勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    2026年07月

       


    中国共産党中央政治局は、7月30日開いた会議で、大規模な追加景気対策は計画を見送った。代って、年内に予算計上済みのインフラ事業は、支出を加速する方針である。既存インフラ支出の加速と大規模刺激策の見送りは、中国経済が「手詰まり」状態にあることを鮮明に示している。もはや、「大規模な景気刺激が打てない」構造的限界を示したという意味である。

     

    『ロイター』(7月30日付)は、「中国、既存インフラ支出加速へ 大規模刺激策は見送り」と題する記事を掲載した。

     

    中国共産党中央政治局は30日開いた会議で、景気減速への対応として、年内に予算計上済みのインフラ事業への財政支出を加速する方針を示した。大規模な追加景気対策は計画しない。

     

    (1)「OCBC銀行のアジア・マクロ調査責任者トミー・シー氏は「大型の政策『バズーカ』はなかった。政策支援は大規模な景気刺激ではなく、成長の下支えに重点を置くというわれわれの予想におおむね沿った内容だった」と述べた。「政策手段にはなお柔軟性が残されているが、第3・四半期は既存の政策資源を速やかに投入することが焦点になりそうだ」と語った」

     

    4~6月期の実質GDP成長率が、前年同期比4.3%まで低下している。前期比の伸び率を年率換算した成長率は3.6%程度と4%割れである。それでも、政治局は「既存インフラの支出を加速するが、大規模な追加刺激は行わない」としている。インフラ支出の繰上げ効果は、通年でみれば変らないことだから、経済成長押し上げを諦めたと言える。財政支出余力がないことを物語っているのだ。経済減速が、イラン戦争による原油価格上昇というコスト・アップ要因であることから刺激策を諦めたのであろう。

     

    (2)「共産党の最高意思決定機関である政治局は会議で、「経済が直面する困難と課題」を認めた。会議の概要によると、中国は財政支出のペースを加速させる必要があるとした。利益を犠牲にして市場シェアを争う企業間の「内巻」競争について、政治局は「引き続き総合的な是正を進める」と表明した」

     

    企業の過剰競争が、コスト・アップ分の価格転嫁を阻止して、企業利益が喰われている。こういう結果から言えば、この不条理な競争を止めることが景気浮揚の要因である。だが、地方政府の補助金支給という「テコ」が効いているので、価格競争が止らないという構造的な景気下押しとなっている。要するに、統制経済がもたらした最大の矛盾に巻き込まれている。これが、「共産主義経済」の実態である。

     

    (3)「大半のアナリストは、予算計上済みの国家インフラ事業を加速させれば、財政赤字を拡大させることなく今後数カ月の成長を安定させられるとの見方で一致している。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト徐天辰氏は、「中国にはなお十分な財政余力がある」と述べた。JDドッ⁠トコムのチーフエコノミスト沈建光氏は、上半期の国債発行と歳出が計画を下回るペースだったため、当局には下半期に歳出を加速させる余地があると指摘した」

     

    財政支出時期が、繰上がっても追加予算がなければ、通年ベースでは何も変っていないことだ。一日三食と決められているが、昼までに全て食べてしまえば、夜の食事がないのと同じことである。

     

    (4)「沈建光氏は、政治局が「着実に推進する」と表明した「六つのネットワーク(六網)」構想に支出が集中するとみている。これは水利ネットワーク、物流網、地下パイ⁠プライン、送電網、通信網、コンピューティング能力拠点にまたがる事業を指す。国営メディアによると、中国政府は今年、これらの事業に約1兆ドルを投じる計画だ」

     

    既存インフラ(六網:水利・物流・地下パイプライン・送電・通信・コンピューティング)に約1兆ドルを投じる計画という。これらは、新しい成長エンジンでなく、景気の底割れを防ぐための延命策にすぎない。「内需が死んでいるので、公共事業で時間を稼ぐ」という構図である。

     

    (5)「新華社によると、政治局は内需拡大⁠に取り組み、「重点層への雇用支援を強化し、柔軟な働き方や新たな雇用形態の労働者の権益を保障する」と表明したが、具体策は示さなかった。エコノミストは、消費者の手元資金を増やす抜本的な⁠政策が打ち出されるかについて、依然懐疑的だ。ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト張智威氏は、「発表文は内需拡大の重要性にも言及したが、所得の伸びを高めるより、消費者向けの商品やサービスの供給改善に重点が置かれているようだ」と述べた」

     

    景気回復の「正道」は、消費者の所得を増やす政策である。まず、社会保障を増やして国民の生活不安を取り除く。こういう「迂回策」が必要である。だが、政府に実施の方針はない。それどころか、軍備拡大によって周辺国への威嚇を「優先」させている。政策順位を間違えているのだ。

     

     

     

     

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    国防問題と情報主権が密接不可分になってきました。一国の安全保障は、自前の軍事情報網を持つことが条件になってきたからです。日本は、日米韓三カ国の「GSOMIA」(軍事情報包括保護協定)によって、米軍が取得した軍事情報を共用することで、主として北朝鮮のミサイル発射情報を得ています。時代は、さらに複雑化しており日本独自の軍事情報網を持つべきと言う議論が高まっています。

     

    これは、「AI主権」とも呼ばれてもいますが、インドが軍事情報AIを確立して、未然に中国軍の動きを察知し、インド軍が予防措置を取って事態の悪化を防いだという情報も伝わっています。こうなると、日本もGSOMIAだけに頼ってはいられない、という結論になるのですがこれには、大きな障害があります。

     

    それは現在、世界最大の軍事情報ネットを擁する米軍の傘に入っていることから、あえて「二重投資」をしなくても良いという主張です。国産AI網を確立するとなれば、次のようなコストと時間がかかるようです。金額が3兆〜10兆円規模、期間は5~10年とみられています。これは、日本の防衛費増額(GDP比2%)の中で十分吸収可能な規模とされます。これだけの資金と時間が、必要な理由は以下の通りです。

     

    1)自衛隊のデータ統合に時間がかかる。

    2)日本語+軍事用のLLM(言語推論モデル)を育てる必要。

    3)米軍との相互運用性を確保しつつ独自AIを作る必要。

    4)軍民融合の体制整備に時間がかかる。

     

    インドは3年で国産AIを立ち上げましたが、日本は制度・組織が複雑なので、5〜10年が現実的とされています。

     

    米軍の本音は、自衛隊が独自の情報ネットを構築しなくても、世界最強の米軍の軍事情報を利用する方が便利という見解とみられています。ただ、米軍の世界戦略と日本独自の防衛戦略が違うのは当然であって、米軍の情報ネットと日本独自の情報ネットを組み合わせることが、より有機的という主張も強いのです。この見解の裏には、中国が日本の情報収集能力をじっと見つめているという現実があります。つまり、日本が独自の軍事情報ネットを持つことで、日本の国防姿勢を「測っている」というのです。

     

    こうなると、中国への抑止力としても日本独自の軍事情報ネットを確立する必要が出てくるのです。中国は最近、尖閣諸島の領海侵犯が激しくなっています。これは、日本の情報ネットを試しているとも見られます。ただ、自衛隊もこういう危険行為を傍観しているワケではありません。尖閣諸島周辺だけの情報収集機能を付けた、無人警戒機の設置を検討しています。尖閣諸島は、日米安全保障条約の該当地域であると米軍が繰返し主張しています。万一、中国軍が不法侵入して占拠すれば、米軍も出動しますが、先ずは自衛隊の防衛任務が先行します。日本本土からは、特殊ミサイルが発射されます。

     

    自衛隊に手抜かりはないのですが、日本独自の軍事情報ネットがないことを理由にして、中国軍が無謀な決断をするとなれば、結果として日本の損失になります。ただ、これを防ぐスーパー情報ネットに発展するNTTの「IOWN(アイオン)」が存在しています。

     

    米国は、このIOWNを使って西側諸国の「6G」通信網の主軸にする計画です。これは、西側諸国全体の防衛網にも利用される見通しです。そうなれば、米軍の軍事情報が瞬時に加盟国へ流れます。これは、国産軍事情報を超えた存在になります。こういう技術革新を考えると、何が一番いい方法か議論すべきでしょう。いずれにしても、日本が、国産軍事情報ネットのあり方を大いに議論することが、中国抑止力となるのです。


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    中国は長年にわたりAIの「自立」の方針を掲げてきた。米国のお墨付きを必要としない半導体サプライチェーンの構築、米国製の半導体やコードに依存しない人工知能(AI)モデルの開発、そして独自の革新性を見せることができる経済の確立を目指している。

     

    昨年登場したAI新興企業ディープシーク(深度求索)は、その路線の正当性を裏付ける象徴として歓迎された。最近、注目を集めた月之暗面(ムーンショットAI)の「Kimi」は、中国の競争力を示すだけでなく、その安価なオープンソースモデルが市場を制するかもしれないというメッセージとなった。株価は、米国市場さらには意外にも韓国市場とも連動していることが判明、自立化していなかったのだ。これは、ソフトの「蒸留」(模倣)であることがが、限界になっている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月30付)は、「中国AI『自立化』が直面する皮肉な現実」と題する記事を掲載した。

     

    ディープシークの創業者である梁文鋒氏は、AIがいずれ世界の国内総生産(GDP)の10%を占める規模に成長する可能性に言及し、その利益を独占しようとする企業は「歴史に見捨てられる」と警告した。

     

    (1)「梁氏の主張の本質は、AIがもたらす恩恵はあまりにも大きく、1つの企業や国が独占できるものではないということだ。これは、安価なオープンソースの中国モデルを囲い込むのではなく世界に広めるという中国政府の戦略と見事に一致する。この演説は国内では、かつて市場参加者が共産党中央政治局の声明を読み解いたのと同じように読まれている」

     

    AIは、クラウド型と分散型がある。現在のAIブームは、クラウド型である。今後の発展は分散型(エッジで情報処理)のフィジカルAIへシフトする。中国は、クラウド型へ特化しており、分散型は未着手である。日本は今後、分散型フィジカルAIで世界的に頭角を表わす可能性が日に日に強まっている。ラピダスが、2ナノ半導体量産化で道が開かれるからだ。

     

    (2)「中国には真の産業基盤があり、真の才能がある。問題なのは、事業の進展に対して価格形成が時期尚早である点だ。長鑫存儲技術(CXMT)のようなメモリーチップメーカーは、根本的な事業変革によるものではなく、世界的な供給不足という外部環境の恩恵を受けて長年の赤字から一夜にして大幅な黒字転換を果たした。そのため、現在では好決算が発表されても株価は大きく反応しない。その成長期待は、すでに市場価格に織り込まれているからだ」

     

    CXMTの株価急騰は、自社努力の結果でなく、世界的な半導体不足の波に乗ったものだ。独自の技術開発があれば、株価も独自の動きをするであろうが、そういうことにはならなかった。

     

    (3)「ここに、中国政府が進める技術的自立化政策の最大の皮肉がある。バリュエーション(注:企業価値)の急騰、ディープシークや月之暗面の新規株式公開(IPO)計画、そして米国を追い越すという議論など、成功しているように見えれば見えるほど、その実態は米国で生まれ韓国で検証された市場論理によって資金を供給され、正当化されているという現実だ。中国は世界に、自国のAI産業を米国のそれを見るような目で見てほしいと望んでいる。しかし今のところ、中国の規制当局自身の言葉を信じるならば、実際に(他国の市場を)注視しているのは中国市場の方である」

     

    中国は世界に、自国のAI産業を米国のそれを見るような目で見てほしいと望んでいる。これは、無理であろう。独自技術がないからだ。何時になったら独自技術になるだろうか。

     

     

     

     

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    ドイツが、中国の弱点を本気で把握し、貿易戦争の長期戦に備え始めた。欧州の対中戦略が、質的に変化してきたと言える。ドイツは、中国の弱点を「技術依存」であると正確に把握し始めている。ドイツ政府は、中国が依存する技術分野を非公開で分析している。対象は、半導体露光装置のサプライチェーン、レーザー加工、光学などの分野である。これらは、中国が最も弱い「先端製造のコア技術」である。欧州が、中国の「のど元」を握る技術を戦略資産として認識したのだ。

     

    『レコードチャイナ』(7月30日付)は、「ドイツ当局、中国経済の弱点を分析し貿易戦争に備え―仏メディア」と題する記事を掲載した。

     

    仏国際放送局『RFI(中国語版サイト)』7月28日付)は、ドイツ政府が対中貿易戦に備えて中国の技術的依存分野を非公式に分析していると報じた。

     

    (1)「記事は、ドイツ政府が貿易フローや企業データを分析し、中国が自国に依存している高度技術分野の特定を進めていると紹介。半導体露光装置のサプライチェーンに関わるトルンプ(Trumpf)やカール・ツァイス(Carl Zeiss)などの企業や技術分野がその分析対象に含まれていると伝えた。また、分析では単なる装置の輸出停止にとどまらず、中国の現地で稼働する機器の保守・メンテナンスサービスを停止することが最も強力な交渉カードになると認識されていることに言及。メルツ首相の強硬な姿勢を背景に、国家安全保障会議が34の非公開措置を策定したと指摘した」

     

    ドイツは、基幹産業の自動車が中国のEV輸出の急増によって苦境に立たされている。中国EVが、補助金をテコにしているとの見方に立っており、対抗策を発動する事態へ追い込まれている。ドイツの対抗策は、装置の輸出停止にとどまらず、中国の現地で稼働する機器の保守・メンテナンスサービスを停止が検討されている。

     

    中国は、量産・コスト競争は強いが、基礎科学・精密技術は弱いとされている。ドイツが握る領域は、すべて「基礎科学+精密技術」である。いずれも、中国が最も苦手な分野であるだけに、中国がこれら技術関連を止めれば、中国に大きな影響が出る。

     

    (2)「記事は、ドイツ政府関係者が企業との非公開協議を行っている事実は認めつつも、基本的な対中政策の変更や、企業への強制的なデータ提出要求については明確に否定したと伝えている。一方で、政府による安保上のけん制の動きが進む中で、現場の産業界が対中競争で苦境に立たされていると指摘。中国市場での激しい競合により打撃を受けたメルセデス・ベンツのオーラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)が、ドイツ国内でのコスト削減と生産性向上を社内に強く訴えたことを紹介した」

     

    ドイツが握る中国の弱点は、「中国が代替できない核心技術」ばかりである。欧州は、米国と連携し、その弱点を戦略的に突く方向へ動いている。中国は、構造的にこの包囲網を突破できないであろう。

     

    中国は、国内で稼働中の露光装置のメンテナンス停止を受ければ、ソフトウェアアップデートの停止、交換部品の供給停止、技術者派遣の停止、装置の遠隔診断サービスの停止などが予想される。これらは、中国の半導体製造ラインを「即死」させるほどの威力を持っている。

     

    (3)「報道によると、メルセデス・ベンツでは乗用車部門のコア営業利益が急減し、中国事業における減損処理や通期売上予測の下方修正を余儀なくされているという。記事は、同様にフォルクスワーゲン(VW)やBMWにおいても大規模な削減計画や利益予測の引き下げが進んでおり、自動車業界全体に苦境と打撃が広がっていると伝えた」

     

    ドイツ自動車業界は、電気自動車(EV)への高コストな移行、中国との厳しい競争、米国の関税で厳しい事業環境にあり、フォルクスワー⁠ゲン(VW)やメルセデス・ベンツも大規模な人員削減計画を打ち出している。関係者によると、今回の措置で総従業員数が約8000人減少する見込み。同社の従業員は世界全体で15万人。『ロイター』(7月30日付)が報じた。

     

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    中国EV(電気自動車)は、2月以降のイラン戦争による原油高騰に合わせて輸出が急増している。6月は100万台のもの輸出で26年は1000万台にも達するとの見方が出ている。一方、IEA(国際エネルギー機関)によると、過去18ヶ月間のEV輸出のうち、100万台超が未登録のままという発表があった。これは、「仮装輸出」であって、国内在庫を減らす目的で海外へ移すという「粉飾」を行っている。中国EVの抱える悩みは深い。

     

    『ロイター』(7月30日付)は、「IEA、中国EV席巻で日欧に警鐘 『新興国でシェア失う可能性』」と題する記事を掲載した。

     

    国際エネルギー機関(IEA)は30日、世界の電気自動車(EV)市場に関する最新の報告書を公表した。中国製EVの販売が新興国市場で勢いを増し、日欧メーカーが将来シェアを失う可能性があると警鐘を鳴らした。

     

    (1)「IEAは、中東情勢悪化に伴うエネルギー危機で、東南アジアなどを中心に石油依存から脱却するためにEVへの政府支援が強化されていると分析した。2026年上期は中国でのEV販売が前年同期比で約20%減少したものの、東南アジアで同約75%、欧州で約30%増えた。中南米は2倍超の大幅増となった。26年の自動車販売に占めるEVのシェアは25年の2.5割から約3割に拡大すると予測した」

     

    中国は、2026年上期のEV販売が、前年同期比で約20%減少した。新エネルギー車(NEV)市場では、最安3.58万元(約84万円)級の価格帯が現地メーカーの主戦場だ。これでは、いくら台数が伸びても利益は出ないであろう。こうした状況で、輸出が急増している。国内不振を輸出でカバーしているのだ。ダンピングで、輸出をプッシュしていることは間違いない。東南アジアや中南米が急増しているのは、低価格EVであることをうかわわせている。

     

    (2)「報告書では、中国製EVが新興国市場を席巻している現状を紹介した。中国を除く世界の新興国・途上国では、中国製がEV販売の約6割を占める。南アフリカや中南米市場のEV販売のそれぞれ約9割が中国製だとのデータを示した。中国のEVメーカーは先進国の競合に対し、コスト面で大きな優位性を持つと説明した。例えば、中国でバッテリー式EV(BEV)を生産するコストは先進国に比べて約35%低いという。中国政府による長年の産業政策による支援に加え、国内供給網の効率化や電池分野での技術革新などを低コスト化の要因として挙げた」

     

    低価格EVが、いくら売れようとも採算が好転する見込みは薄いであろう。EVの採算は、もともと低く、米国ではEV利益率が2.5%。HV(ハイブリッド車)の15%前後からみて6分の1である。

     

    (3)「IEAは、新興国・途上国市場が35年までに世界のEV販売の約6割を占めると予測する。中国勢の販売拡大が続けば、日欧などガソリン車やハイブリッド車に頼る従来型の自動車メーカーに「重大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。中国勢が同国市場で達成したEV販売の成功を「新興国でも再現する」可能性があるとした」

     

    IEAは、新興国・途上国市場が35年まで世界EV販売の約6割を占めると予測する。低価格EVがいくら伸びても、EV企業の採算は悪化したままであろう。

     

    (4)「IEAは、中国が過去18カ月間に他地域に輸出したEVのうち、100万台超が輸出先の国で新車登録されていないとの推計も示した。輸出先の市場でEVの在庫が積み上がっている可能性に触れた。今後、さらなる値下げ競争など「市場の不確定要因」になり得ると考察した」

     

    IEAは、過去18カ月間に他地域に輸出したEVのうち、100万台超が未登録(在庫)のままになっていると推計。かつて、ドイツでもこういう現象が起っていた。港に駐車したままの状況が続いていたのだ。販売契約のないままに輸出しているのは、国内在庫が海外へ移されたことである。巧妙な在庫隠しである。


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