118
   

2月7日付本欄で、米アップルと韓国起亜自動車の間で進められている自動EV(電気自動車)の生産受託問題は、交渉が中断していることを報じた。韓国でも、『中央日報』や『ハンギョレ新聞』が一斉にこの問題をとり上げている。

 

アップルは、日本の自動車メーカーとも交渉中と伝えられている。韓国企業との交渉を止めて、日本企業と話合いを続けていると『日本経済新聞』が報じたもの。仮に、韓国企業との生産受託問題が消滅すれば、これまで「アップルEV効果」を織り込んできた株価は、ドデン返しを食らうのだ。これは、韓国株価すべてに波及する問題である。

 

『ハンギョレ新聞』(2月7日付)は、「展望交錯するアップル・現代自動車交渉 株価60%上がった起亜の運命は」と題する記事を掲載した。

 

現代自動車グループと米アップル間の協力に関する展望が交錯している。遠からず契約が成立するとの推測が支配的だったが、最近は悲観的な予測も力を得ている。もし交渉が決裂すれば、それに伴う打撃は小さくないと予想され、その行方に関心が集まっている。

 


(1)「2月7日、米国のメディア『ブルームバーグ』通信の5日付(現地時間)報道によれば、アップルと現代自動車グループは、最近交渉を中断したと複数の消息筋が伝えた。現代自動車グループが交渉の事実を公開したために、秘密の維持を重視するアップル側が不快感を持ったと説明されている。これらの消息筋は、両企業の議論再開が不透明で、アップルが別の完成車メーカーとの協業を議論中とも伝えた」

 

韓国は、アップルからの交渉申入れに舞い上がってしまい情報漏洩したことが今、大きなブーメランを引き起している。交渉中断して、日本の自動車企業と交渉を始めているからだ。日本企業は、メディアの問い合せに「ノーコメント」を貫いており、間接的に交渉中である企業が複数存在することを覗わせている。

 

(2)「米国のメディア『CNBC』は、「アップルが究極的には別の完成車メーカーとの協力を決めることもありうる」と余地を置いたし、『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』も「消息筋はまだ契約が終わっていないと強調した」と伝えた。閉鎖的垂直系列化に固執してきた両企業が交渉に難航を来しているのではないかとの話が出てくる理由だ」

 

米国『CNBC』も『WSJ』も、アップルと韓国企業との契約は済んでいないと報じている。

 


(3)「現代自動車グループの“協業空白”は、業界で様々な解釈を産んできた。電気自動車と自動運転車時代に備え技術協力を打診するその他の完成車メーカーと比較されたためだ。ドイツのフォルクスワーゲンや米国のゼネラルモータース(GM)は、完成車メーカー他社はもちろんアマゾン、マイクロソフト(MS)などのテック・IT企業とも積極的に手を握っている。反面、現代自動車グループは、米国の部品メーカーであるアプティブと自動運転車合併法人「モーショナル」を設立したのが事実上唯一の協業だ

 

現代自動車グループは、IT企業と提携関係を結んでいないという現実がある。これは、IT技術蓄積が浅いことを意味しており、アップルにとって技術的負担にならないか、という問題が指摘されている。

 

(4)「交渉が座礁する場合、現代自動車グループは少なからぬ打撃を受けると見られる。アップルカー生産の可能性が提起された以後、現代自動車グループの株価は大幅に上がっており、決裂の便りは大型悪材として作用する可能性が高い。アップルカーの生産基地になると見られた起亜は、一層注目を浴びている。既に6万ウォン台だった起亜の株価は、着実に上がり5日には10万1500ウォンで取引を終えた。先月7日の6万3000ウォンから一カ月余りで61.1%騰がったのだ。同じ期間に現代自動車と現代モービスの株価もそれぞれ21.1%、15.8%上がった」

 

韓国株式市場は、信用売りを規制していることもあり、最近の株価はバブル化してきた。それを支えたのが「アップル提携説」を材料にして、1ヶ月余りで起亜自動車は61.1%もの高騰を演じた。他の現代自なども連れ高になっている。株価水準自体が高値圏にあるだけに、「アップル騒ぎ」終焉が、株価暴落の引き金になるだろう。

 

次の記事もご参考に。

2021-02-07

韓国、「早とちり」アップルEV、現代・起亜との交渉中断し日本企業へ「接近」