米CNNテレビは6日、トランプ米政権が中国と互いの核施設への視察を開始する案について非公式に協議していると報じた。米政権は、中国やロシアと核軍縮に向けた枠組みが必要だとの認識だが、中国はこれまで参加に否定的な姿勢を示してきた。今回の提案は、中国側から持ちかけたといい、CNNは関係者の話として、中国が合意につながる信頼醸成に前向きになっている可能性を伝えた。
最近の中国外交は、一時期のような戦狼外交や威圧一辺倒ではなく、対話チャンネルを維持しようとする動きをみせている。今回も、核施設相互視察そのものが重要というより、「米中はまだ話ができますよ」という政治的シグナルの意味合いが大きい。この背景に何があるか。
それは、経済要因が中国を押し潰し始めたことだ。特に外貨準備高でも、即金性が問われる「実質外貨準備高の対GDP比」が危険ラインの5%割れをみせている。これが、中国の外交行動に制約を加えつつある。中国外交は、金融パニックを回避したいという「安全運転」に切替えている可能性が強い。突然の「対話姿勢強化」の裏には、こういう「のっぴきならない」事態が控えているにちがいない。
『ロイター』(10月6日付)は、「米中、核施設相互視察を協議 中国が提案とCNN報道」と題する記事を掲載した。
米CNNは6日、米国が中国との間で核施設相互視察の開始について協議しており、今後数カ月の間に予定されている対面会談でも、その実現に向けて引き続き働きかけていく方針だと報じた。
(1)「CNNが、関係筋の話として伝えたところによると、相互訪問の構想は今年行われた米中当局者の協議で中国側が提起し、米エネルギー省傘下の国立研究所や中国の同等施設への訪問が検討された。米中当局者協議は主に、国連安全保障理事会常任理事国の会合の合間に行われてきたという。トランプ米大統領は先月、中国の習近平国家主席と会談した際、米中ロ3カ国による軍備管理交渉を呼びかけた。中国はかねて、自国の核戦力はロシアや米国に比べてはるかに小さく、そうした協議への参加は不要だとの立場を示している」
中国は近年、米国から核弾頭数を急速に増やしているとみられている。この状況で、中国が透明化の一歩を提案するのは、核戦力拡大への国際的警戒を少し和らげたいという意図にほかならない。中国が、国際緊張激化の「因子」でないということを示そうとしているのであろう。戦狼外交を得意とした中国からみれば、想像もできない動きである。それだけに、中国が金融パニックを回避したいという切羽詰まったものを感じ取るのだ。外交姿勢が、余りにも「急変」しているからだ。
(2)「CNNは、米政府当局者の話として、両首脳が会談で核施設訪問の可能性について協議しなかったと伝えた。その上で、両首脳が再会談するまでに、核施設訪問の可能性を巡る実務レベルの協議がさらに行われる見通しだとした。トランプ氏と習近平国家主席の年内の再会談は公算が大きいと広く見られており、11月に中国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、または12月に米国で開かれる20カ国・地域(G20)会合の機会に行われる可能性がある」
中国は、研究施設や国立研究所、技術施設など、比較的公開しやすい場所を対象にしている可能が大きい。まさに、「信頼醸成」である。中国は最近、米国から核弾頭数を急速に増やしているとみられている。それだけに、緊張緩和の必要性を感じ始めたのであろう。だが、これによって「中国が核軍縮に向かう」のでなく、「核軍拡を続けながら、米国との衝突管理を始めた」というところであろう。




