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イラン革命防衛隊が1月4日、ホルムズ海峡付近で韓国籍のタンカーを拿捕した。乗組員20人のうち5人が韓国人である。この拿捕事件を巡って韓国政府は、約1ヶ月前から「拿捕の危険性」を察知する情報を得ていたという。だが、具体的に拿捕回避の手段は、何ら打たなかったという驚くべき事実が明らかになった。

 

韓国海軍は、ソマリア沖の海賊から韓国船舶を護衛するため、2009年3月に「清海部隊」を編成し常駐している。政府が、今回のイラン情報を入手しながら護衛艦船をつけなかったのは、極めて不可解である。米海軍と連絡するなど、事前に安全確保をするなど手段はいくらでもあったはず。文政権の手落ちであることは明らかだ。大統領府は、ユン検察総長追放劇で頭が一杯であったのだろう。

 

『朝鮮日報』(1月7日付)は、「韓国船舶拿捕の懸念、青瓦台にも事前に報告されていた」と題する記事を掲載した。

 

イランが韓国船籍の船舶に危害を加える可能性とその動きを韓国政府は事前に把握し、関連する情報を青瓦台(韓国大統領府)に報告していたことが分かった。韓国外交部(省に相当)も先月、中東の韓国大使館などに対し「船舶が拿捕される可能性がある」と伝えていたことも確認された。そのため「韓国政府が事前に積極的に対処していれば、今回のタンカー拿捕は防げた」との指摘も出ている。

 

(1)「本紙による6日までの取材内容を総合すると、青瓦台は先月の時点で関係部処(省庁)から「イランの政府機関あるいは政府が支援する団体が、ペルシャ湾を航行する韓国船舶を拿捕する可能性がある」との情報について報告を受けていた。コロナ感染者の急増で追い込まれているイランは、韓国国内に残る70億ドル(約7200億円)の原油代をワクチン購入に充てることができないため、韓国に対する不満が高まっていた。そのためイランが韓国に対し「報復」に乗り出す可能性が指摘されていたのだ」

 


イランからの原油購入代金約70億ドルは、米国のイラン経済制裁で韓国が支払えずに残っていたもの。韓国政府は最近、ワクチンなど医薬品を購入してイランへ送ることで米国との協議も終え、イランも了解していたという。それが、韓国船拿捕という強硬策に転じたのは、イランが対米交渉を念頭にしているとの見方も出ている。

 

イランには、過去にも各国の船舶を拿捕して外交交渉を有利に進める「悪癖」がある。こういう経緯から見ても、韓国が事前情報を得ながら具体策をとらなかったことは怠慢と言うほかない。

 

(2)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領もこれに関連する報告を受け、国家安保室を中心に関係部処に対して積極的な対応を指示していたという。韓国外交部(省に相当)もペルシャ湾に隣接する5カ国駐在の大使館などに文書を送り、「イランがタンカーを抑留する可能性」についての調査とモニタリングを先月11日の時点で指示していた。その文書には「情報を入手し関係機関との連絡システムを構築して準備を行っている」「イラン政府や政府の関連機関、あるいは政府が支援する団体がホルムズ海峡を往来する韓国船籍のタンカーを拿捕する計画を進めている」などと記載されていた」

 

ここまで詳細な情報を入手しながら、当該船舶に連絡もせず、近海に駐留する韓国海軍の護衛もつけなかったのは、まことに解せないことである。事前に知りながら、まんまとイランの網に引っかかった感じである。無能、無策、という言葉しか浮かばない事態である。

 

(3)「ある外交筋は、「イランが韓国船籍のタンカーを拿捕する際、ヘリまで動員して自国のメディアに宣伝したのを見ると、今回の行動は前もって緻密に計画されていたようだ」「韓国政府が一連の流れを把握していれば、事前に交渉を行い解決を模索できたはずだ」と指摘した」

 

イランは、手順良く拿捕の準備を万端整えていたのだ。それを知っていた韓国政府は、回避策を何も取らなかった。韓国国民からすれば、こういう文政権は「不要」という結論になろう。

 

(4)「外交部の崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1次官は「肉眼で識別できるほどの海洋汚染であればヘリコプターで確認できるはずだが、そのような証拠は提示されておらず、タンカーも安全に必要な機器を十分に完備して出港した」と説明した。ただし外交部は「タンカーの抑留状態解消と韓国国民の救出」を交渉の最優先課題として設定し、韓国国内に凍結された資金をめぐる交渉はこれとは別に進める計画である点を強調したという。しかし外交関係者の間からは「法的対応ではなく、外交によって解決すべき問題だ」との指摘も出ている。抑留状態の解消を目指す交渉団は7日にイランに向けて出発し、崔次官は10~12日にイランを訪問する計画だ」

 


イラン政府は、韓国外交部のイラン訪問について「来るな」と発言している。理由は、海洋汚染であって外交案件でないとの立場を取っているからだ。これは、イランが拿捕を長引かせる意向を示している。1月20日になれば、米国で新政権が生まれる。それに合せて、米国と経済制裁解除を交渉しようという魂胆であろう。中国が、乗出して韓国に恩を売って米韓離反を策すかも知れない。こうなると、今回の拿捕事件は、底が深いと言うべきだろう。