テイカカズラ
   

世界は、新型コロナウイルス蔓延で危機を迎えている。その原因として、WHO(世界保健機関)が発症国・中国の利益を守る偏向行動を取っていることを上げられている。米国は、このWHOに不満を抱きドナルド・トランプ大統領は4月14日、「WHOが新型肺炎に対する中国の情報隠ぺいをそそのかした」としてWHOへの拠出金提供の中断を指示した。米国は、WHO予算の約15%を占める4億ドル以上を負担してきた最大供与国だ。中国は、米国の1割である4000万ドルを拠出している。

米国の拠出金提供中断は、WHOの運営に障害となっている。中国は、これを見て3000万ドル(約32億円)を寄付することにした。米国への対抗措置と受け取られている。WHOは、活動の源泉である拠出金が不足すれば即時、活動に支障が出る。これを乗り切るには、WHO改革=テドロス局長辞任(任期は2022年7月)によって、「親中国」的な運営にメスを入れることが求められている。中国は、この動きを阻止するであろう。そうなると、膠着状態に陥るので、米国はWHOと別組織の設立を模索している。

 

『ロイター』(4月23日付)は、「米、WHO資金拠出再開しない可能性、代替機関設立もー国務長官」と題する記事を掲載した。

 

ポンペオ米国務長官は世界保健機関(WHO)について、新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡って抜本的な改革が必要との認識を示し、米国はWHOへの資金拠出を再開しない可能性があると述べた。また、WHOの代替機関の設立に取り組む可能性もあると表明した。

 

(1)「ポンペオ長官は22日夜、FOXニュースに対し「米国はWHOを厳しく検証し、どのように対応するか検討する必要がある」とし、「国連機関の1つであるWHOに対し米国は2007年に見直しを行っているため、これが初めてではない。WHOの構造的な改革が必要だ」と述べた。WHO事務局長の交代は排除しないかとの質問に対しては「それだけではない。米国民の税金をもはやWHOに拠出しない事態になる可能性がある。WHOには大胆な改革が必要だ」と述べた」

 

主要7カ国(G7)首脳は4月16日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への協調対応を話し合うテレビ会議を開催し、WHOの「徹底した見直しと改革のプロセス」が必要との認識で一致した。米ホワイトハウスが声明で明らかにしたもの。ホワイトハウスの声明で、「議論の多くはWHOがパンデミック(世界的大流行)に対し透明性を欠き、誤った対応を繰り返したことに集中した」と説明した。WHO運営の中心は、事務局長である。この事務局長権限について議論されたのであろう。

 


(2)「その上で、テドロス事務局長は、加盟国が規則を順守しなかった際、公に指摘する権限を行使しなかったと主張。新型ウイルスの発生源となった中国湖北省の武漢市で、ウイルス研究所の安全基準が確実に守られるようにする義務がWHOにはあったとし、事務局長には基準を順守しない国に対する「絶大な権限」があったはずだと述べた」

 

テドロス事務局長には、中国がウイルス研究所の安全基準を確実に守られるようにする権限があるにもかかわらず、それを行使せずに放置した点が非難されている。中国がこれまで、テドロス氏をWHO事務局長に当選させるべく運動してきた背景は何であったのか。その黒い理由にスポットが当っている。

 

(3)「ポンペオ長官はまた、4月23日のラジオ番組のインタビューで、WHOの役割を他の機関が担う可能性について聞かれ「まさにその問題について、検討しようとしているところだ」と言明。その上で「組織が機能していれば、米国は常に主導して役割の一端を担う。だが、望ましい結果を出すことができない場合、本来の目標を実際に達成できる構造、形式、ガバナンスのモデルを構築するため、世界のパートナーと協力していくつもりだ」と語った」

 

米国は、WHOが公正な運営をやらなければ、別組織をつくる意向を滲ませている。米国の最終目的は、WHOの改革である。だが、その改革が不首尾に終われば、別組織をつくるという強い姿勢で改革を迫るのであろう。

 

(4)「トランプ大統領は、新型ウイルス感染拡大を巡りWHOは「中国中心主義」だと批判。WHOへの資金拠出の一時停止を指示したことを前週明らかにした。22日には米国際開発庁(USAID)のバーサ長官代行が、WHOに対する資金拠出を停止している間、米国はWHOが適切に運営されているか検証すると述べた。米国のWHOに対する拠出金は加盟国の中で最大で、2019年は約4億ドルと、WHO予算全体の約15%を占めた」

 

米国は、WHO運営費の約15%である約4億ドルを拠出している。中国の拠出金は、米国の1割規模とされている。この少ない費用負担で、WHOを意のままに動かそうというのは、大変な策略である。米国が、怒るのももっともと言える。