割を担わなくてはならない点を明確にした。韓半島と関連しては、韓国が北朝鮮の直接的で明白な脅威に直面しているだけに、対北朝鮮抑止で主導的役割をする意志と能力を備えたと明示した。国防総省は「責任均衡の変化は韓半島で米軍の戦力態勢を強化しようとする米国の利益とも合致する」とし、今後在韓米軍運用と役割分担議論に影響を及ぼす可能性を示唆した」

     

    米国にとって、インド太平洋地域では中国抑止が核心目標である。これは、「クワッド」(日米豪印)4ヶ国のほかに、軍事同盟の「AUKUS:オーカス」(米英豪)が二重線になって中国へ対抗するものだ。韓国は、クワッドへ最後まで参加を渋り、米国の大きな不満を買っている。

     

    (3)「こうした評価により、韓国政府が2030年を目標に推進中の戦時作戦統制権転換議論にも速度が出るだろうとの見通しが出ている。NDSは同盟に対する米国の「選別的関与」を強調しながら、核心脅威への対応には能力を集中するがその他の地域安全保障は同盟の責任を拡大する方向に戦略のバランスを移した。李大統領は、「自主国防と韓半島平和は選択でなく大韓民国の持続可能な成長と直結した問題。堂々とした安全保障能力の上で経済と平和をともに育てていかなければならない」と強調した」

     

    韓国軍の戦時作戦統制権(いわゆる統帥権)は現在、米国が持っている。韓国は、統帥権移管を要望しているが、そうなると国連軍が韓国軍の指揮下に入るという矛盾が起るのだ。米国としては、韓国を信じ切れないという重要な部分もあるだろう。韓国へ統帥権を渡すと、北朝鮮と戦わないという危惧もあるのだ。北朝鮮の「無血勝利」という想像もできない事態も想定しなければならない。韓国左派には、熱烈な北朝鮮信奉者が存在する。 

     

     

    あじさいのたまご
       


    口では消費重視を唱える

    潜在的成長率は3~4%

    戦時型経済が自滅要因に

    不動産バブルが寿命短縮

     

    中国は、26年から第15次五カ年計画(2026~30年)へ進む。この間の経済成長率が、どの程度になるか現状では不明である。OECD(経済協力開発機構)は、2020年代の潜在成長率が3~4%台にとどまると厳しい予測だ。最大の要因は、不動産バブル崩壊後遺症が本格的な圧力を加えることである。だが、習近平政権は不動産問題について表面的な対策に止まっている。新規・中古で販売補助金を出すという程度の対応である。

     

    問題の本質は、こういった局所的な対策でなく、需要そのものを回復させなければ、膨大な在庫住宅が捌けるはずもないのだ。マクロ経済政策をこれまでの供給重視から需要重視へ転換しなければ行き詰まりは必至である。こうした政策転換を阻むのが、「台湾侵攻」である。戦争計画を持っている以上、供給重視にならざるを得ないという「宿命」を抱える。習氏は、台湾侵攻を「請負った」形で国家主席2期10年という憲法規定を変えさせた事情がある。こうなると、自己の政治生命が台湾侵攻と結びつくという危険な関係だ。

     

    習氏は、「戦争請負人」だ。その結果、軍備を拡張し続けなければならない。供給力重視は、当然であろう。習氏が国家主席であり続ける限り、この経済路線は継続される。中国経済は、台湾問題と「心中」する形で日々、弱体化する宿命を負わされることになろう。迎え撃つ形の米国は、先に発表した国防総省の「米国家防衛戦略(NDS)」において、「力による抑止」を鮮明にした。米国は、同盟国と共に中国軍を第一列島線から外へ出さない決意を示したのだ。中国は、国力と軍事力で勝る米国への対抗を諦める時期に来た。

     

    口では消費重視を唱える

    習近平氏は1月20日、中国経済に占める製造業の割合を適切に維持し、消費と投資、需要と供給の適切なバランスをとるべきだと述べた。15次5カ年計画に関するセミナーでの発言を国営新華社通信が報じた。

     

    習氏は、「先進的な製造業を力強く発展させる」よう呼びかけ、「内需を経済成長の主な原動力にする」とも表明した。今後5年間で経済に占める家計消費の割合を「大幅に」引き上げる方針を示した。経済アドバイザーは、GDPに占める個人消費比率を現在の約40%を5年間で5ポイント引上げたい、としている。これは、無理であろう。日本ですら5ポイントの引上げに10年以上も要したからだ。

     

    習氏は、先進的な製造業へ今後も補助金を付けて支援するとしている。このような投資も消費もという「両にらみ政策」では、消費の割合を大幅に引上げることが不可能である。ましてや、5年間で個人消費のウエイトを5ポイントも引上げるのは無理なのだ。仮に実現すれば、投資を大幅に絞り込み成長率が急減速する結果であろう。

     

    習氏の発言を要約すると、供給も需要も増やすとしている。GDPの構成比では、供給力である設備投資やインフラ投資を増やせば、個人消費の比率が減少する。こういう、関係をみると、習氏の発言は明らかに矛盾している。供給力を維持するならば、個人消費の比率も低位であり続けるのだ。この問題は、「資源配分」において供給力重視に傾けば、それに反比例して需要が低下する。習氏が、この点を全く理解していないことを暴露しているのだ。

     

    中国経済が、どれだけ「非常識」な存在であるかは、2023年のデータをみれば明らかで。個人消費の比率は、名目GDPの39.13%。世界順位では196位である。経済大国の名が恥ずかしいほどの最低ランクだ。一方の総資本形成(インフラ投資・設備投資・住宅投資)比率は、42.08%で世界10位である。2009~14年は45%を超えていた。以上のデータをみれば、中国経済が投資による「トーチカ」状態になっていることが分る。国民生活を完全に無視した経済運営である。

     

    総資本形成比率を極限にまで引上げた裏には、即効的に経済成長率を押し上げる目的が隠されてきた。共産党は、国民から選挙権を奪っている。その代償に、高い経済成長率で「報いる」ことで国民に共産党の正統性を認めさせてきた。この「バーター」が、今や破綻している。実質経済成長率は5%(25年)と高いが、若者の失業率は17%前後とデフレの真っ只中にあるからだ。

     

    高い若者失業率からみると、この5%成長率が正しい数字かという「議論」まで生んでいる。中国出身で在日のエコノミスト2氏は、揃って否定している。お一人は、公表される実質GDPから3ポイント差し引いたものが真実であると指摘する。もう一方は、公表値の半分程度が実際の中国成長率としている。要するに、すでに中国経済は2~3%成長率まで落込んでいるという見方だ。

     

    潜在的成長率は3~4%

    先述の通り、OECDは2020年代の潜在成長率が、 3~4%台にとどまるとした。現在の中国経済の掛け値なしの成長率が2~3%とすれば、OECD予測の潜在的成長率をすでに下回っているのだ。若者失業率が高止まりしているのは、現実の成長率が潜在成長率を下回る当然の現象であろう。こういう厳しい事態の中で、習氏は「先進的な製造業を力強く発展させる」よう呼びかけている。だが、供給力過剰で生産者物価指数(PPI)が3年以上も下落し続けている中国経済が、この上さらに供給力を増やしたならばどうなるか、だ。

     

    PPIが、さらに長期の低迷を余儀なくされるのは確実だ。これは、デフレの継続である。習氏は、先進的な製造業を力強く発展させるとしている。この発言には、政府が補助金を出すという意味である。これによって、適格性のない企業までが補助金欲しさで進出すので、必然的に過剰生産能力を生み出す。それは、これまでのEV(電気自動車)や電池、太陽光パネルで立証済みである。(つづく)

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    中国高速鉄道は、日本の新幹線技術によって「高速化」したが、日本を見習わない点は衛生管理だ。走行中の車内のCO2濃度が基準値(1000ppm以下)を大幅に上回って2000ppmまで達し、多くの乗客が眠気を催しているという。日本の新幹線では、実測によれば、基準値を大幅に下回る。乗客40人の車内で723ppm、始発駅で乗客5人の状態では483ppmと、推奨する基準を大きく下回る好成績だ。

     

    この日中の差は何か。日本の新幹線は換気性能と空気質の管理においても世界水準の安全性と快適性を維持している。これは、日本の技術力が上というだけでなく、「公共空間の質」に対する文化的な感性と制度的信頼の反映とみられている。中国が、日本の水準に達するのはいつのことか。

     

    『レコードチャイナ』(1月23日付)は、「高速鉄道に乗るとすぐ眠くなる?乗客が二酸化炭素濃度を測定してみたら…―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『瀟湘晨報』(1月22日付)は、中国高速鉄道の車内で二酸化炭素(CO2)濃度が基準値を大幅に超過し、乗客の強烈な眠気を誘発している疑いがあると報じた。

     

    (1)「記事は、高速鉄道の二等座席内でCO2濃度を測定した動画がインターネット上で大きな議論を呼んでいると紹介。映像では、着席する前の車内濃度が880ppm前後だったのに対し、走行開始から一定距離を過ぎると2000ppmを突破する様子が記録されており、画面上の多くの乗客が深い眠りに落ちている様子が撮影されていたと伝えた。そして、この動画を見たネットユーザーからは「どうりで乗るとすぐ眠くなるわけだ」「長年の謎が解けた」といった共感の声が殺到したと報じている」

     

    中国高速鉄道は、速度の速さを売り物にしているが、車内のCO2が基準値を大幅に上回っても無頓着である。経済成長率の高さを競って自慢するが、内需動向には無関心という現実と実にマッチしている話だ。外形という見栄だけに拘る社会なのだろう。

     

    (2)「記事はその上で、動画の撮影者であり空気環境測定の業務に従事する余(ユー)さんの話を紹介。記事によると、出張で高速鉄道を頻繁に利用する余さんは、車内で仕事をしていてもあらがえない睡魔に襲われることが多く、その原因を探るために私物の測定器を持ち込んだという。その結果、中国の現行国家基準「室内空気質量標準」で定めるCO2濃度の制限値1000ppmの2倍にあたる2000ppm以上の数値を記録したため、CO2が大脳中枢に対して抑制作用を持つという海外の研究結果を参考にして、車内の高濃度状態と眠気の間に因果関係がありそうだと判断したようだ」

     

    日本では、CO₂濃度と健康への影響を次のように決めている。

    CO2濃度(ppm)  影響の目安

    400〜700     通常の屋外・換気良好な室内

    1000        換気が不十分とされる上限(厚労省・建築学会基準)

    1500〜2000   頭痛・眠気・集中力低下が起こる可能性

    2500以上      判断力・意思決定能力の低下、長時間暴露で健康リスク

     

    上記の基準をみても、中国の高速鉄道は早急に改善しなければならない。

     

    (3)「記事は、専門の文献資料によると、空気中のCO2濃度が1000ppmに上昇するだけで意思決定能力が顕著に低下し、1400ppmに達すると認知機能に大幅な悪影響が出るとされており、実測された車内環境は乗客の健康や作業効率に一定の影響を及ぼす水準に達していると紹介。「鉄道旅客輸送サービス品質規範」においても、換気システムを良好に作動させ、車内の空気質を国家基準に適合させることが義務付けられているとした」

     

    中国の規定でも、換気システムを良好に作動させなければならないことになっている。規定違反は明らかだ。

     

    (4)「一方で、現地メディアの記者が鉄道カスタマーサービス「12306」に問い合わせたところ、ある担当者は「旅行中に不快感がある場合は、自身で酸素吸入を行ってほしい」と回答し、別の担当者からも「そのような基準は現在把握していない」「出発前後の点検でも空気環境に問題は見られない」「乗客の密度が高くなったことが原因ではないか」などといった答えしか得られなかったことを報じている」

     

    当局の返事がふるっている。「旅行中に不快感がある場合は、自身で酸素吸入を行ってほしい」というのだ。社会主義のサービス業とは、こういうものだろう。顧客無視が、徹底しているのだ。


    テイカカズラ

       

    中国政府は、「高市発言」をめぐって日本批判を繰り広げている。これを一蹴する発言がSNSに現れた。中国が経済面で米国に対抗できるのは、完璧なサプライチェーンが存在するためである。そのサプライチェーンを形成できたのは、日系企業のおかげと指摘。日本に対する憎しみを扇動する者は、愛国心とは全く関係のない「国賊」だとも主張した。投稿の主は、中国人ジャーナリストの彭遠文氏だ。リベラル派として知られ、かつては中国の大手メディアで活動した。現在は、個人としてSNSで情報を発信している。

     

    『レコードチャイナ』(1月25日付)は、「米国に対抗できるのも日本のおかげ、憎しみの扇動は国賊行為中国人ジャーナリスト」と題する記事を掲載した。

     

    日本の対中貢献を正しく認識せねば、損害を被るのは中国だ。「日本から中国への最大の助けとは何だったのか?」について語ってみたい。この話題はタブーに触れるものだ。かつて網易新聞(ネットイーズ)が、日本政府の政府開発援助(ODA)による中国のインフラ整備への支援を紹介する特集を組んだが、大きな波紋を呼び、記事の取り下げを余儀なくされた。私は、この件は語るべきであり、しかも多く語るべきだと考える。なぜなら、多くの中国人が、この基本的事実を知らないからだ。基本的事実を知らなければ、どうして正しい認識を持てるだろうか。誤った認識は必然的に誤った態度を招く。最大の損害を被るのは日本ではなく、中国なのだ。

     

    (1)「まず、日本の対中ODAは非常に重要だった。例えば鉄鋼分野で、もし宝山鋼鉄がなければ、中国の現代化は少なくとも10年遅れていた。もし濾州化肥工場がなければ、四川の農民が腹いっぱい食べられるようになるのはおそらく数年遅れたはずだ。さらにエネルギー、通信、港湾、空港など、ODAの資金は中国経済の発展を制約していたボトルネックへと的確に流れ込んだ。ただし、ODAによる援助は重要だったが、最重要というわけではない。私は日本の中国に対する最大の貢献は、中国における全産業型のサプライチェーンの構築を推進したことと考える」

     

    日本のODA(政府開発援助)は、中国のインフラを整備した。港湾・鉄道など、中国が海外企業の投資を受入れる基盤は、日本のODAが建設した。日本の対中ODAは、合計3兆円におよび最大の援助国であった。

     

    (2)「以前は気づかなかったが、今になって、珠江デルタや長江デルタの全産業チェーンがいかに「威力がある」かを知った。何を生産するのでも、車で1時間以内の範囲で90%以上の部品を見つけることができる。世界中探しても、このような場所は他にない。産業チェーンは、中国のここ数十年の経済発展における最大の成果であり、最大の切り札でもある。これに匹敵するものは他に何一つない。例えば米中貿易戦争がこれほど長く続いても、あの強気なトランプ大統領でさえ矛を収めざるを得なかった。対米貿易が20%減少した状況下でも2025年の中国の貿易総額は再び過去最高を更新し、45兆元(約1000兆円)を突破した」

     

    珠江や長江のデルタ地帯の全産業チェーンは、中国が「世界の工場」となる基盤だ。この全産業チェーンは、日本企業がつくり上げたものである。

     

    (3)「欧米企業は製品志向で、サプライヤーや労働者の育成をあまり重視しなかった。しかし日系企業は違った。中国にいったん進出すれば、2次メーカー、3次メーカーをごっそりと中国へ連れてきて、完全な産業チェーンを形成した。その過程で、これらのメーカーは必然的に中国の現地企業と提携することになった。珠江デルタの電子産業はこのようにして立ち上がったのであり、そうでなければ、その後の華為(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの勃興はありえなかった。また、長江デルタでは日系自動車メーカーが構築した、主要部品の80%を車で4時間の範囲内で調達できる「4時間工業圏」の構築によって、「全産業チェーン」が徐々に築き上げられていった」

     

    電子産業のファーウエイやZTEも、珠江デルタ地帯という産業集積を背景にして生まれた企業である。

     

    (4)「日系企業による影響力は、どれほど大きかったのか。例えば、中国で最も勢いのある企業の一つであり、世界の車載電池の覇者であるCATL(寧徳時代)の創業者である曾毓群氏のキャリアの出発点は、日本の電子大手TDKの子会社である東莞SAE磁電廠だった。CATL初期の核となる技術チームや管理職の骨幹は、ほぼすべてが日系企業で育成された人材だった。「日系企業がなければCATLはなかった」と言っても過言ではない。こうした例は枚挙にいとまがない。珠江デルタや長江デルタでは、数え切れないほどの中国企業が日系企業の進出によって恩恵を受け、まさにそれらの企業が今日の「全産業チェーン」を構築したのだ」

     

    車載電池の覇者であるCATL初期の技術チームや管理職の骨幹は、ほぼすべてが日系企業で育成された人材だった。日系企業がなければ、CATLはなかったとも言える。

     

    (5)「日本への憎しみを煽動する者は「国賊」だ。日本への憎しみを煽る者は、愛国心とは1ミリも関係がない。そのような者は愛国者ではなく、紛れもない「国賊」だ。これは常識だ。以上の事実に照らせば、外資や外国企業、特に日本と日系企業を敵視してはならない。「ビジネスこそが最大の慈善である」という言葉を聞いたことはないか? ビジネスは金を与えるだけでなく、技術を与え、管理方法を与え、雇用を解決し、産業エコシステムを構築する、そして最後には、あなたを成長させて自分(日系企業)を打ち負かすまでにする。天下にこれ以上の「助け」があるだろうか? これこそが、私が日系企業の投資が日本政府によるODAよりも中国を大きく助けたと言う理由だ」

     

    日本への憎しみを煽動する者は、「国賊」だとしている。中国政府は、日本非難を繰り広げているからさしずめ国賊となろう。受けた恩義を忘れてはならないということだ。

     

     

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