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米韓は、北朝鮮の核問題について早くも意見の食い違いを見せている。米韓外交は、前途多難というべきだ。韓国の次期外交部長官(外相)候補は、北朝鮮は核放棄意思ありと発言したことに、米国務省が反論したものである。外交的にも異例の展開で、米韓関係が冷却化している証であろう。

 

文大統領は、次期外交部長官に鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏を指名し、国会で人事聴聞会が開かれた。この席で鄭氏は、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が非核化の意志を持っている」と発言。その翌日、米国務省は早くも「北朝鮮による違法な核とミサイル拡散の意志は、国際社会の平和に対して脅威となっている」とコメントした。鄭外交部長官候補の発言に、正面から反論した形だ。

 


『朝鮮日報』(2月8日付)は、「『金正恩は非核化の意志持つ』鄭義溶発言の翌日に米国務省反論」と題する記事を掲載した。

 

韓国外交部の次期長官に指名されている鄭義溶氏が、国会で行われた人事聴聞会で「北朝鮮の金正恩国務委員長は非核化の意志を持っている」と発言したことについて、米国務省は「北朝鮮による違法な核とミサイル拡散の意志は、国際社会の平和に対して脅威となっている」とコメントした。鄭候補者の発言に正面から反論した形だ。

 

(1)「米国務省報道官室は2月5日(現地時間)、米政府系の『ラジオ・フリー・アジア(RFA)』が鄭候補者の発言についてコメントを求めた際、「北朝鮮による違法な核と弾道ミサイル開発、それに関連する高級技術拡散の意志は、国際社会の平和と安全保障に対して深刻な脅威となっており、地球的な非拡散のシステムを危険にさらしている」との見方を示した。鄭候補者は5日の国会聴聞会で、北朝鮮はいわゆる「モラトリアム(核とミサイルの試験猶予)」を尊重しているとした上で「金正恩氏には非核化の意志がまだあるとみている」と証言した」

 

米国務省の報道官室が、鄭氏の発言に反論のコメントを寄せたことは、文大統領が切り札として登場させた「鄭外交部長官」が、早くも空回りする予兆となった。これでは、米国新政権が、韓国の北朝鮮に対する「代弁」を一切、拒否するという通告でもある。韓国外交は行き詰まりである。

 

北朝鮮の演じる「核放棄構想」は、核を完成させるための時間稼ぎであったことが明らかになっている。韓国は、その真意を掴めずに「核放棄構想」を真面目に受取り、米国を説得しようとしている。米国は、そういう韓国の説明を聞かないと予防線を張ったのだ。

 

(2)「米国の元国務省官僚らも、「金正恩氏に非核化の意志があることを示す証拠はなかった」と主張している。トランプ前政権当時、北朝鮮との交渉に関与したランドル・シュライバー元国務次官補はRFAの取材に「金正恩氏が非核化の約束を守っていることを示す証拠は今も目撃できていない」、「関与する政策に先立ち、一定期間は北朝鮮に対して圧力を加える政策を新たに展開することの方が知恵のあるやり方だ」と主張した」

 

国務省の現役官僚だけでない。前政権の官僚も口を揃えて、北朝鮮の「核放棄構想」の証拠を見ることができなかったと発言している。韓国進歩派は民族主義集団である。北朝鮮の発言を額面どおり受け取る「ナイーブ」な集団なのだ。外交の「ガ」の字も知らない集団と言える。

 

(3)「1月の労働党大会で、金正恩氏は核抑止力の強化を強調した。これについて、ロバート・アインホン元国務省軍縮担当補佐官は、「彼が核兵器を放棄する意図があることを示す事例はなかった」と述べた。マーク・フィッツパトリック元国務補佐官も、「モラトリアムは非核化の意志を示すものではない」、「北朝鮮は核兵器を政権維持に絶対必要なものと考えている」との見方を示した。ロバート・ガルーチ元国務省北核特使は、「韓国の大統領が米国の新しい大統領に『北朝鮮は非核化に真剣に取り組んでいる』と説得するのは良いアイディアではない」と指摘した

 

下線部は、痛烈な韓国批判である。文大統領は、7月の東京五輪を機会に日米韓朝の4国首脳会談開催の「夢」を持っている。この夢が、米国から「ノー」を突きつけられたのも同然の事態である。

 

米韓の外交当事者が、話合いのテーブルに着く前からこの状態である。東京五輪を機会に、日米韓朝の4国首脳会談開催という文大統領の夢は、萎んでしまったのだ。これは、韓国が米主導の「インド太平洋戦略」に参加しない結果であろう。米国の描く「インド太平洋戦略」の一環に、北朝鮮問題が含められているはずである。

 

北朝鮮の核放棄は、短期間に実現するものでない。北朝鮮が、「核を持つことが危険である」と認識しなければ、核放棄をしないはず。これが、米国の見方になっている。中国が、北朝鮮の後ろ盾になっている以上、中国の経済力が急減速しない限り、北は核を放棄しないであろう。米国は、こういう超長期戦の構えと見ておくべきだ。その意味で、韓国が「インド太平洋戦略」に加わらない損失は大きいのである。

 

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