勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2026年05月

    a0960_008527_m
       

    英国で、EU(欧州連合)再加盟論が登場している。ただ、再加盟コンセンサスには程遠い状況である。EU市民(移民)の自由移動こそが離脱の象徴的争点であったからだ。移民が、雇用を奪うという切実な問題である。若年層ほど親EUだが、こうした事情で再加盟には「もう一度国論を二分するのか」という疲労感も強い。

     

    主要政党も「関係改善」は言うが、「再加盟」を正面から掲げていない。英国のEU再加盟の実現性は、短〜中期ではかなり低いが、長期的には「完全にゼロではない」と言う程度だ。TPP(環太平洋経済連携協定)との関係は、英国が本気でEUに戻るなら、TPPからの離脱か大幅な再調整がほぼ必須とみられている。

     

    『ロイター』(5月31日付)は、「EUにメリット多い英の再加盟、将来申請なら歓迎が得策」と題する記事を掲載した。

     

    英国でEU離脱の是非を問う国民投票が実施されてから10年が経過し、現在の与党労働党内ではEU再加盟を巡る議論が激しさを増している。これが差し迫った問題になるかどうかは、親EU派で次期労働党党首の座を狙うアンディ・バーナム氏と、EU懐疑派のナイジェル・ファラージ氏が率いる新興右派ポピュリスト政党「UKリフォーム」の候補が対決すると目されている6月の下院補選にかかっているかもしれない。

     

    (1)「この選挙結果次第では、今はマンチェスター市長のバーナム氏が首相に上り詰める可能性がある。しかし、もし将来の英政府がEUの門を叩くことがあれば、EU側は予備交渉に時間を費やし過ぎないのが得策だろう。もちろん、欧州各国政府はより差し迫った懸案を抱えている。ロシアに対する信頼ある防衛体制の構築に向けた資金確保、フランスやイタリアの重い債務負担、そして反EU政党の台頭などだ。またEU側は改めて加盟候補国となる英国に対して厳しい質問を投げかけることも予想される」

     

    英国側の現実は、複雑である。労働党政権は「再加盟は議題ではない」と明言している。世論は、EU離脱は「後悔」という傾向だが、再加盟の国民投票をすぐに求めるほどではない。再加盟には、国民投票がほぼ不可避で、政治的リスクが大きいからだ。つまり、「議論は近いが、実際の加盟は近くない」というのが現実的な見方である。

     

    (2)「具体的には単一通貨ユーロへの参加意思があるか、EU市民の英国での就労権を受け入れるか、そしてパスポートなしの移動を可能にするシェンゲン協定に参加するか、といった内容が含まれる。離脱前の英国は、シェンゲン協定とユーロの両方から適用除外(オプトアウト)を受けていた。しかし現実の世界では、英国を再びEU陣営に迎え入れることへの欧州側の関心は圧倒的である。ウクライナに対するロシアの攻撃性、補助金を受けた安価な製品を市場に氾濫させる中国、そしてますます敵対的になるトランプ大統領の米国という状況下で、英国を再び引き入れることは、世界との交渉において欧州をより強力にするだろう」

     

    英国民の通貨「ポンド」への郷愁は強い。日本が、仮に「円」を捨てて他通貨に変えるとなれば、大騒動になりかねない。EU市民(移民)の英国での就労権を受け入れるかも大問題である。英国のEU離脱の発端は、移民が職を奪うという深刻な問題であった。

     

    (3)「貿易交渉でも影響力が増す。2025年のデータに基づくと、英国が加われば域内の総輸出額は3兆5000億ドルに達し、中国の3兆8000億ドルにほぼ匹敵することになる。また、国境を越えた連携の強化により、防衛体制もより効果的になる。さらに英国は決して軽視できないパートナーであり、EUの貿易額に占める比率は10年前の14%からは低下したものの、依然として10%もある」

     

    英国がEUへ復帰すれば、貿易や防衛の面で「心棒」が1本加わって、強みが出ることは確かだ。歴史的に、英国は欧州の覇者であったから当然であろう。

     

    (4)「EU側には妥協すべき理由がある。まず(英国に)ユーロ導入の問題は喫緊の懸念事項ではない。英国の交渉担当者が「共通通貨には決して参加しない」とあらかじめ断言しない限り、柔軟に対応できる余地はある。いずれにせよユーロ導入への第一歩は、財政赤字を国内総生産(GDP)比3%未満に抑え、インフレを制御することだ。英国は昨年の財政赤字がGDP比で4%を超え、物価上昇率も約3%となっており、まだその段階には達していない」

     

    英国は、昨年の財政赤字がGDP比で4%を超え、物価上昇率も約3%だ。これは、EU基準に達していないので、経済政策の縛りを受けることになる。

     

    (5)「英政府が、EU市民の就労権という原則を受け入れれば、シェンゲン協定についても別の妥協点が見つかる可能性が高い。金融サービス規制に関しては、離脱後の英国による独自の規制の試みが成長の起爆剤とならなかったことや、EU側も24年の「ドラギ報告書」を受けて競争力強化を目指していることから、双方が合意に至るのは比較的容易とみられる」

     

    EUは、英国がEU市民(移民)の就労権という原則を受け入れれば、という前提を置いている。だが、英国はこの問題に反旗を翻してEUを脱退したのだ。この大前提が、英国で簡単に受け入れられる状況にない。

     

    日本にとって、英国のTPP加盟が「欧州の中で最もインド太平洋にコミットする国」 という位置づけを強める意味を持っていた。もし英国がEUに戻り、TPPから抜けると、インド太平洋における「日英+豪+カナダ+アジア諸国」という枠組みは、象徴性がやや薄れる面もあろう。一方で、EU全体としてのインド太平洋関与(対中牽制・サプライチェーン多角化)が強まるなら、日本にとっては「パートナーの質が変わる」だけとも言えるのだ。

     

    問題は、英国がTPPとEUをいかに「天秤」にかけるかという問題でもあろう。10~20年後のTPPが、ASEAN(東南アジア諸国連合)の発展によってどれだけ魅力的になっているか。英国は、掴みかけたパイを手放すリスクも計算に入れなければならないであろう。

     

     

    a0960_008532_m
       

    韓国政府は、2030年代半ばまでに初の原子力潜水艦(原潜)を国内で建造・進水させ、30年代後半には海軍の第一線部隊に配備する目標を発表した。だが、日本海での作戦計画に従事する目的だけで、原潜を保有するのは非経済も甚だしいと指摘されている。韓国は、中国への遠慮でインド太平洋戦略へ参加する計画がない。原潜は本来、大洋での作戦従事が基本である。ハッキリ言えば、「無駄」とされている。

     

    『ハンギョレ新聞』(5月30日付)は、「『32年間秘密』の韓国の原潜事業、ついに公表『水中キルチェーンの実現に貢献』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「アン・ギュベク国防部長官は26日、李在明(イ・ジェミョン)大統領が出席する中、慶尚南道鎮海(チネ)にある海軍潜水艦司令部で開かれた「第1回未来国防戦略委員会」で、原潜開発の基本計画である「張保皐(チャンボゴ)N事業」について報告した。「張保皐N事業」とは、大韓民国初の潜水艦である「張保皐」の精神を継承した次世代モデルに、原子力推進方式を適用し、最先端の新技術を集約した潜水艦を建造するという事業を意味する。アン長官は、原潜が「北朝鮮の潜水艦発射型核ミサイルの脅威に備える上で重要な役割を担うだろう」とし、「ディーゼル潜水艦よりも密かに、かつ迅速に北朝鮮の潜水艦戦力を監視・追跡できるため、水中キルチェーンの実現に大きく貢献する」と述べた。

     

    朝鮮半島周辺だけで運用する潜水艦が、原潜である必要性は全くない。韓国は、インド太平洋戦略に参加していないため、原潜の必要性は極めて低い というのが軍事的な評価だ。

     

    (2)「韓国軍当局は、原潜を少なくとも4隻以上建造する案を検討しているという。アン長官は「大韓民国国内で原潜を開発・建造する」と述べた。国内で原潜のプラットフォーム(船体)と推進システム(小型原子炉)を製造し、原子炉の核燃料については米国の支援を受ける方針だ。政府はこの日、基本計画を発表し、32年間にわたり極秘で推進してきた原潜開発を公開事業へと転換した。原潜開発の公開事業への転換は、韓国の核武装に対する懸念を払拭し、トランプ米大統領の任期内に成果を固める効果を狙ったものとみられる」

     

    原潜は、少なくとも4隻以上建造する案を検討している。1隻当たりのランニングコストは、300~500である。4隻で1200~2000億円もする。10年に1度は原子炉の補修があり、1隻当たり5000億円は必要。4隻で2兆円にもなる。通常潜水艦の10倍以上の維持費がかかるので、韓国海軍の予算規模では、 原潜を複数運用するのは極めて困難とみられている。

     

    (3)「金泳三(キム・ヨンサム)政権時代の1994年に始まった原潜開発は、32年間にわたり推進と頓挫を繰り返してきた。最大の障害は、「韓国が核武装する可能性がある」という米国の懸念だった。米国から原潜の推進機関である小型原子炉に投入する核燃料を提供してもらえなければ、原潜を運用することはできない。従来の韓米原子力協定は民需用を前提としているため、軍事的活用を目的とした濃縮ウランの確保には別途の協定が必要だ。米原子力法第91条には、大統領の承認があれば軍事的用途の核物質を他国に移転できるようにした例外規定がある。昨年11月の共同説明資料(ジョイント・ファクトシート)発表直前まで、韓米はこの問題を巡って駆け引きを繰り広げた。このため、今後の実務協議が順調には進まないだろうという見通しが示されている」

     

    韓国原潜計画が持ち上がったのは30年以上も昔である。当時は、反日ムードが強かっただけに日本への対抗が主目的であったのだろう。

     

    (4)「韓国は基本計画を通じて、核兵器を搭載した戦略潜水艦は建造せず、魚雷のような通常兵器で武装した潜水艦を建造すると繰り返し強調した。政府が基本計画に、核不拡散義務を透明かつ確固として履行するという「約束」を含めたのも、韓国の核武装への懸念を払拭するためだ。基本計画は「いかなる形の核兵器も保有せず、核兵器を開発もしない」という基本姿勢を明らかにした。さらに「大韓民国は国際原子力機関(IAEA)と共同で、原潜に適用可能な安全措置体制を構築し、高水準の核不拡散義務を履行していく」と明記した。韓国は、そもそも核兵器として使用できない20%以下の低濃縮ウランを使用する方針だ」

     

    原潜は本来、外洋での敵潜水艦追跡や海上交通路の防衛に当たる。また、同盟国との共同作戦や長期潜航による戦略偵察もある。このため、これらは 複数隻のローテーション が前提になっている。だが、韓国のように外洋作戦をしない、インド太平洋戦略に参加しない。同盟ネットワークを持たないという国が、原潜を持っても 戦略的価値はほぼゼロとされている。こうなると、韓国が4隻の原潜を持つ意味が不明となる。

     

     

     

    テイカカズラ
       

    中国国家主席習近平氏は、台湾の独立宣言に過剰なまでの神経を使っている。万一、「独立宣言」したら、たちどころに台湾へ侵攻するという剣幕である。戦争を仕掛ける糸口を探している感じが強い。だが、台湾与党の民進党も野党の国民党も、台湾はすでに大陸から独立した主権を行使しているという意味で「独立」していると宣言している。改めて、宣言する必要性がないという立場だ。こうなると、習氏は、振り上げた拳の置き場所に困るであろう。台湾侵攻の口実は、永遠に来ないからだ。

     

    『毎日新聞 電子版』(5月30日付)は、「中国の主張とは裏腹の台湾 『独立宣言』が議論されない背景とは」と題する記事を掲載した。

     

    5月中旬の米中首脳会談で、中国の習近平国家主席は「台湾独立」に強く反対し、トランプ米大統領は会談後の取材に「(台湾の)独立の動きは見たくない」と繰り返した。その直後の17日、台湾の頼清徳総統はイベントで「台湾は主権を有する独立した民主国家だ」と発言している。実は、頼氏の言う「独立」と習氏やトランプ氏が使う「独立」に、ニュアンスの違いがある。背景にあるのは台湾の民主化の歩みだ。

     

    (1)「歴史は、1949年にさかのぼる。中国大陸で中華民国を統治していた国民党が共産党との内戦に敗れ、国号を維持したまま台湾に移った。国民党がその後の長期独裁で住民を弾圧したことで、一部の台湾人に「中華民国」体制を倒して独自の国家を造る考えが広まった。これが本来の意味での「台湾独立」を指す。台湾の安全保障上の後ろ盾である米国が支持しない立場を堅持しているのも、この「独立」だ。一方、現在の与党・民進党は86年に結成され、91年の党綱領に台湾共和国の建国を掲げた。だが99年の党大会決議で、総統選挙の直接投票化などで事実上独立した民主国家になったとして、建国の主張を封印。「中華民国」という名前を容認する穏健路線に転じた」

     

    与党の民進党は、99年の党大会で事実上、独立した民主国家である以上、建国の主張を封印した。独立宣言をしないという立場である。

     

    (2)「頼氏の発言は、この延長線上にある。同日のフェイスブックへの投稿では「自由民主主義的な憲法体制を守ることが台湾人の共通認識だ」として、台湾独立問題は存在しないとも述べた。新しい国家を造ろうとしているわけではないとの考えで、これまでも言及してきたものだ。最大野党・国民党は、台湾独立に反対する一方、「中華民国は主権を有する独立国家」(鄭麗文主席=党首)とも述べている。中国にルーツを持つ政党として、「中華民国」解体や国家性の否定は自らの存在意義を失うことにつながる。中国の習政権は民進党を「台湾独立派」扱いするが、民進党も国民党も台湾の現状を維持する立場にそれほど違いはない」

     

    国民党は、「中華民国(台湾)は主権を有する独立国家」としている。結局、民進党も国民党も台湾の現状を維持する立場に変わりない。

     

    (3)「主要政党が、本来の意味での「独立」の主張から距離を置く中、台湾でその実現性が議論されることはまれだ。独立を宣言したり、新国家建設に向けて憲法改正に動いたりすれば、中国の武力行使を招くことは必至だ。世論調査でも独立支持は数%に過ぎない。中国は、「世界に中国は一つで、台湾は中国の一部であることが台湾海峡の現状だ」との立場だ。台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は、27日の記者会見で頼氏の投稿について「民進党は台湾を中国から分離させることを長く主張してきた『台独』政党だ。表現上は偽装をしたが、国土を分裂させる主張は放棄していない」と批判。民進党政権が「台独分裂」の立場に固執していることが台湾海峡の緊張の根源だと主張した」

     

    中国は、「仮想敵」が必要であり台湾民進党を挙げている。その意味で、日本も「仮想敵」に組入れた。軍事国家・中国の運命は、過剰な国防予算がもたらす財政圧迫で「自壊リスク」を高めることになろう。

     

     

    a0960_008527_m
       

    日本と豪州、ニュージーランド(NZ)は5月30日、シンガポールで防衛相会談を開いた。日本からNZへの護衛艦輸出について協議したもの。日本は、先に導入を決めた豪州との協力を軸に日豪NZ三カ国の防衛強化で足並みを揃えたいところだ。

     

    豪州が、「もがみ型」護衛艦の採用をすでに決めている ので、NZは条件的に採用へ傾きかけている。だが、NZの財政規模が小さいので、最終判断は予算次第という現実的制約がある。

     

    『日本経済新聞』(5月31日付)は、「『もがみ』型、NZと輸出協議 豪交え防衛相会談」と題する記事を掲載した。

     

    小泉進次郎防衛相と豪州のマールズ副首相兼国防相、NZのペンク国防相が話し合った。小泉氏は会談で「NZが『もがみ』型を選定すれば3カ国間の相互運用性・互換性の向上につながる可能性がある」と伝えた。NZは三菱重工業の「もがみ」型護衛艦改良型を次期フリゲートの候補に挙げている。NZ海軍のアンザック級フリゲートは2030年代半ばまでに設計上の寿命を迎える。もがみ型は英国の31型フリゲートとともに後継艦の選択肢だ」

     

    (1)「日本が、「準同盟国」と位置づける豪州はもがみ型を海軍の次期汎用フリゲートに採用することを決めている。NZ海軍が、もがみ型を採用すれば海上自衛隊や豪海軍と運用や共同訓練などがしやすくなる。小泉氏は記者団に「決して新たな戦争を起こさせないための抑止力や対処力を地域全体で広げていく」と主張した。NZは7日の声明で、採用する艦艇へ海上での戦闘や哨戒、輸送など多様な機能を求めると明記した」

     

    もがみ型の特徴は、省人化(乗員約90名)でステルス性、低コスト運用である。多任務モジュール方式で豪州が採用したことで信頼性が担保されている。NZの海軍規模(小規模・人員不足)には非常に相性が良い。豪州が採用済みあるので、NZにとって最大の後押しになる。豪州は、 11隻のもがみ型導入を決定済み。NZと豪州は同盟関係にあり、 軍装備の共通化を進めている。こういうことから、豪州が採用した=NZも採用しやすい

    という構図が成立する。さらに、豪州と日本が共同で整備拠点を持つため、 NZは 維持費を大幅に抑えられるという利点もある。

     

    (2)「豪州は、25年8月にもがみ型の採用を決めた。11隻を導入する。このうち3隻は日本が造り、8隻を豪州が30年代初頭以降に建造する。海自と豪海軍が同型艦を使うことで現場の協力を円滑にし、維持・整備の拠点を日豪に分散する狙いがある。豪州とNZは同盟関係にある。3月に開いた外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)で防衛装備品の共通化により安保協力を深める方向性を示した。日本は豪NZの軍事的な結びつきを生かし、艦艇輸出を介した連携の相手を広げる」

     

    NZの財政規模の小さいことが、最大の現実的制約である。NZは、GDPも防衛費も小さく、 フリゲート2隻の更新は国家的な大事業である。もがみ型は比較的安価であるが、NZにとっては依然として大きな負担になる。豪州との共同整備でコストは下がるものの、それでも最終判断は予算次第と言う面がある。つまり、政治的・軍事的には「採用したい」しかし財政的には「慎重にならざるを得ない」という構図だ。

     

    (3)「日豪NZは、中国の海洋進出を共通の安保の課題としている。中国海軍の空母は日本列島を越えて太平洋上で戦闘機の発着艦訓練を繰り返す。同軍のフリゲートなどが252月に豪州とNZのあいだの海域で実弾射撃した事例もある。日本は4月に殺傷力がある装備品の輸出規制を撤廃したが、輸出相手は防衛装備品・技術移転協定を持つ国に限っている同協定を結んでいない。小泉氏は記者団に「協定の締結に向け前向きに議論を進める」と述べた」

     

    NZは、地政学的には採用する方向にある。 日豪NZは、 中国の海洋進出を共通の課題としているからだ。NZは伝統的に穏健だが、 中国の太平洋進出(ソロモン諸島など)を受けて 安全保障意識が急速に変化している。そのため、日豪と同じ艦を使う=対中抑止の一体化という政治的メリットが大きい。

     

     

     

     

    a0005_000022_m
       

    比亜迪(BYD)の4月の新車販売台数は、前年同月比16%減へ低下した。前年同月を下回るのは8カ月連続である。国内販売で不振が続いている。ただ、海外販売は7割増と好調。中国は電気自動車(EV)など新エネ車の自動車取得税を2025年末までは全額免除していたが、26年1月から免除額を半額にした。新エネ車のみを手掛けるBYDは、この影響を大きく受けている。

     

    BYDは、この挽回策として自動運転支援装置付きEVで販売攻勢をかける。安い価格帯でも一般道で運転支援機能を使えるようにするもので、搭載車両の最低価格は小型電気自動車(EV)「海鷗(シーガル)」での8万元強となる見通しだ。日本円換算でも200万円を切る低価格帯となる。


    『日本経済新聞 電子版』(5月30日付)は、「
    BYDがEV反攻へ一手、運転支援や4ナノ半導体 自動運転技術拡充」と題する記事を掲載した。

     

    一般道での運転支援は、交通環境の複雑さから高速道路の運転支援よりも技術的に難しい。BYDは、自社の運転支援技術「天神之眼」を難易度が高い順にABC3段階に分けている。今回、全てのグレードに対応させたのはB段階の技術だ。Bではライダーを搭載し、1万2000元で車の価格とは別枠で提供している。ただグレードの低い車には搭載できないケースが多かった。

     

    (1)「中国では高速道路での運転支援に加えて、一般道での運転支援機能が搭載されているかが車両の差別化要素の一つとなってきている。自動車業界のデータを扱う北京佐思信息諮詢によると、一般道運転支援の搭載率は価格が20万元〜25万元未満の車両で23年に5.%だったのが25年1〜10月には29.%にまで高まった。同時期の15万〜20万元未満で4.%、10万〜15万元未満で1.%と、中価格帯以下でも搭載が始まっている。30万元以上の高価格帯で搭載率が低めなのには、運転支援と相性のいいEVなどに比べ、欧州勢が手掛けるガソリン車が多いことなどが背景にあるとみられる」

     

    中国では、一般道での運転支援機能搭載車が人気を集める。中価格帯以下でも搭載が始まった。BYDも、この流れに乗ろうというものだ。30万元以上の高価格帯で搭載率が低めなのは、「ドライブ・テクニック」を楽しむ人達が多く自動運転支援を必要としないのだろう。

     

    (2)「新興の浙江零跑科技(リープモーター・テクノロジー)やトヨタ自動車も10万元台での搭載を始めた。BYDは、さらに低い価格で対抗する。一般道の運転支援機能の利用中に事故が起きた場合には1年限定で保険会社を通さずに自ら補償するとした。保険会社を通さないため、事故が起きても翌年の保険料は上昇しない。BYDは消費者に安心して同機能を使えるとアピールすることで、販売増を狙う」

     

    トヨタ自動車も10万元台での搭載を始めた。BYDは、さらに低い価格で対抗する。一般道の運転支援機能の利用中に事故が起きた場合、1年限定で保険会社を通さずに自ら補償するという「捨て身の戦法」だ。乱暴な運転を助長するようなものであろう。

     

    (3)「ただ、こうした付加価値になる機能を「安売り」する流れは、利益を圧迫しかねない。従来、BYDは車載電池やモーターなど基幹部品を内製し、ガソリン車よりも安いEVなど新エネルギー車の価格設定を打ち出すことで中国の新エネ車業界をけん引してきた。販売台数を増やし量産効果でコストを下げ競合を突き放すのが勝ち筋だったが、25年から変化が生じてきた。国内で競合との差異化が難しくなり、低価格化の競争でも後れを取りだした」

     

    自動車メーカーは、ソフトで利益を上げる方向へ向っている。BYDは、これに逆行している。経営が苦しくなっている証拠だ。

     

    (4)「BYDも利益の確保へ、4月には天神之眼のBの搭載価格が従来9900元だったのを、メモリー高騰を受けて2割値上げし1万2000元にすると発表した。傘下の一部ブランドではモデル刷新に合わせ車両の最低価格を引き上げるなど軌道修正をはかっている。巻き返しに向けては先端技術の投入も急ぐ。28日の発表会では、運転支援の先の段階となる特定条件の下での自動運転「レベル3」と「レベル4」に向けた技術開発の方向性を示した」

     

    レベル3や4は、半導体の性能に依存する。中国は、半導体設計で1.4ナノも可能だが、製造設備がないという本質的な弱点を抱えている。低級品の組み合わせで乗切る方向だ。

     

     

     

     

    このページのトップヘ