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EU(欧州連合)で、コロナワクチンの接種が始まったものの、拒否する者も出ている。英国では、4人に1人が「受けたくない」と調査に答えているほど。フランスでは59%にも達している。特に若者の間でワクチンへの興味は冷ややかだという。超スピードのワクチン開発であったので、不安感もあるのだろう。

 

スペインでは、ワクチン接種を拒否した者をリストにして、EUと共有すると強硬姿勢だ。一日も早くコロナを収束させて経済の正常化を図りたい当局には頭痛の種になっている。

 

『東亜日報』(12月30日付)は、「スペイン、拒否者名簿『EUと共有』 ワクチン『ブラックリスト』論議」と題する記事を掲載した。

 

欧州連合(EU)加盟国であるスペインが、新型コロナウイルスのワクチンの接種拒否者の名簿を作成し、他の加盟国と共有する案を推進している。「英国発のウイルスの変異種が流行する欧州の状況を考慮すると、避けられない措置」という意見と「過度なプライバシー侵害」という反論が拮抗する。



(1)「AFP通信などによると、スペインのイジャ保健相は28日、「ワクチン接種拒否者の名簿を作成してEU加盟国と共有する計画」とし、「ワクチン接種は義務ではないが、他の欧州国家との情報共有は必要だ」と明らかにした。ただし、この名簿は外部に公表せず、拒否者の勤務先や雇い主にも非公開にすると強調した」

 

スペインでは、「新型コロナウイルスワクチンカード」、「新型コロナワクチンパスポート」または「新型コロナウイルス電子証明書」の名の下にワクチンを接種した者の情報が集められるデジタルデータベースの作成に対して政治的論争が続けられている。新型コロナウイルスに悩まされているスペインとしては、ワクチン接種で局面打開を図りたいところだ。当局の気持ちもよく分かるのだ。

 

当該の新型コロナウイルスワクチンカードは特に渡航やビジネス環境での使用が可能であるとされている。スペインの一部企業が新型コロナウイルスワクチンの接種を拒否する従業員の契約を破棄する報道ある。ここまでくると、行き過ぎの嫌いもある。先ずは、説得が重要だ。世界保健機関(WHO)も新型コロナウイルスデジタルカードに関する取り組みを進めている。

 


(2)「27のEU加盟国は今月27日から医療従事者や介護施設の入居者に米製薬大手ファイザーとドイツのバイオテクノロジー企業ビオンテックが共同開発したワクチンの優先接種を実施している。まだ大規模な一般市民への接種は始まっていないが、欧州全般に「ワクチンを打たない」という意見が少なくなく、各国保健当局が頭を痛めている。EU加盟国は域内の自由な移動を保障した「シェンゲン協定」により、国境の移動に制約を受けない。一国家が国内の感染対策をうまくしても、域内の他国で新型コロナウイルスが流行すれば、一瞬にして欧州全体に感染が拡大する恐れがある。イラ氏の名簿作成の方針も、このような懸念によるとみられる」

欧州は、全般的に保守的な気風の強い地域である。米国のように、新しいものを躊躇なく受入れる精神的な土壌とは異なっている。米国は、次期大統領と同副大統領が公開で接種するなど広報に躍起となっている。接種しても大した副作用はなく、メリットの大きさが理解されるようになれば、接種する人々は増えるに違いない。

 


(3)「多くの大衆は、新型コロナウイルスのワクチンが短期間に開発されたとして、安全性を懸念している。はしかや小児麻痺など過去のワクチン開発には少なくとも数年を要したが、新型コロナウイルスのワクチンは1年も経たずに完成された。医療界は、「技術の進歩を考慮しなければならない」と接種を促しているが、市民の不信感は依然として強い」

 

従来型のワクチン開発と違って、ファイザーやモデルナによる「mRNAワクチン」は、これまで承認されたワクチンがないことから不安視されるのだろう。ただ、最終治験の結果では95%という有効性を示し、ほとんど副作用がないとされている。仮にあっても、すぐに対応できるなど、「不安対策」は万全である。

 


(4)「累計感染者が約190万人にのぼるスペインでは、先月の世論調査で「ワクチンを打たない」という回答が47%に達した。今月の調査では28%に減少したが、依然として約3人に1人がワクチンを拒否している。累計感染者が約260万人のフランスと約130万人のポーランドでは、最近の世論調査で「ワクチンを打つ」という回答は、それぞれ41%、20%にとどまった」

最初は、誰でも不安がある。時間が経てば冷静に受入れられるものだ。韓国では、ワクチン入手が遅れて政治問題化している。文大統領が昨日、米モデルナの経営トップと直談判して入手を確約させたほど。欧州も、自然に接種を受入れるムードになろう。