米国は、韓国の李政権へ「対中融和」姿勢が強いことに疑念を持ち始めている。米国防総省は、韓国を兵器や情報の面で距離を置いているのだ。8月稼働する「重要鉱物特恵市場」では、韓国の扱いが宙に浮いている。韓国は、「米韓同盟健在」と繕っているが、底流は冷ややかな動きが垣間見え始めた。韓国が最近、親日姿勢を強めている裏には、最後の拠り所として日本を引き留めたいという「保険」の意味がありそうだ。
『朝鮮日報』(6月6日付)は、「韓国の『親中左派政権』に警鐘 危機にひんする韓米同盟」と題する寄稿を掲載した。筆者は、峨山政策研究院・崔剛(チェ・ガン)院長である。
米政界やシンクタンクは、韓国の政治・外交の基調を「親中左派」と規定している。ブルース・クリングナー元ヘリテージ財団上級研究員は昨年初め、「韓国に新たな進歩(左派)政権が誕生すれば、北京と平壌には融和的な一方でワシントンにはより敵対的になると思われ、中国はこれを大いに歓迎するだろう」と分析した。エバンズ・リビア元米国務省東アジア・太平洋担当上級次官補も「中国は親中的な傾向で知られる共に民主党の台頭を肯定的な展開と見なすだろう」と述べた。
(1)「李在明(イ・ジェミョン)政権は、「韓米同盟を未来志向の包括的戦略同盟へと発展させる」と宣言したが、矛盾した動きによって米国に誤解と不信感を抱かせる隙を与えてしまった。韓国は今年2月、米国が提案した韓米日の空中合同演習に参加せず、西海上で実施された在韓米軍の空中演習に対して抗議した。こうした信頼の毀損により、防衛産業や通商分野でも韓国排除が感じられる」
李氏は元々、「親中・反日」闘士である。駐韓中国大使館で、福島原発処理水排出に反対する中韓結束を呼掛けた人物である。日本では今、こういう李氏の反日姿勢を忘れているが、米国は決して忘れずに韓国への警戒心を捨てずにいる。
(2)「米国防総省は、自国の先端スタートアップと日本の三菱重工業など約50社との間で防衛産業のサプライチェーンを構築し、ドローンを大量生産する方針だ。しかし、この巨大なドローン同盟から韓国は除外された。最近、インド太平洋軍が主導した指揮統制システム連携ネットワーク(IMN)においても、米国、日本、オーストラリア、カナダ、フィリピンなど太平洋地域の主要同盟国は対中軍事作戦情報をリアルタイムで共有しているが、韓国だけが除外されている。通商分野ではダレル・アイサ米連邦下院議員が、「韓国の親中左派政権がメタ社や『韓国のアマゾン』と呼ばれるクーパンなど米企業への攻撃を始めた」と批判した。さらに共和党研究委員会(RSC)所属の下院議員54人は、韓国内における米国企業への差別的扱いの中止を求める書簡を康京和(カン・ギョンファ)駐米大使に送った」
韓国国防部は、今年2月、西海(黄海)上で実施された在韓米軍の空中演習に対して抗議し、米軍が謝罪した一件がある。米国防総省は、これを深く心にとどめている。屈辱を受けたからだ。以降、米韓の軍事面での交流はギクシャクしている。
(3)「激変する国際秩序の中で、同盟の放棄は国家存亡に直結する。中国は、2049年までに世界の中心になるという「中国の夢」を掲げ、北朝鮮、イラン、ロシアなどの権威主義体制と連帯し、米主導の秩序を揺るがしている。北朝鮮は核能力の高度化により、韓国に「核の影」を落とす態勢を構築した。ビジネス交渉術になぞらえた「ディール外交」を繰り広げるトランプ政権は、米・イラン戦争において米国を積極的に支援しなかったNATO(北大西洋条約機構)加盟国に憤り、NATO脱退さえも検討している」
米国の軍事的な最終目標は、中国の2049年目標である世界覇権論の阻止にある。韓国は、こうした米国の反撃体制にとって有害な動きをしているとみられ始めている。韓国左派政権が、米韓同盟の空洞化を狙っているとの疑念を抱いているのだ。
(4)「もし韓国政府が、主権強化という大義名分ばかり掲げるのであれば、トランプ大統領は米国から1万キロ離れた台湾を交渉カードとして活用したように、在韓米軍削減や戦時作戦統制権早期移管などを対北朝鮮・対中交渉のカードとして切り出す可能性がある。在韓米軍のジェイバー・ブランソン司令官が、戦時作戦統制権の移管について「政治的な都合が条件に優先してはならない」と警告した理由はここにある」
駐韓国連軍(米軍)は、韓国の戦時作戦統制権を保持している。韓国軍には、統帥権(軍隊を動かす権利)がない。仮に、韓国軍が統帥権を持った場合、北朝鮮軍が侵攻しても韓国軍が謀議して抵抗しなければ、韓国は北朝鮮によって占領される。韓国政府が、今ひとつ信頼できない以上、統帥権という最後のカギを渡せないのだ。
(5)「米国の国防戦略書(NDS)は中国の膨張を阻止するため、九州・南沙諸島・台湾・ルソン・ボルネオを結ぶ「第1列島線」内の同盟国の役割を強調している。ジョセフ・ヒルバート米第8軍司令官も最近、「韓国もまた第1列島線に属している」と断言した。中国の顔色をうかがう同盟国は、米国の防衛線から除外される「21世紀のアチソン・ライン」が形成される可能性を示唆している」
韓国は当時、米国にとって重要な存在でないとして、アチソン・ラインで外され北朝鮮の侵略を許した。米国が再び、韓国へこういう判断を下さないように、米韓同盟は関係を密にしなければならないであろう。日本にとっても、米韓同盟の密接化が大きな利益になる。





