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朝鮮李朝は、1392~1910年まで清国の属国であった。儒教朱子学を国教として取り入れ、仏教を弾圧した国である。朝鮮は、身も心もすべて中国に捧げた関係だ。今なお韓国にとって、中国の存在はきわめて大きい重圧感として残っている。その鬱積した不満を中国に向けず、日本へぶつけてくるのはなぜか。

 

本来ならば、中国に向けて518年間の支配に抗議すべきところ、完全に沈黙している。日韓併合は、1910~45年の36年間である。この期間への不平不満が最高潮だ。75年経った今でも、日本に対して「謝罪と賠償」要求を繰り返している。

 

韓国に見る日中への対応の仕方に大きな違いがあるのは、いかに中国に支配された518年間か恐怖に満ちていたかを証明している。だから、「物言えば唇寒し」なのだ。逆に、日本統治には優しさがあったから恐怖感はない。与しやすいゆえに、「付け入って」来るのだろう。

 


韓国が、中国を恐れて「一言半句」の抗議もできない問題は二つある。

第一は、環境問題である。中国か飛来する「微小粒子状物質(PM.5)」である。大気汚染原因の3分の1は、中国からの飛来である。これは、日中韓三カ国の共同調査で判明した事実だ。韓国政府は、中国へ善処方を要求するのでなく、韓国国民に「我慢せよ」と強いているほど。本末転倒だ。

 

第二は、安全保障問題である。韓国が、米国製のTHAAD(超高高度ミサイル網)を設置したところ、中国が激怒して経済制裁を加えた。そこで韓国は、国権に関わる「三不」という約束(後述)をさせられるという国辱を受けている。それでも、韓国は抗議するでもなく、唯々諾々として「尻尾」を振っている。不思議な中韓関係である。

 

『朝鮮日報』(1月27日付)は、「韓国環境部の中国恐怖症?」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ヒョイン社会政策部記者である。

 

(1)「今月14日に環境部が配布した「2020年 第1回韓中粒子状物質専門家会議」の報道資料には、「国内の粒子状物質の中国からの影響に対する国民の過剰認識を改善し…」と書かれている。環境部はこの日、大気・環境の専門家らを集め、粒子状物質関連の韓中協力に関するこれまでの推進経過を発表し、今後の政策に対する意見を聴取すると説明した。専門家と話し合う事案の一つに、中国発の粒子状物質に対してわが国民が抱いている「過剰認識」の改善についても含めていたのだ」

 

韓国の大気汚染原因の3割は、中国の「微小粒子状物質(PM.5)」であることが科学的に証明された。韓国政府は、この事実を伏せて国民に「過剰認識」しないよう説得しようというのだ。反日姿勢とは180度違う寛容さである。中国に対してここまで「へりくだっている」理由は、事大主義の表れであろう。それにしても醜い態度だ。

 


(2)「今後の中国との協力について模索する場で、わが国民の認識を改めさせると言い出すとは、どれほど中国政府の機嫌をうかがっているのだろうか。このような政府の態度は趙明来(チョ・ミョンレ)環境部長官の発言にも表れた。この日の会議に出席した趙長官は、「国民の中国発粒子状物質に対する認識が変わるとともに、韓中の協力を通じ、粒子状物質を実質的に削減することに速度を上げて取り組む必要がある」と述べた」

 

これだけ、「負け犬根性丸出し」の韓国政府に驚く。日本に立ち向かうように、戦いを挑んだらどうか。こういう韓国を見ていると、日本が徴用工賠償問題において「政経非分離」で対応したのは正解である。韓国の急所を掴む。外交戦術においては必要だ。これが、日韓外交を正常化させるルールとなるだろう。

 

(3)「チョ長官は、「昨年11月、韓中日3か国の大気汚染物質に関する相互の影響をまとめた報告書で、初めて中国発の粒子状物質の割合に関する公式統計が発表された」として「多少残念ではあるが、とにかく中国政府が公式に認めた数値という点で大きな意味があった」と成果を明らかにした。チョ長官が言及した報告書は「韓国の微小粒子状物質(PM2.5)の32%が中国から来ている」という内容が盛り込まれた韓中日の共同研究結果だ

 

日中韓の共同研究で、韓国の大気汚染源の32%が中国から飛来するPM2.5であることが確認された。韓国は、この是正を中国に求めるべきだが、泣き寝入りする積もりらしい。反日姿勢から見ると考えられない低姿勢である。不可解の一語だ。

 

(4)「中国政府は、この内容を公式に発表したことがない。中国国営の英字新聞「環球時報」は、この報告書の内容を報じたものの、中国発の粒子状物質が韓国の粒子状物質の32%を占めるという内容は削除し「韓国のスモッグは実際には『メイド・イン・コリア』という事実が明らかになった」と書いた。わが政府はこの問題については一度も言及しなかった」

 

中国政府は、中国国内で事実に反する発表をしている。韓国は当然、抗議すべきだが沈黙している。韓国のこういう態度が、中国を増長させる。韓国の弱腰が、中韓外交を不平等にさせている理由だ。

 

第二の安全保障問題では、「三不」がその象徴である。「三不」の内容は、次のような内容だ。韓国が、中国に約束した安全保障政策への「縛り」である。

1.米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。

2.韓米日安保協力が三カ国軍事同盟に発展することはない。

3.THAAD(サード)の追加配備は検討しない。

 

米韓は軍事同盟を結んでいる。中国は、その韓国の安全保障政策にくさびを打ち込んだに等しい行為をしたのだ。日本であれば、絶対にこういう国辱的な約束をするはずがない。それほど、非常識、破天荒なものである。ここら当りに、文政権の無節操さが見られる。米国にとっては、韓国が信頼できない国であろう。