韓国の一部公務員が、政府の内部情報を利用して公共事業用地を先買い、大儲けしたことで非難が殺到している。文政権は、この非難を交わすべく新たに公務員130万人の財産を登録させると発表した。これに対して、公共事業と無縁の職場の公務員からは、逆に政府非難が出るなど蜂の巣を突いたような騒ぎである。
政府は、4月7日のソウル・釜山の両市長選が与党候補不利であることから、選挙対策上「一芝居」打っている感じが強い。ここまで真剣に不動産対策を行っている、というポーズなのだ。
『中央日報』(3月30日付)は、「韓国、9級末端公務員まで財産登録 100万人に青天の霹靂」と題する記事を掲載した。
韓国政府と与党が公職者の不動産投機根絶に向け、公職者の財産登録範囲を9級下位職の公務員まで拡大する案を出したことを受け公務員らが反発している。
(1)「洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は29日に不動産投機根絶と再発防止対策に関する会見を開き、「不動産投機根絶と再発防止対策をまとめ、政府は法・制度・文化・行動などを原点から点検した。原則的にすべての公職者に財産を登録させる」と明らかにした。「特に予防対策に重点を置いた」とした。前日「共に民主党」と政府が韓国土地住宅公社(LH)事態の再発防止対策高位協議会を開いて導出した結果だ」
政府は、130万公務員の財産を登録させると言うが、公共事業と無関係な職場に勤務する公務員まで調査するのは非現実的である。「土地情報」に関係する職場だけ調査すれば済む話であろう。政府は、これまでの「土地無策」を全公務員調査で隠す、あくどいやり方である。
(2)「洪副首相の言葉通りならば、現在4級以上の公務員を基準としている公職者財産義務登録範囲が5~9級まで拡大する。昨年出された行政安全部の「2020行政安全統計年報」が集計した2019年12月基準の全国の公務員数は110万4000人だ。政府はすべての公務員と公共機関職員まで加えれば財産登録義務化対象は130万人程度になると推定した。現在財産登録対象の高位公務員は約23万人だ。新政策が施行されれば100万人以上が追加で登録対象になる」
現在、財産登録対象の高位公務員は、約23万人である。新政策が施行されれば、さらに100万人以上が追加で登録対象になる。一口に100万人というが、膨大な事務量の増加で、ほとんど意味をなさない業務であろう。土地情報の管理を徹底化し、当該地の土地登記簿を集中的に調査すれば犯罪の有無は判明するはずなのだ。
(3)「これに対し、「すべての公務員を潜在的犯罪者とみているということなのか」という反発が出ている。大邱(テグ)公務員労働組合はこの日声明を通じ「(すべての公職者財産登録義務化は)ニューフェース公務員に犯罪集団のくびきをかけるもの。公務員という理由で親の財産まで公開しなければならないいまの大韓民国の現実はあまりにみじめだ」と明らかにした。その上で「財産登録義務化を即時中断し、1日も早く実効性ある政策をまとめるよう厳重に要求する」と強調した」
一般公務員の反発は大きいであろう。土地と無関係な職場に勤務する公務員には、不愉快千万であろう。実効性ある政策は、前のパラグラフで私が提案したように、土地情報の管理を徹底化し、当該地の土地登記簿を集中的に調査すれば公務員の投機行為が把握可能である。
(4)「一部では、4月の補欠選挙を控え怒った世論をなだめるための方便にすぎないと解釈した。これに先立ち全国公務員労働組合は23日に声明を出し、「選挙を控えて危機を回避するためのアピール式展示行政を中断すべき。下位職公務員は土地投機危機から目をそらすためのスケープゴートではない」と強調した。全教組出身である大田(テジョン)地域の小学校教師は「政権が公職社会の票をすべてあきらめたようだ」と声を高めた」
目前に迫ったソウル・釜山の市長選対策である。政府は、不動産対策を真剣に行なっているというポーズを見せたいだけである。
(5)「実効性に対する疑問も提起された。大邱公務員労働組合は「(財産登録義務化が)もっともらしい対策のように見えるが実効性も効果もない制度」と主張した。同組合は「自治体9級から7級公務員はほとんどが住民自治センターや事業所で請願業務を処理している。彼らは(LH事態を呼んだ不動産関連の)『特定情報』に対する接近は不可能だ」と説明した」
自治体9級から7級公務員は、全く政策立案とその実行を担う職場と無縁である。「市民窓口」へ勤務する公務員の財産登録は、無意味で事務煩雑になろう。プライバシーの侵害にも当るのだ。
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2021-03-29 |
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