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韓国は進歩派と保守派で、目標がこれだけ違っている。進歩派は南北統一を、保守派は日韓海底トンネル計画を持ち出している。それぞれの性格は異なるが、最終的には韓国経済の発展問題に繋がっている。

 

海底トンネル計画は2018年、当時の釜山市長(進歩派)が熱心な旗振り役であった。その後、セクハラ事件で辞職したので自然消滅と見られていた。ところが、韓国最大野党「国民の力」代表が、日韓海底トンネル計画に言及し、やる気満々の姿勢を見せている。果たしてこれからどうなるのか。日韓の外交関係いかんが鍵を握っている。

 

日韓海底トンネル構想の歴史は古い。九州と朝鮮半島を結ぶトンネルを掘る構想の原点は、1930年代の「大東亜縦貫鉄道構想」に始まる。1942年には「東亜交通学会」が設立され、日本本土(内地)から壱岐、対馬を経て釜山へ至る海底トンネルが計画された。上記の大東亜縦貫鉄道と結んで東京―シンガポール間を弾丸列車で結ぶ構想が立てられたのである。むろん、日本の敗戦ですべて終わった。

 

戦後になると再び、日韓海底トンネル計画が浮上した。当初は、韓国の宗教団体が音頭を取って、日韓海底トンネルムードを高めた。1980年には、大林組が発表したユーラシア・ドライブウェイ構想で脚光を浴びた。技術的に建設可能という結論であった。

 

金大中大統領が2000年9月、訪日の際に「日韓海底トンネル建設」の構想を日本の森喜朗首相に提唱した。同年10月、韓国ソウルで開催された第3回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合で、森喜朗首相が日韓トンネルの共同建設を韓国側に提案した。韓国政府は2002年、調査費を計上して技術的問題点、日韓の工事費負担割合、韓国にとっての交通・物流戦略上の価値などについて分析を進めるまでになった。

 


韓国の盧武鉉大統領が2003年2月就任式の直後、小泉純一郎首相との首脳会談で、「北朝鮮問題が解決すれば経済界から取り上げられるだろう」との旨を語った。ここで、「北朝鮮問題解決」という条件がつけられ、日韓海底トンネル「フィーバー」は終わった。

 

以上の日韓双方の動きを見ても分かるように、日韓友好関係が深まらなければ、この世紀のプロジェクトは動かないのである。これまでのような「反日」では、絶対と言って良いほど、議論の俎上にも上がらないテーマである。

 

『中央日報』(2月1日付)は、「韓国野党幹部『韓日海底トンネルを積極的に検討』」と題する記事を掲載した。

 

韓国野党第1党の国民の力の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が釜山(プサン)を訪問し、「加徳島(カドクド)新空港の建設を積極的に支持し、加徳島新空港特別法が与野党の合意の下で処理されるよう努力する」と明らかにした。国民の力の指導部が初めて加徳島新空港建設に公式的に賛成したのだ。

(1)「金委員長は嘉徳新空港の敷地も訪問する予定だ。金委員長は1日午前、国民の力釜山市党で開かれた現場非常対策委員会会議で、「国民の力は加徳島新空港建設を積極的に支持し、加徳島新空港建設特別法が与野党合意の下で処理されるよう努力する」と述べた。続いて「加徳島新空港の建設は莫大な雇用効果と経済的効果をもたらす」とし「グローバル競争力を備えたスマート空港に育成する」と強調した。「国内の技術と民間資本が投入される環境に向けて法的・制度的装置を体系的に後押しする」とも話した」

 

金鍾仁氏は、保守派と進歩派に所属した希有の人材である。文氏が大統領に当選する際は、「共に民主党」の非常対策委員長を務めて力量を発揮した。政策実現本位で動く人物として知られる。朴槿惠氏が大統領に立候補する際の政策を取りまとめた責任者でもあった。だが、朴氏が公約を実現しないとして、「共に民主党」へ鞍替えした正義派である。その「共に民主党」の実施する政策に不満を持ち、再び古巣の保守派へ帰り、代表に収まっている。

 

大学の元経済学教授である。理詰めに考えるタイプだけに、つぎのパラグラフ出てくる日韓海底トンネル計画には、経済的に採算が成り立つという見通しがあるのだろう。

 


(2)「金委員長は、「加徳島と日本の九州をつなぐ韓日海底トンネル建設を積極的に検討する」という計画も明らかにした。金委員長は、「日本に比べてはるかに少ない財政負担で生産付加効果54兆5000億ウォン(約5兆1000億円)、雇用誘発効果45万人にのぼる経済効果が期待される事業」と説明した。続いて、「鉄道と高速道路もつなぎ、南北内陸鉄道を加徳島まで連結し、釜山新港-金海(キムヘ)港高速道路と沙上(ササン)-海雲台(ヘウンデ)高速道路の建設を推進する」と話した」

 

下線部分は、日本として気になる部分である。韓国側の少ない財政負担で韓国の雇用誘発効果として45万人に上るとしている。これは、日本から企業を誘致する。日本人観光客の増加という効果を計算に入れているのであろう。日本は、ストロール効果で吸い上げられる恐れはないのか。精査が必要である。

 

現在は、航空機の時代である。海底トンネルは、一昔前の話というイメージも強い。日本側の受ける印象も不明である。韓国が、どれだけ日本へ依存しているかを示す「物語」という感じが強いのだ。