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香港風邪の二の舞いは必至

都市封鎖耐久性1位は米国

中国は摩擦失業25%恐怖

韓国はサービス業で失業者

 

中国武漢を発症地とする新型コロナウイルスは、全世界に飛び火している。震源地の中国は、すでに下火になって「コロナ勝者」のように振る舞うほど。果たして、今回の新型コロナウイルスは、一過性で終わるのだろうか。多くの疫学者は、今秋以降の「第二波」襲来を予測している。となれば、中国が「コロナ勝者」を名乗るのは早すぎるようである。

 

香港風邪の二の舞いは必至

ここで、新型コロナウイルスと比較すべきパンデミックとして、香港風邪が上げられる。第一波は1968~69年、第二波は1969~71年に大流行した。死者は第二波の方が多く、最終的には世界で100万人以上が死亡する大惨事になった。ニューヨーク市は非常事態を宣言。ベルリンでは、あまりの死者の多さに遺体が地下鉄のトンネルに安置された。ロンドンの病院は機能不全に陥った、とされる。今回の新型コロナウイルスの被害と実によく似ているのだ。

 

香港風邪が、今からざっと50年前に世界を恐怖の坩堝に陥れたと同様に、現在の世界も恐怖の中に追い込まれている。一過性でなく、第二波の大流行が起こるとすればどうなるか。これまで、中国や韓国で早々と感染者数が減っても、それで安心できないことを示唆しているのだ。第一波に続く第二波の襲来を乗り切って始めて、「最終コロナ勝利者」となれるであろう。中国は、第一波の「ラップタイム」だけで勝ち名乗りを上げていると言える。

 

最終的なコロナ克服には、新薬やワクチンを開発する科学力に依存するほかない。それは、総合的な国力に依存するもの。ただ、新薬だけでも短期間に開発できるのでない。最低限、2~3年の時間を必要とする。現在のパンデミックには役立たないのだ。そこで、過去の感染症治療に有効であった薬剤が、今回も利用される可能性を高めている。

 

日本の「アビガン」が、まさにその適例である。抗インフルエンザウイルス製剤として登場し、現在は過去の治療時よりも3倍の投与によって治療効果を上げている。すでに中国で投与され実証済みである。中国では、軽症患者の7割が7日間で回復したというデータが発表されている。日本では、今回の新型コロナウイルスの治療で、患者が希望した結果、すでに3000人の治療に使われている。ただ、医師の判断による無条件使用には、法的に新たな治験が必要である。すでに始まっている。

 

日本のアビガンと並んで世界的に注目されているのが、米国の「レムデシビル」である。日本政府は、「レムデシビル」を5月中に薬事承認する方向とされている。ドイツや米国で近く正式承認されれば、緊急対応として国内での審査を簡略化し、1週間程度で国内初めての新型コロナ治療薬として承認されるという。このように、日米が揃って新型コロナ治療薬として患者に投与するのは、日米における科学力の高さを示している。

 

新型コロナウイルスでは、これまでアビガンやレムデシビルが治療面で登場しなかった。それゆえ、ロックダウン(都市封鎖)という荒療治が行なわれてきた。このロックダウン効果には、果たして永続性があるだろうか。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月27日付)によれば、「迅速な封鎖と死者数との相関はない」という結論を出している。ここでは、スウェーデンの例が取り挙げられている。

 

スウェーデンは常識的な指針に従ってコロナウイルスと闘っている。米国の大半の州が行っている都市封鎖よりずっと経済的打撃の少ないやり方だ。

 

1)65歳以上が感染による死者の約80%を占めているため、高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の封鎖措置は取らなかった。

2)子どもの死者も出ていないため、小中学校も閉鎖しなかった。

3)スウェーデンの封じ込め策は米国より負担が重くないため、ウイルスの再流行阻止に向けてより(経済的に)長期間維持できる。

4)スウェーデンは、店舗もレストランも大半の事業所も閉鎖しなかった。ただ、ボルボの自動車工場は閉鎖した。

 

スウェーデンは、人口(1018万人=2018年)が少ないという国情の違いもあって、すべて国民が納得するまで話合う政治システムができあがっている。民主主義のお手本である。酒類販売も「専売品」扱いで、どこでも販売していないお国柄だ。居酒屋を覗いて見たら、暗いランプの下で、一列に対面に座って静かに飲んでいた。敬虔なプロテスタントの国であるから、ロックダウンもせずにコロナを乗り切る意向であろう。(つづく)