トランプ米大統領の訪中を控え、ベッセント財務長官は中国側との今後の協議において、手腕が問われる要求を交渉のテーブルに乗せることを検討している。それは、中国に対し、ロシアのような米国の敵対国からの石油購入の削減を迫ることだ。ロシアのイラク侵攻を停戦させたい米国にとって、中国がロシア産原油を輸入していることは極めて遺憾だ。それだけに、なんとかして止めさせたいという要求である。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月7日付)は、「米、石油購入が対中外交カード 『ロシア脱却』要求か」と題する記事を掲載した。
トランプ米大統領の訪中を控え、ベッセント財務長官は中国側との今後の協議において、手腕が問われる要求を交渉のテーブルに乗せることを検討している。それは中国に対し、ロシアのような米国の敵対国からの石油購入の削減を迫ることだ。
(1)「事情に詳しい関係者らによると、ベッセント氏はここ数日、米政府の元高官や企業幹部、政策アナリストと非公式会合を重ね、中国に(ロシア産の代替として)米国産の石油・天然ガス製品を購入させるべく継続している取り組みについて説明した。同氏は3月中旬にパリで予定されている中国の何立峰副首相との会談で、エネルギー問題を提起することを検討しているという。両氏はパリでの協議で、トランプ氏と中国の習近平国家主席による4月の首脳会談に向けた枠組みを固める計画だ」
米国は、中国に対してロシア産の代替として、米国産の石油・天然ガス製品を購入する用に求めるという。これは、中国経済にとってコスト高を意味する、
(2)「米国が、ロシア産石油の購入削減を迫ることは、中国にとって過大な要求だ。中国は戦略的パートナーシップを結ぶ国から大幅な割引価格で石油を調達しているからだ。米国産石油ははるかに高価である上、中国が調達先からロシアを排除すれば、対ロシア関係を損なうと同時に、ウクライナ戦争におけるロシアの立場を弱めることにつながる。さらに、ベッセント氏は中国に対し、イラン産石油の購入削減を求めることも検討しているという。現在、イラン産石油の大部分は米国とイスラエルの攻撃を受けて供給が停止している。だが、米政府は供給が再開された場合に備え、中国側にイラン産石油への長期的な依存度を低減させるよう求める構えだ」
米国のベネズエラとイラン攻撃の共通点は、中国の原油購入先である。中国は、人民元で安く購入してきた。米国は、ここへ照準を合わせている。中国は、果たして米国産原油を買うかどうか。
(3)「習氏もまた、トランプ氏との会談で独自の重要な要求を提示する見通しだ。習氏はトランプ氏に対し、台湾独立への反対姿勢をより鮮明にするよう迫る可能性がある。中国が自国領土の一部とみなす台湾の民主主義体制への信認を揺るがすことが狙いだ。関係者によると、ベッセント氏は一連の非公式会合で、米政府が米国産大豆やボーイング機の購入拡大に加え、レアアース(希土類)の輸出規制の緩和も中国側に求めていることをにじませ。レアアースは幅広い電子機器の製造に不可欠な素材だ」。
中国は、米国へ台湾独立阻止を巡って何か狙っている。台湾孤立への布石である。トランプ氏から何を引出すか。日本へも影響する。
(4)「トランプ氏の新たな関税発動に対抗し、レアアースの流通を支配する中国は昨年、その供給を遮断した。自動車から戦闘機に至るあらゆる製品の製造でレアアースに依存する米メーカーは打撃を受けた。複数の米政府高官によると、米国が次回の交渉に臨むにあたり、昨年後半に韓国で合意した米中貿易戦争の「停戦協定」の順守状況が最大の関心事となっている。この協定で、中国は重要鉱物に対する世界的な輸出規制を1年間停止することに合意した」
レアアースは、米国が重要鉱物特恵市場を8月稼働予定で進んでいる。WSJは、この動くについて十分に理解していないようだ。
(5)「中国は長年、米国の敵対国から供給される安価なエネルギーに依存してきた。2026年初めの時点で、中国の石油輸入総量の3分の1以上を、ロシアとイラン、および現在は供給が途絶えているベネズエラからの輸入が占めていた。一部の米企業トップは、米中首脳会談で達成すべき具体的な目標の特定が進んでいないことに懸念を表明している。また、第1次政権での首脳会談のように、トランプ氏に同行する経済使節団も準備していない」
米国は、イラン問題で神経を集中させている。対中国問題は、やや準備不足という面がないか。日米首脳会談では、その点を補強する必要があろう。




