勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2026年03月

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    中国の国家発展改革委員会は3月30日、ガソリンおよびディーゼルの最高小売価格を引き上げると発表した。中国の価格は、通常10日ごとに調整される。今回の価格引き上げ幅は、過去最大のものとなった。同委員会が定める算定式に基づけば、本来の引き上げ幅の約半分にとどまっているという。コストアップ分を全額、価格引上げに転嫁していないのだ。コストプッシュインフレを恐れているのだ。

     

    『ニューズウィーク 日本語版』(3月31日付)は、「中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」と題する記事を掲載した。筆者は、ゴードン・G・チャン氏である。『やがて中国の崩壊がはじまる』(2001年)の著者だ。

     

    中国は世界最大の原油輸入国であり、原油の約45%をこの重要な海上の要衝を通じて手に入れている。3月初め、国家発展改革委員会は石油などの精製業者に対し、新たな燃料輸出契約を締結しないよう命じた。また、既に約束済みの海外向け出荷についても、可能な限り取り消すよう指示した。

     

    (1)「一見すると、中国は緊急措置に頼る必要はないように見える。第一に、エネルギー供給源の多様化を継続してきた結果、ホルムズ海峡を経由するエネルギーは全体の6.6%にすぎない。さらに、中国は長年にわたりイランを支援してきたことから、中国向けの石油タンカーは戦争開始以降も同海峡の通過を認められている。これは東アジアの他国と比べて中国経済に大きなアドバンテージを与えている」

     

    中国は、ロシアとつながる石油パイプラインを持ち、米国の制裁の影響を比較的受けにくい立場にある。理屈の上では、多くの国よりも余裕をもって危機に対応できるはずだ。それにもかかわらず、中国は石油備蓄の放出に踏み切っていない。中国がもっとも警戒しているのは「価格上昇が経済全体に波及すること」である。

     

    (2)「加えて、中国は備蓄量を公表していないものの、約140日分の輸入を賄うことができる。現時点では、多くの人々が紛争はその期間内に終結すると見ている。こうした恵まれた状況にもかかわらず、シティグループとゴールドマン・サックスは、今月のエネルギー価格の急騰が、中国の長年にわたる懸念材料であるデフレを一夜にしてインフレへ転じさせる可能性があると考えている」

     

    エネルギー価格の上昇は、やがて食品価格や生活コスト全体を押し上げる。それは、社会不安や政権の安定性に直結する。中国指導部はその連鎖を強く恐れているのだ。社会不安が拡大すれば、一党独裁体制にヒビが入る。強権だが、国民の不安増大には最も弱いという脆弱体質である。不思議な政権である。

     

    (3)「中国の物価について懸念される理由は多い。先月、生産者物価指数(工場出荷価格を測る指標)は41か月連続でマイナスとなった。中国政府は最近、消費者物価指数がプラスであると報告しているが、その一部は出来過ぎに見えるとの指摘もある。世界各国の政府は消費主導の穏やかなインフレを望むが、中国はコストプッシュ型のインフレ環境、すなわち「悪いインフレ」に陥る可能性が高いと見られている。中国企業は利益率が低下してきている。工場はエネルギーコストの上昇分を価格に転嫁するのが難しく、かつてアメリカで「スタグフレーション」と呼ばれた状況に近づく可能性もある」

     

    中国の物価上昇は、スタッグフレーションという「悪いインフレ」に陥る可能性が高い。

     

    (4)「中国経済は強靭だと考える者も多いが、実際には比較的小さな衝撃でも大きな影響を受ける、きわめて脆弱な構造を持っている。この脆弱性は中国共産党の政策に起因する。世界の著名な経済学者たちの助言を繰り返し退けてきた中国の習近平国家主席は、個人消費を経済の基盤とすべきではないと考えている。北京市で最近閉幕した「両会」において、中国指導部は「人への投資」を掲げたものの、消費を拡大するための構造改革は打ち出されなかった。中国の指導者は、経済成長の手段を輸出に限定してしまった。つまり、自給自足を掲げる習は、自国経済の運命を外国に委ねたのだ」

     

    中国の脆弱な経済構造の根幹は、投資主導型経済によって個人消費が極端に低いことだ。それだけに、スタッグフレーションへ陥れば、国民生活はアウトになる。政権基盤を揺るがすのだ。

     

    (5)「これまでのところ、輸出主導(個人消費軽視)の賭けは成功してきた。2024年、中国の貿易黒字は9922億ドルに達し、昨年は驚異的な1兆1900億ドルとなった。先進国およびいわゆるグローバルサウスの国々の双方で、中国製品に対する関税やその他の障壁による抵抗が強まりつつある。現時点で中国の工場には、安価で信頼性の高いエネルギーの両方が必要である。イラン戦争は、そのコストと安定性の双方を脅かしている。またこの戦争はグローバル化そのものにも脅威を与えている。世界が安定していた時代には、中国の対外市場への依存は問題ではなかったかもしれない。しかし現在、世界は混乱の中にある。冷戦後30年間の安定から最大の恩恵を受けてきた中国が、イラン戦争をはじめとするさまざまな紛争の最大の被害者となる可能性がある」

     

    世界経済がイラン戦争で混乱している中で、中国の輸出主導経済は揺らいでいる。低い個人消費比率(対GDP比40%弱)だけに、輸出停滞と物価上昇はスタッグフレーションへ誘い込むであろう。

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    習近平国家主席の肝いりで始まった副都心構想の雄安新区は、すでに都市生活に必要なインフラは全て整っている。2035年に550万人口を目指すが、現状は120万人に止まっている。大学も官庁も北京から移転したがらないのが大きな理由である。インフラという「供給」は十分あるが、肝心の「需要」(人口)が増えないのだ。

     

    雄安新区は、河北省保定市近郊である。北京の南西約100km、保定市の東50kmに位置する。高速鉄道を使えば、北京から雄安新区まで40分ほどの時間という。それでも、大学や官庁が移転したがらない理由は、「北京」の持つ魅力であろう。学生は折角、苦労して北京の大学へ入学できたのに、雄安新区での学生生活に幻滅を感じるというのだ。こうした学生の感想は、大学の教職員にも当てはまるのであろう。こうなると、企業も二の足を踏んで、「様子見」となっている。

     

    北京―雄安新区の高速鉄道や高速道路はガラガラという。かつてトウモロコシ畑だった場所は現在、鉄道駅やオフィスビル、集合住宅、5つ星ホテル、学校、病院が立ち並んでいる。こうしてインフラは申し分ないのだが、唯一足りないのは住民だけという奇妙な都市である。

     

    『ニューズウィーク 日本語版』(3月30日付)は、「北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅遅延しているプロジェクトはいつ完成する?」と題する記事を掲載した。

     

    北京の南西約100キロに位置する河北省の「雄安新区」は、首都・北京の行政負担を軽減する目的で、一部の行政機能や国有企業の移転先として計画された特別区だ(中央政府の機能は北京に残す方針)。

     

    3月23日、習近平国家主席は視察に訪れたが、2017年に着工した開発プロジェクトはコロナ禍での遅延もあって大幅に遅れたままである。

     

    (1)「35年までに人口500万人規模の都市を完成させる計画だが、現在の人口は約120万人にとどまっている。北京は面積が広大な上に物価が高く、渋滞などの問題も多い。人口は約2200万人で国家全体の1.5%にすぎないにもかかわらず、権限が集中しすぎており、機能分散は理にかなっている」

     

    500万人という規模まで、人口が増えるかどうか。極めて疑問である。雄安新区構想が決まったのは、2017年の不動産バブルが始まった時期である。全てが、バラ色に見えた時期の超楽観的構想であることは間違いない。となると、一部官庁・国企・IT企業が移転しても、人口は200〜300万規模で頭打ちの公算が強いであろう。

     

    (2)「実際には、雄安のインフラが整備されたとしても、官僚に移住を促すのは容易ではない。中国のようにコネや暗黙の了解が重視される政治体制ではとりわけ、直接顔を合わせて話ができることの価値は計り知れないからだ」

     

    雄安は歓迎する産業を選別している。情報技術(IT)や生物医学、新エネルギー分野の企業に進出を促す一方、伝統的とみる産業の企業は排除している。何百万人もの出稼ぎ労働者や起業家を引き付けた深圳とは異なるアプローチだ。雄安は、今世紀半ばの完成を目標に、開発の節目を35年に設定している。政府文書によると、この35年には北京の非首都機能の一部を担い、「ハイレベルの現代的社会主義都市」になると意気込んでいる。

     

    だが、こうした政府の思惑通りに進むか極めて疑問である。最大の問題は、中国経済の減速である。もう一つ、人口減少問題が控えている。放っておいても、北京の過密化は解消方向にあるからだ。となると、この雄安新区の目標である500万人口へ達するのは疑問付がつく。

     

    雄安新区は、河北省の管轄である。行政上は、「地方政府のプロジェクト」とされている。しかし、これは建前にすぎない。実質的な責任は、中央政府(習近平氏)にある。だから、習近平氏が自ら雄安新区について「千年大計」と宣言し、国家戦略として推進したプロジェクトである。つまり、地方政府は「実行役」であるものの、決定権は中央にあるという歪な関係である。地方は、予算を決められない、計画を修正できない。企業誘致の権限も弱い。人口政策も決められないという「ないない」づくしだ。

     

    河北省は、雄安新区について最終責任を負う権限がないのである。いずれ、雄安新区の行き詰まりが明らかになったとき、責任を河北省に押しつける事態となろう。

     

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    ファーストリテイリング傘下のユニクロが、ロサンゼルス・ドジャースとパートナーシップを締結した。同球団に所属する大谷翔平投手の世界的な人気を活用し、米国での成長加速を狙う。

     

    『ブルームバーグ』(3月30日付)は、「ファストリ、伝統の球場に『ユニクロ』看板-大谷効果で米事業加速へ」と題する記事を掲載した。

     

    ファストリの2025年8月期売上高34000億円のうち、北米の構成割合は1割未満だ。店舗数も世界2543店のうち77店(3%)と、日本やアジアでの圧倒的な知名度に比べれば、ZARAを展開するインディテックスに比べて影が薄い。裏を返せば大きな伸び代が残されている。

     

    (1)「この契約でユニクロが得たのは、スタジアムのグラウンド命名権。「UNIQLO Field at Dodger Stadium(ユニクロフィールド・アット・ドジャースタジアム)」には、センター後方のバックスクリーンやバックネット裏などの目立つ場所にロゴが掲げられる。金額は非公表だが、ロサンゼルス・タイムズは5年間で1億2500万ドル(約200億円)規模と報じた」

     

    ユニクロは、スタジアムのグラウンド命名権を「ユニクロフィールド・アット・ドジャースタジアム」とし、5年間1億2500万ドルで得たという。これから、テレビに映し出されよう。

     

    (2)「ドジャースは、全日本空輸やヤクルト本社などとスポンサー契約を結んできたが、グラウンドにスポンサーを加えるのは球団史上初めてだ。大谷選手を始め山本由伸、佐々木朗希といった日本人選手の活躍で球団のブランドイメージが刷新されたことが大型契約を後押しした。試合中継のたびに、ユニクロのロゴが映り込めば、視聴者への訴求力は計り知れない。フィリップ証券アナリストの田中俊氏は、「大谷選手の影響力は日米で非常に大きく、ブランド認知を押し上げる効果がある」と指摘。米国での売り上げは順調に伸びているが、地方に行けばユニクロを知らない人はまだ多いという」

     

    大谷選手の影響力は、日米で非常に大きくブランド認知を押し上げる効果があるという。

     

    (3)「柳井正会長兼社長も、世界最大のアパレル市場である北米の事業拡大に期待を隠さない。「ロサンゼルス、そして全米のお客さまやファンの皆さまに新たな価値をお届けするとともに、世界中で最も愛され、信頼されるブランドになるための歩みを、ドジャースとともに進めていきたい」とコメント。5月には社会貢献プロジェクトの詳細公表も控え、単なる広告主を超えた市民権の獲得を狙う」

     

    柳井正会長兼社長は、「大谷効果」を生かして全米での「ユニクロ」ブランドの浸透を狙っている。

     

    (4)「ユニクロは、これまでも男子テニスのロジャー・フェデラー選手など一流アスリートとの契約を軸にブランド価値を磨いてきた。こうした戦略の延長線上に今回の提携がある。CLSA証券のアナリスト、オリバー・マシュー氏は、今回の契約が「長期的な拡大を狙ううえで極めて効果的な一手だ」と評価する。この先行投資が、成長余力の大きい北米事業を加速させる決定打となるか、野球中継とともに真価が試される」

     

    今回の命名権取得は、ユニクロに大きな利益をもたらすとしている。

     

    (5)「UBS証券の風早隆弘シニアアナリストは、米国で認知度の低い海外ブランドがシェアを獲得する難しさを指摘しつつ、同地域で売上高1兆円を目指すという目標を考えれば、「限られた顧客層や熱狂的なファンだけでは達成できない」と語る。一方で、この契約提携にはリスクも伴う。球史に歴史を刻む名門球団、しかも最も歴史ある球場の一つに関わる命名権を手放すことは、ファンの反発を招く可能性がある。また、資金力あるドジャースがさらに選手補強に資金を投じるとの見方を強める恐れもある」

     

    ドジャースという球史に歴史を刻む名門球団が、命名権を手放すことはファンの反発を招く可能性を指摘する声もある。ただ、大谷効果でそれ克服できるのではないだろうか。 

     

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    イランの大規模な治安機構は、イデオロギーだけで支えられているのではない。政権が崩壊した場合には、支持者らの生活が直接脅かされるような経済的な見返りが存在している。これも、体制維持につながっている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月30日付)は、「強固なイラン体制、忠誠と引き換えに経済的便宜」と題する記事を掲載した。

     

    イラン政府を研究する学者やアナリストによると、同国では建国以来、経済の半分以上を支配する触手のようなエコシステムが構築されており、政権を強力に保護する制度として機能してきた。この制度は反体制運動を弾圧して政権への忠誠を維持することと引き換えに、忠実な支持者らに現金や職などを与えている。

     

    (1)「最近の世論調査では体制を支持すると答えたイラン国民の割合はわずか20%にとどまったが、非営利組織インターナショナル・クライシス・グループ(ICG)のイラン担当トップ、アリ・バエズ氏は、この制度の存在を挙げ、体制支持者は反体制派よりも結束力が強く、経済的利益を通じて支配層のシーア派聖職者、準軍事組織、民間人を結びつけている。この制度の存在を挙げ、そこから利益を得ている人々に対し、政権に背を向けるよう説得するのは非常に難しいと指摘。「何百万人もの人々が政権への忠誠から恩恵を受けている」とし、「彼らはそれを失いたくない」と述べた。政権への忠誠の見返りには、金券や大学への優先入学、優遇レートでの外貨へのアクセス、さらには低利融資などが含まれる」

     

    イラン国民の間で現体制を支持する割合は、わずか20%しかいないという。それでも「猛威」を振るっている。信仰=政治が、経済中枢を握っているからだ。体制支持者は、経済的利益で結束力を高めている。

     

    (2)「政権を守るために設立されたイランの精鋭軍事組織であるイラン革命防衛隊(IRGC)は、少なくとも12万5000人の有給職員で構成され、経済においては準国家企業のような形で大きな役割を果たしている。IRGCは消費財の取引を行い、石油やガス、建設、通信などの主要なインフラ分野を支配している。イランの体制は、70万人規模の民兵組織「バシジ」の助けも借りて街頭を支配している。バシジの公式ソーシャルメディアやイラン政府職員によれば、構成員はイランの大学に通い、大半の政府機関や政権関連企業に職を持っている。米テネシー州を拠点とする学者で、イランの治安機関研究の第一人者であるサイード・ゴルカー氏によると、構成員は毎月数日間の基礎訓練を受けることが求められている」

     

    信仰=軍事=経済と「三位一体」の強固な体制づくりが行われている。これは、中国の共産主義=人民解放軍=国有企業と同じ組み合わせである。イランが、中国へ親近感を持つのは、「同じ穴の狢(むじな)」という類似性が認められる。

     

    (3)「ゴルカー氏はIRGCとバシジに関し、見返り制度から経済的恩恵を受けた知人が数人いると述べた。そのうちの1人はIRGCに所属し、テヘラン北部の集合住宅を購入するための融資を受けた。またイラン政府の代理組織のため、イエメンとシリアでミサイルを組み立てる任務から帰還した後は、賃貸収入で生活することが可能になったという。ゴルカー氏によれば、1月に抗議活動が勃発した際にはその知人はバシジに加わり、首都東部の近所の路上で活動。抗議者たちを警棒で殴打していた」

     

    信仰と金銭が結び付いている。これほど世俗的な結合があるだろうか。儲かるから、IRGCやバシジへ加わる。就職である。こうなると、「プロテスタンティズム」とは、似ても似つかぬ信仰ビジネスとなろう。

     

    (4)「IRGCが支配する企業の公開情報によると、イランのダム、高速道路、地下鉄路線、病院、高級ホテル、コーヒーショップなど、公共契約を受注した大企業を管理下に置いている。IRGC系企業の幹部やイランの石油当局者によると、多国籍企業は10年前、制裁を理由にイランのエネルギー部門から撤退。関連企業がその後、カタールとイランが保有する世界最大のガス田の南パルスのプロジェクト開発について、競争入札なしで契約を勝ち取った。

     

    IRGCは、イランのダム、高速道路、地下鉄路線、病院、高級ホテル、コーヒーショップなどを支配下に収めている。ますます、「信仰ビジネス」である。信仰の名において世俗的利益を貪る。「神の怒り」を受けることはないのか。

     

    (5)「イラン体制に忠実な若い支持者らは、イランの最高峰の大学への入学で優遇される。またその後は政府の要職や強硬派が支配する企業で高給職に就く道が開かれる。忠実な支持者らと共に学び、働いた複数の人が明らかにしている。ハタム・アル・アンビヤの子会社で石油エンジニアとして働いた人物によれば、IRGC系企業は一般的な企業の最大5倍の賃金を支払っている。そのため最も優秀な学生を引き付ける傾向があるが、バシジに所属していた同僚たちはより早く昇進し、社用車や住宅などの特典を受けていたという」

     

    イラン社会の腐敗が、信仰の名の下で引き起されている。IRGC系企業は、一般的な企業の最大5倍の賃金を支払っているという。経済的利益を求めて信仰集団に加わる。もはや、何をか況(いわ)んやである。

    テイカカズラ
       

    米国が、中東での紛争に気を取られている隙に、中国はこれを悪用することを台湾が懸念しているという。中国国営メディアは、中東での戦闘の事例を引用し、台湾が侵略を撃退するために備えている米国製兵器の有効性に疑問も投げかけているからだ。率直に言って「心配ご無用」であろう。米国情報網が四六時中、中国を監視しているからだ。米国は、中国人民解放軍が不穏な動きを始めた瞬間から、その動きを監視するシステムが動いている。中国軍の奇襲攻撃など、不可能な状態とされている。

     

    『ロイター』(3月30日付)は、「米の中東関与の隙突く中国、台湾は軍事圧力と認知戦に警戒」と題する記事を掲載した。

     

    中国は昨年12月、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。台湾当局者は、中国人民解放軍による台湾近海への大規模な侵入が今月14、15両日に再開されたことは、東アジアから中東への戦力再配置を進める米軍の動きを中国が利用しようとしていることを示すと指摘する。

     

    (1)「台湾の安全保障担当高官は、「中国は影響力を行使するチャンスだと受け止めている」とし、「中国が作り出そうとしているのは、米国が部隊を移動させ、インド太平洋地域の戦力が中東へ再配置される際に、緊張と不安定な状態が醸成されるという認識だ」との見方を示した。台湾国防部(国防省)は、顧立雄国防部長(国防相)による中国の「武力によって併合しようとする意図は常に存在してきた」との今月の発言を引用した」

     

    中国が、親密国イランを何ら支援できないこと自体に、中国の限界をみるべきであろう。その中国が、米国のイランへの関わりを強めている間を狙い、台湾侵攻などあり得ない話だ。中国は、台湾海峡を渡って大軍を送込まなければならない。米海軍の潜水艦部隊が、これを待ち伏せしている。中国潜水艦の敵ではないのだ。

     

    (2)「台湾の情報筋は、米軍の配備は地域間で常に均衡を保っているため、今回の措置によって中国が攻撃の隙を突くような状況が生じる可能性は低いと指摘する。米国務省の報道官はロイターに対し、世界的な脅威に同時に対処する米軍の能力は引き続き「圧倒的」だと主張。さらに米国は、台湾海峡全域の平和と安定を維持することに尽力しているとコメントした」

     

    米海軍の一部は、イラン攻撃参加で中東へ移動しているが、潜水艦部隊まで移動しているはずがない。中国軍の足を止めるのは、米海軍の潜水艦部隊である。

     

    (3)「台北医学大学の張国城教授(国際関係論)は、戦闘が長期化すれば米国の武器備蓄を枯渇させ、アジア太平洋地域への関心をそらし、国内の反戦感情をあおることになるとして、「こうした要因の全てが(中国国家主席の)習近平氏が台湾への圧力を強めたり、台湾に対して武力を行使させたりすることで、戦闘開始前よりも自身の立場が強固になると信じさせる可能性がある」と言及。戦闘が長引けば長引くほど、中国が台湾に対して何らかの行動を起こした場合の米軍の思考や対応シナリオについて、中国が得られる教訓も増えることになると警鐘を鳴らした」

     

    米国は、11月に中間選挙を控えている。イラン戦争を長引かせれば、共和党の敗北を決定的にする。そうなれば、トランプ大統領はレームダック化して政治力が牽制される。こういう大きなリスクを抱えている以上、戦争の期間は限定せざるを得ないのだ。

     

    (4)「台北当局は、中国が中東での戦闘を、台湾に対する「認知戦」のプロパガンダに利用するのを警戒する。ロイターが入手した台湾当局内のメモによると、1例として戦闘後に中国が人工知能(AI)で生成したオンライン動画で台湾が「壊滅的な」エネルギー供給危機に直面していると主張するようなケースを想定している。台湾の安全保障当局者は「いつか台湾が再び中国軍に包囲された際、人々のエネルギー問題に対する信頼を失うように中国側は仕向けたがっている」と話す」

     

    中国自身が、イラン戦争開始と同時に「籠城作戦」に転じている。原油も節約させる方向へ一変している。台湾と同じ状況にあるのだ。台湾も、こういう動画をつくって大陸へ流せば、情報は「相打ち戦」になる。台湾は、中国経済の根本的な弱点を衝く動画をつくって、中国国民を覚醒させることだ。

     

    (5)「中国国務院台湾事務弁公室は25日、中国が「統一」の恩恵としてインフラを改善させ、北京台北間の高速道路を含む「高速交通網」の整備の提案が誘い水になるとの見解を示した。これに先立って中国側は、台湾が中国による統治を受け入れるならばエネルギー安全保障を提供すると提案していた。だが、台湾経済部(経済省)の何晋滄副大臣は先週、これが「認知戦」だと一蹴していた」

     

    中国の「認知戦」(謀略戦)は、これから一段と過激化するであろう。中国は、台湾への軍事侵攻が極めて困難であることをますます認識しているからだ。中国の「日本非難」は、こうした中国の認識を表わすシグナルでもある。つまり、通俗的言葉を使えば、日本への「八つ当たり」という状況である。

     

    (6)「中国の国営メディアは、イランを巡る戦闘が将来の台湾有事に結び付くとの見方を示す。台湾は米国と正式な外交関係を持たないものの、主に米国から武器の供給を受けているからだ。米ワシントンのアメリカン・エンタープライズ研究所の防衛アナリスト、トッド・ハリソン氏は、この紛争が中国にとって米軍の作戦、特にステルス戦闘機F35のような最先端の兵力を観察する絶好のチャンスになるとして「中国は米国の防空・ミサイル防衛システムがどれほど機能しているか、そしてそれらをどのように運用しているかについて(データを)収集することになるだろう」と訴える」

     

    イランを巡る戦闘が、将来の台湾有事に結び付くとの見方こそ、中国の認知戦の一環である。中国が、台湾へ奇襲攻撃を掛けようとしても、全て米国の情報網に事前把握されていることを知らない妄言であろう。前述の通り、台湾海峡には米海軍の潜水艦部隊が待ち構えているのだ。この現実を忘れた中国優越論は、間違いであろう。

     

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