あじさいのたまご
   

韓国経済は、ワクチン接種の時期が遅れるほど、マイナス成長率が拡大するリスクを抱えていることがわかった。家計債務の対GDP比が、101%(7~9月期)にも達しており、消費支出にブレーキを掛けることが理由である。

 

文大統領は29日、米国モデルナ社のトップに直接掛け合い、ワクチン確保に乗出すなど、国民のワクチン導入不安を鎮めるべく「パフォーマンス」せざるを得ない羽目に陥っている。

 

『中央日報』(12月30日付)は、「韓国、コロナワクチン接種4~6月期に遅れれば、GDP最大230兆ウォン損失」と題する記事を掲載した。

 

全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院は、新型コロナウイルスワクチン導入遅延の経済的影響報告書を12月30日に発表した。ワクチン導入時期と新型コロナウイルスの感染拡大傾向が国内総生産(GDP)に及ぼす影響をシナリオごとに分析した。

 

(1)「来年の新型コロナウイルスワクチン導入時期によっては、経済損失が数百兆ウォンに達することもあるとの調査結果が出た。特に新型コロナウイルスワクチンの一般接種が4~6月期以降にずれ込み感染者数が減らなければ経済成長率がマイナス2~マイナス8%まで落ち込みかねないという」


ワクチン導入時期によって、経済成長率がマイナス2%~マイナス8%まで拡大する危険性が高いという。これは、22年の大統領選に大きく響くことになろう。与党「共に民主党」候補者は、かなりの逆風を覚悟する必要がありそうだ。

 

(2)「最も楽観的なシナリオは新型コロナウイルス感染者数が10~12月期水準の1日平均337人を維持し、2021年1~3月期にワクチンが導入されるというものだ。このシナリオで流れる場合、一般人を対象にしたワクチン接種が4~6月期に行われ、2022年7~9月期には新型コロナウイルスが終息するものと研究院は予想した。このように流れる場合、来年の経済成長率は3.4%を記録するものと研究院は予想した」

 

このケースは、最も楽観的な想定である。2022年7~9月期には新型コロナウイルスが終息するという仮定である。この場合は、来年の成長率は3.4%になろう。

 


(3)「シナリオ1の「拡散」は1日平均新型コロナウイルス感染者が1200人に増加した状態で楽観シナリオと同じようにワクチン接種がなされることを仮定した。1~3月期にワクチンが導入され4~6月期に一般接種が始まるというものだ。研究院は「シナリオ1で流れる場合、来年の成長率は0%を記録する見通し」と予想した」

 

1日平均の感染者数は、1200人想定。1~3月期にワクチンが導入され、4~6月期に一般接種が始まるケースでは、来年はゼロ成長率になる。文大統領の広言しているケースは、これであろう。となれば、「ゼロ成長」である。

 

(4)「シナリオ2の「深刻」とシナリオ3の「非常に深刻」は拡散シナリオと比較して経済的打撃が大きい。シナリオ2の「深刻」は1日平均新型コロナウイルス感染者1500人を仮定した。来年4-6月期にワクチンが導入され、一般接種は7-9月期に始まるシナリオだ。この場合、来年の経済成長率はマイナス2.7%に落ちるものと研究院は予想した。2年連続マイナス成長を記録するということだ」

 

1日平均感染者数が1500人。ワクチン導入が来年4~6月期、一般接種7~9月期に始まるとすれば、来年の経済成長率はマイナス2.7%にとどまる。

 

(5)「シナリオ3の「非常に深刻」は最悪の状況を仮定して作った。1日平均感染者が2500人に増加し、4~6月期と7~9月期にそれぞれワクチン導入と一般接種が始まるものと仮定した。この場合経済成長率はマイナス8.3%に落ち込む」

 

1日平均感染者が2500人に増加し、ワクチン接種が4~6月期と7~9月期にワクチン導入と一般接種がそれぞれ行われると、経済成長率はマイナス8.3%に落込むという。

 

(6)「年末基準の新型コロナウイルス感染者発生は1日平均1000人水準だ。中央防疫対策本部は30日午前0時基準で新型コロナウイルスの新規感染者が1050人増えたと発表した。現在まではシナリオ1の状況だ。だが状況の悪化でシナリオ2あるいは3に進む場合、経済損失はどれだけになるのか。研究院はこれに対する答も出した」

(7)「来年のGDP追加損失はシナリオ2で53兆ウォン、シナリオ3で230兆ウォンに達する。感染者増加傾向の中でワクチン導入の遅れはあらゆる経済主体の経済活動を制約し、経済システム全体に致命的になりかねない」と説明した」

 

最も現実的なケースは、シナリオ2と見られる。マイナス2.7%で損失幅は53兆ウォン(約4兆8000億円)となろう。悪化すれば、シナリオ3のマイナス8.3%に落込む懸念の消える訳でない。家計債務比率が、101.1%(7~9月期)となっている重荷が、個人消費のブレーキになる。