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最近の中国は、熱病に冒されている。米国と対等になったので、恐れることはないという認識が強まっているのだ。これは、中国の開戦リスクを高めるので、こうした「症状」は早く直さなければ危険である。それには、中国の経済活動に枠をはめるのが最善の策である。

 

具体的には、中国に米国市場を利用させないことである。米国がTPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰すれば、TPPへ加入不可能な中国は、関税面で米国への輸出が大幅に制限されるのだ。中国が仕掛ける戦争を未然に防ぐには、こうした荒療治が不可欠になってきた。

 

『ハンギョレ新聞』(4月29日付)は、「米中対立で『米国のCPTPP早期加盟が実現する可能性も』」と題する記事を掲載した。

 

米国と中国の間の対立が続く場合、米国が「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への早期加盟を進める可能性があるという米専門家の見通しが示された。バイデン政権が2022年の中間選挙まではCPTPPへの加盟を推進しないだろうという一般的な見方と異なるもので注目される。

 

(1)「大韓商工会議所と金・張法律事務所が4月28日、共同開催した「通商フォーラム」で発表を行った米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショート先任研究委員は「中国の経済的、安保的挑発のため、米国は主要な同盟国と結んでいる関係をさらに強固にする必要性を感じるだろう」とし、「それに対する対応の一環としてCPTPPへの加盟の再交渉およびアジア太平洋地域協定の刷新(リブランディング)を進める可能性も考えられる」と述べた」

 


米バイデン政権は、米国経済の強さを中国に最認識させることが、中国の開戦リスクを低減させると考えている。それは、中国の経済力を弱めることでも実現可能である。TPPの発想原点は、米国オバマ政権にあった。米国は、中国をTPPから外し、経済力を弱める目的であったのである。バイデン政権もこのオバマ構想をそのまま受け継げばよい。

 

(2)「ショート委員は、「域内包括的経済連携協定(RCEP)および二国間自由貿易協定のようなアジア太平洋地域の協定は米国の競争力に否定的に働くため、米国の改定されたCPTPPへの加盟は、米国の貿易と投資に“公平な競争の場”を形成するだろう」と予想した。また、「バイデン政権はCPTPPを拒否しなかっただけでなく、改善し、より強力な協定にしなければならないと考えている」と述べた」

 

RCEPとTPPは、質的レベルが異なる。TPPは中国を除外しており、米国を始めとして各国が中国の経済支配に対抗する道を作ったことにある。RCEPは中国、ASEANの加盟が多く、アジア中心の貿易協定の色合いが濃い。TPPのような厳しい労働・環境基準を設けておらず、そのカバー範囲が広いことに特徴がある。バイデン政権は、オバマ政権と同じ流れである以上、TPPを受け継ぐのは当然である。

 


(3)「CPTPPは2018年12月発効され、加盟国は日本やオーストラリア、カナダ、メキシコなど11カ国だ。同協定は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に基づいている。米国が2017年末にTPPから脱退した後、日本主導に変わり、TPPの名前もCPTPPに変更された。韓国はまだCPTPPに加盟していない。昨年11月に発足したRCEPには、ASEAN10カ国に韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドを合わせて15カ国が加盟している」

 

今年中に、TPPへ英国が正式加盟予定である。目下、審査中だ。韓国は、TPP加盟意思を固めたが、国内法の整備もあって準備に数年を要する見込みである。それだけ、法整備が遅れていることの証明だ。

 

(4)「金・張法律事務所のシン・ジョンフン弁護士は、「CPTPPでは文案協定が進められることなく、既存の加盟国が合意した協定文案をそのまま受け入れることになっている」とし、「事前に協定文案の意味を明確に把握しなければならない」と述べた。シン弁護士は特に「国営企業チャプター(分野)が公共機関の運営にどのような影響を与えるのかを綿密に検討しなければならない」と付け加えた」

 

韓国は、国営企業への補助金が問題になるだろう。実は、中国もこの点でハードルが高くなっている。TPPに既加入のベトナムは、国有企業のハードルを越えている。韓国や中国は、経済体質面でベトナムに劣っていると言える。

 


(5)「製造業分野について発表行ったキム・バウ産業研究院専門研究員は「CPTPPはRCEPより早く、幅広い市場開放が求められるため、得失を計算してみなければならない」とし、「韓国がCPTPPに加盟した場合、日本に対する市場開放の効果に対する分析と検討が必要だ」と指摘した。会議を主催したウ・テヒ大韓商工会議所常勤副会頭は「CPTPPは貿易協定の中で最も高い水準の自由化の範囲とルールを求めている」とし、「細部の検討と事前対応が重要だ」と述べた」

 

韓国が、TPPへ即刻加入を渋っている理由の一つは、日本の製造業と直接競争になることだ。特に、自動車輸入が急増することを危惧している。もう一つ、日本の海産物輸入である。いわれなき「放射能問題」で東北など8県の海産物を輸入禁止である。TPPに加盟すれば、こういう不埒な振舞は許されなくなる。