来年2月12日からの春節(旧正月)で、国民の大移動が始まる。これが、コロナ再感染の起爆にならぬよう、封じ込め戦略が始まった。PCR検査の徹底化である。ロックダウン(都市封鎖)のような手荒な措置を避けて、経済と防疫との両立をはかるソフト戦術を取る。自慢の中国製ワクチンは登場しない。接種しても効果が足りず、マスクや手洗い励行が必要とワクチンを入れた箱に書かれているのだ。とんだワクチンが、製造されたものである。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月30日付)は、「中国のコロナ感染再発、春節にらみ対策に試練」と題する記事を掲載した。
中国で新型コロナウイルスの新たな感染が複数発生し、的を絞ったアプローチが試練にさらされている。同国では何億人もが親族を訪ねて移動する旧正月(春節)の休暇が近づいている。
(1)「中国当局はここ数週間、内陸部で最初にコロナ感染が発生した今年初めの全面的なロックダウンや事業閉鎖は避け、一段と選択的で打撃の少ない措置を堅持している。これまではそうした措置によって、景気回復を損なうことなくウイルスの拡散が抑制されてきた。北京市の関係者は先週、旧正月に言及し、「人々の移動や集まりが増え、感染予防と制御は大きな試練に直面するだろう」と述べた。2021年の旧正月は2月12日に始まる」
春節は、民族の大移動である。年一回、親類縁者が里帰りする一大イベントである。細心の注意を図っても、新型コロナウイルス感染者を増やさないことは不可能である。最小限の増加に止めるにはどうするか。防疫当局は、頭をひねっている。昨年は、この春節がコロナ感染拡大のトリガーになった。
(2)「遼寧省の北東部で12月28日、国内で感染した発症例が8人確認された。国家衛生健康委員会が29日、明らかにした。そのうち6人は省都の瀋陽で、2人は同省の港湾都市である大連で確認された。大連では感染者が出た12月半ば以降、住民560万人が検査を受けた。29日に報告された2人を含め、ここ2週間で発症例は35人に上っている。瀋陽と大連ではここ数日、さらなる感染拡大を防ぐため数百の航空便が運航停止となった」
中国製コロナワクチンの有効性には大きな疑問符がついている。ワクチン接種後も、マスクや手洗いを励行せよという「代物」だ。ワクチンの役割を果たしていないのだ。この「無」に等しいワクチンに頼れず、相変わらずPCR検査を多用する。
(3)「これとは対照的に、北京市はより精密なアプローチに徹している。北京ではここ2週間に国内で感染した16人の感染者が報告され、そのうち2人は無症状だった。当局はこれを受け、29日までに2000万人超の市民のうち170万人に検査を実施した。公式データで明らかになった。北京はこのところ新型コロナ関連の一部規制を強化しているものの、市当局はあくまで「適度な厳密さ」で規制を実行するとし、措置の多くは自主的なものにとどめ、大半の市民の日常生活を巡る混乱は最低限に抑えている。学校や幼稚園は閉鎖せず、代わりに検温やマスク着用の義務化を再導入するなどしている」
PCR検査の「絨毯爆撃」である。これまでの予防法と抜本的な変わりはない。
(4)「北京政府は旧正月を祝うことを禁止するのではなく、個人的な集まりや不要な移動を自主的に減らすよう住民に訴えている。政府関連企業や作業部門に対しては、従業員が祝日前後にスケジュールをずらして休暇を取ることを容認し、一斉に大移動が起こるのを防ぐように勧告している。人々は例年、帰省や休暇のために連休の始めに移動している。中国では昨年、旧正月の旅行シーズンが始まるのと時を同じくして新型コロナ感染が広がり始めた。これが急速な感染拡大の一因になったと疫学者はみている」
春節では一斉休暇でなく、休暇・旅行のスケジュールをずらすという。
(5)「中国当局者は感染拡大の防止や抑制策と、経済および日常生活への影響を最小化する必要性という、バランスの重要性を繰り返し強調している。11月に上海浦東国際空港で感染が発生した際には、上海発着の何百という航空便がキャンセルされ、何千人もの空港スタッフが検査を受けた。対策を主導する専門家は、市全体の検査実施が必要か、それとも混乱の少ないアプローチを取るべきかを議論したという。華山医院の感染病部門ディレクターで公衆衛生専門家のザン・ウェンホン氏が、中国国営テレビで26日放映されたインタビューで明らかにした」
中国は、過去のロックダウンが、多大の代償をもたらしたことから、これを回避する方針を立てている。
(6)「上海疾病予防管理センターのサン・シャオドン副所長によると、結局は限定的な制限を導入し、地元住民への影響を抑えることになったという。北京のアプローチの精密さは29日にも、ケンピンスキーホテルが運営する高級アパートで発揮されていた。アパートの住民1人が韓国を訪れて戻ったところ、検査で陽性になった。感染が報告されると、感染者と同じエレベーターを利用する隣人たちは2週間の隔離措置に入った。住民の1人が明らかにした」
最低限の隔離措置に止めている。中国も、全面封鎖がいかに大きな痛手であったかを経験したのだ。
コメント
コメントする